第67回(平成28年)パフォーマンス時間観察


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 ここでは第67回(平成28年)歌合戦のパフォーマンス時間について、詳しく見てみます。

  1. 全体
  2. 前半と後半
  3. 紅組と白組
  4. 演歌
  5. 前年も出場した歌手の前年との比較

全体

 放送時間は、第62回(平成23年)以降6年連続で、午後7時15分から、途中5分間のニュースを挟んで午後11時45分までという、4時間25分の長丁場。 一方で、出場歌手数は46組と、第61回(平成22年)に次ぐ少ない数でした。

過去20年の放送時間と出場歌手数

 次に、出場歌手のそれぞれの登場順でのパフォーマンス時間の合計を見ると、だいたい2時間20分44秒(約3分のハーフタイムショー、4分40秒くらいの「ふるさと」、ゴジラに対する「渋谷紅白迎撃作戦」バージョンのPPAPの2分11秒は含みません)。

過去20年の放送時間と全出場歌手のパフォーマンス時間
 放送時間に占めるパフォーマンス時間の割合は約53%と、第48回(平成9年)以降で最も低くなりました。 例年に比べると放送時間に対して出場歌手数が少ない年でしたが、とりあえず総歌唱時間がキープされたわけではないようです。

 では、一歌手あたりのパフォーマンス時間はどうだったのか。 平均は約3分5秒くらいですが、中央値(歌唱時間が長い方から数えて半分くらいの歌手の時間)は2分40秒くらいです。 この、だいたい真ん中くらいの歌唱時間だったのはRADIO FISHPerfumeです。
 平均時間と中央値の推移を見ると、前年は若干上向きでしたが、また短い方から数えた方が早くなっています

過去20年の出場歌手のパフォーマンス時間の平均値と中央値の推移

 続いて、下に今回の出場歌手のパフォーマンス時間の分布を示します。

第67回(2016年、平成28年)のパフォーマンス時間の分布
 今回は前半に登場した椎名林檎と大トリのが5分を超える時間で長く、それ以外は4分50秒より短い時間です。 2分10秒から3分の間に過半数の歌手が収まっていて、平均時間は約3分5秒くらいですが、中央値(歌唱時間が長い方から数えて半分くらいの歌手の時間)は2分40秒くらいです。 そして、紅組トリの石川さゆりは2コーラスで3分50秒くらい、一方白組大トリのは3曲のメドレーで5分40秒くらい。 昔、逆のケース(紅組の方が白組より2分くらい長い)もあったのですが、ラストでこれだけ歌唱時間に差をつけられると、個人的にはしらけます。
 全体としてみても、セット転換のほかに、曲前の説明や曲にまつわる映像があり、全放送時間における出場歌手ごとのパフォーマンス時間は53%弱と、第47回(平成8年)以降で最も短くなっています。 実質、放送時間の半分くらいしかパフォーマンス時間に使われてないですから。

前半と後半

 前半と後半を比較してみます。

比較項目前半後半
歌手数22組24組
放送時間1時間40分2時間45分
総パフォーマンス時間55分49秒1時間24分55秒
放送時間に占める
総パフォーマンス時間の割合
56%51%
平均パフォーマンス時間2分32秒3分32秒
パフォーマンス時間の中央値2分21秒3分26秒
 放送時間は後半の方が1時間以上長いのに、歌手数はほとんど変わらないため、パフォーマンス時間は前半戦の方が短めです。 平均パフォーマンス時間は2分30秒くらいですが、これは椎名林檎1人で引っ張り上げている形です。

 次に、前半と後半でパフォーマンス時間が長かった歌手と短かった歌手の上位5組を見てみます。 まずは前半から。

長い順歌手タイトルパフォーマンス
時間
1 椎名林檎青春の瞬き -FROM NEO TOKYO 2016-5:28
2 絢香三日月3:01
3 香西かおりすき~真田丸スペシャルVer.~2:59
3 いきものがかりSAKURA2:59
5 V6Smile!メドレー2:36

短い順歌手タイトルパフォーマンス
時間
1 市川由紀乃心かさねて1:56
2 山内惠介流転の波止場~究極の貴公子編~1:58
3 AAAハリケーン・リリ、ボストン・マリ2:01
4 E-girlsDANCE WITH ME NOW!2:05
5 欅坂46サイレントマジョリティー2:12

 続いて後半。

長い順歌手タイトルパフォーマンス
時間
1嵐×紅白スペシャルメドレー5:42
2 THE YELLOW MONKEYJAM4:44
3 福山雅治2016スペシャルメドレー4:38
4 AKB48夢の紅白選抜SPメドレー4:37
5 RADWIMPS前前前世[original ver.]4:22
5 松田聖子薔薇のように咲いて 桜のように散って4:22

短い順歌手タイトルパフォーマンス
時間
1 西野カナDear Bride2:10
2 AIみんながみんなが英雄2:30
3 乃木坂46サヨナラの意味2:32
4 五木ひろし九頭竜川2:33
5 RADIO FISHPERFECT HUMAN2:39

 前半では、長い方から数えて5番目の歌手がすでに2分30秒を超えたくらいで決して長くはないのに対し、後半戦では5位でも4分を超えています(4分を超えた曲が8曲があります)。 前半の長い方から見て2位から3位は約3分ですが、これは後半戦では中間くらいです(短い方から数えて9番目に相当します)。 一方、後半の短い方を見ると、後半ではぶっちぎりで一番短い西野カナですが、前半戦で見ると短い方から数えてギリギリ5番目相当。 2番目に短いAIは2分30秒なので、前半で見ると長い部類に入ります(長い方から数えて7番目に相当します)。
 前半戦に曲を詰め込み過ぎている気がします。

 単純にトップバッターから大トリまでのパフォーマンス時間を横方向の棒グラフで表したものを以下に示します。

第69回(平成30年)の歌唱順とパフォーマンス時間
 思ったほど前半戦に比べて後半戦の各出場歌手のパフォーマンス時間が長くなったわけではありませんが、後半戦には前後の歌手と比べて時間の長い歌手がちょこちょこいて、全体的にも後半戦の方が若干長くなっているようです。

紅組と白組

 紅組と白組に分けて平均パフォーマンス時間を比べてみました。 どちらも3分5秒前後で、ほぼ同じでした。

style="max-width: 100%; height: auto;" alt="過去2020年の各組の平均パフォーマンス時間"/>
 過去のデータをうまく取り込めていない可能性があるので、その時はごめんなさいなのですが、第64回(平成25年)から3年間、白組の平均パフォーマンス時間が紅組より20秒以上長かったことからすると、第67回は紅組と白組というくくりでの格差はなかったことになります。 第64回からの3年間、白組にはSMAP美輪明宏福山雅治といったパフォーマンス時間の長い歌手がいたので、白組の方が長いだろうなとは思っていましたが、平均で20秒以上も差があるとは意外でした。 それ以外の年も、紅組と白組が同じくらいということはあっても、紅組の方がはっきりと長いという年はありません。 紅組歌手の平均パフォーマンス時間が白組より一番長かったのは第499回(平成10年)で、時間の長かった上位10組中6組が紅組でした。 それでも差は4秒くらいです。

演歌

 今回の紅白で強く感じたのが、新しい演歌に対する扱いの軽さ。 演歌は全12組なので、まとめて表にします。

前半/後半歌手名タイトル歌唱時間備考
前半 三山ひろし 四万十川~けん玉大使編~ 2:22 1ハーフ
山内惠介 流転の波止場~究極の貴公子編~ 1:58 2コーラス
天童よしみ あんたの花道 2:14 1ハーフ
市川由紀乃 心かさねて 1:56 1ハーフ
香西かおり すき~真田丸スペシャルVer. 2:59 1ハーフ
福田こうへい 東京五輪音頭 2:15 3コーラス
水森かおり 越後水原~白鳥飛翔~ 2:20 1ハーフ
後半 島津亜矢 川の流れのように 2:51 1ハーフ
五木ひろし 九頭竜川 2:33 2コーラス
坂本冬美 夜桜お七 3:21 (変則的な構成)
氷川きよし 白雲の城 3:08 2コーラス
石川さゆり 天城越え 3:48 2コーラス

 3分を超えたのは、歌合戦でおなじみの「天城越え」「夜桜お七」と、熊本城からの中継という特別な趣向だった「白雲の城」の3曲。 この年発表された曲が5曲歌われましたが、2コーラス歌えたのは2コーラス歌っても2分を超えない「流転の波止場」と、大ベテラン五木ひろしの新曲のみで、いずれも3分を超えていません。
 もう、演歌をじっくり聴かせて、新しいスタンダードナンバーを生み出そうとは思っていないのかな。

前年も出場した歌手の前年との比較

 最後に、前回(第66回)からの連続出場となった歌手(32組)について、歌唱(パフォーマンス)時間と登場した時間帯(前半/後半)の変化を合わせて示します。 当然ながら曲によって、テレビバージョンのパフォーマンス時間は変わりますので、多少の時間の差は誤差の範囲と考えてください。 搭乗時間帯の変化が「-」となっている場合は、前回と今回で移動がなかったことを表しています。

前半/後半歌手名タイトル歌唱
(パフォーマンス)
時間
前回との差登場時間帯の変化
前半 関ジャニ∞ ズッコケ男道~紅白で夢を歌おう~ 2:25 -0:13
AAA ハリケーン・リリ、ボストン・マリ 2:01 -0:04
E-girls DANCE WITH ME NOW! 2:05 +0:04
三山ひろし 四万十川~けん玉大使編~ 2:22 -0:03
山内惠介 流転の波止場~究極の貴公子編~ 1:58 -0:13
miwa 結 -ゆい- 2:14 +0:14
Sexy Zone よびすて 紅白 '16 2:17 -0:04
天童よしみ あんたの花道 2:14 -0:40
SEKAI NO OWARI Hey Ho from RPG 2:37 +0:13
三代目 J Soul Brothers Welcome to TOKYO 2:28 -0:34 後半→前半
椎名林檎 青春の瞬き -FROM NEO TOKYO 2016- 5:28 +1:54 後半→前半
郷ひろみ 言えないよ 2:27 -0:01
V6 Smile!メドレー 2:36 -1:19 後半→前半
水森かおり 越後水原~白鳥飛翔~ 2:20 -0:18 後半→前半
いきものがかり SAKURA 2:59 +0:02 後半→前半
ゆず 見上げてごらん夜の星を~ぼくらのうた~ 2:34 -0:13
後半 乃木坂46 サヨナラの意味 2:32 +0:27 前半→後半
福山雅治 2016スペシャルメドレー 4:38 -0:42
島津亜矢 川の流れのように 2:51 +0:06 前半→後半
西野カナ Dear Bride 2:10 -0:10
AKB48 夢の紅白選抜SPメドレー 4:37 -0:12
五木ひろし 九頭竜川 2:33 -0:32
Perfume FLASH 2:40 +0:12
星野源 3:44 +1:39 前半→後半
坂本冬美 夜桜お七 3:21 +1:04 前半→後半
TOKIO 宙船 2:44 +0:02
松田聖子 薔薇のように咲いて 桜のように散って 4:22 +0:48
X JAPAN 4:04 -0:40
髙橋真梨子 ごめんね… 3:51 -0:40
氷川きよし 白雲の城 3:08 +0:43 前半→後半
石川さゆり 天城越え 3:48 +0:31
嵐×紅白スペシャルメドレー 5:42 +0:38

 何が言いたいかというと、前半戦から後半戦へ移った歌手は、だいたい目に見えて歌唱(パフォーマンス)時間が長くなり、後半戦から前半戦に移った歌手は逆に短くなってるね、ということ。 例外は、2016年リオから2020年東京にひっかけて、前半戦の20時16分から20時20分にかけてパフォーマンスしたと言われている椎名林檎。 感想にも書きましたが、乃木坂46星野源のようにヒットして後半戦へ移動し、さらにパフォーマンス時間が長くなるのはうれしいことです。 は、まだ長くするか…。 そろそろ、1曲にしぼるとか、その年の新曲のメドレーにしてもいいんじゃないかなあ。