どこへ行くか?.....治療院の選び方

1996.10.31〜2003.03.10

下手なヤツほど看板がデカイ!

上の惹句(じゃっく)は、そのむかし筆者が腰痛をわずらっていた頃、 10年以上にわたって、あちこちの病院や治療院を巡り歩いた経験から たどり着いた結論です。治療院や病院を探しておられる方は、 この言葉を肝に銘じておいて下さい。

どこへ治療に行くか?現在のところ、これが最大の問題です。 統計上は日本にはおよそ一万五千人のカイロプラクターがいるそうですが、 そのうちの大多数が東京周辺の首都圏に集中している傾向がありますので、 それ以外の都市や地域では、なかなか近間には施術所はないと思います。 NTTタウンページからピックアップしたところ、カイロプラクティック 施術所の数は、一万三千件あまりが登録されています。 (2001年10月現在の集計、cf:後述の集計結果)

その上、これらのカイロプラクター全員が名人級とはいかないまでも、 それなりのレベルに達しているなら、まだ救われるのですが、 現実にはそうとは言い切れないところもあるようでして・・・・。 そうなると、上手なカイロプラクティックの先生に巡り会えるのは、 運命としか言い様のない部分もありまして・・・(このあたり、非常に 歯切れが悪くなり申し訳ありません。しっかりしたカイロプラクターが 少ないのは、何も私のせいではないのですが・・・・)。私自身は、 患者さんとの出会いは、「巡り合わせ、ご縁」だと考えています。

現状では、首都圏を離れると、あなたの自宅や職場の近くに練達の カイロプラクターが開業している可能性は極めて小さいことを 知っておいて下さい(下手なカイロプラクターは掃いて捨てるほど いるでしょうが・・・)。上手な先生は、あなたの自宅から 2〜3時間あるいはそれ以上離れたところで開業していると 理解しておかれた方がよいでしょう。

また、鍼灸院や指圧・接骨院での治療と併用してカイロプラク ティックが用いられている例も多いと思われます。このことに 関して、この方法を採用しておられる先生方には、それぞれの事情や 考えがあることでしょうから、その是非については、 ここでは喋々しません。

ただ、カイロプラクティックが鍼灸や指圧の 治療体系の中の一つの技術であるという重大な誤解が、国民の間に 広まってしまうことを恐れるのみです。せめて、今自分が用いている治療法が カイロプラクティックの手技であることを、患者さんに知らせる、わからせる努力は していただきたいものです。

カイロプラクティックを法制化しようと努力している者にとって、 このような誤解は一つの大きな障害になっています。 (我々は、これを「おまけカイロ」と称しています)

「おまけカイロ」に関して云えば、柔道整復師の業務である接骨院や 整骨院で、通常の保険請求金額しか徴収しないで、しかも患者さんには カイロプラクティックの治療を行なっていることも知らせないで、 簡単なアジャストを黙って行なっているところもあります。 これはまさに「おまけカイロ」でして、いい加減なアジャストを されますと、カイロプラクティックを広めようと努力している者に とっては、これも困った問題なのです。

【その他、留意していただきたいこと】

a.看板を見ただけでは行かないこと
必ず治療を受けたことのある知り合いに紹介してもらってから 行って下さい(それでも当たり外れはありますが.......)。

b.派手な宣伝を行なっているところへは行かないこと
新聞やラジオ、テレビ、最近はインターネットなどのメディアが 高度に発達している現代社会では、皆さんコマーシャリズムの悪弊に染まって おられますので、見栄えのよい宣伝をしている商品や会社が、 全て信頼できると誤解なさっておられる向きが多いです。

大量生産、大量消費を目指す業界では大々的な宣伝も必要でしょうが、 技能や治療の世界においては、「大量生産、大量消費」という概念は全く そぐわないものです。待合室に大勢の患者さんがいて、 ひとり何分かけているか知れないけれど、次から次へと施術される ような治療院や病院に行きたいですか? たしかに、患者さんが多いことは腕が良いことのひとつの証しでしょうが、 丁寧な施術(サービス)を受けたい者にとっては、避けるべきところでしょう。 小生なら、患者さんを長時間待たせて平気でいられるような治療院には 行きません。

そして、宣伝を必要としない業種もあるということを ご理解いただきたいのです。医療や美術工芸など、大量生産や 大量処理のきかない業種では、技術力がついて、ある一定数 以上の人たちに知れ渡ると、あとはクチコミによって新規の 顧客(患者)が増えてきますので、ひたすら自分の仕事に全精力を 注ぐことに集中していれば良く、宣伝広告によって自分の存在を 社会に向けてアピールする必要がなくなるのです。

治療の世界も全くこのことが当てはまる業種でして、名人級の 治療師になりますと、自分の体力の限界をこえる患者の増加に 悩まされることになり、挙げ句のはては、いかにして患者を 断るか、減らすかに腐心するようになります。逆に、 いつまで経っても自分の存在をアピールしているのは、 自ら腕が悪いことを表明しているか、商売っ気が強すぎる 証明になっているのですね。それにしても、現代の病院も(医療)産業化し、 「大量生産と大量処理」の路線を邁進しているとしか思えません。

技術に自信のある施術士ほど、宣伝しなくともクチコミで新規の 患者さんが来られる。また、宣伝によって自分の処理能力を 越えるほど多くの患者さんに来られても困る。このあたりの 事情は、技術や技能を売り物にしている全ての業種に共通して いることでしょう。ですから、上手な治療院ほど、表だって 宣伝しなくなります。

反対に、技術が未熟なほど、宣伝が派手になる傾向があります (電話帳、新聞広告などで大きな紙面を占有しているところは 要注意)。いわんや種々の病名、症状を掲げて何でも治るような 宣伝をしているところは、カイロプラクティックの本質を 理解していないか、それを曲解して広めていることになります。 これはカイロプラクティックをまじめに追求している者に とって非常にはた迷惑です。

ついでになりますが、医師法、あんま・マッサージ・指圧師、 鍼師・灸師に関する法律、柔道整復師法、などでは、病院や 治療院の宣伝広告を行なう場合には、効果のある症状や 病名を記載してはいけないことになっています。

ところが、カイロプラクティックに関しては、これを規制する 法律がないため、宣伝広告に関しても今のところ野放し状態に なっています。

言い換えると、医療免許を持っている治療院では、 宣伝広告に症状・病名を書くと法律で罰せられるのに、 無免許のカイロプラクティック施術所が、広告にデカデカと 「腰痛や頭痛が一発で治る」などと書いても取り締まられる ことはないのです(法治国家では、このような一般常識に 一致しない現象が起こることがあります)。これを読んで 下さった方は、くれぐれも、このことを承知しておいて下さい。 このような矛盾がありますので、一刻も早くカイロプラク ティックを規制する法律が制定されることが望ましいのですが、 前途は多難です。

c.5人も6人も助手を抱えて、治療の多くは助手が行なっているところも 避ける。
どんなに院長が有名で上手であろうとも、この場合も結局は 下手な人に治療されてしまうことになります。助手は、 腕が上がるとすぐに独立開業したがるので、常に低レベルの人 ばかりということになります(いま助手をしている人、 気を悪くしないで下さい。あなたのことではないんですよ)。

治療院の経営が上向いてくると、そこの院長の取る路線には 大別して次の2つの方向があります。

(1)助手を増やして、できるだけ多くの患者さんを治療できる体制にする。 当然、治療の質は落ちますが、助手を怒鳴りつけたり、 ひどい場合には、患者さんにも怒鳴りつけたりして、大先生ヅラ をすることで、ひたすら、患者さんに「偉い先生」だという印象を 植えつけることに専念する。

このとき、宣伝広告を派手に行なうかも知れないし、分院と いう形でチェーン店を拡大する場合もある (どこかの美容整形外科のように....)。

治療の質が落ちると患者さんの定着率が低下するが、経営規模が 大きくなっているので、常に多くの患者さんを確保しないと経営が 成り立たない。そのために新規の患者さんを勧誘しようとして、 次々と宣伝広告を増やさないとやっていけなくなる。そして、 宣伝広告をエスカレートせざるを得なくなる。

(2)あくまでも技術者(施術士)の立場を固持し、自分の処理能力を 越えるほど多くの患者さんに来ていただいても困るので、 だんだん宣伝広告をしなくなり、ついには、看板さえも 出さなくなる。宣伝広告は、治療の質を維持するには障害になると 考えている。

どちらが質の良いサービス(治療)を受けられるかは自明でしょう。 これ以外にも、宣伝広告をしない例として、開業したものの、 いつまで経っても経営が軌道に乗らないので、経済的余裕がなくて 宣伝費用すら捻出できない、という例もあります。 筆者の場合はこれに該当しますデス、ハイ。

d.施術料金と施術頻度に関して
首都圏とそれ以外の地域で、少し料金格差があるようです。 関東地方では、施術料は5千円〜7千円位、これ以外に初回の検査料 (2千円〜4千円位)を請求する施術所が大部分です。

一回の施術時間は15分〜40分位:これは術者の技術レベルと 施術所の混み具合によって変動します。 関東以外の地域では、施術料、初回検査料ともに上記の金額より 少し安いようです。

いかがわしい施術所では、初めての患者さんには、症状の種類や 程度に拘わらず、全ての患者さんに機械的に同じ治療頻度で (しかも2〜3日毎に)10回ほど通うように指導しているところも 多いようです。それ以後も頻繁に治療に来させるというのが、 ”商売上手”なカイロ治療院の一般的なやり方です。

症状に応じて患者さん毎に治療間隔を設定してくれる施術所が 良心的と言えるでしょう。

治療以外にも高額な健康食品やビタミン類、健康器具(例えば 数十万円もの健康マット)などを強引に勧める治療院も要注意です。 万一、健康用品の強引な勧誘やマルチ商法まがいのセミナーに 引き込まれた方は、最寄りの警察署に被害届を提出するか、 最寄り警察のマルチ商法対策室や消費者センターなどの機関に 通報、相談して下さい。決して泣き寝入りしないこと! マルチ商法対策と事例集を参考にして下さい。


e.カイロプラクティック施術所の一覧について
信頼できるカイロプラクティック施術所の一覧を掲載してもらいたい という要望が、多くの方々から寄せられています。私個人としては、 施術所一覧を掲載することにやぶさかではないのですが、 諸般の事情が許しませんので、残念ながら割愛します。 本節で説明したことを参考にしていただいて、どうかご自分の判断で 「これなら」と信頼できる先生を見つけるよう、努力なさってみて 下さい。好運を祈ります。何事も「ご縁」と「巡り合わせ」 です。腕が確かで、なおかつ自分と相性の良い先生に巡り会えるまで、 根気よく探してみて下さい。求めよ、さらば開かれん、です。

f.健康相談について
<これこれの症状で困っているのだが、カイロプラクティックの 治療が有効か?>などという相談のメールを、しばしば いただきます。インターネット上で健康相談を受けつけている サイトもあるようですが、筆者に言わせれば、実際に患者さんを 見もしないで良くもまあ断定的ないし推定的なセリフを 吐けるものだと呆れるばかりです。

場合によっては相談者が適切な治療を受けるタイミングを 遅らせてしまったり、誤った判断に導いてしまうことも あります。

健康、医療に関して実際に患者さんの身体を検査しないで、 文字だけの情報に基づいて正確な判断を下すのは至難のワザ であるというのが、筆者の基本的な考えです。

それがたとえ可能だとしても、かなり詳しい状況把握と時間が 必要なはずです。たとえ、あなたが詳細に症状の経過を 書いたつもりでも、専門家が知りたい情報をあなたから得る ためには、何度もメールをやり取りする必要のあることが 多いのです。

例えば、NIFTYの健康相談に関するフォーラムを覗いて 見て下さい。何度も応答を繰り返した挙げ句、回答している 医師の最終的な助言は「かかりつけの病院や医者と、 もっとよく相談せよ」というのが殆どです。 それができているなら、こんなところへ誰も相談しない でしょうに。これは噴飯もの・・・・・嗤わせてくれます。

実際に患者さんに触れて検査していない状態では、 適切な判断が出来かねるということを、ご理解下さい。 場合によっては、一刻も早く病院の診察を受けた方が よいこともあります。

また当WEBの管理者は、夜間は翻訳に時間を取られていますので、 複雑な問題を孕んでいる健康相談に応じている時間も気力も (ついでに物好きさも)持ち合わせていないのでゴザンス。

その上、健康相談に関する回答は、誤解のないように書くのに 非常に骨が折れるのです。

このような事情により、基本的に健康相談はお受けしておりませんので、 悪しからず。


<参考資料>
NTTタウンページに掲載されているカイロプラクティック施術院の 地域ごとの件数(2001年9月現在)

北海道  485
東北   813
関東  4441
甲信越  682
北陸   337
東海  2036
関西  1827
四国   516
中国   999
九州  1497
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総計:13,633件

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