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仕事日記
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INDEX
 
7月1日(木)ミューザ川崎オープニングセレモニー〜東京交響楽団 鑑賞
千人の交響曲である。すごい。コーラスだけで900人以上いる。ホルンが12本いるくらいだから他の管楽器も4本ずつくらいはいて、総勢1100人は超えてるだろう。CDとスコアで予習してたときは第一部(30分弱)の途中でいつも寝ていたが、本番は起きてられて良かった。
指揮の秋山さんと地下の居酒屋で飲む。コーラス指揮の田中先生はとても快活磊落な大阪人。楽しく飲めた最後に、いわゆるジャズのバンドマンというのとはちと毛色が違うと言われた。

7月2日(金)佐山セッション 上野・GH9

三木俊雄ts
岡崎芳郎tp
上村信b
高橋徹d
なにかセッションを、と言われて、三木に面子も曲も仕切ってもらえるなら看板だけは僕の名前で、といって実現した。ビバップな夜。秋山と旧交を温める。僕が帰った後、三木が秋山に説教されていたらしい。
7月3日(土)タキオリハ
自宅リハは気軽でいいが、飲みが長くなる。
7月4日(日)????レコーディング 代々木ワンダースタジオ

新潟の新人ロックバンドが東芝からメジャーデビュー。それを旧友ベーシストの武藤君がプロデュースするのに呼ばれた。何故か金沢の平賀さんがいち早く知っていた。地獄耳である。

7月5日(月)松田昌DUO 盛岡の中学校
ジャズ絵本で知り合った小原先生の肝煎りで実現したコンサート。こういうのは嬉しいですね。つまり、何かの機会に見てくれた人が、自分の生活範囲の人々、この場合は生徒たちに見せたいと思ってくれて、尽力してくれ、実現する。有ることが難しいと言う意味での有難い。松田、佐山、小原の3人でのぴょんぴょん舎もまた楽し嬉し。

7月6日(火)NHK歌謡ショー(和田アキコとジョージアオンマイマインド)

服部門下の宮下君、といってもいまや大先生なのだが、彼が特に指名してくれたらしく嬉。楽屋で無沙汰の日々や近況など語り合うも愉。和田さんはよくあがってはった。本人が言うてはった。“うちなぁ、いつでもそうやねん。めちゃめちゃあがるねん。”

伊藤タキオ 原宿・ブル−ジェイウエイ
安田さんとのトリオによる挑戦の予定だったのだが、急遽僕にNHKが入ったのでタキオ組みが応援にきてくれた。仲間もありがたいが、やはりタキオさんの度量の広さと決断の早さに脱帽と感謝。山崎ハコさんや、小椋桂さんも観に来てくれてアフターも楽しかったが、みんなと別れて二人で二次会。つぶれる寸前まで飲まないと気がすまないのはタキオさん、悪い癖。
7月7日(水)前乗り 別府鉄輪温泉
かんなわ、と読む。湯治客メインなので落ち着いた雰囲気。離れの2階、10畳ほどの部屋に神谷満実子の資料を一面に広げてちゃぶ台で譜面を書く。勿論浴衣。中身はスッパ。肩が張ってくるとそのまま露天風呂。いいですねぇ、こういうの。作家な気分。しかしピアノ2台の譜面というのは想像以上に骨が折れる。オーケストラの25段譜を書き進めるほうが楽な気さえしてくる。そのことを先日宮下君に言ったら、“そりゃそうだよ、オケ二つ分だもの”。さすが本職言い得て妙。

エッセイ“卵に教えられる先入観の怖さ”
素晴らしい朝ごはんである。鯵がまるまる一匹。しらすおろし、小鉢には煮野菜、納豆もちゃんと器に盛り付けてあるし、僕が席につくのを待ってご飯とお味噌汁をお給仕してくれる。 そして卵のはいった陶器がひとつ。

瀬木と何回目かの日本一周の小さな発見は、生卵が出てくる朝食が意外に少なかったこと。40箇所くらい周った中で、はじめから食卓にあった所がなんとたった2箇所。頼んだら出してくれたところが、これもなんとたったの2箇所。厨房に生卵がないわけはないと思うのだが、まぁ何かそれぞれに事情があるのだろう。卵を産んでいるのがにわとりじゃない何かだったりね。

そんな訳で“朝ごはんはやっぱり卵かけご飯だよね”と、2膳のごはんとバランスをとりながらおかずを渡り歩き茶碗半分のめしを残したところで、汁椀もおかず皿もきれいさっぱり空にした。やきのり3枚のこしつつ、卵をうつわに“カーン”とあてる。と。ポロリ。殻がわずかにはがれた。

ゆで卵だったのだ。
朝食〜器に入った卵という条件以上に、生卵に飢えていたという精神状態が要因としては大きいだろう。片や、温泉地であることや、部屋から食堂に行く間に煮物用に温泉水(湯)を竃状に6つほど並べたものもあることに思い巡らせれば、食卓にだされているのは、まず温泉卵だろうくらいのことは分かったはず。油断である。どこかの駅に着いて先ずタクシーに乗り、会館を告げると駅ビルだった、ようなものである。これも、地方の会館=郊外、という先入観のなせるワザである。ただその場合は運ちゃんにいやな顔をされたり笑われるくらいですむが、半膳のめしとゆで卵で朝食を〆た場合、口中のもそもそが当分とれず、歯を磨いてしまうのもなにか口惜しく、たばこを吸う気にもなれず、露天風呂で一人後悔するのであった。
7月8日(木)音也百(おとやもも)サロンコンサート(ピアノソロ) 別府鉄輪温泉
文化財的な由緒の旅館が宿泊営業でなくイベントホールとして活動。女将さん妙齢の美人。倉敷の御園旅館の女将もそうだが、女手できりもりしているきりっとした様子がいいのか、つい惹かれますね。

クレオパトラの夢、サテンドール、ラウンドミッドナイト、とスタンダードをお聞かせ。後日おくられたDVD(!)を観たけど、僕の演奏と言うのはとにかく“翳り”というものがないね。ちょっとがっかり。

続いて、インザベルベット、タフ、ドリームアワイル、とオリジナル。やはり自曲は上手にできる。1部の最後にゴールドベルク変奏曲の最終部分を10分ほど。ためし引きで全曲弾いた時は、ますます自分のものに成ってきた、と喜んだものだが、本番のせいか抜粋のせいか、固さばかり目立つ。

二部はリクエストコーナーにして、〆のラプソディインブルーはなかなかかっこよく出来た。向いてるというならバッハではなくこちらなんだろうなぁ。特性と自分の好みや傾向とのギャップは20歳からのことだ。気にすまい。

エッセイ“冬のソナタに現れる流行の面白さ”
別府はよその土地からのリタイア組も多く、特にこのサロンコンサートに集まる人々は出身地の差はあれど文化意識の高さを感じる。評論意識じゃなくて、楽しむ心のありようを知ってるとでも言おうか。
ジャズスタンダード、自作、クラッシック曲、といつも通り順当にプログラムを進めるうちにも、楽しんだり、感心してくれたりする様子から客席のバイブレーションとして伝わってきてとてもやりやすい。第2部にはリクエストコーナーを設けてあるのだが、ここで異変というか、面白い現象が起こった。

主催者の滝口さん。この方もアルゲリッチ音楽祭に関っていたこともあるような素敵で知的なマダム。その彼女が、冬のソナタのテーマをチラリとでも弾いてあげるとお客様方はとても喜ばれると思うのですが、と遠慮がちに仰ったので、事前に譜面を用意しておいてもらい、テーマ部分だけをその場で覚えた。よくできた曲である。何秒もかからない曲の出だしでそれとわかるキャッチーなメロディというのはコロンブスの卵と一緒で、ありものに対して人はあれこれいうけれど、無の状態から生み出すのは呻吟苦衷極まる作業だろう。それも発注を受けてクライアントやプロデューサーなど周りからやいのやいの言われながらのことである。僕はこれがいやでコマーシャル音楽の仕事から身を引いたことがあるのでよく分かる。

しかし演奏意欲をそそられるかどうかはまた別の問題であって、その意味からいうとつまらない曲である。と同時に、このテの曲を演奏するというのは、演奏を楽しんでいただくよりも、ご存知のプログラムがあります、と言うほうに意味合いの比重がかかっているので演奏家はちょっといやなもんである。あろうことか、コンサート自体がそちらを目標にして、以って集客要因の第一義にする傾向すらあって嘆かわしい限り。その問題はまたまた別のテーマでもあるし、少なくともこの場ではその問題はなく、興味深い現象ということなのだが。

二部の1曲目に先制攻撃のように冬のソナタを弾き出した。その途端、わぁとか、きゃぁとか、2〜3分もざわざわして容易に収まらない。前述したようにマナーもよく静かに音楽を嗜める教養高い、と思われる方々にしてこの反応である。

いい曲だから流行する。流行してるから刷り込まれる。刷り込まれているので耳にすると敏感に反応する。刷り込まれて反応するからいい曲だと思える。
まずいい曲であることからこの循環が始まるのが、望ましいですね。でもどちらでもいいか。流行ったきり廃れて残らない、というのも多い。自然淘汰されるんだし。残らなかった曲や歌でもひととき人口に膾炙したってことは喜ばしいことだろうから。
7月9日(金)セッション 大分・バード
エッセイ“うるさい客に助けられる事もある音楽家の成長”
都ホテルの最上階のジャズクラブ。マスターの桑原さんは双子の兄のほう。兄弟ともピアニスト。でも僕と交代でピアノを弾いたのはちひろちゃんという若手美人ピアニスト。ちあきさん(男性)のアルトと橋本さんのベース、失礼ながら名前を度忘れしたがフィリピン男性で歌もとっても素敵なドラマーとテイクファイブなど熱演。

ところが満員の客の半分ぐらいがざわざわどころでない世間話のもりあがり。失敬な客どもだ、と思いかけたがちょっと待て。こういう雰囲気だからこそ、(言っては悪いが)そこそこの演奏ながら熱のこもったセッションが成立する、ということはあるなぁ、と。シーンとじっくり聞かれているより、騒がしい環境の中で“きっちりといい演奏をすれば聴いてくれるはずだ”と信じて切磋琢磨する、というのもある意味有意義な成長過程であったことは僕にも覚えがあるしね。ジャズの生演奏の機会が極端に少ない、従って人前で演奏するという、演奏家にとって何にもまして上手くなるチャンスに恵まれにくい世相の中で、この状況を作り育てている桑原さんは、やはり夢をもってジャズを愛しているんだなぁ。

僕が弾きだすと、客席がすーっと静かになるのは嬉しかった。が、それも2時間ほどのことで、後半はもう殆ど飲み会。まぁ飲み会に違いはないもんね。じゃあ僕も無礼講ということでいっぱい歌ってしまった。楽しかった。なんだか歌うとすっきりしますね。なぜだろう。だれでもそうなのかな。

・・・その日の昼間のこと。

甲斐さんのお迎えを受けて、大分市内へと移動する途中に寄った別府のコーヒー屋さんが異常に旨かった。栃窪さんに連れられた銀座のコーヒーも驚くほど旨かったし、三木君に案内してもらった京都北山のモカも忘れられないが、ここのよさは地元のおっさんたちがこともなげに究極のアイスミルクコーヒーなどをすいすいと飲み干して、じゃ行くか、とばかりに、おそらく雀荘にでもいく待ち合わせだったんだろう、いそいそと笑いあいながらあっさりと店を出ていくのである。

一体に一つの行為、この場合コーヒーを飲むということを突き詰めて、マメは埃をとりきり、温度はどう、量はこのぐらいが望ましいなどと○○道みたいになっていくのは、実に日本文化的なものを感じて微笑ましい。お好み焼屋がふんぞり返って滔々と弁じるのは嫌いだが、コーヒー屋さんが嬉しそうに解説してくれるのはとても好き。

大分市に入って、甲斐さんがマッサージに寄ってくれたらこれが素晴らしかった。
    
エッセイ“マッサージで自覚する人体の罪深さ”
佐藤さんという痩せて背の高い女性。屈託のない笑顔が、会う人の心を一瞬にして和ませてしまうような人である。“どこらあたりに凝りを自覚しますか”と先ず尋ねられたので、肝臓の裏側だと答えた。じゃぁ、と言うことで右わき腹を上にして横になった途端に右肩から始まった。その瞬間から1時間20分、ずーーーっと気持ちいいんである。ベートーベンの交響曲を聴いても、その間中快感が持続するということはないだろうに。

肩の一点を押されればそこが、隣の一点に指が這えばたちまちそちらが“あふーん、気持ちいい”とため息をつく。膝のウラのある箇所が気持ちいいかと思うと、その同じ場所が足の角度を変えられることによってまた別の快感を覚える。という具合で、全身くまなく、点単位で快感のツボがあるのだ。
88鍵のある一つに限っても、指の角度、伴う和声の違い、共演楽器の種類や状態で無限の快楽がある。そのことを不謹慎ながら性感の無尽蔵さにたとえて思い巡らせたりしていたものだが、身体のおぼえる快感という意味ではひょっとしたら、ベッドのことよりも、この上手なマッサージのほうが奥深く要素も多いんじゃなかろうか。なんて考えつつうとうとしていたら、あぁ僕はなんと罪深い体を持っていることか、などと持て余す性欲に悩む青年のような気持ちになってしまった。マッサージなのに。
7月12日(月)佐山セッション 大阪・ロイヤルホース
清水興(B)
東原力哉(Dr)
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1. nothing from nothing (billy preston) いきなり凄いグルーブ。力+興はちょっと違う。随分違う。カッコいい。華がある。何拍あけてもずっとスイングが続く。
2. fire on the biyou (meters)3人でコーラス、のはずが力哉脱落。本歌の部分インストでも充分楽しめる。
3. send one your love (stievie wonder) 力+興の歌心にとろける。
この曲だったと思う、スティービーのエピソード。録音の時にオケの指揮者が“いい曲だけど、いったい何調なんだい?(of what kei is this?)”“it’s the KEY OF LIFE ”
4. gee baby ain’t I good to you (???) what’s henry! アレンジが二人に好評。二人は初見も強い。だけでなく、即座に臨機応変態勢に入れるところも凄い。本当はそのくらい出来てあたりまえなんだけどね。
5. please send me someone to love (???)普通にいい曲を普通にセッションして天国的に気持ち良い。かくあるべし。
6. sayamanbo (sayama)いなたい感じが実によかった。くっさーーー、みたいな。
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1. spanish key~shuuu (miles~zawinul)ハプニングしまくりながらもクール。
2. love and happiness (al green)興の一発ソロが圧巻。
3. just the two of us (bill wizers)これも興のミュートバッキング、メロディアスソロともども素晴らしい。
4. georgia on my mind (horgy carmichael)
5. T,T,C and T (takehiro honda)
C,C,skip (meters )
7月13日(火)佐山セッション 大阪・ロイヤルホース
鈴木ひさつぐ(Ts)
新玉哲郎(B)
東原力哉(Dr)
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1.Softly as in a morning sunrise
2.Fee fu fo ??? (wayn shorter)
3.High spirits (Suzuki)
4.??????(Suzuki)
5.Bolivia
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1・pery’s scope
2・everything happen to me
3・it could happen to you
4・infant eyes
5・bye bue blackbird
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ラプソディインブルー ピアノソロ
7月15日(月)M‘s+TOKU 吉良・インテルサット
blue in green
peris scope
left alone
joy spring
lover or not at all
it’s in me
all blues
cheek to cheek
Roberta
Where or when
Solar

12時過ぎに(勿論夜中)小井とチェックインしようとフロントのベルを鳴らすと、制服のお兄さんが奥から出てきて“なにか?”とこれには驚いた。最近はホテルのフロントマンといえども殆どバイト君で、入れ替わりも激しいそうだから躾ける時間もないし、怒ればやめられちゃうしで大変なんだろう。おまけにフロント担当はバイト料も結構安いらしい。経営者にとってもバイト君にとっても不幸な話である。客もだけど。
管理人註※7月7日以降は神谷満実子さんのための2台ピアノ(with 小原孝)のアレンジに悪戦苦闘していたため、「仕事日記」7月はここまでとのこと。その成果は10月15日に東京文化会館でCHECK!詳細はこちら>>NEWS
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