よくある質問

1997.06.20
  1. ギックリ腰を起こしたときの、自分でできる対処法と 注意事項について教えて下さい。
  2. カイロプラクティックの治療を受けたいのですが、 70才を過ぎていても大丈夫でしょうか?
  3. 治療を受ける前に、特に気を付けることはありますか?
  4. アジャストを受けた後に気をつけることは?
  5. ギックリ腰や膝が痛むときには、冷やすの? 暖めるの?
  6. カイロプラクティックと整体の違いは?
  7. コルセット : 使うべきか捨て去るべきか?
  8. ソフトカイロとは?
  9. カイロプラクティックに健康保険は適用されないの?
  10. 背骨をボキボキしても大丈夫?

Q1.ギックリ腰を起こしたときの、自分でできる対処法と注意事項について教えて下さい。

A1.痛みが強くて、とても起きあがれない場合には:

安静にして横になっているのが最も無難です。寝るときの姿勢は、 仰向けよりも横向きが良いでしょう。痛みの少ない方向を探し、 股関節と膝を軽く曲げた状態で、横になっていて下さい。仰向けや うつ伏せで寝ると、ずれている関節に体重がかかり、痛みが増悪 することが多いので、この姿勢で寝るのは避けた方がよいでしょう。

・このときに、できれば、アイスノンか氷で、痛む部位を 10分間だけ冷やす。
・1時間のインターバルをおいて、また10分間冷やす。
・この操作を一日に4~5回行なう。

ただし、安静にして横臥しているのは、せいぜい2~3日を限度に して下さい。それ以上長期にわたって横臥姿勢を続けていると、 足腰の筋肉が弱り、かえって腰痛を長引かせることがあります。

A2.とりあえず起き上がれる状態で、 家事や仕事が何とかこなせる状態の時には、 次の姿勢を崩さないように極力努力する。

a.お臍を前に突き出し、お尻を持ち上げる。
この姿勢は、腰部の脊柱を前弯させている状態です。 さらに、ベルトの高さのあたりの腰背部の筋(脊柱起立筋)に 力を入れて、腰部の前弯を崩さないように努力する (自分の筋肉で、ずれている骨を守ってやるつもり)。

腰痛に関する章で説明した通り、腰椎はほとんどの場合、
後方へ変位します。 この姿勢ですと、腰椎を後方へ押す力は作用しません。

逆に、脊柱起立筋の力を抜いて腰部を後方へ丸めた状態ですと、 筋肉の補助がなくなる上に、体重によって、関節面に沿って 椎骨を後方へ押す力が作用することになります。

起立筋を弛めたままで(背中を丸めて)生活する習慣をつけて しまいますと、「使わないものは直ぐに衰える」法則通り、 起立筋は衰弱し、脊柱の関節も固着してしまって、歳を取るに つれて、やがては脊柱を真っ直ぐ立てて生活することができなく なり、背中が丸くなって固着してしまいます。これが 「老人性円背」といわれているものです。骨粗鬆症による脊椎の 圧迫骨折が加わると、この円背がひどくなります。

ついでに云いますと、腰部の伸展姿勢が、二足歩行で脊柱を 重力に対して適応させる唯一の方法だと、筆者は考えています。 そしてこの姿勢が、あらゆるスポーツ、武術などの最も基本的な 姿勢ではないかと考えています。

b.立っているにしても、座っているにしても、長時間じっとしないこと。

関節が変位して正常な動きが失われて痛みを引き起こしている のですから、じっとしていると、再び関節が固着し始めます。 (a)で説明した姿勢に気をつけて、できるだけ歩き回るように 心がけて下さい。一度に歩く時間は、20~30分程度が良いでしょう。 ただし、歩いてみて痛みがひどくなるようでしたら、 歩くのはそこで中止して下さい。


Q2.カイロプラクティックの治療を受けたいのですが、 70才を過ぎていても大丈夫でしょうか? 治療によって背骨が折れるような危険はありませんか?

A.全く大丈夫です。問題ありません。乳幼児でも、90才の方でも アジャストは可能です。「病院の検査で骨粗鬆症が進んでいると 云われましたが、大丈夫でしょうか?」と心配なさる方も時々 おられますが、経験を積んだ熟練カイロプラクターなら、 まったく心配ありません。

瞬間的な押圧(スラスト)による 方法でも、熟練すれば、ごく軽い力で矯正できますし、スラスト を用いない穏やかなアジャスト法もたくさんあります。

ただし、未熟な治療師にかかった場合には、これらのことは 保証できません。「どこへ治療にゆくか、治療院の選び方」を参考になさって、腕が確かで自分と相性の良い先生をお探し下さい。


Q3.治療を受ける前に、特に気をつけることはありますか?

A.特に気をつけることはありません。
これは、病院や鍼灸院に治療を受けに行くときの場合と 全く同じです。


Q4.アジャストを受けた後に気をつけることは?

A.次のようなことに注意して下さい。
・アジャストを受けた当日は、過激な運動や、長時間のドライブは 避ける。

・治療が終わったあとに買い物をして、重い荷物を持って帰る などということも避けて下さい。

・痛みが強いときや、初めての治療の場合には、当日の 入浴を避けた方が良いこともあります。これについては、担当の 先生にお尋ね下さい。

・治療効果の表れとして眠気や空腹感、脱力感に襲われることが ありますが、心配ご無用です。何もしなくても一晩たてば自然に 解消されます。

・治療を受けた当日は、できるだけ早くお休み下さい。 また、体調がすぐれないときにも、できるだけ睡眠を長くとる ように心がけて下さい。治癒力は貴方が寝ている間に力を発揮 しますので、睡眠時間が短いと、治癒力が充分に働けません。

・歩くことは、関節機能を改善し、健康を維持するためのイロハ です。身体の正常なリズムを取り戻すために、矯正後もいつもと 変わらない歩幅で大いに歩いて下さい。但し、どんな運動でも 姿勢でも、痛みが出たら、それ以上続けないで、そこで止めて 下さい。
Q5.ギックリ腰や膝が痛むときには、患部を暖めた方がよいと 云う人と、冷やした方がよいと云う人とマチマチです。 一体どっちが本当なのでしょうか?私も時々腰が痛くなることがあり、 そのときには使い捨てカイロを腰にあてると気持ちが良いので、 そうしているのですが、構いませんか?

A.一般的には、急性痛のある部位へのホット・パック (使い捨てカイロ)や、長時間の入浴、飲酒は避けて下さい。 これは、矯正した関節周囲の筋肉や靱帯への血行を促進し 過ぎることによって筋肉・靱帯が弛緩し、その結果せっかく 矯正した関節の固定力が低下して再び変位を誘発することを 避けるという考えのほかに、
*炎症を悪化させない、
*関節周囲の腱や靱帯に分布している固有受容器(関節の 角度や位置を検出しているセンサー)を狂わせない、
という目的もあります。慢性痛の場合には、ケース・ バイ・ケースで対応が違ってきますので、実際に施術 してもらっている先生にお尋ね下さい。

☆これとは逆に、患部を冷やすことに関して説明しておきます。 一般的には、脊柱や手足の関節の急性痛の場合には患部を 冷却した方が良いことが多いようです。
ただし、腹部の急性痛には、これは当てはまりません。 冷やすことも温めることもせずに、できるだけ早く病院で 診察を受けて下さい。

私が患者さんにお奨めしている方法は次の通りです。
・フリーザーで充分に冷やしたアイスノンを薄い布で包み (直接皮膚に当てないこと)、患部へ当てる。
・冷たく感じだしてから10分経過したら、アイスノンを取り除く。
・1時間あいだをあけた後に、再びアイスノンを10分間だけ 患部に当てる。
・この操作を一日に4~5回行なう。


Q6.近ごろ街を歩いていると、整体とカイロプラクティックの看板が やたら目につくようになりました。一度治療を受けてみたいと 前々から思っているのですが、この二つはどこがどう違うのですか?

A.大正時代の初めにカイロプラクティックとオステオパシーと いう骨格を矯正する手技療法が日本に紹介されたときに、 これらの手技療法の訳語として考え出されたのが、「整体」 という言葉なのです。

その当時、この整体を学んだ人たちの中から自分の流派を 唱える人物が多く出現し、現在ではさまざまな流派がある ようです。

現在の各種整体の治療法は、その当時のカイロプラク ティックやオステオパシーの矯正手技が主であると いえます。
一方、我々が広めようとしているカイロプラクティックは、 大正時代以後に発達した最新の理論と矯正テクニックなのです。 詳しくは、「日本での教育と普及活動」をお読み下さい。


Q7.以前ひどい腰痛をわずらったときに、整形外科でコルセットを 誂えるように云われ、高いお金を出して作ってもらったのですが(2~3万円)、 これを着けていると苦しくて、日常の仕事をこなすことができないので、 結局使いませんでした。
それよりも薬局で買った腰椎ベルトの方が、腰に巻いたときに 苦しくないので、もっぱらこちらを使っています。私のような 慢性腰痛の場合、コルセットや腰椎ベルトは普段から 着用した方がよいのでしょうか?これを着けていると何となく 安心ですので、今のところ毎日腰に巻いているのですが。 (65才・女性)

A.人体の諸機能は、外部から補助を加えますと、その機能は すぐに衰えてしまいます。たとえば、骨折時にギブスで固定 すると、固定されて使えなくなった筋肉は2週間で痩せて しまいます。そのため、ギブスを作り代えるねばならない 場合もあるほどです。

そのほか、様尿病でインシュリンを注射すると、 膵臓からのインシュリン分泌が停止したり、 腎透析を始めると、腎臓が萎縮することなどが挙げられます。

コルセットや腰椎ベルトは骨折の際のギブスに似た作用を 脊柱の筋肉に対して及ぼしてしまいますので、できるだけ 使わないで生活できるように、徐々に身体を慣らして行って 下さい。使用する場合には、どうしても痛みが強いときだけ 数日に限って用いるようにして下さい。

なお、カイロプラクティックで適切な治療を根気よく 続ければ、長年にわたる頑固な腰痛でも支障なく日常生活を 送れるようになります。もちろんコルセットや腰椎ベルト などからも縁が切れるようになりますよ。


Q8.最近「ソフトカイロ」という宣伝をよく見かけますが、 アメリカではこれが主流になっているのですか? 骨をボキボキさせるのは危険だと言う人が多いので、 それよりもソフトな治療の方が良いように思います。

A.10年ほど前から、いい加減なことを教わったカイロ プラクターが巷にあふれだし、乱暴な治療をする人が 増えたため、「骨をボキッとさせるのは乱暴で危険だ」 という誤った観念が広まってしまいました。

そこで、「骨ボキッをしない→ソフト→安全」という イメージを売り込むために単に「ソフトカイロ」という名称を でっち上げているだけのことです。
コンタクトレンズぢゃあるまいし、カイロプラクティックには ソフトもハードもありゃしませんぞナモシ。

熟練カイロプラクターが行なえば、「骨ボキッ」も充分 「ソフト」な治療になります。「骨ボキッ」をあまり用い ないSOTやAKという治療法もありますが、これらは 「ソフトカイロ」などという名前で呼ばれているわけでは ありません。「カイロプラクティックの主な治療体系」を参照して下さい。


Q9.カイロの治療費が高くて安月給の身にはつらいことがあります。 健康保険が適用されるようにはならないのですか?

A.現状では、カイロプラクティックは日本では公に認定された 医療法ではありませんので、業界にとっては免許制を確立 することが当面の目標になっています。健康保険が適用 されるかどうかは、その後の問題として当然出現してくる でしょうが、今のところは、残念ながら遙か彼方の問題と いわねばなりません。

一方で、カイロプラクティックの費用効率が病院に比べて 高いという調査報告が、たくさん提出されていますので、 「カイロプラクティックに関する調査・研究報告」をぜひお読み下さい。


Q10.カイロや整体では、背骨をボキボキ鳴らせていますが、 私は疲れたときや肩が凝ったときなど、自分でも身体をねじると ボキボキさせることができ、そのあとは身体がすっきりするので、 習慣的に鳴らせています。ところが、このボキボキに関しては、 やってはいけないという説と、あれでズレを治すからいいと いう説と、両方の噂を聞きます。自分でボキボキさせるのは 良くないのでしょうか?また、この音はどのようにして発生する のでしょうか?

A.自分で骨をボキッとさせても、力を加える方向が正しく ないと、ズレを治すどころか、ズレを余計にひどくする こともありますので、注意して下さい。そして、これを 習慣的に行なっていると、関節周囲の腱や靭帯が緩んできて、 関節を補強する力が弱まり、関節がゆるゆるになって しまう危険性がありますので(こうなると却って関節が ずれやすくなる)、この意味からも、「何が何でもボキッと いわせるぞ!」という習慣をつけることは、決してお奨め できません。

ついでに説明しておきますと、カイロプラクティックで 関節をボキッと矯正した瞬間に関節(骨)の位置が矯正 されているわけではありません。そしてカイロの治療法の 中には「骨ボキッ」を行わないものもあります。その瞬間に 改善されているのは、関節の固着状態が解消されているだけ なのです。「関節の位置」を矯正しているのは、その人の 持っている自然治癒力です。

言い換えると、矯正後に関節の可動性が改善されると、 生活の中で身体を動かすことによって、自然に関節の位置が 正常に戻ってくるのです。

ただし、骨ボキッによって、関節の固着状態はある程度 改善されますので、その結果、関節周囲の血行や神経機能の 改善が期待できます。「頸や腰の関節が固まってきたな」と いうことが身体で判ってしまう方は、なるべくそっと、 ゆっくりと関節を動かすようにして下さい。そうすれば、 ポキッと小さく音がするだけで、かなり気分がすっきりする でしょう。決して、一気に、しかも反動をつけて限度まで 動かさないように。

実は私もカイロの患者歴は20年になりますので、頸や腰の 関節が固まってくると、身体が矯正を欲してきますので、 自分で考案した独特の方法で矯正方向に軽い力を加える ようにしています。

また関節のボキッという音がどうして生じるのかは、
1)関節を急激に動かすと、関節内が急激に陰圧になり、 それが回復するとき、ボキッという音が発生するという説。
2)関節包の中が急激に陰圧になると、関節液中に溶解している 二酸化炭素ガスが急激に気泡となってガス化し、それが つぶされるときの音であるという説。
3)関節の靱帯が急激に動かされるときその周囲の骨と擦れる ときの音であるという説。

主に三つの説がありますが、どうも2の説が有力のようです。 1947年に、イギリスの解剖学者RostonとWheeler-Hainesが 「中手指節関節のクラッキング」という論文を発表しています。
これによると、手の中指の付け根の関節をゆっくり引っ張り ながら、レントゲンの連続撮影を行なったところ、 クラッキング(ボキッという音)と共に関節の隙間(関節腔) に黒い陰が観察されたそうです。この陰は、関節を牽引すると 関節腔の内圧が下がる

関節液(滑液)中の二酸化炭素の分圧に等しくなるところまで 下がると滑液中の主として二酸化炭素ガスが気化する。 (流体力学で言うところのキャビテーション=気泡化)

その直後に、滑液が低圧部へ急激に移動することによって、 その気泡が破壊され、このときにボキッという音を生じる。

という仕組みだそうです。一度気泡が発生すると、それが再び 滑液中に溶解するのに20分かかるということで、臨床上の 知見とも一致すると言うことです。

"カイロプラクティック・アーカイブス"へ

著作権所有(C)1996-:前田滋(カイロプラクター:大阪・梅田)