「草野球の窓」

第15章
「数は戦力なり」

 大会で、相手チームの人数が揃わず、我々も揃わなかったが、独身寮生を駆り出して何とか人数を揃え、不戦勝したことがあった。まさに「数は戦力」であった。
 しかし、数を揃えることの重要性は他にある。

 まず、相手に与える脅威である。草野球では通常ギリギリの人数で臨む。そこへ、ベンチ入りが許される20名が試合前の整列の時ズラッと並んだらどうだろう。相手は相当な脅威を感じる。これが、前回述べた恐怖心につながり、相手のミスを誘い、こちらのペースに引き込みやすくなる。
 また、20名が出す声の大きさは相手にとって脅威である。昔、試合には14〜16名位参加していた頃の話である。我がチームの二塁走者が三盗のそぶりをし、盛んに相手チームを牽制した。その時、ベンチにいる者全員で「走った!!!」と叫んだところ、相手捕手は走者が走っていないにもかかわらずあわてて三塁に送球し、サードは当然ベースカバーに入っていなかったため、送球はレフトに抜け、決勝点を挙げることが出来た。

 次に、作戦が立てやすくなる。先発メンバー全員が調子がよいわけではない。試合の局面に応じて、バントが下手な者に代えてバントの上手な者を代打に出す。足の遅い者に代わって代走を出す。それらの交代に伴って守備の交代もある。投手は1試合最低3名は用意していたい。試合の展開状況によっては、先発−中継ぎ−抑えと継投する場合がある。捕手も最低2名は必要で、控えの捕手は、リリーフ投手の投球練習を行い、いつでも投げられる準備をしておく必要がある。こういう試合中の準備も含めて試合なのである。

 さらに、日常の練習がある。人数が多ければ、紅白戦もできるし、様々な試合形式の練習が出来るし、牽制球のサインプレー、内外野の連携プレイなども可能になる。我が野球部も昔はそういう練習をしていた。しかし、今は見る影もない。登録選手だけは20名いても、日常の練習は基本的な打撃も守備練習も満足には出来ず、試合の時はようやくギリギリの人数で戦う。時代が違うといえばそれまでだが、「数」がなければ「戦力向上」にならないばかりか、戦力低下をもたらしている。
「数」をバカにしてはいけない。

 これゆめゆめおろそかにすることなかれ。



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