News >「仕事日記」2008年5月


5月2日(金) 月猫リハーサル 新宿村25st
このスタジオはミュージカルガラコンサートでも使用。新しくて綺麗なところは一旦多ジャンルに使われる。ブカンの仁藤君は“こんなきれいな稽古場にいるのは役者っぽくない”。といってもプレハブなんだけど。
5月3日(土) 観劇 筒井康隆 フリン伝習録 西宮・兵庫県立芸術センター
能登でのピアノ炎上を“美術”だとしてら、こちらは“文学”。メリー・ウイドウ翻訳版を朗読とアリアで展開。訳詞とプロジェクター使いが素晴らしい。アイデア抜群。途中の筒井さん自身のラップがズレズレで、それがなんとも可笑しみになるのは言葉のリズムと内容が共感できるからだろうか。
5月4日(日) 月猫えほん音楽会 前日入りリハーサル
浜大津まで歩いて、去年に連れられた“でんや”。赤い八幡こんにゃくが特にうまかった。
5月5日(月) 月猫えほん音楽会 びわこホール
エミールの冒険”ビギニングなど所々敢えて音楽を抜いて良。
“白雪姫”リズム(テンポというべきか)が良い。
他作品も含めていずれも時間を開けて再演して見ると寝かせた分だけこなれているのはジャズの新曲と同じ。月猫絵本音楽会も10年目を迎えてますます新境地増える。

大津市の福祉予算削除の影響による文化予算の流用案の第一候補が琵琶湖ホールとのこととて来年の公演が今から懸念されるところ。
月猫くらいの演し物でも近隣各県からの来客多し。宿も取れば飯も食う。ましてや当ホールの主演目であるオペラは全国からの来客があり、文化予算削減反対署名も東京からが圧倒的に多いと聞く。オペラ上演を減らしても単純算数的な黒字は残らないだろうな。
5月6日(火) デュオ w/吉田慶子 金沢・もっきりや
ボサノバ探求の旅。同行のイイヅカサンはポップスで言うと達郎さん、映画で言うと和田さんみたいな人。ポソリと何かを聞くと、人名・人脈・年号・社会背景など実に詳しく、それでいて判り易く教えてくれる。その時はすごくわかった気になって、翌日になると細かい情報が自分の頭にほとんど残っていないのも達郎・和田両氏と楽しく時を過ごす時と同じ現象。それでもいいのだ。実演を伴って、ジョビンに始まる和声感覚、メロディとオブリガートの同一性または異質性が体感できれば、このツアーは僕にとって成功だといえる。

プライオリティはギターカッティングと矛盾しないリズム感覚。
5月7日(水) デュオ w/吉田慶子 七尾・モリタート
出発待ち合わせまでに時間があったので昨日行った主計町に再び。浅野川原で弁当を広げているとトンビに襲われた。気配もなく近づくのであるな。ばさり、と音がしたと思うともうはるか前方を飛び去っている。僕が魚だったら気づく間もなく嚥み下されているところ。

遅くに開いているのはラーメン屋くらいだというので7人程で行く。6人並びのカウンターの奥におそ長いテーブル。
レモンラーメンが名物でにんにくしょうゆだ何だのととっかえひっかえ食べていると誰かが“ここのママはピアノが好きで”と水を向ける。ケイコ・リーに似たママさんは僕より二つ年上だそうだが、練習よりは毎日ぴかぴかと磨き上げるので調律師に感心されているという。この人ピアニストなんだよ。との紹介に立山をご馳走してくれたので“ピアノでもあれば弾いて差し上げるのですが”というと、、、“あらそう?あるわよ”。え?どこに?と思う間もなく、われわれが囲んでいるテーブルの上のラーメン鉢を手際よく片付け、テーブルクロスを取り払うと、ライティングデスク状の机になり、蓋を開いた。
なんと!なんと!なんと!ピアノが出てきたではないか!。カシオのキーボード。コントみたい。毎日店が終わるとポロポロと弾いているのだそうだ。これでは弾かざるを得なくなって、ワルツフォーデビーやマイファニーバレンタインなど弾いていると真横で頬杖をついてうっとりとしている様子がなんとも色っぽい。クラッシックしかわからない、と仰った時に別の客来店。カウンターの方でギョーザなど焼いている間にあれこれ断片を弾いていると“ショパンのノクターン!?”とか“愛の夢!”“革命のエチュード!”と、そのたびに走って来ては曲名を当てて(当たりそうなのばかり弾いてはいるのだが)またギョーザに戻っていく。

流石にここまでの出来事は生まれて初めて。おそらく今後もないだろう。
5月8日(木) デュオ w/吉田慶子 輪島・古窪邸
車移動の途中に寄ったステーキハウスが素晴らしかったのには驚いた。
一昨日もステーキが食べたくて(糖尿なんだからコメを食べるくらいなら肉の方がまだまし、という大坂昌彦の助言を金科玉条にして大好きなステーキを大手を振って食べるのだ)肉屋で買ったステーキ肉を平賀さんに調理してもらったのだが(肉を焼く、くらいのことでも上手・下手はあるもので、もっきりやのマスターに焼いてもらうと美味しいのです)きょうのテンダロインは最高。
素材・調理・店舗のしつらえ、などすべて完ぺきで、お値段だけが七尾値段というから嬉しい。開店10周年で来客4万人突破を感謝する旨の告知があった。そりゃぁ流行るだろう。観光や温泉でなく、ここの肉料理を食べるためだけでも七尾にまた来たい。あ、ラーメンもお忘れなく。

去年3月の震災の爪跡も露わながら急ピッチで復興の進む能登輪島。あまたある古い蔵が取り壊されるのを見かねた有志ができる範囲で復旧保存に努めているうちの一つがこの古窪邸。平賀氏金沢より来てくれ深夜のすし屋にて親睦。
5月9日(金) デュオ w/吉田慶子 村上「楽屋」
平賀氏氷見まで同行。プジョーのオープンカーの助手席で日本海を見ながらの90分ほどのドライブにきゃぁきゃぁ言う。
氷見のドライブインで一昨日金沢で一緒だったFMの女子アナに偶然の再会。休みを利用して地元について自主研修。えらい!。この4月に長野から金沢に来たらいきなりメインの帯番組を持たせてもらえたというから張り切ってもいるのだろうが、誰も見ていないところでの努力というの美しいものだ。

「楽屋」のマスター青山さんは大の「天一」ファン。おくさんはドイツ人。明るく大らかでありながら目配り、気配りの行き届いた素敵な女性。新潟大学の教授とのこと。集まるお客様も文化度が高く腰が低いという理想形。
噂を聞いて楽しみにしていた「塩引きの鮭」をわざわざ焼いてくれて嬉。ウマかった~。切り身一切れまるまる食べてしまって、慶子ちゃんのこした半分でおにぎりまで作ってもらい、明日の朝食に。打ち上げに残ったほとんどの人がギターを嗜むので、つい遅くまでセッションなどして楽しんだが、あとで聞くと、あんなに遅くなることは滅多にないとのこと。やっぱり僕は長っ尻(ナガッチリ)?
5月10日(土) デュオ w/吉田慶子 白石 カフェ・ミルトン
白石蔵王のフェスティバルの打ち上げの流れで中原仁に連れられてきたのが10年程も前だろうか。マスターご夫妻は何年か前の紅白の時にも楽屋のお手伝いに来てくれていたそうなのだが、当方牡蠣にあたって、ピアノを弾く以外はずっと横になって唸っているばかりだったので失礼してしまっていたのだった。

本番前にいただいた豆料理も本番後のヌードルも最高に美味しいブラジルの代表的家庭料理。
集まる仲間のファミリアスでありながら抑制の利いたお付き合いの雰囲気に色んなミュージシャンがクセになってリピーターになるのもうなづけた気がした。エポ、勘太郎、桑山君など(この狭い店にあの人が?)という人が目白押しなのである。次回のライブは坂本サトル君だというのでまた嬉しくなってしまう。
5月13日(土) 国立音楽大学レッスン
個人レッスンを施すにも多少慣れた。生徒の熱心さに助けられてのことだが、本気で向かい合えばそれなりに得るものもありそうだ、くらいにはなってきた。
5月14日(日) 国立音楽大学講義 ギターの変遷
ぱ“ぶ”を聞く。強進行でもフォービートでもないのにジャズとしか言いようのないもの。>>> 考察。何がどう巡ってこれが生まれたかを探す旅。
 
チャーリー・クリスチャン“minton’s play houseとuptown houseのライブ録音”2曲目「stompin’ at savoy」Tsはまだまだスゥイングスタイルが色濃い、というよりそのも のズバリなのだが、チャーリーだけは完全にビバップスタイルになっている。

エディ・ラング(1904年生)を始祖とするメロディやアドリブも取るギター・プレイ(ベースにおけるジミー・ブラントンですね)がこの人に至ってビ・バップの洗礼を受ける。何を隠そうミントンズプレイハウスでの夜毎のセッションの仕切り役・立役者はディジーでもパーカーでもなくチャーリー・クリスチャンだったという。

ジャンゴ・ラインハルト“Djangology” B面1曲目の「after you’ve gone」ジャンゴの代表的演奏スタイル。ステファン・グラッペリの演奏に舌を巻きつつ、ジプシーについて考察。
以下6月いっぱい余裕なし。仕事録のみ記す。
5月18日(木)月猫リハーサル
5月20日(土)月猫リハーサル
5月21日(木)国立音楽大学講義
5月23日(土)M's+1 北九州
5月24日(日)M's+1 大野城
5月25日(月)M's+1 都城
5月26日(火)M's+1 大分ブリックブロック
5月27日(水)M's+1 広島
5月28日(木)M's+1 京都ラグ
5月29日(金)M's+1 大阪ロイヤルホース
5月30日(土)M's+1 名古屋シャンタムール
5月31日(木)M's+1 名古屋スターアイズ

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2008年