「草野球の窓」

第68章
「スランプ」

 プロ野球の選手でもスランプがある。「何試合もヒットが出ない」「勝ち星に恵まれない」などの状態をスランプという。草野球でも同じで、誰でもスランプの経験があり、いつのまにかスランプを抜け出している。だが、スランプを抜け出すまでが大変だ。「今日もまた打ち込まれるのではないか」「今日も打てないのではないか」「先発を外されるのではないか」といった不安の中で試合に臨み、やはり活躍できなくて、一人寂しい思いをする。

 スランプに陥る原因は人によって異なり、多種多様である。ケガが原因であったり、フォームがおかしくなっていたり、仕事や家庭のストレスが尾を引いていたり、体力、体調の変化であったり様々である。しかし、一度スランプに陥ると、自信喪失や不安といった共通の症状を示す。これらの症状がますますプレーをおかしくし、さらなる自信喪失や不安をもたらし、挙げ句の果ては重度のスランプ地獄にはまってしまう。

 スランプを抜け出すには、まず原因を取り除くことが必要である。しかし、ケガを除いては他人は勿論、本人でも原因が分からないことが多い。そこで次善の策として、自信の回復を試みる

 自信を喪失すると何故いいピッチングができなかったり、ヒットが打てないのだろうか。迷いが生ずるからである。「この球を投げると打たれるのではないか」「ストライクが入らないのではないか」「狙い球を打っても凡打に終わってしまうのではないか」といった不安が頭をかすめる。この余計な考え事が瞬間的に頭をかすめるから、プレーへの集中心が失われ、力のない球を投げたり、バットの出が一瞬遅れ、やはり打たれたり、凡打に終わってしまうのである。

 投手なら第67章で述べたように、「ボール球を打たせる」「緩い球を有効に使う」ことを考える。これが成功すれば自信を取り戻すことができる。その結果、いつものピッチングが戻ってくるばかりでなく、ピッチングに幅が生まれる。

 打者なら第58章で述べた「粘り」がキーワードになる。「打てないかもしれない」と考えるのではなく、「球にくいついて粘ってやろう」と考える。すでに述べたように、粘れば必ず運に恵まれる。ポテンヒットでいいのだ、スランプを抜け出すきっかけは

 人間の能力の成長は必ずしも練習量に正比例しない。練習しても上達しないことが多い。これがスランプにつながる。だが、スランプを抜け出したとき人は成長する。そしてまた、スランプに陥り、それを克服して飛躍する。

  能力の成長とは階段を登るようなものである。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。  (平成10年7月31日掲載)


【幹事補足】
 野村監督の著書の中に、「実力のない者にスランプなどない」という言葉がありますが、これは草野球には当てはまらないと私は思います。師がおっしゃるように、草野球界にもスランプは確かに存在します。私がそうです。
 年齢による体力の衰えは、我々スポーツをする者の不安感を助長します。私も30台半ばを迎え、体力の衰えは隠せません。しかし、草野球の素晴らしさは、まさにそういう選手達でもプレーができる点にあります。師がおっしゃるように、ポテンヒットでいいのです。いや、打たなくとも選んでしまえばいいのです。ヒットを打とうとするのではなく、出塁することを第一目標にすれば、とる対策はいろいろあります。



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