「草野球の窓」

第43章
「初球と決め球」

 「初球から積極的に打ちにいくべきだ」という説と「球筋をじっくりみて決め球を思いっきり打つべきだ」という説がある。相反する説のどちらに従ったらよいのか、草野球ならずとも迷うところである。結論からいえば、どちらも正しい。ただ、どちらも前提条件がある。

 「初球から打つ」場合の前提は何か。投手は、一般的には打者に対する初球にはストライクを取りたい。初球がストライクだと心の余裕が生まれる。この心のゆとりが2球目以降の配球や球威に好影響を及ぼす。このため、投手は初球には比較的甘い球を投じる傾向にある。打者としてはこの甘い球を打たない手はない。
 したがって、前提条件は「平均的で、コントロールが悪くなく、直球でストライクを取りにくる投手に対しては」ということになる。草野球の多くの場合には、初球のストライクは打ちにいくべきなのである。
 また、打者が初球のストライクを打ちにいくと、空振りやファールチップであっても投手としては打者の積極性を感じ、2球目以降慎重な投球をしなければという警戒心を抱く。心の余裕が失われ、制球を乱すこともある。

 「じっくりみる」べきなのは、まともな打ち方をしてもなかなか打ち崩せない場合、ならびに投手の制球が乱れている場合である。投手の立場に立てば、自分の制球が乱れている時に、じっくり球を待たれることが最もいやである。したがって、打者としては相手投手が最もいやがる打ち方、すなわち選球に心掛ける。こうすると相手投手は自滅する。

 剛速球をビシビシ投げ込んでくる投手、多彩な変化球を駆使し、球を散らしてくる投手などに対しては普通にバットを振ってもいい当たりは出ない。こういう投手に対しては、球種、コース、高さなどを絞り、それに応じた打ち方をしないといい当たりは打てない。2ストライクを取られるまでは、決め球がくるまでじっくり待つ。決め球を待っていても、打者としての心の余裕が失われると、決め球以外の球に手を出してしまうものだ。こうなると、完全に相手バッテリーの術中に嵌まってしまう。

 したがって、初球から打ちにいくのも、じっくり見るのも正しいが、前提条件を間違えないこと。但し、走者がいてサインが出そうな場面では、初球から簡単に打ちにいかない方がよい。「間」を利用してサインが出ていそうな素振りをし、相手守備陣に圧力をかける。そのことが相手の失策を誘発する。上手な選手になると、1球目わざとバントをファールし、2球目にヒットエンドランを決めるという高級な技を使うこともある。

 相手投手のイヤがる打ち方。それはやみくもに振り回すことではない。

 これ、ゆめゆめわすれることなかれ。



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