「草野球の窓」

第53章
「走 塁」

【質 問】
楽しく拝見させて頂いてます。走塁についても状況に応じたリードや心構え等について掲載して頂きたく。

 読者の方から走塁に関し、状況に応じたリードや心構えについて掲載してほしいという質問を受けた。「ウッ、ついに来た」、というのが私の正直な感想である。というのは、私は鈍足で、走塁に関しては得意ではないためだ。そのためこれまでは意識的に走塁の話を避けていた。しかし、ついに来るべきものが来た以上、鈍足で走塁を不得手としている者の立場で心掛けている点を記載してみよう。

 まず、打ったら一生懸命全力で走る。当たり前のことであるが、いい加減に走る人が多い。内野ゴロの暴投、内野と外野の中間に上がったフライなど、全力で走塁していれば二塁まで走れる場合があるのに、一塁で止まってしまう。

 盗塁でよく言われる3要素はスタート、スピード、スライディングの3Sである。鈍足な者にとっては、いかにスタートを早くするかが特に重要だ。そのためには、相手投手のくせを見抜く必要がある。例えば、何秒以上球を保持した時は牽制しないなど。投球動作よりも足の上げ方をよく見ているとよい。スタートが遅い場合は自重した方がいい。
 また、カウントも重要である。ボールが先行している場合はピッチドアウトされにくいので盗塁のチャンスだ。但し、球が荒れている場合は走りにくい。四球で楽に進塁できるのに無理して走りアウトになるのは愚かしい。相手投手が動揺している場合は盗塁のチャンスである。こういう時は、たたみかける攻撃が効果的である。バッテリーが動揺している場合は、三盗も非常に効果的である。キャッチャーが暴投する可能性があり、点に直接むすびつく。

 走塁で重要なことは、相手のミス、スキを見透かして次の塁を狙うことだ。外野手のちょっとしたハンブルで二塁まで進む;意表を突くスクイズで投手、一塁手がもたついている隙に二塁走者も一気にホームへ走り込む;フェンス際のファールフライを内野手が体勢をくずしながらも好捕したら、すかさず三塁走者がホームに突っ込む、など相手にしてみれば、「してやられた」と思うような走塁を心掛けることだ。

 走塁で難しいのは、好走と暴走の差である。どちらも紙一重であり、成功すれば好走、失敗すれば暴走と批判される。試合展開や次打者が誰かによって走るべきか自重すべきかが決まり、一概には言えない。一般論で言えば、草野球においては積極的に次の塁を狙ったほうがよい。人間はやって失敗したことよりも、やらなかったことをより後悔するものだからだ。それに、失敗してこそどんなケースでは走り、どんな場合に自重すべきか体で覚えるためだ。

 走塁だけではない。積極的に挑戦してこそ向上がある。

 これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。

(平成10年4月27日掲載)


【幹事補足】
 特に初回に一塁走者となった場合は、できるだけ相手投手に牽制をさせるように、リードを大きく取りましょう。しかし、それで刺されてしまっては意味がありません。二塁を狙うリードではなく、体を一塁側に預け気味にして、すぐに一塁へ戻れるリードの体制をとります。何回か牽制をさせれば、それはベンチの味方チームへの情報提供となります。牽制が得意でなさそうであれば、以後続く選手達もリードを大きめにとれます。

 また、内野ゴロを打ってしまったものの、相手内野手の一塁への暴投で出塁できることがよくありますが、この暴投を見てさらに進塁しようとしたがために逆に二塁で刺されることもまたしばしばです。一塁側のファールグランドの広さやフェンスなどの位置をあらかじめ確認しておき、リバウンド具合を予想しておきましょう。また、このような事態での一塁コーチャーの役割は重要です。的確な指示を走者に与えなければなりません。



前項に戻る 「まるドの目」メニュー 次項へ進む


草野球カレンダーチーム名簿リーグ名簿チームリンク集スポーツ安全保険草野球資料室草野球フォーラム
人材募集「まるドの目」「くまの穴」「草野球の科学」「マネージャーの声」「拝啓 新興チーム様」トップ