第2部:資本の流通過程
第1篇:資本の諸変態とそれらの循環
第2章:生産資本の循環

第4節
準備金



潜在的貨幣資本の副次的機能

いま考察した形態では、蓄蔵貨幣……は、貨幣蓄蔵元本であり、資本蓄積が一時的にとる貨幣形態であって、その限りでは、それ自体、資本蓄積の条件である。しかし、この蓄積元本は、特殊な副次的役立ちをも行なうことができる。すなわち、資本の循環過程がP…P'という形態をとらなくても、したがって、資本主義的再生産が拡大されなくても、資本の循環過程にはいり込むことができる。

商品資本がその貨幣形態への転化を異常にはばまれるならば、または、たとえこの転化が遂行されても、たとえば貨幣資本が転換されるべき生産諸手段の価格が循環の開始時の水準よりも騰貴しているならば、蓄積元本として機能している蓄蔵貨幣が、貨幣資本の――またはその一部分の――代わりをするために使用されうる。このようにして、貨幣蓄積元本は、循環の攪乱をのぞくための準備金として役立つ。[89]

「準備金」と「準備貨幣資本」とはその機能にちがいがある

貨幣蓄積元本は、このような準備金としては、循環P…Pで考察された購買手段または支払手段の元本とは異なる。……準備金は、機能している資本の――詳しく言えば機能している貨幣資本の――一構成部分ではなく、蓄積の前の段階にある資本の、まだ能動的資本に転化されていない剰余価値の、一構成部分である。[90]



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