第71回(令和2年)パフォーマンス時間観察


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 ここでは、第67回68回69回70回に続いて第71回歌合戦のパフォーマンス時間について、見てみます。

  1. 全体
  2. 前半と後半
  3. 紅組と白組

全体

 放送時間は、第61回(平成22年)以来10年ぶりに、午後7時30分から、途中5分間のニュースを挟んで午後11時45分までの4時間10分となりました。 一方で、出場歌手数は41組(出場辞退、ゲスト歌手、特別企画などの歌手は除く)と、途中にニュースを挟む構成になって最も少ない数でした。 出場予定だった42組だと前年の第70回と同じで、放送時間が第70回より短くなったことを考えると、放送時間に対する出場歌手数は増えています。 それでも、午後9時開始の時代だと第39回(昭和63年)と同じ数です。

過去20年の放送時間と出場歌手数の関係

 次に、正式な出場歌手のそれぞれの登場順でのパフォーマンス時間の合計を見ると、だいたい2時間14分でした。 前年と比べると、出場歌手が1組減ったことに対し、合計歌唱時間は9分ほど増えています。

過去20年の放送時間と全出場歌手のパフォーマンス時間
 特別企画でパフォーマンスを披露する歌手もいましたので、その時間も計算に入れると、放送時間に対して約62%がパフォーマンス時間となりました。 紅組、白組として出場した歌手だけにすると、前回の50%割れからを54%に回復しています。 最近すっかりおなじみとなった特別企画コーナーから、さだまさし・GReeeeN・YOSHIKI・松任谷由実・玉置浩二のパフォーマンス時間を加えると62%となります。 さらにはディズニースペシャルメドレーと朝ドラ「エール」出演者の古関裕而作品メドレーもありましたので、これらを加えるとさらに割合は増え、2000年代初頭の70%に近づくと思われます。

 出場歌手1組あたりのパフォーマンス時間を見ると、平均は3分16秒で、中央値(歌唱時間が長い方から数えて半分くらいの歌手のパフォーマンス時間)は2分46秒くらいと、どちらも前年より長くなっています。 平均値の方が中央値より伸びが大きいのは、をはじめとして、長いパフォーマンス時間だった歌手が多かったことがあります。 真ん中くらいの歌唱時間だったのは、前半に登場したLittle Glee Monster鈴木雅之あたりです。 この2組は、前半では長い方から数えて3組目になります。

過去20年の出場歌手のパフォーマンス時間の平均値と中央値の推移

 続いて、下に今回の出場歌手のパフォーマンス時間の分布を示します。

第71回(令和2年)のパフォーマンス時間の分布
 今回はが11分近いパフォーマンス時間で断トツトップ、その次は5分を切ります。 それでも4分台が9組と前回より3組増えました。 平均値だった3分16秒弱までに含まれるのは26組と全体の63%になります。 1番多い時間が2分20秒から50秒までで15組。 2分前後(1分50秒から2分10秒)だった歌手は6組と、前年より減っていますが、それでも6組いるという印象です。 2分10秒というのは、歌合戦の創世記の1歌手あたりの平均歌唱時間です。 現在は1曲のフルコーラスはそれより長くなっていますから、それだけカットされているということです。

前半と後半

 前半と後半を比較してみます。

比較項目前半後半
歌手数18組23組
放送時間1時間25分2時間45分
総パフォーマンス時間44分50秒1時間29分10秒
放送時間に占める
総パフォーマンス時間の割合
53%54%
平均パフォーマンス時間2分29秒3分53秒
パフォーマンス時間の中央値2分27秒3分25秒
 前半の方がと後半よりもパフォーマンス時間が短いため、平均パフォーマンス時間も中央値も後半が前半よりも長いのは例年通りです。
 後半は中央値でも3分25秒と長いのですが、2分台の歌手が8組だったのに対し、4分を超えた歌手が10組いましたので中央値と平均値に28秒の差があります。

 先に出したパフォーマンス時間の分布を、前半の歌手を青色、後半の歌手を赤色で分けたものが下の図になります。 前半は2分50秒より短い歌手がほとんどで、3分を超えたのは坂本冬美五木ひろしの2人です。 このお2人に関しては3分30秒を超えていて、前半では群を抜いていました。 一方、後半でパフォーマンスした歌手は2分20秒台からはじまり、3分30秒あたりでいったん途切れ、4分近くから再び歌手が多くなっています。 3分50秒よりも長い11組が、パフォーマンス時間に関しては特に扱いの良かった皆さんかな。

第71回(令和2年)のパフォーマンス時間の分布(前半・後半別)

 次に、前半と後半でパフォーマンス時間が長かった歌手と短かった歌手の上位5組を見てみます。 まずは前半から。

長い順歌手タイトル歌唱
(パフォーマンス)
時間
1 五木ひろし山河3:48
2 坂本冬美ブッダのように私は死んだ3:39
3 Little Glee Monster足跡2:46
3 鈴木雅之夢で逢えたら2:46
5 King & PriceI promise2:33

短い順歌手タイトル歌唱
(パフォーマンス)
時間
1 山内惠介恋する街角1:58
1 日向坂46アザトカワイイ1:58
3 GENERATIONSYou & I2:01
4 櫻坂46Nobody's fault2:03
4 純烈愛をください ~Don't you cry~2:03

 続いて後半。

長い順歌手タイトル歌唱
(パフォーマンス)
時間
1嵐×紅白 2020スペシャルメドレー10:43
2 福山雅治家族になろうよ4:44
2 MISIAアイノカタチ4:44
4 YOASOBI夜に駆ける4:38
5 Mr.ChildrenDocumentary film4:34

短い順歌手タイトル歌唱
(パフォーマンス)
時間
1 三山ひろし北のおんな町 ~第4回 けん玉世界記録への道~2:20
2 瑛人香水2:26
3 郷ひろみ筒美京平 トリビュートメドレー2:33
4 氷川きよし限界突破×サバイバー2:35
5 関ジャニ∞みんなで踊ろう!前向きスクリーム!2:38

 前半に2分前後の歌手が6組います。 前回よりは長くなっていますが、2分20秒くらいは時間をあげてもよいのでは、と毎度思います。
後半は、長い方は上位5組がすべて4分30秒を超えています。 実際には7位まで超えています。 一方で、短い方の上位5組は2分20秒から30秒台。 上位8組までが2分台です。 こちらも短い歌手は前回よりは減っていますが、長い歌手と短い歌手の差が大きいです。

 パフォーマンス時間の分布を、紅組・白組として出場した歌手に、特別企画の歌の時間を白色で加えたものが下の図になります。 5分を超えたユーミンが頭ひとつ抜けていますが、の前にはかすんで見えます。

第71回(令和2年)のパフォーマンス時間の分布(特別企画含む)

 単純にトップバッターから大トリまでのパフォーマンス時間を横方向の棒グラフで表したものを以下に示します。 これは先に挙げた特別企画の歌手も入れてあります。

第71回(令和2年)の歌唱順とパフォーマンス時間
 前半に周囲より長い線が3本ありますが、上から坂本冬美、さだまさし、五木ひろしです。
 後半はやはりがずば抜けて長くなっています。 の3個下で短くなっているのは三山ひろし(けん玉)、終盤で短いのは氷川きよしです。 パフォーマンス時間とインパクトはまた別の話ということ。

紅組と白組

 紅組と白組に分けた場合の平均パフォーマンス時間の比較です。

過去20年の各組の平均パフォーマンス時間
 白組の方が長いのは4年連続。前回(第70回)よりは紅組との差が小さくなっています。 があれだけ長かったことを考えると、紅組は白組よりはパフォーマンス時間がバランスよく分配されていたのでしょうか。 そして、放送時間に占めるパフォーマンス時間の割合も増えたので、どちらも平均パフォーマンス時間は長くなっています。 紅組なんて9年前のレベルまで戻してる。