荻原 浩作品のページ No.3



21.ひまわり事件

22.砂の王国

23.月の上の観覧車

24.誰にも書ける一冊の本−テーマ競作 死様−

25.幸せになる百通りの方法

26.花のさくら通り

27.家族写真

28.二千七百の夏と冬

29.冷蔵庫を抱きしめて

30.金魚姫


【作家歴】、オロロ畑でつかまえて、なかよし小鳩組、噂、誘拐ラプソディー、母恋旅烏、コールドゲーム、神様からひと言、メリーゴーランド、僕たちの戦争、明日の記憶

 → 荻原浩作品のページ No.1


さよならバースディ、あの日にドライブ、ママの狙撃銃、押入れのちよ、四度目の氷河期、サニーサイドエッグ、さよならそしてこんにちは、愛しの座敷わらし、ちょいな人々、オイアウエ漂流記

 → 荻原浩作品のページ No.2


ギブ・ミー・ア・チャンス、海の見える理髪店、ストロベリーライフ、海馬の尻尾、極小農園日記、逢魔が時に会いましょう、それでも空は青い、楽園の真下、ワンダーランド急行、笑う森

 → 荻原浩作品のページNo.4

 


        

21.

●「ひまわり事件」● ★☆


ひまわり事件画像

2009年11月
文芸春秋刊

(1800円+税)

2012年07月
文春文庫化


2009/11/01


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同じ系列で隣り合って建つという、老人ホーム「ひまわり苑」と幼稚園「ひまわり園」。
入居者への姑息な仕打ちと、園児たちに対する園長の身勝手な振る舞いに怒りの声をあげた老人と園児たちが、ついにバリケード封鎖を敢行、という長篇ストーリィ。

前半は、世間の評価を注目を引こうと、老人ホームと幼稚園の交流を双方の経営者が企んだところから始まります。
老人たちから見れば幼稚園児など小ずるいばかりで煩い悪ガキたち、一方、園児たちからみれば年寄りの集団なんて妖魔軍団のごときもの。
老人介護問題、幼児教育問題と、そこに転がっている課題は大きいのですけれど、まず楽しむべきは、老人たちと園児たちが関わり合う様子。
園児たちと老人たちとの会話のズレぶりが愉快。成る程なぁと思わせる納得感があるからこその面白さです。

しかし、長い。肝心の抗議闘争部分は未だか、未だかと思う内にいつの間にか後半。そこに至るまでが実に長くて、何しろ短めの小説1冊分なのですから。
封鎖事件勃発より、そこに至るまでの事情経緯の方が大事ということかもしれませんが、ストーリィの内容紹介文を先に読んでいただけに、待つ身には長過ぎますよお〜。
どんなに面白いストーリィが展開されるのかと、期待し過ぎてしまった所為か、残念ながら読んだ後の満足度はいまいち不足。

              

22.

●「砂の王国」● ★★


砂の王国画像

2010年11月
講談社刊

上下
(各1700円+税)

2013年11月
講談社文庫化
(上下)



2010/12/01



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仕事がうまくいかず、妻には出て行かれて酒浸りとなり、会社は辞めさせられる。借金の取り立て屋に追いまくられた挙句、お決まりのようにホームレスまで身を落とした元証券マンが、起死回生のビジネスとして選んだのは、新興宗教。
巨躯・美形で不思議なカリスマ性をもつホームレス仲間と、ホームレス寸前の辻占い師の2人を仲間に引き入れ、元証券マンが再び世間へ挑戦を仕掛けるというストーリィ。

ホームレス、新興宗教、もはや身近な題材と言うべきなのでしょう。いつそれらが現実になっても不思議ないという思いがあるからか、厚めの上下2巻というページ数が全く気にならず、面白くどんどん読み進めます。
さて、元証券マンのリベンジは成るのか、起業した新興宗教は成功するのか。

下巻の中盤に至ってその先のストーリィ展開が透けて見えてしまったのが、ちと残念。
面白く読めることは面白く読めるのですが、逆に荻原さんの「らしさ」が薄まってしまっている印象あり。

本ストーリィから感じたるのは、「ねばならない」と思い込むことの危険さ。それは本ストーリィのみならず、ごく普通の会社仕事においても言えることです。
そんな思い込みを捨てることができるかどうかが、自分自身、苦しまずにいられるかどうかの第一歩。
本ストーリィはホームレス、新興宗教と極端な世界を舞台にしていますが、その底にあるのは、誰しもが直面する普遍的な問題と思います。 

1.祈るべきは我らの真下/2.我が名を皆、大地と呼ぶ/3.我らの後に時は続く

         

23.

●「月の上の観覧車」● ★★


月の上の観覧車画像

2011年05月
新潮社刊

(1500円+税)

2014年03月
新潮文庫化



2011/06/15



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失ったものへの悔恨、もう取り戻せない人生を振り返る、というストーリィを主とした8篇からなる短篇集。

荻原さんとしてもちょうど人生を振り返る時期に来たのではないでしょうか。そうした時機を得て初めて生まれた短篇集だろうと思います。
ですから、これまでの人生を振り返り、取り落としたもの、失った大切なものを思い出し哀切を新たにする、そうしたストーリィが多いです。
「トンネル鏡」は故郷、母親、娘に、「金魚」は大切な存在だった妻に、そして「胡瓜の馬」はかつての恋人に想いを馳せる篇。
また、
「上海租界の魔術師」は葬儀の中で孫娘が亡くなったばかりの祖父を想い、「チョコチップミントをダブルで」は離婚し年に1度の面会日を前にした主人公が娘を想う篇。
これらの篇に共通するのは、失ってしまった大切な家族、家族になったかもしれない相手への哀切の念です。
夢中に走ってきた人生の半ばに至ったからこそ初めて抱く切なさかもしれません。同じ年代として、主人公たちに共感するところ大です。
それと同時に、これまで家族そろってつつがなく暮らしてこれた幸せを、改めて実感させてくれる短篇集でもあります。

上記の篇からすると「レシピ」は異色です。定年退職日にご馳走を作って夫の帰りを待ちわびる妻が、大切にしているレシピ帳を前にこれまでの恋人たち、彼らのために作った料理のことを回想するという篇。いかにも女性らしいリアル感を備えていて、男性作家なのに荻原さん、巧い!
また
「ゴミ屋敷モノクローム」は、趣向の面白さが光る一篇。
表題作であり最後を飾る
「月の上の観覧車」は、老いた主人公が一人で観覧車に乗り、先に逝った家族を想うストーリィ。観覧車=走馬灯のようで、清澄な読後感が印象に残ります。

トンネル鏡/金魚/上海租界の魔術師/レシピ/胡瓜の馬/チョコチップミントをダブルで/ゴミ屋敷モノクローム/月の上の観覧車

         

24.

●「誰にも書ける一冊の本−テーマ競作 死様−」● ★☆


誰にも書ける一冊の本画像

2011年06月
光文社刊

(1200円+税)

2013年09月
光文社文庫化

2011/07/12

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光文社が企画したテーマ競作「死様」の中の一作。
盛田隆二「身も心もに次いで2作目なのですが、テーマを同じくしてもこうも違うストーリィになるのかと、ちと驚いた気分。

函館の父親が危ない状態に陥り、東京から駆けつけた長男が主人公。
その主人公、父親が自分の半生を原稿用紙に書き溜めていたことを初めて知ります。母親曰く、以前小説本を出したことのある長男の真似をして、自分も本を出したかったらしいよ、とのこと。
原稿を読み、この部分は創作じゃないかと思いながら、父親を見送るという舞台設定。

父親と息子って、自分のことについて話さないよなぁ。
だからこそ、父親の書き残した原稿を通じて父子の会話が成り立ったような展開に、絶妙の味わいがあります。
そしてそれは、何も父親と主人公の間柄だけに留まらず、離婚によって別れた娘と主人公の関係にも関わります。

各々の人生というものを考えた時、「誰にも書ける一冊の本」という言葉には、人を魅了する響きがあります。
また、父子の対話という点においても、心に残る一冊。

           

25.

●「幸せになる百通りの方法」● ★☆


幸せになる百通りの方法画像

2012年02月
文芸春秋刊

(1500円+税)

2014年08月
文春文庫化



2012/02/28



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どこか滑稽でどこか不器用に現代を生きる、ごく普通な人たちを描いた短篇集。
荻原作品の中では、肩の力が抜けたユーモラスな一冊、と思います。軽い気分で読むと良いのではないでしょうか。

各篇の主人公は、自分では意識していないが認知症の傾向がある老女、他に出来ることもなく俺々詐欺をやっている元役者、奇しくもネットで繋がっていた不器用者たち、お見合いパーティ動物園版に参加した元動物行動学専攻のアラサー女性、リストラを妻に言い出せず毎日をベンチで過ごす元サラリーマン、歴女の恋人に辟易する若者、ノウハウ本のモットーに励むが実績のあがらない若手サラリーマン。
不器用というより、どこか迂闊、どこか抜けている、と言った方が相応しいかもしれません。もう少しうまく立ち回れれば道が開けるのではないかと思える人たちですが、だからこそ考え方をちょっと変えるだけで幸せになることもできるのではないか、と感じます。

見合いパーティに参加した男性陣を動物行動学に立って観察する女性を描いた「出逢いのジャングル」は風刺が利いていて愉快。
リストラされた中高年サラリーマンを描いた
「ベンチマン」はもはや特別な物語ではありませんが、やはり身につまされます。
「幸せになる百通りの方法」は、自分のモットーと結果的な選択が好対照であるところが面白い。

原発がともす灯の下で/俺だよ、俺/今日もみんなつながっている/出逢いのジャングル/ベンチマン/歴史がいっぱい/幸せになる百通りの方法

         

26.

●「花のさくら通り」● ★★


花のさくら通り画像

2012年06月
集英社刊

(1600円+税)

2015年09月
集英社文庫化



2012/07/18



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オロロ畑でつかまえて」「なかよし小鳩組から14年ぶり、久々の“ユニバーサル広告社”シリーズ第3弾。
今回の題材は、シャッター商店街化目前の寂れた
“さくら通り商店街”の再生!

業況低迷からユニバーサル広告社の面々、ついに都落ち。移転先はというと、都心からは程遠い、寂れた商店街の中にある中古ビルの2階。
“さくら通り”という名前はあるものの、かつて毛虫騒ぎで桜の木を全て切り倒してしまって桜の木がまるでないという、まるで冴えない商店街。
ところが紆余曲折を経て、広告社の面々(
石井社長・杉山・村崎・猪熊)が商店街の店主たちと手を携え、商店街の活性化=再生に挑むというストーリィ。
シャッター商店街があちこちで増えつつある状況下、格好のテーマと思います。それに付加して、寺の息子と教会の娘の初々しい恋物語付き。
ただし、過去2作に比べると、とにかく長い。本展開に入るまでの前置き部分が長いのです。ゆっくり、じっくり描いている、とも言えますが。

難しいことは何もないストーリィ。タイムリーな題材を基にじっくりストーリィが進められていくという風で、楽しく読んでいられるちう点ではまさに夏休みの読書向き。
そして終盤、守旧派と改革派が商店街の会合でせめぎ合う場面は、まさに国会並です。そしてそこから後は、一気にハッピーエンディング。
荻原作品の中でも、肩の力を抜いて楽しめる一冊です。

1.花まつりはイースターで桜餅/2.母の日の水子の供養の柏餅/3.雨安居のジューンブライドには葛饅頭とタルト/4.桃も李も施餓鬼も洗礼式も夏銀河/5.氷菓冷えて僧門にひよどり鳴く/6.花散り落葉舞いあまたの星は地上を照らす

         

27.

「家族写真 Family Photograph ★★


家族写真画像

2013年05月
講談社刊

(1400円+税)

2015年04月
講談社文庫化



2013/06/28



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平凡な家族、あるいは50代になったおじさんたちの、ありふれた悲喜こもごもの姿をコミカルに描いた短篇集。
いかにも重松清さんが繰り返し書いてきた小説テーマのように感じるのですが、コミカルな味わいが全篇を覆っているところは、やはり荻原さんならではの一冊です。
換言すると、ごく普通の家族であろうとたったひとつの家族であるとする描き方が重松さんスタイルであるなら、どこでも転がっているような家族の一つ、おじさんの一人に過ぎない、という姿勢が本短篇集のスタイルでしょう。

私自身にも共通することだよなぁと思っている内に笑いが込み上げ、でもよく考えてみると現代日本社会、家族における問題が透けて見えると何やら納得した気分(納得してはいけない問題かもしれませんが)。

どの篇も捻りが利いていて面白いのですが、
話の持って行き方がお見事と感じたのは
「磯野波平を探して」。サザエさんの父親=波平さんは54歳だったのですねぇ。50代になった主人公、まだ若いと頑張るのか、それとももう観念して波平さんのようなオヤジさん風に落ち着くのか、思案のしどころと迷う姿は、私も同年代だけに理解できるだけに可笑しい。
7篇中笑ってしまったのは
「しりとりの、り」。無理やり家族でしりとりを始めたところ、各人の願望が浮き彫りになって逆に父親は追いつめられてしまうという展開が、哀れにも可笑しい。
表題作
「家族写真」は、最後を締めるに相応しい一篇。やはり家族が一つ所に集まる姿は、心が温まります。

結婚しようよ/磯野波平を探して/肉村さん一家176kg/住宅見学会/プラスチック・ファミリー/しりとりの、り/家族写真

     

28.

「二千七百の夏と冬」 ★★        山田風太郎賞


二千七百の夏と冬画像

2014年06月
双葉社刊

上下
(各1300円+税)

2017年06月
双葉文庫化
(上下)



2014/07/16



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2011年夏、ダム建設工事の掘削作業中に2700年前に生存していたと思われる縄文時代の古人骨が発見されます。推定では16歳位の少年。さらに、先に発見された少年とお互いに手を伸ばし合い指を絡め合っていたらしい15歳位の少女の古代骨も発見されます。ただし驚くべきことに少女は弥生人。縄文人弥生人という違いのある2人の間に一体どんな物語があったのか。

各章の冒頭はまず、上記の古人骨に興味をもった現代日本の若い女性記者=佐藤伽耶が縄文人や弥生人について質問あるいは調べるところから始められます。各幕開けでの導入部分といったところでしょうか。
そして主となるのは、縄文人の若者
ウルクを主人公としたストーリィ。まだ一人前の大人とは認められていないウルク、ある事情から村を追放され、帰村のための条件とされたある物を手に入れるため弥生人の村へと向かいます。
という訳で
本作品は、日本に縄文人と弥生人が並存した時代を舞台に、縄文人の若者の冒険と恋を描いた物語

でも何故今、縄文時代の物語なのか? そこが読む側としての関心処です。
お互いに「"人"ではない人」「毛人」と、同じ人間とは認めていないところがあります。しかし、そうであっても主人公ウルクと
カヒィのように、相手を理解しようと思えば、縄文人と弥生人という違いを超えて気持ちを通じ合わせることができる筈だ、というのが本ストーリィの主旨だろうと思います。
現代では世界中のあちこちで民族の違い、宗教の違いから深刻な地域紛争等が生じていますが、縄文人と弥生人の違いと比較すれば、まだ差は小さいものである筈、そんな荻原さんのメッセージが伝わって来るようです。
なお、縄文時代なんて、歴史上に実在した時代であったにしろ、読み手としてはまるでファンタジー世界の中での出来事のようなもの。そのため、上橋菜穂子さんのファンタジー物語を読むような面白さがあります(事実としてあったかもしれない面白さもあり)。

         

29.

「冷蔵庫を抱きしめて」 ★★


冷蔵庫を抱きしめて画像

2015年01月
新潮社刊

(1600円+税)

2017年10月
新潮文庫化



2015/02/14



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現代社会に生きる人たちが心に抱える闇、様々なビョーキをテーマにした短篇集。
本当に多種多様です、大丈夫なんだろうか、現代日本。

・冒頭の「ヒット・アンド・アウェイ」は、同棲相手のDV。自分が強くなることによって漸く相手と決別するシングルマザーを描いた篇で、痛快。
DVというのは虫唾が走る罪悪だけに、スカッとします。DVを受けている人たちの為に少しでもなればいいな、と思えるストーリィです。

・表題作の
「冷蔵庫を抱きしめて」は、新婚妻が夫との食事の好みの違いからストレスを抱え、過食症になってしまうという篇。他人事ではないです、実は。
「顔も見たくないのに」はちょっと笑える篇。こんなことになったらそうだよなぁ、と思うばかり。それにしても相手の往生際の悪さ、呆れるというか、笑えるというか。
「マスク」は、風邪を引いてマスクをしたら、マスクの利点に気づき離せなくなってしまったサラリーマンを描いた篇。そう感じてしまうなんて、そもそも潜在性ビョーキだったのですよ。
「それは言わない約束でしょう」は、ブラックユーモア的。出世とかクビとか気にしないで済むのなら、本人は日々すっきりだろうなぁ。

本短篇集を興味深く、かつ面白く読める人は、精神的に健全と言えるのではないでしょうか。

ヒット・アンド・アウェイ/冷蔵庫を抱きしめて/アナザーフェイス/顔も見たくないのに/マスク/カメレオンの地色/それは言わない約束でしょう/エンドロールは最後まで

   

30.
「金魚姫 ★★




2015年07月
KADOKAWA刊
(1700円+税)

2018年06月
角川文庫化



2015/08/23



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ブラック企業と言うべき仏壇仏具販売会社の営業マンである主人公=江沢潤は、同棲していた恋人にも出て行かれ、今や鬱状態。そんな自殺しかねなかった彼を思いとどまらせたのは、金魚すくいで持ち帰った金魚=琉金の世話をしてやらなくては、という思い。
その夜、ひた、ひたという音が聞こえたと思ったら、主人公の部屋に全身濡れそぼった、赤い衣装を纏った妖しい美女が現れます。
それからというとも、主人公には死んだ人の姿が普通の見えるようになり、営業成績も順調に伸びていくのですが・・・。
一方、古代中国で、許婚者を非道に殺された揚娥が憎むべき劉顕の配下に追われて水に飛び込むという出来事が挿話として語られます。

夜になると金魚から人間に変身しては目の前に現れる彼女を、潤は
リュウと名付けますが、そのリュウ、過去の記憶をすっかり失っているらしい。
妖しい金魚美女との風変わりな同居生活、時空を超えたミステリ・サスペンス要素を感じさせる本作品ですが、本質的にはやはりファンタジーで妖しい恋愛ストーリィと言って良いのでしょう。

奇妙な同居人との恋愛ストーリィといえば、幽霊とそこはいろいろありますが、千幾百年という時空を超えた展開となっている処が本書の特色。
二千七百の夏と冬の延長線上に本恋愛ストーリィがあると感じるところ大です。
成就し難い恋愛だからこそ忘れ難いもの。リュウのことを想い続ける潤と、いつしか別れざるを得ないリュウとの運命的な恋は、実に切なく、そして忘れ難い。

 

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