「草野球の窓」

第54章
「冷静な気持ち」

 野球に限らず、スポーツをすれば誰でも気持ちが昂り、積極的にプレーしようと思う。気持ちが昂り、一種の興奮状態に入ることで、平常とは違う力が出せる。しかし、興奮しすぎるとマイナスの結果をもたらす。昂った気持ちに不安が混じると、頭の中が真っ白になり、手足が震え、いわゆる「あがった」状態になる。普段殆ど試合に出ない選手が、始めて打席に立つと足が震え、全身ガチガチに固まってしまい、バットがまともに振れない。興奮+不安であがってしまった結果である。こうゆう状態は心配しなくてもよい。慣れてくればあがることもなくなる。

 問題なのは興奮に怒りが混ざったときだ。打席に立って顔面めがけてボールを投げられる、相手に汚いヤジを浴びせられるなどですぐカッカする選手がいる。こうなると肩に力が入ったり、サインを見落としたり、ボール球に手を出したり、あるいは相手投手の配球が読めなくなり、いい結果は期待できない。打者の場合は、その打者一人がいい結果を出せないだけであるが、投手がカッカすると問題は深刻になる。勝負球を打たれてしまう、クリーンヒットなら諦めがつくのに当たりそこねの内野安打やポテンヒットが続いたり、打ち取ったはずが味方の失策で出塁したりするとすぐカッカする投手がいる。大リーグに移籍した某投手などはその典型的な例である。せっかくの速球を持ちながら、冷静さを失い、単調なピッチングになってしまうため、ますます打ち込まれてしまう。

 投手が冷静さを失うとどうゆうことになるか。冷静さを失うと過去の、すなわち起こってしまった出来事(失策、ポテンヒットなど)に気持ちの一部を奪われ、次のプレーに気持ちを集中出来なくなる。その結果、大事なカバリングを怠ったり、一瞬出遅れて傷口を広げてしまう。次の打者に対する投球の組み立てに集中できないため、ピッチングが単調になったり、制球を失う。

 野球選手は気持ちを昂らせることは必要であるが、常に冷静でなければならない。特に、バッテリーはどんな時でも冷静さを失わず、次打者に集中しなければならない。もともと気持ちをハイに維持しつつも、平常心を失わない性格の人は投手に向いている。そうでない人は、気持ちをすぐ次のプレーに集中できるように日頃から心掛けておく必要がある。仕事をしていてもカッカすることはよくある。だが、カッカしても状況が好転することは決してない。であるなら、冷静に次のことを考えたほうが得である。それと全く同じことである。

 カッカしたら、自分で危険信号と認識し、次に気持ちを集中すること。

これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。

(平成10年5月6日掲載)


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