ここでは第67回(平成28年)歌合戦のパフォーマンス時間について、詳しく見てみます。
放送時間は、第62回(平成23年)以降6年連続で、午後7時15分から、途中5分間のニュースを挟んで午後11時45分までという、4時間25分の長丁場。 一方で、出場歌手数は46組と、第61回(平成22年)に次ぐ少ない数でした。
次に、出場歌手のそれぞれの登場順でのパフォーマンス時間の合計を見ると、だいたい2時間20分44秒(約3分のハーフタイムショー、4分40秒くらいの「ふるさと」、ゴジラに対する「渋谷紅白迎撃作戦」バージョンのPPAPの2分11秒は含みません)。
では、一歌手あたりのパフォーマンス時間はどうだったのか。
平均は約3分5秒くらいですが、中央値(歌唱時間が長い方から数えて半分くらいの歌手の時間)は2分40秒くらいです。
この、だいたい真ん中くらいの歌唱時間だったのはRADIO FISHやPerfumeです。
平均時間と中央値の推移を見ると、前年は若干上向きでしたが、また短い方から数えた方が早くなっています
続いて、下に今回の出場歌手のパフォーマンス時間の分布を示します。
前半と後半を比較してみます。
比較項目 | 前半 | 後半 |
---|---|---|
歌手数 | 22組 | 24組 |
放送時間 | 1時間40分 | 2時間45分 |
総パフォーマンス時間 | 55分49秒 | 1時間24分55秒 |
放送時間に占める 総パフォーマンス時間の割合 | 56% | 51% |
平均パフォーマンス時間 | 2分32秒 | 3分32秒 |
パフォーマンス時間の中央値 | 2分21秒 | 3分26秒 |
次に、前半と後半でパフォーマンス時間が長かった歌手と短かった歌手の上位5組を見てみます。 まずは前半から。
長い順 | 歌手 | タイトル | パフォーマンス 時間 |
---|---|---|---|
1 | 椎名林檎 | 青春の瞬き -FROM NEO TOKYO 2016- | 5:28 |
2 | 絢香 | 三日月 | 3:01 |
3 | 香西かおり | すき~真田丸スペシャルVer.~ | 2:59 |
3 | いきものがかり | SAKURA | 2:59 |
5 | V6 | Smile!メドレー | 2:36 |
短い順 | 歌手 | タイトル | パフォーマンス 時間 |
---|---|---|---|
1 | 市川由紀乃 | 心かさねて | 1:56 |
2 | 山内惠介 | 流転の波止場~究極の貴公子編~ | 1:58 |
3 | AAA | ハリケーン・リリ、ボストン・マリ | 2:01 |
4 | E-girls | DANCE WITH ME NOW! | 2:05 |
5 | 欅坂46 | サイレントマジョリティー | 2:12 |
続いて後半。
長い順 | 歌手 | タイトル | パフォーマンス 時間 |
---|---|---|---|
1 | 嵐 | 嵐×紅白スペシャルメドレー | 5:42 |
2 | THE YELLOW MONKEY | JAM | 4:44 |
3 | 福山雅治 | 2016スペシャルメドレー | 4:38 |
4 | AKB48 | 夢の紅白選抜SPメドレー | 4:37 |
5 | RADWIMPS | 前前前世[original ver.] | 4:22 |
5 | 松田聖子 | 薔薇のように咲いて 桜のように散って | 4:22 |
短い順 | 歌手 | タイトル | パフォーマンス 時間 |
---|---|---|---|
1 | 西野カナ | Dear Bride | 2:10 |
2 | AI | みんながみんなが英雄 | 2:30 |
3 | 乃木坂46 | サヨナラの意味 | 2:32 |
4 | 五木ひろし | 九頭竜川 | 2:33 |
5 | RADIO FISH | PERFECT HUMAN | 2:39 |
前半では、長い方から数えて5番目の歌手がすでに2分30秒を超えたくらいで決して長くはないのに対し、後半戦では5位でも4分を超えています(4分を超えた曲が8曲があります)。
前半の長い方から見て2位から3位は約3分ですが、これは後半戦では中間くらいです(短い方から数えて9番目に相当します)。
一方、後半の短い方を見ると、後半ではぶっちぎりで一番短い西野カナですが、前半戦で見ると短い方から数えてギリギリ5番目相当。
2番目に短いAIは2分30秒なので、前半で見ると長い部類に入ります(長い方から数えて7番目に相当します)。
前半戦に曲を詰め込み過ぎている気がします。
単純にトップバッターから大トリまでのパフォーマンス時間を横方向の棒グラフで表したものを以下に示します。
紅組と白組に分けて平均パフォーマンス時間を比べてみました。 どちらも3分5秒前後で、ほぼ同じでした。
今回の紅白で強く感じたのが、新しい演歌に対する扱いの軽さ。 演歌は全12組なので、まとめて表にします。
前半/後半 | 歌手名 | タイトル | 歌唱時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
前半 | 三山ひろし | 四万十川~けん玉大使編~ | 2:22 | 1ハーフ |
山内惠介 | 流転の波止場~究極の貴公子編~ | 1:58 | 2コーラス | |
天童よしみ | あんたの花道 | 2:14 | 1ハーフ | |
市川由紀乃 | 心かさねて | 1:56 | 1ハーフ | |
香西かおり | すき~真田丸スペシャルVer. | 2:59 | 1ハーフ | |
福田こうへい | 東京五輪音頭 | 2:15 | 3コーラス | |
水森かおり | 越後水原~白鳥飛翔~ | 2:20 | 1ハーフ | |
後半 | 島津亜矢 | 川の流れのように | 2:51 | 1ハーフ |
五木ひろし | 九頭竜川 | 2:33 | 2コーラス | |
坂本冬美 | 夜桜お七 | 3:21 | (変則的な構成) | |
氷川きよし | 白雲の城 | 3:08 | 2コーラス | |
石川さゆり | 天城越え | 3:48 | 2コーラス |
3分を超えたのは、歌合戦でおなじみの「天城越え」「夜桜お七」と、熊本城からの中継という特別な趣向だった「白雲の城」の3曲。
この年発表された曲が5曲歌われましたが、2コーラス歌えたのは2コーラス歌っても2分を超えない「流転の波止場」と、大ベテラン五木ひろしの新曲のみで、いずれも3分を超えていません。
もう、演歌をじっくり聴かせて、新しいスタンダードナンバーを生み出そうとは思っていないのかな。
最後に、前回(第66回)からの連続出場となった歌手(32組)について、歌唱(パフォーマンス)時間と登場した時間帯(前半/後半)の変化を合わせて示します。 当然ながら曲によって、テレビバージョンのパフォーマンス時間は変わりますので、多少の時間の差は誤差の範囲と考えてください。 搭乗時間帯の変化が「-」となっている場合は、前回と今回で移動がなかったことを表しています。
前半/後半 | 歌手名 | タイトル | 歌唱 (パフォーマンス) 時間 | 前回との差 | 登場時間帯の変化 |
---|---|---|---|---|---|
前半 | 関ジャニ∞ | ズッコケ男道~紅白で夢を歌おう~ | 2:25 | -0:13 | - |
AAA | ハリケーン・リリ、ボストン・マリ | 2:01 | -0:04 | - | |
E-girls | DANCE WITH ME NOW! | 2:05 | +0:04 | - | |
三山ひろし | 四万十川~けん玉大使編~ | 2:22 | -0:03 | - | |
山内惠介 | 流転の波止場~究極の貴公子編~ | 1:58 | -0:13 | - | |
miwa | 結 -ゆい- | 2:14 | +0:14 | - | |
Sexy Zone | よびすて 紅白 '16 | 2:17 | -0:04 | - | |
天童よしみ | あんたの花道 | 2:14 | -0:40 | - | |
SEKAI NO OWARI | Hey Ho from RPG | 2:37 | +0:13 | - | |
三代目 J Soul Brothers | Welcome to TOKYO | 2:28 | -0:34 | 後半→前半 | |
椎名林檎 | 青春の瞬き -FROM NEO TOKYO 2016- | 5:28 | +1:54 | 後半→前半 | |
郷ひろみ | 言えないよ | 2:27 | -0:01 | - | |
V6 | Smile!メドレー | 2:36 | -1:19 | 後半→前半 | |
水森かおり | 越後水原~白鳥飛翔~ | 2:20 | -0:18 | 後半→前半 | |
いきものがかり | SAKURA | 2:59 | +0:02 | 後半→前半 | |
ゆず | 見上げてごらん夜の星を~ぼくらのうた~ | 2:34 | -0:13 | - | |
後半 | 乃木坂46 | サヨナラの意味 | 2:32 | +0:27 | 前半→後半 |
福山雅治 | 2016スペシャルメドレー | 4:38 | -0:42 | - | |
島津亜矢 | 川の流れのように | 2:51 | +0:06 | 前半→後半 | |
西野カナ | Dear Bride | 2:10 | -0:10 | - | |
AKB48 | 夢の紅白選抜SPメドレー | 4:37 | -0:12 | - | |
五木ひろし | 九頭竜川 | 2:33 | -0:32 | - | |
Perfume | FLASH | 2:40 | +0:12 | - | |
星野源 | 恋 | 3:44 | +1:39 | 前半→後半 | |
坂本冬美 | 夜桜お七 | 3:21 | +1:04 | 前半→後半 | |
TOKIO | 宙船 | 2:44 | +0:02 | - | |
松田聖子 | 薔薇のように咲いて 桜のように散って | 4:22 | +0:48 | - | |
X JAPAN | 紅 | 4:04 | -0:40 | - | |
髙橋真梨子 | ごめんね… | 3:51 | -0:40 | - | |
氷川きよし | 白雲の城 | 3:08 | +0:43 | 前半→後半 | |
石川さゆり | 天城越え | 3:48 | +0:31 | - | |
嵐 | 嵐×紅白スペシャルメドレー | 5:42 | +0:38 | - |
何が言いたいかというと、前半戦から後半戦へ移った歌手は、だいたい目に見えて歌唱(パフォーマンス)時間が長くなり、後半戦から前半戦に移った歌手は逆に短くなってるね、ということ。 例外は、2016年リオから2020年東京にひっかけて、前半戦の20時16分から20時20分にかけてパフォーマンスしたと言われている椎名林檎。 感想にも書きましたが、乃木坂46や星野源のようにヒットして後半戦へ移動し、さらにパフォーマンス時間が長くなるのはうれしいことです。 嵐は、まだ長くするか…。 そろそろ、1曲にしぼるとか、その年の新曲のメドレーにしてもいいんじゃないかなあ。