「草野球の窓」

第26章
「セットポジション」

 今回も読者からのご質問に答えよう。ワインドアップからだと速球も変化球も投げられるのに、セットポジションになると途端にコントロールが乱れる、という投手は何もご質問された方ばかりでなく、多くの投手が経験することである。プロ野球でさえ、セットポジションになると球威が落ち、制球が悪くなる投手がいる。

  「走者を気にするな」。  これが結論である。

 走者を背負った投手に、走者を気にするなといっても無理な話である。が、草野球の世界では、よほど捕手の肩が強く、2塁ベースにコントロールよく投げないと、盗塁を防ぐことは難しい。普通の脚力を持った走者には2塁まで走られるものなのだ。そう割り切ってしまえば少しは気持ちが楽になる。盗塁されるのが当たり前、されなければラッキーと考え、2塁走者をホームインさせないよう、打者に神経を集中させる。

 セットポジションになると本来の投球ができなくなるのは、多分に精神的な理由によることが多い。走者に盗塁されては困る。だから、モーションを小さくしてクイックで投げなければならない。そう思うから、どうしても「投げ急いでしまう」。  「投げ急ぐ」と軸足に体重が乗らず、体が突っ込んだような投げ方になる。このため、ワインドアップとは異なる腰の回転、腕の振り、球離れ、体重移動が生じ、球威が落ち、制球が乱れるのだ。セットでもワインドアップと同じ投げ方を心掛ければよいのだ。腕を上から振りはじめるか、セットした位置から振りはじめるかの違いだけである。足を振り上げる際、投げ急いで軸足に体重を乗せず、前に突っ込まないよう注意すればよい。
 普段の投球練習からセットポジションで投げる練習をする。練習し、慣れれば、ワインドアップと同じように投げられる。むしろ、セットの方が無駄な体の動きや力が少なく、制球がよくなるという投手もたくさんいる。あの大魔神佐々木も、走者のあるなしに関わらずセットで投げているではないか。

 投球練習で大事なことは、ただセットで投げるのではなく、必ず走者がいることを強く意識して投げることだ。だから当然、走者の方に顔を向けたり、牽制球を投げる動作を入れながら投球練習する。そうすることで、牽制のタイミングも同時に掴むことができる。
 投球練習だけではない。守備練習も打撃練習もバント練習も走塁練習も、ただ漫然と行っていてはだめだ。必ず、本番の試合を想定しつつ行う。

 これ、ゆめゆめわすれることなかれ。



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