第83章
「牽制球」

 はじめまして。いつも勉強になり、時には楽しく拝見させていただいております。
 さて、質問といいますか、大変初歩的ではずかしい事なのですが、牽制球の足の使い方がよく理解できておらず、困っております。具体的にはセットポジションから1塁・3塁などに牽制球を送るときのプレートのはずしかたなのですが、投球モーションからそのまま左足を(右投げ時)3塁側にむけてなどと言うことなのですが、お答え頂けますでしょうか。
 そんなことは、本でも読んで勉強しなさい!とお思いでしょうが、せっかくこんな素敵なHPを拝見し、より明確な答えが頂けそうなのでそこを何とかお願いいたします。

 投手を初めて経験する人は誰でも牽制球に戸惑う。何故ならば、ルールブックには小難しいことがあれこれ書いてあり、すぐボークを宣告されてしまうからだ。私も全てを理解しているわけではない。高校野球でも、セットに入ろうとして中断したことがボークとなり、さよなら負けしたことをご記憶の方も多かろう。

 セットポジションの原則は、これから打者に向かって投球するぞという投手の意思を明確に打者に伝え、打者を惑わせてはならないということである。したがって、この原則からはずれる動作は全てボークとなる。それゆえに、体の前でグラブとボールを止めてそのまま1秒間以上静止することをもってセットとみなす。1秒間以内に投球または牽制球を投げればボークになる。つまり、打者にとって1秒間以上静止してもらわないと、投手の意思が伝わったとみなされないのである。逆に長く静止しすぎていてもいけない。セットに入ったら20秒間以内に投球動作または牽制球を投げなければならない。打者がイライラするからだ(20秒ルール)。

 同様に、足をホームプレートに向けて上げ、投球動作に入った意思を伝えたのに牽制球を投げれば、打者は戸惑うことになりボークとなる。右投げ投手であれば、右足をプレートに置き、左足を走者のいる塁に向けた場合は牽制球であり、打者に投球してはならないのも同じ思想に基づく。
 したがって、走者は投手の足を見ていれば、牽制球が来るのか投球するのかが分かる。そこで、投手は微妙な足の動きをさせて、ボークぎりぎりの牽制球を投げてくる。左投手はその足の動きが特に微妙なので走者は牽制球でやられることが多い。

 牽制球は走者のいる塁に投げる。走者のいない塁に投げてはいけない。だから例えば、一塁から二塁に向けて走る動作を見せても、プレートに足を置いたままなら走者がいる一塁へしか投げられない。走者のいない二塁へ投げたらボークとなる。しかし、プレートを外せば、野手とみなされる。だから慌てず、一旦プレートを外してから二塁に投げればよい。一・三塁で三塁に投げる真似をして(疑投)一塁に牽制する場合は、プレートを外し、投手としてではなく野手として行わなければならない。疑投のルールは時折変わるが、一塁への疑投はボークとなる。最近のルールでは、プレートに足を置いたまま一・三塁で三塁へ疑投し、続いて一塁へ牽制する場合、一塁走者が二塁へ走っている場合のみである。したがって、連続動作とする場合は、プレートを外し、野手に変身してから行う
 この他、細かいことは本を読んで勉強していただきたいが、打者と投手は真剣勝負という思想に基づいているのだ。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。  (平成10年11月12日掲載)



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