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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その22
夫が直腸がんに。つらそうで見ていられません

Nさんより
夫は一昨年直腸がんの宣告をうけ、入院手術しました。翌年に再発して、人工肛門になりました。今年腸閉塞になり、パイパス術をして、食べれるようになり、今月になって、腎臓とぼうこうをつなぐ管が細くなっていたので、カテーテルをいれました。

腸閉塞は放射線療法の影響だそうで、やめて、いまは、化学療法の抗がん剤をのんでいますが、辛そうでみていられません。生活は普通にといわれ、本人が仕事をしたいというので、行っています。

私はこれからどうしたらいいのでしょうか?不安でいっぱいです。

その22
伊藤勇 より

Nさんへ
お便り拝見しました。
ご主人に心よりお見舞い申し上げます。
この三年間はご主人にとっても、あなたにとっても大変苦しい年月で、心身ともにストレスの塊りの日々が続いて居られますね。不安や焦り、時には絶望的になったりで、色々試して早く一筋の光明に出会いたい切なる祈りをお便りからも感じられ、本当に胸が詰まります。

医学的な分野では、お力にはなれませんが、私の8年に及ぶ闘病歴での私なりの考えを述べさせて頂きます。本題のお便りに忌憚のない私見ですが、メールを読ませて頂いた限りでは、早や、決断の時期と思います。

(1) 仕事の為なら例え死期が早まろうともやり遂げたいのか?

(2) これを機会に、全ての仕事を辞め、身体第一に治療に専念するのか?あなたからの短いお便りでは、詳しい事は判りませんが、私が見る限り決して甘くない病状と推察されます。

仕事人間で働いて来た人は、自営でも、会社へお勤めであっても、よく聞く言葉に「俺から仕事を取ったら何が残る!?」と、一途に会社の為に身を削り奮闘し、それが家族の幸せに繋がると考えて結果的にはボロボロに力尽きて倒れる、ということがあります。しかし、会社は、ただ後任を補充するだけです。

私は、手術も出来ない病状になるまで、重責を担った役職を持つ身として自分の身体には無頓着でただひたすらに頑張り続けました。( 癌は進行するまでは、何の自覚症状も無いのです )

私のHPにもありますように、重責を放した私には、思いのほか楽しいオマケの人生が待ち受けていました。
しかし、こんな人生になったのも、8年という闘病の中で、積極的に後ろを振り返らずに自分を前向きに切り替える姿勢で、色々な所に飛び込んで行った私が居るからです。

全て自分です。
病気の原因も自分が作ったもの。
治すのも、先生でも、健康食品でも誰でもない、自分の強い信念です。

命は一つで一回切りです。
良く、良くご検討ください。
ご主人は非常に責任感の強い方で、仕事の事が今でも頭から離れないのでしょう。さんざん無理をして来られたにも関らず、今もストレス一杯のご心境は大変痛ましくさえ感じます。

ご家族は、今まで、懸命に働いて来られたご主人に心からの感謝の真心を素直に表しながら、もうそんなに仕事への執着は止めて、肩の力を抜いて欲しい旨を徐々に話の中に入れて、発想の転換をされる事に力を貸してあげて頂きたい。

以上、きつい所もあったとは思いますが、同病者としての温かい意見としてお受取りくだされば幸いです。

これから寒くなります。気温の変化に気をつけて、お暮しください。

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