男の自宅介護

車いす車載用ウッドデッキ階段:介護用品をつくる<5>

在宅介護スタート時、要介護5の妻と車でお出かけする時は「おんぶ」と「お姫さま抱っこ」で助手席に乗せていました。3年後には福祉車両を購入したのでこの力仕事からは解放されましたが、雨天の日の乗車は「雨に濡れる」という問題が残りました。



在宅介護スタート時の乗車は「おんぶ」と「お姫様抱っこ」で乗車

在宅介護スタート時、要介護5の妻を車に乗せるときはベッドから妻を「おんぶ」して移動し、車の助手席に直接乗せていました。
普通ならベッドから車いすに乗せて外へ移動し、車いすから助手席に乗せるのでしょう。
でも私の場合は、あちこちに妻を乗せ替えることなく乗車させられる「おんぶ」の方が楽だったのです。

電動ベッドを腰の高さの位置に調整できたうえ、車もワンボックスで助手席の座面が高かったので、このような乗車方法がやり易かったということもあります。

でもいずれにせよ、事前の準備が要りました。
車を車庫から出して妻を乗車させやすい玄関前に配置し、車いすを運んできて車の荷室に積むという作業です。

玄関から出入りするので、当然、雨の日は濡れます。
短い距離なので少々の雨ならいいのですが、土砂降りの日にずいぶん濡れる時が何度かありました。

さらに到着地では、助手席から妻を「お姫様抱っこ」して降ろし、車いすに乗せるという力仕事がありました。
その前に車いすを荷室から出しておく必要もあります。

このように「お姫様抱っこ」で降ろしていたのは、高さのある助手席から移動時に安心感を持ってもらうためです。

以前調べた介護術の本では、座席シートが高い場合の移乗は、介護を受ける人の脇の下に介助者の頭を入れ、肩に乗せて抱きかかえて移乗させるという方法が紹介されていました。
この方法を妻に試してみたところ「落ちそうで怖い」と言われたので、安心感のある方法をとっていました。

当時は週3回のデイケア送迎のために、妻を車に乗せていました。
デイケアにも送迎サービスはありましたが、こちらは時間待ちや巡回があります。
妻は長時間の座位が難しかったので無理な負担がかからないように、自分のペースで送迎していました。

デイケアがない日も、できるだけ散歩のために外出するようにしていたので、ほぼ毎日「お姫様抱っこ」していた時期がありました。


福祉車両の購入を機に、ガレージへ直接出られる階段を製作

まだ腕力、体力ともしっかりあるので大丈夫ですが、いつまでも「お姫様抱っこ」ができるとも思えません。
そこで在宅介護開始から3年後、車いすごと乗ることができる福祉車両を購入しました。
後部から車外へ引き出したスロープをつたって乗せられるタイプです。
こうして「おんぶ」「お姫様抱っこ」「車椅子の出し入れ」の負担はなくなりました。

しかし「雨に濡れる」問題は残ったままです。
玄関からガレージまでの道のりに屋根があればよいのですが、それには大掛かりな工事が必要です。

そこでガレージに面したサンルームの出入り口を使うことにしました。
直接ガレージに出られるので、雨に濡れずに乗車できます。

問題はサンルームとガレージ床面の段差です。
高さは50cmありました。
そこで2段の階段をつくり、この上を移動させながら車いすを地面に降ろせるようにしようと考えました。

階段はウッドデッキ2枚を用意し、コンクリートブロックを脚にして段差をつけることにしました。

福祉車両を購入することが決まってから納車までに時間があったので、その間で設計構想しました。
作成作業には納車とほぼ同時の1日を使いました。

<材料と作り方>
ウッドデッキに使った材料は2x4材。厚みが38mmあるので丈夫です。
1.8mのものを11本購入しました。
かかった金額は3,287円です。

この材料で90cm四方のウッドデッキを2枚作り、レンガサイズのコンクリートブロックをその下に敷いて、2枚の高さを調整します。
高さはそれぞれ18cm、34cmにします。
50cm高さのサンルーム床面を加えると、約17cm高さ3段分の階段になりました。



<工夫のポイント>
90cm四方の広さがあれば、その上で車いすの方向転換ができます。

コンクリートブロックの脚は積み上げただけですが、ぐらつくことはありません。
積み上げパターンで高さが変えられるうえ、雨に濡れても劣化しないので便利です。
以前、園芸用に買ったものをつかいました。1個50円くらいだったと思います。

ガレージに屋根はありますが、風の強い日は雨が横から降りこんできます。
そこで、木材には耐久性を高めるため、塗装をしました。

使用したのは、木目を生かせるステイン仕上げの木材保護着色塗料です。
防腐・防虫・防カビの効果もあります。
扱いやすい水性タイプを選びました。
1.8L入りのものが、ホームセンターで1,980円でした。
刷毛は100円ショップのものです。

雨にも濡れず、車椅子ごと妻を車へ

階段が完成した当時のガレージは、写真のような配置になっています。
妻の介護に入る前から乗っていた大型バイクに未練があってガレージに残していましたので、そのぶん狭くなっています。



通常、車はガレージの屋根のある範囲に停めていますので、そのままでは車のスロープを引き出せません。
ですから外出の際は、まず車を少し前に出し、車のスロープを引き出しておきます。
続いてサンルームの出入り口からウッドデッキ階段に車いすを降ろし、方向転換させます。
地面まで車いすを降ろしてスロープへ移動させ、車いすごと車内へ運び入れます。

こうして屋根のあるガレージから、天候の心配なく車内へ出入りできるようになりました。
土砂降りの雨でも大丈夫です。

しかし問題がひとつ解消されると、ほかの問題も気になってきます。
乗車の前に「車を少し前に出しておく」というひと手間も解消したくなりました。

車いす車載用スロープ:介護用品をつくる<6>へ続く


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