男の自宅介護

車いす車載用スロープ:介護用品をつくる<6>

在宅介護3年後に福祉車両を購入したことで、妻の「おんぶ」と「お姫さま抱っこ」から解放されました。その後すぐにウッドデッキ階段を作成し、サンルームから屋根のあるガレージへ出られるようにしたことで「雨に濡れる」という問題も解決しました。しかし、ガレージの中で「車を一旦前に出して準備する」という手間と、階段を上るという負担がまだ残っていました。



ウッドデッキ階段を配置変え、一段目から直接車内へ

福祉車両を購入し、サンルームからのウッドデッキ階段を作成して8ヶ月後。
ほとんど乗ることもなくなった大型バイクにとうとう見切りをつけ、売却しました。

バイク1台分のスペースが空いたので、ウッドデッキ階段を配置変えすることにしました。
そうすれば、車をいったん前に出すことなく車いす用のスロープを引き出すことができます。

地面から一段目のウッドデッキの方を下の写真のように配置し、スロープをそのデッキの上に渡すようにしました。



これで車をいちいち前に出さなくても、余裕でスロープを引き出せます。
また、車いすを地面まで降ろす必要もなくなったので、段差も1つ減りました。

車いすを地面まで降ろさなくてもよいということは、階段3段の段差を均等にする必要もないということです。
そこで、地面から一段目のデッキの高さを上げ、二段目のデッキの高さも少し上げて、サンルーム床面からの段差を極力小さくしました。

つまり最初は、地面からサンルーム床面までの段差50cmを3段に分けて階段にする必要がありました。
それぞれの段差が約17cmになるように、一段目を18cm、二段目を34cmの高さに設定していました。

ですが配置変えの後は、一段目を24cmの高さまで上げました。
これでサンルーム床面と一段目の段差は26cmに縮まります。
間に配置する二段目を36cmの高さにすれば、各段差は約13cmになります。
配置変えをする前と比べると、段差は4cmも少なくできました。

ウッドデッキの足はコンクリートブロックを積み上げただけのものなので、このような微調整もそれほど手間なくできました。

サンルームに蛍光灯を設置し、夜間の乗降もスムーズに

サンルームから直接、乗車できるようになってからは、車に乗って妻と散歩に出かけることが多くなりました。
時には二人で兼六園のライトアップを見に行ったり、お通夜の出席で夜遅くなったりと、夜に車を使う機会もありました。

ガレージやサンルームには照明がなかったので、この時間帯に車を乗り降りすると、暗くて車内や階段の段差が見えにくいと感じることも何度かありました。
緊急時を想定すれば、昼夜を問わず車いすで出かけられるように備えておいた方がよさそうです。

そこで、階段と車内を照らせるように、サンルームに照明を設置しました。

引越の時、なにかに使えるかもしれないと取っておいた天井灯を使いましたので、十分な明るさです。


ウッドデッキ階段をスロープ型に改良、負担はさらに軽減

階段の段差は、以前よりは少なくなったとはいえ、1段あたり13cmあります。
車いすの前輪と後輪の間隔が35cmなので、階段を昇るときは、車いすを後方に22度以上倒さないと前輪を乗せられません。

サンルームから車いすを出し入れする際の向きは同じなので、降りるときは後輪から降ろします。
その時の衝撃を減らせるように、注意を払いながらゆっくりと降ろします。

これらの作業は負担というほどではありませんが、力が必要です。
妻も、後ろに倒れる姿勢になるときは不安だと思います。

こうしたことを解決するために、ウッドデッキ階段をスロープ型に改良することにしました。

間に配置したウッドデッキを傾斜させるだけなので、材料費も安く済みます。

サンルーム床面とウッドデッキをうまく連結させ、丁度よい勾配のスロープになるように、30cm長さの延長板を追加で作りました。

延長板とウッドデッキは蝶番4個でつなぎました。
延長板のもう一方にはL金具を付け、サンルームのアルミサッシの網戸のレールに引っ掛けるようにしました。
これで隙間なく、ガタつかずにサンルームとウッドデッキを連結させることができます。

ウッドデッキとの連結時は網戸が開閉できませんが、ガラス戸は開閉できます。
網戸が必要な時だけ延長板を外し、ウッドデッキの方に畳んで閉じておけば、網戸は普通に使えます。

こうしてウッドデッキ階段は、ウッドデッキスロープに生まれ変わりました。

スロープの長さはウッドデッキ幅90cm+延長板幅30cmで120cmになります。
延長板作りのための追加投資は、1x4材2本、蝶番4個、L金具などで、かかった金額は約1,000円でした。

<スロープの軽減>
サンルーム床面から地面に近いウッドデッキまでの段差26cmを長さ120cmのスロープでつなぐと、勾配は13度になります。
階段の昇り降りのために22度以上車いすを傾けていたときよりは、ずいぶんと楽になりました。

こうしてしばらく使っていましたが、やっぱり一気に登らないと重たいと感じる傾斜です。
下る時も勢いがついてしまいます。

そこで、ブロックを1つ積み増して、地面に近いウッドデッキの高さを30cmにしてみました。
段差は20cmに縮小でき、勾配は10度に低減されました。

逆にこれ以上に勾配を緩めてしまうと、ウッドデッキの高さをさらに上げることになります。
すると降車するときに、車から引き出したスロープを後ろ向きで登らなければならなくなり、さすがに限界です。

軽減された勾配はたったの3度ですが、車いすを押すときの力の入り具合がずいぶんと変わりました。
登る時は軽く感じます。下る時もゆっくり降りられます。

<車から引き出したスロープの安全対策>
乗降中に車から引き出したスロープが動いたことはないのですが、万が一、ウッドデッキから外れてしまうと大変なことになります。
そこで、車のスロープの持ち手部分にロープで木片をつなぎました。
木片をウッドデッキの隙間に差しめば、スロープを固定できます。

こうして今では、雨の日も濡れずに、夜間でも明るく、車いすを押す負担も少なく、便利に乗車することができています。



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