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3.陽だまりの彼女 4.空色メモリ 5.金曜のバカ 7.いとみち 8.くるくるコンパス 9.いとみち 二の糸 10.いとみち 三の糸 |
魔法使いと副店長、房総グランオテル、まれびとパレード、四角い光の連なりが、たんぽぽ球場の決戦 |
●「ボーナス・トラック」● ★☆ 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 |
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2010年04月
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ストーリィ自体は単純で、それほど大きな出来事がある訳でもありません。 この作品の魅力は、草野と横井の2人の間で交わされる、息のぴったり合った掛け合い漫才のようなやりとりにあります。 |
●「階段途中のビッグ・ノイズ」● ★★☆ |
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2010年05月
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第2作にしてこんなに面白い、魅力的な青春小説を書いているとは思いも寄りませんでした。 軽音楽部の上級生2人が麻薬所持で退校処分となり、軽音楽部自体も廃部の危機。 何かとおどおどしがちな啓人、暴走気味の伸太郎、天才的なギタリストながら少々協調性の欠ける嶋本勇作に、吹奏楽部からドロップアウトしてきたロバ男の岡崎徹という4人の組み合わせも個性的ながら、脇を固める登場人物たちの方がさらに魅力的。 どん底からの挑戦、葛藤、到達と団結、そして文化祭直前での挫折感と、その展開は月並みかもしれませんが、文化祭前から始まり当日に至ってのステージの盛り上がりはとにかく圧巻。 |
●「陽だまりの彼女」● ★★☆ |
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2011年06月
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仕事先で偶然にも10年ぶりに再会した渡来真緒。中学時代「学年有数のバカ」と言われイジメられっ子だった彼女は、今や綺麗で「できる」ワーキングウーマンとなっていた。 こうした紹介文からどんな展開を予想するでしょうか。 後半その秘密に絡んでサスペンス的な展開があるかと思えば、それがまた、全く予想も及ばない展開。 |
※映画化 → 「陽だまりの彼女」
●「空色メモリ」● ★☆ |
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2012年06月
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軽快で健康的な高校生小説。 部員は部長ただ一人という、県立坂越高校文芸部。その文芸部に何故か新入生の女生徒がたった一人で入部してきます。 セックスもドラッグも暴力も、大事件もない学園ストーリィ。 |
●「金曜のバカ Fool on Friday」● ★☆ |
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2012年11月
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ユーモラスで、温かな、高校青春グラフティ、といった短篇集。 5篇中秀逸なのは、表題作「金曜のバカ」。 「星とミルクティー」は、流星群を見るため夜中、堤防に出かけた男女の高校生同士が出会うストーリィ。 「この町」は、絶好のチャンスと期待を高まらせていた男子高校生が、寸でのところで・・・というストーリィ。友達から失敗した恋愛体験を聞くような面白さあり。 「僕の愉しみ 彼女のたしなみ」は、恐竜オタクの男子高校生が折角のデートでしくじる話。オタクが恋愛にうまく対処するというのは、難しいものなのです。私としては共感するところ大きいなぁ。 最後の「ゴンとナナ」は、老犬ゴンを連れて海辺を散歩する女子高校生ナナの話。ちょっとビターな味わいが本短篇集の最後を引き締めてくれます。 金曜のバカ/星とミルクティー/この町/僕の愉しみ 彼女のたしなみ/ゴンとナナ |
6. | |
●「せきれい荘のタマル」● ★☆ |
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東京の大学に進学した主人公=石黒寿史、予備校時代から想っていた相手=法村珠美(のりたま)が同じ映画研究部に入部したと知り、大喜び。 このところで「階段途中のビッグ・ノイズ」「いとみち」、本書と、3作品を一気に読んできたのですが、越谷オサムさん、こんな面白い作品を書く作家とはまるで認識していませんでした。 |
7. | |
●「いとみち」● ★★ |
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2013年11月
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弘前市内の高校に通う相馬いとは、育ててくれた祖母の影響で濃い津軽弁。おかげで子供の頃から津軽弁がコンプレックスで、かなりの人見知り、人とのコミュニケーションが苦手。 本ストーリィの良さは、ローカルなところ、がまず第一。 不器用で地味な主人公が居場所を手に入れたおかげで成長をとげ、最後は演奏で観客たちを熱狂させるという展開、「階段途中のビッグ・ノイズ」に良く似ています。 |
※映画化 → 「いとみち」
8. | |
「くるくるコンパス」 ★☆ |
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2015年05月 2013/04/14 |
中学の修学旅行は奈良・京都。 冴えない将棋部の男子中学生3人組が、大阪に転校していった同じ将棋部の女子に会いに行こうと、自由行動日に行動ルールを破って京都から大阪へ。 知らない街でのちょっとした中学生時代の冒険を回想したヤングアダルト向けストーリィ。 まず懐かしいです。 私も中学の修学旅行は奈良・京都でした。ただし乗った列車は新幹線ではなく、修学旅行専用列車“日の出号”でした(3学年下の妹の時にはもう新幹線)。 修学旅行の途中抜け出して京都から奈良へ自分たちだけで行くというのは、中学生にとってはかなりの冒険だと思いますよ。実際に彼らは梅田、道頓堀で身を持って冒険を体験してしまいます。 主人公と同級生女子とのささやかなエピソードも、修学旅行最中だからのことと微笑ましい。 同級生の仲間たち、女子の同級生たち、厳格だったり様々なタイプの先生たち。自分の中学修学旅行当時を思い出したくなる、そんな懐かしさを感じる一冊です。 |
9. | |
●「いとみち 二の糸」● ★☆ |
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2015年02月
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ドジッ子の津軽娘=相馬いと(いとっち)を主人公にしたユーモラス青春ストーリィ「いとみち」の続編。 前作が非常に印象的だっただけに、続編である本書からは前作のような新鮮な面白さ、というものは感じません。 それでも本作品の登場人物は、主人公のいとっちを始めとして、皆心楽しくなるキャラクターばかり。私のお気に入りの作品であることに変わりはありません。 本作品でいとっちは2年生に進級。同じ五能線通学組の親友3人とは悲しくも別クラスになりましたが、早苗のリードにより4人で写真部を結成。結成早々写真部に入部してきたのが、新一年生の石郷鯉太郎(りたろう)。中学まで相撲で活躍実績のある巨体ですが、心優しき新入生。その鯉太郎が新たな登場人物。 2年生になったいとっちたち、高校そして“津軽メイド珈琲店”を背景になんだかんだと色々な出来事が書き綴られ、本ストーリィを形作ります。 そん中で肝腎のいとっち、濃い方言故の内気は相変わらずで格段の成長は認められないものの、少しは成長したのかも。 一方、主要人物の中で格段にステップアップするのは、メイド長の幸子と自称エースメイドの智美。 その2人を囲んでの終盤、大勢が集まってワイワイガヤガヤする場面には思わず読み手も一体感を味わえ、本作品の楽しさ満喫できるところです。 作者の越谷さんに乞う! いとっちの更なる続編を! |
10. | |
「いとみち 三の糸」 ★★☆ |
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2016年11月
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ドジッ子の津軽娘=相馬いと(いとっち)を主人公にしたユーモラスな青春ストーリィ「いとみち」三部作、完結編。 高校3年生になったいとっち、冒頭では相変わらずの引っ込み思案で濃厚な津軽弁も全く変わっていないなぁと思わせられるのですが、いやいや、2年以上この津軽メイドカフェに勤めた経験は着実にいとっちを成長させているのです。 それがどんなところで発揮されるのかは、この完結編を読んでのお楽しみ。 冒頭では、漫画家を目指して上京した福士智美の妹で高校一年生のチハルがメイドカフェの新バイトとして加わってきますが、これが中々の難物。 そしてまた心優しき後輩にして巨体の石郷鯉太郎といとっちの関係は進展するのやら。 さらに、高校3年生=受験生。いとっちは自分の進路をどう選ぶのか。そして同時にこれだけ内気ないとっちが、実家を離れて都会の大学へ進学などできるのでしょうか。 この完結編の見所は、思わぬところで見出される主人公いとっちの成長ぶり。 最後の最後は、まさしく大団円です。 心優しく内気な少女の成長ストーリィ完結編。温かくユーモラスで、そのうえ爽快、楽しきこと限り無しの青春篇。 いとっちが口に出す津軽弁の何と愛おしいことでしょうか。願いが叶うことあれば、是非またいとっちとその仲間たちに再会したいものです。 |