小野寺史宜作品のページ No.4



31.とにもかくにもごはん

32.ミニシアターの六人

33.いえ

34.奇跡集

35.みつばの郵便屋さん−あなたを祝う人−
−みつばの郵便屋さん No.7−

【作家歴】、みつばの郵便やさん、転がる空に雨は降らない、牛丼愛、それは甘くないかなあ森くん、片見里なまぐさグッジョブ、みつばの郵便やさん−先生が待つ手紙−、ホケツ! その愛の程度、ひりつく夜の音、みつばの郵便やさん−二代目も配達中−

小野寺史宜作品のページ No.1


近いはずの人、家族のシナリオ、太郎とさくら、本日も教官なり、みつばの郵便屋さん−幸せの公園−、それ自体が奇跡、ひと、夜の側に立つ、みつばの郵便屋さん−奇蹟がめぐる町−、ライフ

 → 小野寺史宜作品のページ No.2


ナオタの星、縁、まち、今日も町の隅で、食っちゃ寝て書いて、タクジョ!、みつばの郵便屋さん−階下の君は−、今夜、天使と悪魔のシネマ、片見里荒川コネクション

 → 小野寺史宜作品のページ No.3

  


 

      

31.

「とにもかくにもごはん ★★☆   


とにもかくにもごはん

2021年08月
講談社

(1550円+税)



2021/09/05



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“子ども食堂”を舞台にした、子どもたち、大人たちの群像劇。

松井波子、44歳。夫の隆大が交通事故で急死した後、心が埋まらず呆然としたままのような状況。
ふと思い出したのは、夫が亡くなる直前の会話で、夜の公園で一人夕食代わりのパンを食べていた男の子のこと。
そこから波子は精力的に行動し始め、閉店した喫茶店クロードをただで貸してほしいと交渉し、
<クロード子ども食堂>開店に漕ぎつけます。
開店は月に2回、午後5〜8時、子どもは無料、大人は 300円。スタッフは波江を含め5人、うち2人は学生ボランティア。

最近よく聞くようになった“子ども食堂”を舞台にした連作風群像劇であり、しかも作者が小野寺さんとなれば、面白い作品であるのはもう決まったようなもの。
主宰者である波子の経緯、就活の上で負担の少ないボランティアという大学生の動機、子どもたちの家庭事情が次々と語られていきますが、敢えて言えば“お節介おばさんの慈善活動”ストーリィかな?という思いあり。

ところが後半に至ると、味わい、言葉の深みが一気に加速、流石うまいなぁ、という感嘆に変わるのですから、やはり小野寺さんは曲者です。
子どもたちより、大人たちに目が向けられたからでしょうか。
主役である波子の発する言葉の数々が、実に良い、心に届いてきます。
人と人との繋がりが一気に広がっていく、という興奮あり。

どんな形であろうと、人と人が繋がっていくところに安らぎと期待を生まれます。とくに同じ町に住む人たちの輪が繋がっていくのであれば。
人と人の関係が疎遠になっている現在において、小野寺さんが一貫して描いてきたテーマが本作品にも籠められている、と感じます。
波子と高校生である航大との親子のやりとりが楽しい。皆の心を和らげているようです。そして最後には、アッと言わせられるのですから、何とまァ心憎い。 お薦め!

午後四時−こんにちは−松井波子/午後四時半−おつかれさま−木戸凪穂/午後五時−いただきます−森下牧斗/午後五時半−ごちそうさま−岡田千亜/午後五時五十五分−お元気で−白岩鈴彦/午後六時−さようなら−森下貴紗/午後六時半−ごめんなさい−松井航大/午後七時−ありがとう−石上久恵/午後七時半−また明日−宮本良作/午後八時−初めまして−松井波子

    

32.

「ミニシアターの六人 ★★☆   


ミニシアターの六人

2021年11月
小学館

(1600円+税)



2021/11/27



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銀座のミニシアターで、2年前に死去した末永静男監督の代表作「夜、街の隙間」の追悼上映が行われます。
最終日前日 午後4時50分の回、観客は僅か6人。

各章、観客6人それぞれの人生ドラマが描かれます。
ただし、映画を観てという共通点をもった連作ストーリィという単純な構成ではなく、スクリーンの中のドラマと観客自身の人生が交錯しているようです。
映画館も銀座なら、観ている映画の舞台も銀座、しかも夜。そして何人かの観客には、この映画にまつわる思い出があるという設定がとても洒落ています。
映画と並行して語られる所為か、各主人公の人生もまた映画の一コマのように感じられます。この切り取り方がとても上手い!
昔、TVのロードショーでよく観た、オムニバス映画作品のようです。

なお、間に挿入されている
「断章」は、末永静男監督の実子で、女優の母親を苦しめた父親を憎んでいる立男が主人公。
この息子くん=末永立男の扱い方も、ホント上手いなぁ。

手練れによる、洒落た、鮮やかなオムニバス映画を味わった気分です。

三輪善乃はかつてこのミニシアターでチケット販売係。
山下春子はかつて大学の男友達とこの映画を観た思い出あり。
安尾昇治は末永静男のデビュー作品を観て映画監督の道を諦めた過去あり。
沢田英和はこの作品に恋人との苦い思い出あり。
川越小夏は誕生日デートの予定だったこの日、恋人のやむを得ない事情で一人この追悼映画を観る。
本木洋央は、末永監督とその愛人だった母親との間に生まれた実子で、自らも映画監督を目指していて・・・。
・最後をまとめる
「再び記念:三輪善乃」、「午後七時の回」のキレ味がよく実に爽快。小野寺さんへ拍手です。

記念:三輪善乃-60歳/思念:山下春子-40歳/断章−丸の内/断念:安尾昇治-70歳/無念:沢田英和-50歳/断章−丸の内/雑念:川越小夏-20歳/一念:本木洋央-30歳/断章−銀座/再び記念:三輪善乃/午後七時の回

     

33.

「い え ★★   


いえ

2022年02月
祥伝社

(1500円+税)



2022/03/05



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ひと」「まちに続く、普通の人たちを描くストーリィ。
※という訳で、「ひと」に登場した惣菜屋
「おかずの田野倉」も顔を出しますし、「まち」で主人公だった江藤瞬一も隣人として登場します。

主人公は大学卒業後スーパーに就職、3年目の
三上傑(すぐる)
3歳下の妹=
若緒(わかお)は就活中。
その三上家の家族(両親と傑)がぎくしゃくするようになったのは、傑の友人であり若緒のカレシであった
城山大河が自動車事故を起こし、同乗していた若緒が左膝を怪我し、歩く時に左足を引きずるようになってしまったことから。
傑、何かと妹の若緒のことを気遣わずにはいられない。
一方、母親が父親につっかかることが増え、傑と大河は会わないままとなり、カノジョである
福地美令との付き合いにも支障が生じている。

主人公の傑、ごく普通の青年でしょう。真面目で大人しい、人づき合いは悪くないけれど、ちょっと要領が悪いかも。
そんな傑の日々を、丁寧に綴っていくストーリィ。

主人公は傑なのですが、他の登場人物たち一人一人もまた、それぞれの面において主人公である、という雰囲気が漂っています。それが何とも気持ち良い。
傑や江藤瞬一がよく散歩する、ランニングする川沿いの土手で風に吹かれているような感じでしょうか。

いろいろな人と関わり合って、そこに傑がいる、という感じ。
それは若緒も同じです。左足を引きずるようになったからといって人と関わらずにいることはできませんし、そもそも若緒にそんな気持ちは無いようですし。

最後は、爽快というより、ホッとさせられたという読後感。
※傑も大河も、美令や若緒に助けられたのではないでしょうか。


三月−雨/四月−空/五月−花/六月−鳥/七月−風/八月−月/九月−川/十月−家

            

34.

「奇跡集 ★★   


奇跡集

2022年05月
集英社

(1600円+税)



2022/06/18



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朝の満員電車に乗り合わせた人たち、それぞれが経験するちょっとした奇跡を描いた連作短編集。
(奇跡というと大袈裟かも。ちょっとした喜び、と受け取ってもらった方が良いかもしれません)
ちょっとした奇跡、ちょっとした喜び。それだけで気持ちが弾んでくるようです。温かい気持ちになれる短編集です。

「青戸条哉の奇跡−竜を放つ」:大学生、電車の中でトイレを我慢できずになった時、隣の女性が突然しゃがみ込み・・・。
「大野柑奈の奇跡−情を放つ」:会社員。突然しゃがみ込んだ女性のことが気になり、ひとつ先の駅から引き返すと・・・。
「東原達人の奇跡−銃を放つ」:容疑者を尾行中の刑事。しかし、赤ん坊の危機を救うことを優先・・・。
「赤沢道香の奇跡−今日を放つ」:会社員。デートに向かう途中、痴漢と間違われた男性を目撃するのですが・・・。
「小見太平の奇跡−ニューを放つ」:会社員。満員電車の中で失敗した広告の代替案を考えていた処・・・。
「西村琴子の奇跡−業を放つ」:44歳の公務員。交際中の男性の浮気相手を尾行中。その結果は・・・。
「黒瀬悦生の奇跡−空を放つ」:密造銃の運び屋。刑事の尾行、仲間の脅し、最後に選んだ道は・・・。

※日常的に使う電車を舞台にした連作短編集というと思い出すのは、
有川ひろ「阪急電車。未読の方には是非同作もどうぞ。

1.青戸条哉の奇跡−竜を放つ/2.大野柑奈の奇跡−情を放つ/3.東原達人の奇跡−銃を放つ/4.赤沢道香の奇跡−今日を放つ/5.小見太平の奇跡−ニューを放つ/6.西村琴子の奇跡−業を放つ/7.黒瀬悦生の奇跡−空を放つ

      

35.

「みつばの郵便屋さん−あなたを祝う人− --   


みつばの郵便屋さん あなたを祝う人

2022年06月
ポプラ文庫

(720円+税)

2022/07/--

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       近日中に読書予定





      

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