金峰山・国師ヶ岳( 北奥千丈岳:2,601m ) 2001.07.08 登山


  国師ヶ岳頂上から北奥千丈岳( 2001.07.08 )

【金峰山・国師ヶ岳登山記録】

【金峰山・国師ヶ岳登山データ】

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金峰山・国師ヶ岳登山記録

先日登った小川山は、 金峰山荘から出発して小川山頂上を踏んだ後、八丁平経由で下山してきたのであったが、八丁平から下り着いた所が中ノ沢出合である。 この中ノ沢出合から左に進んで林道を辿れば(中ノ沢出合が林道終点)金峰山荘の前に戻れることとなり、 右に進んで沢を渡り 山に取り付けば、金峰山へと至るという訳である。

従って、中ノ沢出合には当然の如く金峰山登山口を示す標識が立っていたのであるが、 私は小川山からの下山時、この標識に書かれていた金峰山まで 2時間30分という文字に軽いショックを受けたのであった。 何と簡単に金峰山に登れることであろう !!

私が最初に金峰山に登ったのは山梨県側からで、 瑞牆山荘前から仲間 1人と 11時過ぎに登り始め、途中雨と雷に怯えながらその日は頂上を踏むのをあきらめ、 金峰山小屋へと直行し、金峰山登頂は翌日回しとなったのであった。
そのためであろうか、金峰山は何となく遠い山という感覚を植え付けられてしまったようで、 今、冷静に地図を見直してみると瑞牆山荘前から 4時間10分、決して日帰りが不可能な山ではないことが分かるのだが、 この小川山登山時までは金峰山への日帰り登山は無理と決めつけていたのであった。
ところがそんな感覚をうち砕いてくれたのが、この中ノ沢出合からのコースで、小川山登山の所要時間を参考にすれば、 金峰山日帰り登山は楽勝であり、金峰山が本当に身近に感じられたのである。 従って、この金峰山荘から金峰山に登るというコースが、この時点で私の登山コース候補リストの 1つにインプットされたのは言うまでもなく、 早速、梅雨の晴れ間の 7月8日の日曜日、このコースを辿ることにしたのであった。

小川山登山で見知ったため、金峰山荘までの行程は大変スムーズで、 金峰山荘にある広い駐車場にクルマを止めたのが 7時少し過ぎ。身支度を整え、駐車場を出発したのは 7時7分であった。

まずは、小川山からの下山時に歩いた西股沢沿いの林道を進む。道は緩やかな登りで、 最初の運動としては丁度良い感じである。上空には青空が拡がり、太陽が照りつけ、とても梅雨時とは思えない。
この林道は中ノ沢出合が終点と前述したが、実際はもっと手前までしか林道の様相は呈しておらず、途中からは水害にあって崩壊したのであろうか、 かつて林道だったらしい箇所が所々見られる山道となる (中ノ沢出合には廃車が置かれていたので、やはりかつて林道は中ノ沢出合まで延びていたというのが正しいと思う)

例の標識がある中ノ沢出合に着いたのが 7時51分。水の流れていない沢を渡ってから、 山を巻くようにして左へと進む。涸れ沢の上を歩くような道が暫く続いたかと思うと、堰堤の先で右手の山に取り付くこととなった。道はさほど急ではなく、 しっかり踏まれている。

やがて枝沢に入り込むようになって沢沿いに登っていくと、親切にも 「最後の水場」 の標識があり、 そこからは沢を離れて針葉樹林の中を進むようになった。
暫く黙々と登り続けると尾根筋で、樹林の間からは瑞牆山の特徴ある姿が見える。 ただ、この頃になると今まで晴れていた空も徐々にガスに覆われだし、視界があまり得られなくなってきたのであった。

急な坂を登り詰めていくと突如 「中間点」 の標識が現れ、 そこには 「金峰山まであと 1時間20分」 と記されていた。今、8時22分であるから 10時前には頂上に立てる計算である。
木の根が剥き出しになって滑りやすい斜面を喘ぎながら登りきると、やがて小さなピークを越し、周囲の木々にもシャクナゲやシラビソなどが多く見られるようになり、 雰囲気が大きく変わってきた。
一旦下りにかかるところで樹林の間から金峰山が見えたが、それもつかの間、 ガスが周囲を覆ってしまってシャッターチャンスを逃してしまったのが残念である。
一旦下りきると、暫くは平らな道が続いたので身体の方もかなり楽であったが、目の前にある金峰山への登りを考えるとまだ油断はできない。

空はほとんど曇り空へと変わり、樹林帯の中もやや暗く見える中、 いよいよ金峰山の尾根に取り付き、急な斜面をジグザグに登ることとなった。ただ、道は思ったよりも急ではなく、 ゆっくり登っていけば高さをドンドン稼げることとなる。
やがて、急登の中、樹林越しに上を見ると屋根らしきものが見え隠れしてきた。金峰山小屋らしいが、意外と呆気なく着いてしまった感じである。
樹林を抜け出すと目の前の高みに立つのが金峰山小屋で、小屋横にある大きな特徴ある岩が懐かしい (9時3分着)

私の記憶が正しければ、昔の金峰山小屋の入口はこの大きな岩の向かい側にあったはずであるが、 今は入口は北側に付けられており (東側にもあったのかもしれない)、また蒲鉾型だった小屋の形も全く変わってしまっていて戸惑うばかりである。 考えたら 10年以上の歳月を経ているのであり、当時この小屋の管理人だった林さんも今はもう居ない。

小屋前からは、ガスがかかってはいたものの、正面に小川山が見え、その左手には瑞牆山も見える。 暫し小屋前で休んでから、いよいよ金峰山である (9時12分発)
前回は夜明け前に小屋を飛び出したため、暗い中の登りであったが、今回はハイマツと白い岩の道を、時々瑞牆山方面の景色を楽しみながら登る。

仰ぎ見れば、頂上は時としてガスに覆われ、本日は頂上からの展望を期待できないようである。
赤ペンキに導かれながら石の道をジグザグに登ること 15分。9時27分に山頂に飛び出した。

山頂に飛び出した場所には見覚えある三角点もあり懐かしい。昔はこの三角点の横にある岩の上によじ登り、 甲武信岳方面からのご来光を仰ぎ、 雲に浮かぶ富士山 目の前の五丈岩の色が朝日でドンドン変わっていくのを楽しんだのであったが、 案の定、本日はガスにより山頂からの景色は全く得られない。

頂上標識の所で暫く休んだ後、荷物を置いて、岩の上を飛び渡りながら五丈岩方面へ行ってみた。
五丈岩は当然ながら昔通りの姿を見せてくれていたが、岩の前の平地には真新しい 「山梨百名山」 の標識と方位盤が置かれており、 ここでも時代の流れを感じさせられたのであった。

さて、本日の登山はこれでは終わらない。ちょっと無謀のような気もするが、一旦大弛峠へと向かい、 大弛峠から国師ヶ岳への往復を果たすことも、本日のもう 1つの目的である。

ザックのところまで戻り、そのまま岩のトンネルを潜って大弛峠方面へと向かう (9時50分発)
暫く岩の間を進むと、すぐに気持ちの良い稜線歩きが待っており、やがてケルンが積まれた東肩へと出た。本来ならここも良い眺めの場所なのであろうが、 この日、周囲は真っ白である。

東肩から右へと折れ、ハイマツの中を一気に下る。
振り返ればもう金峰山山頂はガスの中で、全く見えない。暫くすると平坦な樹林帯の中の道が続くようになり、 この後、鉄山を巻いて進んだらしいのだが、ガスのため展望がほとんど得られなかったことから、いつの間にか朝日岳西のコルであった。 ここからは朝日岳へのガレ場の登りである。
ガレ場は、危うい均衡のもとに岩がそれぞれ位置取りをしているといった感じで、ちょっと足を滑らせれば岩が崩れ落ちそうである。登りながらどういう訳か、 男体山のガレ場登りを思い出したが、男体山では眼下に中禅寺湖が見えたのに対し、 ここではガスの中、見えるはずの金峰山は全く見えない。

ガレ場を登りきるとそこにはベンチが置かれており、朝日岳頂上はその少し先であった (10時28分)。 標識のある場所は樹林に囲まれてほとんど展望もなく(尤もガスにも囲まれていたが・・・)、 展望を得るのなら先ほどのガレ場を登り切ったところが良いらしい。
この朝日岳は展望もなかったこともあり、さらに今日の行程は長いということで、ほとんど休まずに通過である。

朝日峠からの下りはどういう訳か大きな岩が積み重ねられた岩場で、 皇海山に登る際に林道脇に見られた天狗の投げ石を思い出す。 岩場を下りきると再び樹林帯で、やがて朝日峠の標識を過ぎるとシラビソの樹林帯が続くことになった。展望がほとんど得られない中、黙々と歩いていくと、 やがて駐車しているクルマが樹林の間から見え、大弛峠へと飛び出したのであった (11時5分)

大弛峠にはかなりのクルマが止まっていたが、ここから金峰山や国師ヶ岳を手軽に往復できるのでかなり人気があるようである。 しかし今は、山梨側からの道は途中で通行止めになっており、廻目平からのみ通行できるようである。
峠で少し休んでから大弛小屋の前を通って国師ヶ岳へと向かう (11時10分)
小屋の前に掛けられていた標識に国師ヶ岳まで 0.4hとある。恐らく 40分と言いたかったのであろうが、これでは 24分で、 とてもではないが無理である (チョット嫌味か・・・)

小屋の裏手から再び急登が始まったが、大弛峠まで下って精神的に解放された身体にはややきつい。
途中で夢の庭園への道が分かれていたのだが、当初、夢の庭園経由でも国師ヶ岳に行けるとはつゆ知らず、そのまま通り過ぎて先へと進んだ。
やがて前国師と書かれた赤茶色の板が岩に立てかけられている前国師で、右手の方に丸い山見える。どうやらあれが北奥千丈岳らしい。 また、ガスの中、左手奥の方にも高みが見えたが、こちらが目指す国師ヶ岳らしい。

良く踏まれた道をやや下っていくと、やがて三繋平で、ここは北奥千丈岳への分岐になっている。
まずは国師ヶ岳を目指すべく先へ進むと、ほんの僅かな登りで急に目の前が開け、例の 「山梨百名山」 の標識が目の前に見えてきた。 国師ヶ岳頂上である (11時44分)

頂上は南面が大きく開けており、本来ならばそこから金峰山八ヶ岳、 そして南アルプスの山々が見えるはずなのだが、この日は生憎のガスでほとんど展望が得られない。かろうじて南西方面向かい側に北奥千丈岳が見えるだけである。

三角点を踏み、記念写真を撮った後、頂上に居合わせた 2人の男性と話をしたが、 聞けば山梨側から大弛峠を目指し、途中の通行止めの所から車道を歩いて登ってきたのだ とか・・・。そういうルートもあるのかと、 少々驚きと新鮮さを感じたのであった。
その 2人の男性はあまり登山経験がないようであったが、しきりにこの国師ヶ岳の素晴らしさに感心しており、これから山の中毒患者になりそうだったので、 つい私も嬉しくなってしまった次第である。
確かに展望は得られない国師ヶ岳ではあったものの、それでも秩父の山を感じさせ、なかなか風情がある。大弛峠から近すぎるのが逆に欠点かもしれない。
永年の念願が叶ったということで大変満足であったが、1つ、頂上で小蝿がうるさいのが興ざめであった。

一旦、三繋平まで戻り、今度は北奥千丈岳へと向かう (国師ヶ岳 12時発)
北奥千丈岳は、国師ヶ岳からわずか 6分ほどの距離で、ここが奥秩父の最高点であるとは思えない、穏やかな頂上であった (12時6分)

後ろには朝日岳・金峰山への稜線が途中まで見え、 その後はわき上がるガスの中であったが、こういうガスがわき上がる山も久しぶりのような気がして、これはこれでなかなか良い。
ガスが上がり、金峰山が見えるのを 20分近く待ったが、ガスは止まるところを知らず、結局あきらめて大弛峠へと下ったのであった (12時26分発)

途中、今度は夢の庭園経由のコースをとった。夢の庭園は花崗岩とシャクナゲ、 ハイマツなどがおりなすその名の通り自然の庭園で、シャクナゲの咲く頃 (6月半ば) や秋の紅葉期に来れば素晴らしさももっと増すものと思われる。

大弛峠に戻り着いたのが 12時53分
いよいよ苦痛が予想される大弛峠から廻目平、金峰山荘までの車道歩きである。車道は途中まではかなりのデコボコ道で状態が悪く、 車高が低いクルマやサスペンションの柔らかいクルマは下をこすってしまうような道である。

この頃になると皮肉なことに太陽が時々顔を見せ出し、ジリジリと首筋や腕を焼き始める。
ペットボトルに水を入れて凍らせたものを持ってきたのがここでは大いに役立ち、元気を与えてくれた。しかし、道は長く、いつまでたっても終わらない。
途中、親切なご夫婦がクルマを止めて乗ることを勧めてくれたのだが、ここまで下ってくると何か逆に意地のようなものが芽生え始め、 最後まで歩こうという気持ちが出てきて、つい断ってしまった。折角の申し出をお断りしてしまい申し訳なかったが、ご夫婦の親切には本当に感謝する次第である (その後十数台のクルマが私を追い越していったが、 声を掛けてくださったのはこのご夫婦だけでした)

しかし、クルマに乗ることを断ってからの道のりは非常に長く、断ったことを後悔する程の辛さであった。 途中ヘアピン続きの状態の所では、林を横切ってのショートカットを行うなどして 歩行距離の短縮を図ったのだったが、それも 「マムシ注意」 の札書きを見てからは忠実に林道だけを歩くことを余儀なくされ、 本当にうち続くカーブには辟易とさせられたのであった。

本当に長い長い林道をテクテクというか、トボトボと歩き、足がいい加減棒になり始めた頃、 左手の林の中をクルマが走っているのが見えてきた。これには思わず喜びの声を上げてしまった。というのは、金峰山荘への道は廻目平からV字型に戻るようになっており、 従って林の中にクルマが見えたということは、その廻目平が近いことを示しているからである。
やっとの思いで廻目平に着いたのが 14時42分。そこから金峰山荘への道は、緩やかな登りであったのだが、 私には 本日のどの登りよりも辛いものがあった。
金峰山荘を過ぎ、駐車場にたどり着いたのが 15時3分。本当に足が棒のようであり、足の裏は水ぶくれでヒリヒリの状態であった。

この日はチョット無理をし、厳しい行程であったが、念願の国師ヶ岳にも登れたこと、 またかなりハードなコースを自分の足だけで歩き通したことに密かな自信を得たのであった。
天候だけがやや残念であったが、これも登山。良しとしたい。


金峰山・国師ヶ岳登山データ

上記登山のデータ登山日:2001.07.08 天候:晴れ後曇り、時々晴れ単独行日帰り
登山路:金峰山荘−中ノ沢出合−中間点−金峰山小屋−金峰山−金峰山東肩−朝日岳−朝日峠−大弛峠−三繋平−国師ヶ岳−三繋平− 北奥千丈岳−三繋平−夢の庭園−大弛峠−廻目平−金峰山荘
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央高速道)−須玉IC−川上村−廻目平−金峰山荘 (車にて)
交通復路金峰山荘−廻目平−川上村−須玉IC−(中央高速道)−勝沼IC −(国道20号線)−相模湖−三ヶ木−半原−厚木−(国道246号線)−瀬谷 (車にて)
その他の
国師ヶ岳
登山
川上牧丘線柳平ゲート前−千貫石−鶏冠山林道分岐−大弛峠−大弛小屋− 夢の庭園−前国師−国師ヶ岳(往路を戻る)  (2012.04.28 : 快晴)
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川上牧丘線柳平ゲート前−千貫石−鶏冠山林道分岐−大弛峠−大弛小屋−夢の庭園−前国師−国師ヶ岳(往路を戻る)  (2013.05.05 : 晴れ)
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大弛峠−前国師−三繋平−国師ヶ岳−天狗尾根分岐−天狗岩−鶏冠山林道 (西線)−白檜平−(石楠花新道)−奥千丈岳−北奥千丈岳−三繋平−夢の庭園分岐−夢の庭園−夢の庭園分岐−大弛峠  (2017.07.19 : 曇り時々晴れ)
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