瑞牆山( 瑞牆山:2,230m ) 2001.11.22 登山


  瑞牆山頂より南アルプス、八ヶ岳 (編笠山)( 2001.11.22 )

【瑞牆山再登山記録】

【瑞牆山再登山データ】

フォト

初回登山


瑞牆山再登山記録

12年ぶりに瑞牆山に登ってきた。
新規の百名山は遠いところにある山しか残っていないため なかなか登るチャンスに恵まれず (というか努力を怠っているというのが真相) 近頃は一度登った百名山を再登山することが多くなりつつあるが、 この瑞牆山もその一環と言えよう。

前回登ったのは夏、今回はもう冬に近い晩秋ということだが、季節の違いも大きいものの、やはり天候の違いがかなり山への印象を違うものにさせていると、 下山後に感じた次第である。
特に、 前回 頂上はガスの中でほとんど展望を得られなかったのに比べ、 今回は頂上からほぼ 270度 ? の大展望を得ることができ、 眼下に広がる山々や平地、 その先に立つ八ヶ岳や南アルプス、 北アルプスの山々、 そして目の前の金峰山の大きな姿に、 目を見張る思いであった。
また、 平日の登山だったことから頂上の広々とした岩場は私の独占状態で、 岩場に立って下界を眺める気分は まさに城から国を見下ろす王様のそれであった。

家を出発したのは 4時過ぎ。 空には雲一つなく、星が瞬いている。
いつも通り八王子ICから中央高速道に乗って須玉ICで降りる。 清里方面に向かいながら 3つ目 (もしかしたら4つ目) の信号を右折、 増富鉱泉を目指す。 道なりに進み、短いトンネルとトンネルの間にあった右折路を曲がる。 そして着いた所が増富鉱泉。 12年前とはバス停の雰囲気なども随分変わっている。

増富鉱泉からはいよいよ 本谷林道、そして途中から釜瀬林道 (クリスタルライン) に入り、金山平経由で瑞牆山荘前へと向かう。道もやや狭くなり、対向車が来たら 擦れ違えないような所もあったのだが、 この日は平日の早朝ということもあって 1台も擦れ違うことなく山荘前に着くことができた。

イヤー、それにしても増富鉱泉から瑞牆山荘までの距離の長いこと。前回は親切な母子連れのワゴン車に乗せてもらうことができ、往路は歩かずに済んで大変ラッキーであったが、 帰りは大雨の中の歩きとなり大変難儀をしたのであった。 こうして改めてこの道を辿ってみると、 あの母子の親切が本当に身にしみる。

さて、一旦は山荘前の道路脇スペースに車を止めかけたのだが、よく見ると、山荘前から駐車場を示す標識と道がでているのに気がついた。無論 駐車場は 12年前はなかった訳で、 戸惑いながら道を進んでみると、 少し登った所には有に 100台は止められるであろう大駐車があったのである。 時の流れを感じずにはいられない。

身支度を整え、駐車場にある地図横から樹林帯に入る (7時丁度 発)。ここは正規の道ではないらしく、道はまだあまり踏まれていない状態で、枯れ葉がかすかにへこんでいる といった程度である。 そして、途中からそのかすかな踏み跡も 落ち葉に隠れて分からなくなってしまったのであったが、 どこを通ろうとも、そのまま まっすぐ進めば本来の登山道にぶつかる訳で、 迷うことはない (色々な所を歩き回るのはあまり感心しないが・・・)

正規の登山道に合流した後は、大きな岩の間を抜けるようにして緩やかに登っていくことになる。
やがて林道を横切り、 そこからは先ほどよりも急な斜面をジグザグに登っていくことになる。 確か記憶では富士見平山荘に着く前に里宮神社があったはずと思っていたら、 登山道よりやや左の方に里宮神社への道があり、 鯨が横たわっているような大岩の根本に里宮神社があった (7時24分) 岩がひさしのようになった場所に祠があり、 前回と同様、今回も山旅の無事を祈ったのであった。

再び登山道へと戻って落ち葉の道を登っていくと、やがて尾根筋にたどり着く。
左手にあるカラ松の樹林越しに瑞牆山の岩峰を見ることができる。 暫く登れば富士見平山荘のある富士見平で、 木造の小屋が朝日を浴びて輝いている。 晩秋の朝日は柔らかく周囲を黄色に染め、 まるで古い写真を見ているようである (7時38分)

瑞牆山に行くにはこの富士見平山荘前を左に進むことになる。カラ松林の中を緩やかに登っていくと、やがて樹相が変わり、一帯は暗い原生林の中の道となる。 この辺になると道はほぼ水平でペースが上がる。
暫く進むと左手の樹林越しに瑞牆山が見えるようになってきたのだが、 朝日が当たり始めている岩峰は輝き過ぎていて、 暗い場所にいる私の所から写真を撮るのはなかなかテクニックが必要である (案の定、写真はうまく撮れなかった)

岩場の道はやがて右手に小川山への道を分け、そこから天鳥川源頭への急下降が始まる。
天鳥川は冬場というのに意外と水量が多い。 それでも確実に冬は近づいているようで、 岩の一部にはもう氷が貼り付いていた (7時53分)

さてここからは一気に瑞牆山への登りが始まる。
瑞牆山への取り付き口には 昔の記憶通りの真っ二つに割れた大岩があり、 登山道はその右にある階段を登るところから始まる。
この辺は日が当たらずに暗い。 涸れ沢を登り詰めるように進むのだが、 周囲に誰もいないだけに気味悪さが漂う。
水の流れが時々現れるが、流れが細い割にはまだ凍っていない。 登山道には赤ペンキの目印が切れ間なく付けられているので迷うことはないが、 結構踏み跡は左右に広がっている。

やがて 2つめの階段が現れたのだが、どういう訳かこの階段を登るのにふらついてしまった。どうも本日の体調はあまり良くないようである。倒木などに気をつけながら高度を稼いでいくと、 やがて登山道にも日が当たるようになり、 明るくなった周囲に心も弾む。
シャクナゲなどの低木帯を登りながら振り向くと、 富士山が樹林越しに見えるようになった。 やや逆光気味ではあるが、 やはり富士の姿は美しく、 またその姿を見ると何故か嬉しい。
上を見上げればそそり立つような岩が青空に突き出している。 あれがヤスリ岩であろうか。

前回登った時はアッと言う間に登り終えた気がしたこの道も、今回は長く感じる。
そう言えば前回は金峰山から下山後、 荷物を富士見平に置き、 カメラ 1つ持っただけで往復したのであった。 今日はザックを担いでいる分だけ遅くなっているのかもしれない (遅くなったのは決して年齢の所為ではないと思うが・・・)

先ほど見えたそそり立つような岩は大ヤスリ岩の前衛のような岩であり、大ヤスリ岩はその後ろに高く聳えていた。その右下を通過していくとやがて西峰との鞍部にたどり着く。 この辺は日が当たらないのであろう、 周囲に雪が残っている。
やがて黒森方面への分岐と合流し、右手へ回り込むように進む。 右手の岩場に木が立てかけてあり、 本来そこを登って岩の上に乗り、 そのまま頂上に至るのが正しいルートであるが、 ようやく頂上に近づいてきたという安堵感があったのだろうか、 それに気づかずに通り過ぎてしまい、 最終的にシャクナゲと岩の斜面をよじ登ることになってしまった。 やはり最後まで油断は禁物である。

樹林から抜け出して飛び出した頂上は明るい (8時51分)。頂上は大きな花崗岩からなり、先の方は絶壁となっている。展望は冒頭に述べたように抜群で、 先に述べた山々の他、 富士山浅間山 小川山を見ることができた。 さらに御 嶽までが見えたのは驚きで、 何か得をしたような気分になったのであった。
また、周囲の岩峰群も秀逸で、 特にヤスリ岩はグッと突き上げた姿が魅力的である。 誰でも立てるこちらの頂上とは違って、 選ばれし者だけが立てるその頂は、 征服したロッククライマーの優越感を満たしてくれるに違いない。
頂上の様子は前回とほぼ同じであったが、 前回なかったものとして方位盤がある。 これを見れば四方の山がほぼ同定できるので便利なのであるが、 見えない国師ヶ岳 (見えなかったと思うのですが) までが方位盤に書かれていたのはチョット興ざめであった。

いつもお世話になっている 藤本 一美、田代 博著 「展望の山旅 (実業之日本社)」 に、『山は見おろすよりも、仰いで見るほうがずっと立派である。富士山から見る周囲の山々がさえないのも、 エヴェレスト山頂からの展望写真がものたりないのも、 すべてを下に見てしまうからであろう。 山岳展望のなかに、一つでも視点より高い山があれば、 迫力は格段に違ってくるもので、 この瑞牆山のパノラマにしても金峰山があってこそ、 見られるものなっている。』 という行 (くだり) があるが、 けだし名言である。 まさにここから仰ぐ金峰山の迫力は素晴らしく、 逆光気味ではあったものの大日岩、千代ノ吹上げ、五丈岩、 そして頂上へと徐々に高さを上げていくその組み合わせが手に取るように分かり、 また山腹に既に雪を抱くその大きな姿は、 奥秩父の盟主に相応しい堂々たるものであった。

頂上を独り占めしているのを良いことに、もう少し暖かければ岩の上でトカゲを決め込みたいところであったが、あまりゆっくりもしていられない。今日は、 漠然とした計画ではあるが もう一山、 御座山を登るつもりでいるからである。 時間はまだ 9時を回ったばかり、 ここから御座山登山口である北相木村の白岩までどれくらいかかるか分からないが、 できるだけ早く下山するに越したことはない (9時15分発)
往路を脱兎の如く下る。 そう言えば前回も下りは異常に早かった気がする。

平日であることからこの日は誰にも会わないかなと思っていたらとんでもなかった。下山時に擦れ違ったのは団体さんも含めて 15人ほどであった。しかも、 皆お年寄りかご婦人ばかり。 私も早くそのような身分になりたいと密かに思ったのであったが、 それほど平日登山は静かで気分が良い。
独り占めして天下を取った気分に浸った瑞牆山頂も、 恐らく土日は人々で一杯であろう。 本当に平日登山が病み付きになりそうである。

なお、駐車場に着いたのは 10時23分であった。 以下、御座山登山記録 へ続く


瑞牆山再登山データ

上記登山のデータ登山日:2001.11.22 天候:快晴単独行日帰り
登山路:瑞牆山荘前駐車場−里宮神社−富士見平−天鳥川源頭−瑞牆山−天鳥川源頭−富士見平−瑞牆山荘前駐車場
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央高速道路)−須玉IC−増富鉱泉−金山平−瑞牆山荘前駐車場 (車にて)
交通復路 以下 御座山登山記録 へと続く


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