草野球の世界において、各チームとも悩みの一つはバッティングピッチャーが不足していることであろう。各チームのピッチャーが投げられればよいが、一人だけだと負担が大きすぎる。翌日試合がある場合には、できれば温存しておきたい。どうしても、野手がバッティングピッチャーを務めなければならない。ところが、球速はともかく、コントロールが悪く、バッティング練習にならないというのが実情であろう。
バッティングピッチャーにおいて最も重要なことは、コントロールである。内外角、高低のぎりぎりのところに投げられるコントロールが要求される。球速の不足は、マウンドより前から投げればある程度はカバーできる(尤も、球威は補えないが)。ところが、コントロールが悪く、ストライクさえ5球に1球程度しか入らなければ、練習にならないのである。 バッティングピッチャーを養成するには、まずキャッチボールで、ベース間位の距離をおいて相手の胸にきちんと投げられる練習をさせる(しかも、山なりではなく)。ピッチングフォームの問題もあるが、どうすれば相手の胸に投げられるかを自分で工夫し、体で会得しないと、いくらフォームを云々しても始まらない。腕の振り方、球離れの位置、腰の回転のしかた等々自分なりのものを掴む努力をさせる。そのような練習のなかから、比較的きちんと投げられるようになった者をバッティングで投げさせてみる。打者が立つとまたコントロールが微妙に変わってくる。しかし、あとは慣れだ。慣れてくれば、徐々にストライクが入るようになり、微妙なコントロールもついてくる。 バッティングピッチャーの効能は、投げているうちに自然と肩も強くなることだ。球速も増してくる。あるいは、ボールの握り方をちょっと変えれば、色々な変化球が投げられることも覚えてくる。そうしたら、実戦で短いイニングを投げさせてみる。こうして、投手が育ってくる。 例え、投手としてはだめでも、肩が強くなること、野手としての送球がコントロールされることは極めて大事なことである。守備範囲が広がり、中継プレーもスムースに行えるようになる。 まず、キャッチボールで相手の胸に投げられるよう工夫せよ。 これ、ゆめゆめわすれることなかれ。 |
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