カイロプラクティックあれこれ

1.カイロプラクティックとは? '96.03.26
2.歴史 '96.03.26
より詳しい歴史は次の文献を参考にして下さい
カイロプラクティック・マニピュレーションの沿革
'04.01.28
3.哲学 '96.03.26
4.主な治療システム '96.03.26
5.欧米における教育 '96.03.26
6.日本での教育と普及活動の現状 '00.11.23


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§1 カイロプラクティック(Chiropractic)とは?

1895年、米国アイオワ州ダベンポート(シカゴの西方約250Km)において、 D.D.パーマー(D.D.Palmer)が、雑役夫のハービー・リラードの背中の隆起を 手で押し込んだところ、それまで聞こえなかった彼の耳が突如として聞こえるようになった ことにヒントを得て、脊椎を調整する治療法を考案したのが、カイロプラクティックの 始まりとされています。

彼は、この治療法に名前を付けるに当たり、サミエル・ウィード牧師と相談の結果、 ギリシャ語から語源をとって、カイロプラクティックと命名したのです (それまで彼は10年間、手のエネルギーを利用する治療を行なっていた)。

ギリシャ語でカイロ(CHIRO)は「手」、プラクティコス(PRACTICOS)は「技術」のこと。 これらを組み合わせた言葉が、カイロプラクティックの語源です。 平たく言えば「手技」という意味になります。新しい商売には外国語を 使いたくなる心理というのは、洋の東西を問わないようで、 このあたりの事情は、どこやらの国と変わらないようです。

脊椎を矯正する治療法は、古くは古代エジプトにまで起源を遡ることが できますが、近代になってこの治療法を集大成したのが、D.D.Palmer であると云えるでしょう。

その後、さまざまな研究開発が続けられ、また名人級のテクニック 開発者が輩出し(後述)、現在に至っています。そして1995年は ちょうどカイロプラクティック発祥100年目になりますので、 全米各地で記念行事が行なわれました。

現在、米国においては16のカイロプラクティック大学があり(後述)、 米国公認のドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)の資格を 持つドクターは、およそ4万6千人に上っています。

米国以外ではオーストラリア、カナダにそれぞれ2校、英国、デンマーク、 フランス、南アフリカに1校ずつ、カイロプラクティックの専門大学や 学部があります。そして日本には、約1万5千人のカイロプラクターが 存在しているといわれています。その他、カイロプラクティックが公認されている国や 地域は世界中で60ヶ国以上に上っています。


《D.D.PALMERによるカイロプラクティックの定義》
カイロプラクティックとは、哲学、科学、芸術を統合した自然法則に 則った治療法である。カイロプラクティックは、神経圧迫を引き 起こしている椎骨変位を、骨関節面を利用して、手によって正常な 配置に戻すことで神経圧迫を取り除き、脳からの先天的知能(自然治癒力) を100%に働かせる治療法である。

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§2 カイロプラクティックの歴史、人物伝(レジメ)


D.D.Palmer Daniel.Devid.Palmer
(D.D.パーマー:1845〜1913):創始者
1845:カナダ・オンタリオ州ポートペリーに生まれる。

1886:手のエネルギーを利用する治療を始める

1895:CHIROPRACTICと命名(明治28年9月18日)

1895:レントゲンによるX線の発見
    :日本では、日清戦争が終結し、夏目漱石が松山中学へ赴任

1896:アイオワ州ダベンポート(シカゴの西方約250Km)に、
    パーマー・スクール(後のパーマー・カイロ大学)を設立する。

1901:レントゲンが、第一回目のノーベル物理学賞を授賞する

1906:医師法違反の疑いにより23日間収監される。
    当時の米国の医師法では、医師は自己申告制だったが、
    パーマーは、自分は医師にあらず、カイロプラクターであると
宣言したため。

1906:出所後、カイロプラクティックを広める行脚を行ない、
    後のナショナル・カレッジ(シカゴ)、
クリーブランド・カレッジ(ロサンゼルス)などを設立する。

:メリック・リコイル・テクニックを開発する。


B.J.Palmer Bartlett Joshua Palmer
(B.J.パーマー:1882〜1961):開発者
1882:アイオワ州ワット・チアー生まれ

1902:パーマー・スクールを卒業


1905:ミネソタ州でカイロプラクティック法が成立(全米で初めて)

1906:父親の収監によってパーマー・スクールの学長となる

1910:X線を骨撮影に応用開始

1915:メジャー・サブラクセイションの概念を提唱
    身体の治癒力を低下させている椎骨変位は、
    多くても全身に3〜4ヶ所しかないという考え

1930〜1935:ホール・イン・ワン学説を確立する。
          メジャー・サブラクセイションは身体に1ヶ所のみで、
          それは上部頚椎に存在する確率が高いという考え
          この学説に基づく上部頚椎(C1またはC2)のみの
アジャスト・テクニックを完成する
(ターグル・リコイル・テクニック)

1935〜1956:パーマー大学ではターグル・リコイルのみを教える

1956〜1961:マイナー・サブラクセイションをアジャストする場合も
ある。
・
・
・
・
・
1974:ルイジアナ州でカイロプラクティック法が成立(全米で最後)

1975:米国立衛生研究所が脊椎手技療法国際会議を開催する

1978:ニュージーランド政府のカイロプラクティックに関する
調査委員会報告書「ニュージーランド・レポート(377頁)」
が提出され、「カイロプラクティックは非科学的ではなく、
安全で、脊椎手技療法を専門とする治療の一分野である」と
定義付けた。
Inglis, BD, Chiropractic in New Zealand: 
Report of the Commission of Inquiry, 
Government Printer,New Zealand, 1979.


1982:アメリカ医師会が、テレビ、ラジオなど、あらゆるメディアを
通してカイロプラクティックを排斥するキャンペーンを行なって
いることに対して、米国カイロプラクター有志が独占禁止法違反で
提訴する。

1987:上記の提訴に対して、独占禁止法違反のかどでアメリカ医師会に
有罪判決が下りる。

1988:世界カイロプラクティック連合(WFC)が結成される。
(加盟50ヶ国)

1990:英国医学研究委員会が行なった10年間にわたる調査研究で、
「カイロプラクティックは構造上の腰痛に明らかな有効性を示した」
と公表。
Meade TW, et al. Low back pain of mechanical origin:
randomised comparison of chiropractic and hospital 
outpatient treatment. British Medical Journal, 
Vol. 300, 1990, pp. 1431-1437.

Meade TW, et al. Randomized comparison of chiropractic 
and hospital outpatient management for low back pain: 
results from extended follow-up. British Medical Journal, 
Vol. 311, 1995, pp. 349-351.

1991:世界的に定評の高い米国のランド研究所は、
カイロプラクティックが特定の腰痛に有効であることを
膨大な調査研究の下に論証する。
Shekelle PG, Adams AH, Chassin MR, et al. 
The appropriateness of spinal manipulation for 
low-back pain. Project overview and literature 
        review. RAND STUDY-CHIROPRACTIC REPORT Vol.5 
        No.6, RAND Corp, 1991.

1991:WFCの学術大会がカナダ・トロントにて開催される
     (アメリカ腰痛学会との共催)
:WFCに日本の加盟が認められる。


1993:WFCの学術大会がイギリス・ロンドンにて開催される
(世界保健機構(WHO)との共催)WFCとWHOが共同で
「労働衛生におけるカイロプラクティックの役割」マニュアルを
出版することを決める(出版予定は1997年)。

1993:カナダ・オンタリオ州政府の委託によるカイロ
        プラクティックによる腰痛治療の費用効率に関する
        報告書が提出される。
Pran Manga, Ph.D, et al.
A Study to Examine the Effectiveness and 
Cost-Effectiveness of Chiropractic Management 
of Low-Back Pain. August 1993

1995:米国ワシントンにてWFCの会議が開催される。
カイロプラクティック百周年の記念事業が全米各地にて開催される。

1997:世界保健機関(WHO)が非政府組織(NGO)として、
看護婦国際会議(INC)や公衆衛生協会世界連合(WFPHA)などと
共に、世界カイロ連合(WFC)を正式認可(1月)。

:WHOの後援による世界カイロプラクティック連合(WFC)東京大会の
開催(6月)
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§3 カイロプラクティック哲学

【身体に備わる治癒力が身体を癒す】

「医学の父」とも「医学の始祖」とも呼ばれている古代ギリシャの
ヒポクラテスは、「病気」とは、健康をおびやかす力と、本来身体に
備わっている生命力(自然治癒力)との戦いの結果であると
考えていました。

私たちが生きている限り、この生命力(自然治癒力)は一刻たりとも
休むことなく、私たちの身体を維持修復し、癒しているのです。
たとえば外科的手術、投薬、物理療法など・・・どんな治療法で
あろうとも、宇宙の摂理に基づいて、人それぞれが生まれながらに
して有している、この自然の恵みの治癒力を手助けするものでしか
ありません。あなたの身体を癒しているのは、あなた自身なのです。

同じようにD.D.パーマーも、人間が生まれながらにして
備えている生命力を100%活用させ、病気の治療や、予防、さらには
健康管理ができないだろうかと考えました。そしてその手段として
脊椎を調整すること・・すなわちカイロプラクティック・・・・を
発見したのです。

カイロプラクティックは、まさしくこのヒポクラテスの精神と哲学、
さらには病気に対する考えや視点に基礎をおく医療なのです。

【生命力は脳から全身へ送り出される】

人が生まれながらにして備えている生命力
Innate Intelligence(イネイト・インテリジェンス=先天的知能=
自然治癒力)は、脳で発生し、脊髄神経を経て全身の器官、組織、
細胞へ伝達されていると、カイロプラクティックでは考えています。

カイロプラクティックにおいては、身体の不調の大部分は、
脳からの生命力が、脊柱の椎骨の配列異常(変位)によって妨害され、
全身の細胞へ充分にゆきわたらないことが原因であると考えています。
そして、このような椎骨変位のことを、メジャー・サブラクセイション
と呼んでいます。

カイロプラクターは、レントゲン分析や触診、下肢長の変動、
筋力テスト、整形外科テスト、その他の方法を用いてメジャー・
サブラクセイションを探しだし、手によってそれを調整することで、
患者さんの持っている治癒力を100%にまで高めることを
目指しています。

ただし、これを実践するには、周到な注意深さと、技術を追求する
勤勉さが要求されます。カイロプラクティックの矯正法に熟達する
には、何年間にもわたる徹底的な研究と実地訓練が必要です。
そして、熟練したドクターほど調整(アジャスト)の際の痛みは
ごく僅かなもので、非常に心地よく感ぜられます。

カイロプラクティックによる骨格矯正というのは、たとえて云えば
「ミシンのカムの不調をうまく同期させることによって、
全体としてのミシンの不調を解消する」というのに近いです。
この場合、ミシンの個々の部品そのものには何の異常もない
(人間で言うと器質的な異常はない)のです。

このような不調(機能不全)に対しては、カイロプラクティックの
治療が特に有効性を発揮できるでしょう
(器質疾患については全く無効という訳ではありません)。

カイロプラクティックでは、生命体の生命力(自然治癒力)が
低下する原因は「脊椎分節ないし、あらゆる骨格の接合部
(頭蓋骨、四肢の骨を含む)の関節機能不全である」と
考えています。

「関節機能不全」、うんとかみ砕いて表現すると、本来動くはずの
関節が固着して動かなくなっている状態を、手によって本来の
動きを回復させることがカイロプラクティックの目指している
ところなのです。

機能不全を起こしている関節には、僅かながら正常な配列からの
乱れが認められます。この配列の乱れ(misalignment)を
カイロプラクティックでは「ずれ、または変位(displacement)」
と呼んでいます。治療師によっては、「レントゲンでは判らない
微妙なズレを触診で探って矯正する」などと云っているようですが、
カイロプラクティックの分析法によれば、【脊椎の変位】は、
レントゲン分析によってはっきりと確認できます(整形外科医の方々は、
この言葉に対して異常なまでの拒否反応を示されるようですが)。

もちろん、関節の可動性に関する触診に精通すれば、注意深く、
かつ極めて穏やかに(患者さんに痛みを感じさせない程度に)
他動的に動かして調べることによって、関節の固着している状態と
方向は、触診によって判断できます。

「脊椎または脊柱が手の力で簡単に動き、まっすぐに整列する」
というのは、いい加減な連中が骨格矯正の素晴らしさを誇張して
表現しているだけのことで、正確な表現をしますと、脊柱の歪曲
ないしはズレや変位を完全に回復させる必要はなく、多少の
関節変位が残っていても、関節の機能不全、つまり固着している関節
の動きを回復させることができれば、身体に備わっている治癒力は
自ずと働き出すのです(矯正を続ければ、変位も少しずつ解消されます)。

手による関節調整は、「言うは易く、行うは難し」でして、
近頃は、いい加減な整体養成校を出た連中が増えてきて、
これまたいい加減なやり方で、力まかせの乱暴な施術を
おこなっているものだから、カイロプラクティックの評判は
ガタオチです。もちろん、熟練の施術者が行なえば、
調整時の痛みはほとんどなく、非常に快く感じられるはずです。

【なぜ骨はずれるのか?ずれ易いのか?】

a.発生学上、構造上の要因

進化の段階で人類は、それまで哺乳類全般が行なっていた四足歩行から
二足歩行へと、重力に対抗して身体を支え、歩行する方法を変えました。
このことによって頭が高い位置へ持ち上げられて視野が広くなり、また
両腕を自由に使えるようになり、人類が進化する上で多くの利点を
もたらしました。しかし、二足歩行の最大の欠陥は、身体を支える脊柱が
依然として四足歩行に適した構造のままで、完全に二本足用に進化して
いない、ということなのです。
脊柱模型図:SPINE

背骨(椎骨)は、どの方向にずれるか?

b.直接的な要因

上記のような構造上の弱点があるところへ、個々の関節にずれを
引き起こすような内的・外的な力が作用すると、脊椎は本来の
正しい配列を維持できなくなって、その位置を狂わせてしまいます。
具体的には次のような事柄が考えられます。

・外からの強い力・・・転倒、交通事故など
・習慣性のもの・・・・一定の姿勢を要求される長時間の作業や運動、
スポーツ、悪い姿勢など
・精神的なもの・・・・極度の緊張、ストレス、精神的ショックなど
・化学的なもの・・・・薬の濫用、かたよった栄養など
・その他・・・・・・・高温・高熱、寒冷(冷房)、出産、肥り過ぎ、など

【どういう症状、病気に効果があるのか?】

人体の骨格は頚椎と腰椎に構造上の弱点があるため、
これらの部位がずれることによる症状、特に腰痛、頚部痛、
上肢・下肢のしびれや神経痛、種々の関節の機能不全や不調などが、
カイロプラクティックの対象分野であると受けとめておられる方が
多いようです。

もちろんこれらの症状は、カイロプラクティックが最も得意とする
分野ではあります。しかし、カイロプラクティックが有効なのは、
これらに限られている訳ではありません。

最初に説明しましたとおり、カイロプラクティックは生命体が
本来備えているはずのイネイト・インテリジェンス
(生命力=自然治癒力)を高めることを目的としていますので、
個々の症状や病気に対する「治療法」というものは、
原則として存在しません。

カイロプラクターが常に考え続けていることは、患者さんの治癒力の
流れを低下させている椎骨変位がどこにあるか、そしてそれを如何に
上手にアジャストするかということだけなのです
(この部分、非常に重要!)。

具体的な病名を挙げて、「こういう病気は治りますか?」と
相談してこられる患者さんがおられますが、カイロプラクターと
しては、「イネイト(治癒力)が、うまく働くようになれば効果が
現れるでしょう。何度かアジャストに来られて、経過をみて下さい。」と
答えるしかないのです。

こういう説明を読まれた方は、「なんだか頼りないな〜」という感想を
抱かれるかもしれませんが、世界中でカイロプラクティックが公認されて
いる事実をふまえて考えますと、この治療法が如何に正鵠を射ているか、
そしてまた、どれほど各国の国民に支持されているか、お判り願えると
思います。とりもなおさず、病院でいろいろな検査の結果、特に異常が
認められない場合には、それは機能疾患と考えられますので、
このような場合には、カイロプラクティックのアジャストによって
回復に向かう例が多数あります。

一例を挙げておきますと、最近増えているアトピー性皮膚炎や
アレルギー性鼻炎、気管支喘息、心臓疾患、消化器(胃腸)の不調、
卵巣や子宮の不調、原因不明のめまい、などなど、運動器(関節)の
不調以外にも、現代医学では治療法が確立されていない種々の疾患に
対しても、カイロプラクティックは大きな成果を上げています。
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§4 カイロプラクティックの主な治療システム

1895年にカイロプラクティックが始まって以来100年あまりの歴史の
中で、これまでに名人級のドクターが何人か出現しています。
細かく数えると、100種ほども治療システム(テクニック)があると
云われています。それぞれが独自の検査・分析法や矯正法を開発し、
それなりの成果を上げていますので、その主なものを挙げておきます。
(治療院によって、治療方法に大きな違いがあるのはこのためです)

興味深いことには、いずれもが<カイロプラクティック>を
標榜していることです。日本人が独自のテクニックを開発した
場合には、おそらく<カイロプラクティック>以外の何か新しい
名称を掲げ、カイロプラクティックから離れていったことでしょう。

もしアメリカのテクニック開発者たちが、これと同じ行動を
とっていたなら、業界としてのまとまりを欠き、アメリカにおける
カイロプラクティックの公的認知は今よりもずっと遅れていたはずです。
ところが日本では、まさにこのような状態になっていることは、
まことに残念なことと言わねばなりません。

【 メリック・リコイル・テクニック 】D.D.Palmer創始

脊椎の皮膚分節と内蔵との関連性を考慮して、
両手による瞬間的な反発(リコイル)を用いて椎骨をアジャストする。
クリーブランド大学(ロス)では、最近までこのテクニックだけを
教えていた。

【 ターグル・リコイル・テクニック 】B.J.Palmer創始

いわゆるHOLE IN ONE学説(HIO=エッチ・アイ・オー学説)に基づく、
上部頸椎(C1またはC2)のみのアジャスト・テクニック。

HIO学説:メジャー・サブラクセイションは上部頸椎に存在する確率が
非常に高いという考え。シャーマン大学では開学以来最近まで、
このテクニックのみを教授。

【 ディバーシファイド・テクニック 】

D.D.PalmerやB.J.Palmerがリコイル・テクニックを開発する以前に
カイロプラクティックのアジャスト・テクニックの主流をなしていた
種々のアジャスト法の総称。言葉の意味は、「種々雑多なテクニック」
という意味。頸椎、胸椎、腰椎のアジャスト法は、主に回旋変位のみ
矯正することを重視している。

メジャー・サブラクセイションという概念が出現する以前に考え
出されたアジャスト法であるため、中には、特定の椎骨にコンタクト
さえしないでアジャストするやり方もある。(顎と後頭部を持って
ひねったり、横臥位で肩と骨盤に力を加えて腰部をひねる)。
最近、日本でのカイロプラクティックによる事故は、ほとんどが、
このアジャスト法による力まかせの乱暴な施術が原因と思われる。

シカゴのナショナル・カイロプラクティック・カレッジでは、
いまだに、このテクニックだけしか教えていない。なぜかというと、
D.D.Palmer亡きあと、この大学は西洋医学に限りなく近づいたため、
本来のカイロプラクティックのテクニックの研究・開発がおろそかに
なっている、という事情があげられる。そして現在のナショナル大学
では、投薬と手術も治療手段の一つとして教授されている。

この大学はパーマー大学に次ぐ歴史を持っているため卒業生も多く、
(日本からの留学生も多い)、したがって、アメリカでも日本でも
このディバーシファイド・テクニックを用いて治療しているドクター
が圧倒的に多い。

日本での一般的なカイロプラクティック治療のイメージは、
このテクニックに基づく。

【 トムソン・テクニック 】 Clay Thompson 創始 Cley Thompson

電動のドロップ・テーブル(トムソン・テーブル)を開発する。
骨盤の変位をパターン化し、下肢長差との関連を付けた。
メジャー・サブラクセイションが頸椎にあるかどうかを、
左右の下肢長差の変動によって判定する検査法を取り入れる。

【 ガンステッド・テクニック 】 Clarence Gonstead 創始 Clarence Gonstead
椎骨・骨盤の変位を割り出すためのレントゲン線引き法を
確立する。
椎骨は、まず最初に後方へ変位するという考えを提唱した。
これは、ディバーシファイド・テクニックとの
大きな違いである。メジャー・サブラクセイションという
考えと、椎間板の生理的機能を重視したアジャスト法は、
オーソドックスな手による方法であるが、マスターするのが難しいため、
アメリカでも日本でも上手にできる人は少ない。

ウィスコンシン州マウントハーブに全米で最大規模のカイロプラク
  ティック・クリニックを建設した。セミナー・ルーム、
セスナ専用の飛行場、モーテルなどが併設されている。

【仙骨後頭骨テクニック(S.O.T.)】
Major Bertland DeJarnette(M.B.デジャネット:18999〜1992)創始
DeJarnette
オステオパシーをDr.スティールに、
頭蓋骨調整法をDr.サザランドに教わった後、
リンカーン・カイロプラクティック・カレッジ
(ネブラスカ州)卒業。

1925〜:ネブラスカ州オマハにて、仙骨後頭骨テクニック(SOT)の
開発、研究、教育を始める。そして、頭蓋骨調整法、内臓反射療法、
四肢テクニックなどを集大成する。脳脊髄液の流れを重視し、
骨盤の下にくさび状のブロックを挿入して患者の体重を利用して
持続的にアジャストするのが特徴。創始者の経歴からわかるように、
SOTには多分にオステオパシーの治療法が取り入れられている。

【S.T.O.およびハーモニック・テクニック 】
Mervin Lloyd Rees(M.L.リース:1920〜1992)創始
M.L.Rees
第二次世界対戦中に、側頭蝶形骨ライン(内蔵反射点)を
発見
1955:カンサス州セダンにて開業
1956:SOT(仙骨後頭骨テクニック)を始める。
1974:SORSI(SOTの研究・教育のための協会)の理事となる。
1980:ハーモニック・テクニック、軟部組織整形外科
テクニックなどを公開する。

【 アプライド・キネシオロジー(Applied Kinesiology=応用筋肉学)】
George Goodheart(G.グッドハート)創始
経絡と個々の筋、神経、神経血管反射点、神経リンパ反射点との
関連性をつけた。経絡知識の素養がある人にはなじみやすいため、
日本では鍼灸免許を持っている人に人気が高い。経穴その他の反射点を
揉むようにマニピュレートする操作を主に行なう。ちなみに、
バイ・デジタル・オーリング・テストの起源は、このテクニックにある。

【 ローガン・ベイシック・テクニック 】
Hugh Logan創始
骨盤に存在している靱帯(たとえば仙結節靱帯など)に持続圧をかけ、
深部知覚反射を利用して椎骨変位を解消するテクニック。
ローガン大学ではこのテクニックのみを教授。

【 ピアース・スティルワーゲン・テクニック 】
Walter PierceとGlenn Stillwagonの創始
トムソン・テクニックと同様に、ドロップ・テーブルを用いる。
頸椎5番と骨盤変位に関する考え、アジャスト法に特徴がある。
ターグルリコイル・テクニックやローガン・ベイシック・テクニックも
取り入れている。


etc,etc・・・・
まだまだたくさんのテクニックが知られていますが、
主なものは出尽くしましたので、以下は省略します。

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§5 欧米におけるカイロプラクティック教育

【各国で公認されているカイロプラクティック大学の一覧】
  • 米国
    • ブリッジポート大学カイロプラクティック学部(コネティカット州ブリッジポート)
    • クリーブランド・カイロプラクティック・カレッジ(ミズーリ州カンサス・シティ)
    • クリーブランド・カイロプラクティック・カレッジ(ロサンゼルス)
    • ライフ・カイロプラクティック・カレッジ(ジョージア州マリエッタ)
    • ライフ・カイロプラクティック・カレッジ・ウェスト(カリフォルニア州サンロレンツォ)
    • ローガン・カイロプラクティック・カレッジ(ミズーリ州チェスターフィールド)
    • ロサンゼルス・カイロプラクティック・カレッジ(ロサンゼルス)
    • ナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(イリノイ州シカゴ)
    • ニューヨーク・カイロプラクティック・カレッジ(ニューヨーク)
    • ノースウェスタン・カイロプラクティック・カレッジ(ミネソタ州ミネアポリス)
    • パーマー・カイロプラクティック・カレッジ(アイオワ州ダベンポート)
    • パーマー・カイロプラクティック・カレッジ・ウェスト(カリフォルニア州サンホセ)
    • パーカー・カイロプラクティック・カレッジ(テキサス州ダラス)
    • シャーマン・カイロプラクティック・カレッジ(サウスキャロライナ州スパルタンバーグ)
    • テキサス・カイロプラクティック・カレッジ(テキサス州ヒューストン)
    • ウェスタンステート・カイロプラクティック・カレッジ(オレゴン州ポートランド)
  • カナダ
    • カナディアン・メモリアル・カイロプラクティック・カレッジ(トロント)
    • 州立コベック大学
  • オーストラリア
    • 国立ロイヤルメルボルン大学カイロプラクティック学部(メルボルン)
    • マクマイヤー大学カイロプラクティック学部(シドニー)
  • 英国
    • アングロ・ヨーロピアン・カイロプラクティック・カレッジ(ロンドン)
    • グラモーガン大学カイロプラクティック・ユニット(ウェールズ)
  • フランス
    • Institut Franco- Europeen de Chiropratique
  • デンマーク
    • オデンス大学カイロプラクティック学部
  • 南アフリカ
    • テクニカン・ネータル大学(政府補助)

【米国のカイロプラクティック大学の入学資格とカリキュラム】

a.短大卒業と同等以上の資格を有していること。
b.大学教養課程の物理学、化学(有機、無機)、生物学、
心理学の単位を取得していること。
c.外国人留学生の場合には、TOEFL550点以上
(一般大学では500点以上)


カリキュラムは、1974年に米国教育省の認定を受けたカイロ
プラクティック教育評議会(CCE)の設定した、4200時間以上の
基準を満たすことが義務づけられています。
その一例を挙げておきます(cf#7)。


【生物科学系科目】時間数
人体解剖学        180
  顕微解剖学140
発育解剖学28
神経解剖学72
神経科学119
生化学112
生理学36
病理学174
診断学72
  微生物学&感染性疾患100
系統生理学87
栄養学58
免疫学13
毒物学13
臨床栄養学26
公衆衛生学39

【臨床科学系科目】時間数
  診断学概論87
  神経系診断学42
  鑑別診断学32
  診断学&症候学116
  整形外科学&リウマチ学92
  関節炎&外傷48
  骨病理学概論48
  臨床心理学46
  救急医療52
  小児科系治療20
  婦人科系治療29
  老年医学20
  レントゲン撮影法40
  レントゲン解剖学16
  放射線生物物理学&保護44
  X線測定法39
  放射線テクノロジー39
  腹部胸部&特殊レントゲン撮影法40

【カイロプラクティック系科目】時間数
カイロプラクティック理論156
カイロプラクティック・テクニック390
基礎生体力学96
臨床生体力学100
脊椎生体力学42
カイロプラクティック補助療法91
カイロプラクティック業務95
法律&業務上の発展62

【臨床教育系科目】時間数
インターンシップ752
実習21
臨床ラボ実習71
臨床X線読影69
カイロプラクティック・マネージメント31
  応用研究&生物計測学32


このカリキュラムを一般の医科大学のそれと比較してみますと、
解剖学、特に筋骨格系と神経学に多くの時間が割り当てられており、
一方で、薬理学関係や外科学関係の時間は少ないといえるでしょう。

肝腎のカイロプラクティックに直接かかわる科目は
カイロプラクティック理論とテクニックがあり、
これら2つの合計時間は546時間となっています。ということは、
カイロプラクティックそのものを勉強をする期間は4年間
(4200時間)のうち、ざっと半年間ということになります。
インターンやカイロプラクティック業務その他の時間(1038時間)を
加えても、1年半ということになります。

基礎医学にかける時間が如何に多いか、お判りいただけるでしょう。
もちろん人の身体を預かる仕事ですから、基礎はいくら勉強しても
し過ぎるということはないでしょう。只ここで少し考えてみたいのは、
日本人の舶来崇拝傾向が、カイロプラクティックの分野でも依然として
根強いことなのです。米国のカイロプラクティック大学を
卒業したからと云っても、卒後すぐの状態では、技術的にはまだまだ
未熟な状態であることを知っておくことは、カイロプラクティックを
受ける上で、またこれからカイロプラクティックを勉強しようとする上で、
大いに参考になると思います。「アメリカ帰り=すぐさま名人」
ではないのです。

これを解消するために、余裕のある学生は、在学中から自分の興味のある
テクニックを選んで、週末などに学外で開かれるさまざまなセミナーに
せっせと出席することで、腕を磨こうとしています。ただし、
外国人留学生は、学校のカリキュラムについて行くのに精一杯で
(言葉の壁や経済的、時間的な問題)在学中からセミナーに
出席している人は、ほとんどいないようです。

日本では現在、アメリカ帰りのカイロプラクターは70名余りに
上っています。もちろん技術的にも人格的にもすばらしい
ドクターが大勢おられますが、中には、卒業直後に帰国し、
その後10年以上も経過しているのに、いまだに満足にアジャスト
できない人がいるのを、私は知っています。

また、中には乏しい内容のカイロプラクティック指導書を書いて
自分の名前を広めたり、高額の授業料やセミナー料を徴収したり等々、
カイロプラクティックを商売種にすることで、ひたすら金儲けに
いそしんでいるアメリカ帰りのカイロ・ドクターも結構な数で
存在しています(それでも、しっかりと教育しているなら、
このような批判はしないのですが...)。

その証拠に、彼らの書いたカイロの指導書は一般の大書店に多々
目に着きますが、その内容たるや、平気で著作権侵害を犯すは、
これ見よがしに勿体をつけてはいるものの、乏しい内容を思い切り
水で薄めたような代物ばかりです。一方で、翻訳書となると
殆ど見あたらないという現実が、このことを如実に物語っています
(翻訳書は労力のみ多くして実入りが少ない、また解説している
テクニックの全貌が翻訳書によって自分の受講者たちに知れ渡ると、
情報を小出しにできなくなる....アア何と云う姑息!時代錯誤!)

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§6 日本での教育と普及活動の現状


日本にカイロプラクティックが最初に紹介されたのは
大正時代初期の頃で、川口三郎DC(パーマー大卒)という人物が
持ち帰ったとされています(cf#4)。

カイロプラクティックより少し早い時期に同じく米国で始まった
オステオパシーという骨格矯正の治療技術を日本に持ち帰った
人たちもいて、これらの手技療法は、講習会などによって少しずつ
普及して行ったようですが、大多数の国民には知られないままの状態が
続いていました。

このとき、カイロプラクティックとオステオパシーの日本語訳として
「整体」という用語が考案され、その当時の監督官庁も、これらの
手技療法を用いる施術者には、この言葉を用いるような指導が
なされていたようです。

現在の日本で、「○×整体」などと呼ばれているものの中には、
この頃に教えを受けた人物が、その後に自分なりの解釈を加えて、
「○×整体」とか、「◎△均整法」、「□▽療術」などと命名して
今に至っているものがあります。それゆえ、これら各種の整体療法の
起源をたどってみると、明治時代や江戸時代以前に始まるものは
ないはずです。もしあるとすれば、それは武士の家系図がほとんど
「源平籐橘」に始まっているのと似たようなものでしょう。

そしてこれら各種整体療法の創始者(?)たちは、ほとんどが、
そのオリジナルの出典を明らかにせず、あたかも全てを自分が
発見・考案したかのように(一部はそうかも知れないが)広めたため、
現在でも、これらの整体療法を勉強している人たちは、その本来の
起源を知らされていないことが多いのです。また、それを勉強した者が、
その亜流をとなえるという珍現象も多く発生しています。

起源・発祥となる源をあえて隠し、雨後のタケノコのごとく
自分勝手に流派を作り、またその独自性のみをアピールするという
風潮が、日本におけるカイロプラクティックやオステオパシーなどの
骨格矯正手技療法の健全な発展と、正しい認知・認識を遅らせ、
かつ阻害した要因の一つであると考えられます。嘆かわしいことに
現在でも、自分勝手に整体の流派を唱えるという風潮は連綿として
続いています。

あん摩、鍼、灸は明治44年に、柔道整復は大正9年に、それぞれ
関係法規が整備されました。そのほかに、「手技、電気、光線、
温熱、刺激」を治療手段とする「療術師」というのがあり
(指圧・カイロプラクティックは「手技」の中に含まれていた)、
これは明確な法律が設定されないまま放置されていましたが、
第二次大戦以前は、神奈川県令や警視庁令など、地方官庁のもとで
営業が認められていました。

しかし、戦後の占領政策の下で、これらの民間療法は一時期、
全て禁止されてしまったのです。

1947年(昭和22年)に「あん摩はりきゅう柔道整復等営業法」が
制定され、これ以後、この法律によって療術は禁止されることに
なりました(指圧は、1955年の法改正で、あん摩の一部に含められた)。
その後の法律改正で、1947年(昭和22)以前に療術業務に従事
していた者に限り、終身の既得権が認められるようになりましたが、
療術師の新規開業への道は閉ざされてしまったのです(1964年)。

ところが、1960年(昭和35)に最高裁は、1953年に福島県で起きた
「HS式無熱高周波療法」という療術行為に対する訴訟に関して、
「有害の恐れのない療術行為は取締の対象とはならない」という
判決を下しました。良くも悪くも、この判例がカイロプラクティックの
合法化の根拠となっているのです。それ以来、療術の業者が急増し、
カイロプラクティックに関しては、ある種の放任状態が続き、
未熟な施術者が氾濫するようになって、最近では多くの問題を
引き起こしているのです。

このような事態を重くみた国会は、1972年(昭和47)の法律改正で、
「厚生大臣は昭和49年を目途として、あん摩・マッサージ・指圧、
はり・きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為の業務内容、
免許資格等の事項に関する前項の調査審議(あんま等中央審議会に
おける調査審議)の結果を参酌して、必要な措置を講じなければ
ならない。」という規定を設けましたが、諸団体による猛烈な
反対運動のために、この規定は現在まで放置されたままになって
います。

未熟なカイロプラクターの急増に危機感を抱いた厚生省は、
1991年(平成3)6月、健康政策局医事課長から各都道府県衛生
担当部長へ「医業類似行為に対する取扱いについて」という通知を
出したり、主要なカイロプラクティック団体を集めて自主規制させようと
しました。その結果、1992年11月に、12のカイロプラクティック団体が
集まって「日本カイロプラクティック連絡協議会」(略称「日カ連」)が
発足し、この中で、統一的な教育基準や自主規制のガイドラインを
協議しています。


【日本カイロプラクティック連絡協議会に加盟している団体】発足時

  • 自然カイロプラクティックサイエンス協会
  • 全国カイロプラクティック師会
  • 全国療術師協会
  • 創術カイロプラクティック協会
  • 中京カイロプラクターズ・クラブ
  • DC連絡協議会
  • 東洋カイロプラクティック協会
  • 日本カイロプラクティック協会
  • 日本カイロプラクティック師会
  • 日本カイロプラクティック総連盟
  • 日本カイロプラクティックリサーチ協会
  • パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会
日カ連は96年12月現在に加盟9団体となり、2000年10月現在には
下記の6団体が加盟しています。離合集散は人の常とは言え、
一枚岩に結束しないとカイロプラクティックの法制化は遠のくばかりです。
一方で、96年6月には、日カ連と全国療術師協会が「全療協・カイロ連、
連絡協議会」を結成しています。


【日本カイロプラクティック連絡協議会に加盟している団体】2000年11月現在

  • 自然カイロプラクティックサイエンス協会
  • 全国カイロプラクティック師会
  • DC連絡協議会
  • 日本カイロプラクティック・アカデミー
  • 日本カイロプラクティック師会
  • パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会
これらの団体は、現在各団体それぞれに入会基準を決め、入会対象と
しています。ただ、10年ほど前から一部の心ないグループが、誰でも
短期に技術を修得して開業できるような宣伝を大々的に行なったため、
カイロプラクティック業界への安易な新規参入希望者が増え続けており、
このような人たちを野放しにしておくよりは、自分達で基礎医学から
しっかり教育してゆこうという動きも出てきています。

しかし、1960年の最高裁判決を楯に取り、いまだに一部のグループでは、
高額な授業料やセミナー料を目的とする杜撰な教育しかしておらず、
未熟で危険な施術者の粗製乱造は後を絶たない状態が続いています。

1970年代初頭以前に日本に紹介されていたカイロプラクティックの
テクニックと言えば、ディバーシファイド・テクニックだけでした。
そのうち最も原始的で危険な施術法は、患者の顎と後頭部を掴み、
頸部全体をひねったり、患者さんを横臥位にして、肩と骨盤を手で
押さえて腰部全体をひねるというものです。現在でも、このような
操作法しか知らないカイロプラクターも存在していますし、
一般に知れ渡っているカイロプラクティックのイメージは、
このようなものだと思われます。

1970年代初頭以後、アメリカのカイロ大学を卒業したドクター達が
次々と帰国するようになって、ディバーシファイド・テクニック以外の
治療体系も日本に紹介され始めました。その主なものは、
「カイロプラクティックの主な治療体系(テクニック)」で
紹介しています。また、日本における信頼できるカイロプラクティック
養成校は国内に4〜5校あり、いずれも、どこかのカイロプラクティック
協会が運営しています。

その一例として、筆者の所属しているパシフィック・アジア・
カイロプラクティック協会が運営しているユニバーサル・
カイロプラクティック・カレッジ(UCC)の例を挙げておきます。
この学校は1992年から2年制となり、今年(2000年)で19期目を
迎えています。

【UCCのカリキュラム】

基礎医学関係:
一般解剖学、脊柱解剖学、神経解剖学、一般生理学、神経生理学、
関節生理学、脊柱学、神経学、関節学、整形外科学テスト法、
医学用語

カイロプラクティック関係:
カイロプラクティック哲学、カイロプラクティック歴史、
レントゲン分析法、レントゲン病理学、カイロプラクティック診断学、
カイロプラクティック経営法、カイロプラクティック器具測定法、
患者教育法、患者説明法、学生クリニック、
ターグル・リコイル・テクニック、トムソン・テクニック
ディバーシファイド・テクニック、ガンステッド・テクニック
仙骨後頭骨テクニック(SOT)、四肢テクニック
ローガン・ベイシック・テクニック、
ピアース・スティルワーゲン・テクニック

あんま・マッサージ・指圧師、鍼灸師、柔道整復師などの有資格者の場合、
これらの科目を2年間(計1000時間)かけて教育している。

医療免許を持たない者の場合には、上記の他に、解剖学、生理学、
診察概論、臨床各論、病理学概論、衛生学、公衆衛生学を同じく
2年間(1300時間)かけて教育している。

参考資料
1.ユニバーサル・カイロプラクティック・カレッジ入学案内
2.ターグル・リコイル・テクニック教本
(パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会編)
3.カイロプラクティック入門セミナー教本
(パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会編)
4.カイロプラクティック辞典(科学新聞社       \3,600)
5.カイロプラクティック総覧(エンタプライズ\27,000)
6.カイロプラクティック・テクニック総覧(エンタプライズ\35,000)
7.THE CHIROPRACTIC REPORT No.10:カイロプラクティック教育と
ライセンス(日本カイロプラクティック評議会 1995)
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著作権所有(C)1996-:前田滋(カイロプラクター:大阪・梅田)