近くの市営球場までチャリを飛ばして、高校野球の地方予選を見にいった。S学園とU高校の対戦である。S学園は勿論優勝候補のひとつであり、前の試合でノーヒットノーランを記録したU高校の2年生投手がどこまで通用するかに興味を持ったからである。結果は6−0とリードしているS学園が、7回裏1死一・三塁で重盗し、7−0で7回コールド勝ちをした。U高校にとっては、1点取られればコールド負けという絶対的ピンチ。 この場面では一塁走者が走っても無視し、打者に集中すべきである。ところが、U高校の捕手は二塁に送球し、三塁走者が走ったのを見たショートがカットに入り、あわててホームに投げたが送球がわずかにそれ、ゲームセットとなった。 捕手が必要のない送球を行った点が問題になるのだが、実はウラがある。2回の裏、S学園の攻撃の時、同じく一・三塁で一塁走者が二盗した。この時、通常捕手が二塁に送球し、セカンドとショートのどちらかがベースへ、片方がカット体制に入る。三塁走者が走ればカットしてホームに投げ、走らなければ一塁走者にタッチする。ところが、セカンドとショートが両方ともベースに中途半端に入った。このため、捕手からの送球が若干それたこともあるが、セカンド、ショートともに捕球できず、送球はセンターに抜け、走る構えを見せていなかった三塁走者は楽々生還してしまった。つまり、セカンドとショートのどちらがカットに入るか徹底されていなかったのである。この状況を試合巧者のS学園が見逃すはずがない。だからS学園は7回裏、同じ場面で重盗を仕掛けたのである。もし、2回裏の守備で、普段の練習どおり出来ていれば、S学園は7回裏に一塁走者は走らせたであろうが、重盗という作戦を取ったかどうかは分からない。 一・三塁での守備体制について、U高校は何度も繰り返し練習してきたに違いない。しかし酷な言い方をすれば、それが結果につながらなければ練習しなかったことと同じである。実戦で、どんなに緊張した場面でも結果通りできなければ意味がないのである。そのために、何度も何度も体で覚えるまで、実戦で自然にプレーできるまで練習するのである。練習とはそういう意味である。 ゆめゆめおろそかにすることなかれ。 |
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