マルク・レヴィ作品のページ


Marc Levy  フランス生。サンフランシスコで6年間生活し、帰国後建築事務所を経営。仏国内でベストセラーとなった「夢でなければ」は処女作。

 


   

●「夢でなければ」● ★★☆
 
原題:"Et si c'etait vrai..."  




2000年発表

2001年01月
早川書房刊
(1600円+税)

 

2001/04/04

そもそもこの物語は、作者が10歳の息子に聞かせる為にこしらえたものとの由。それが、出版されてベストセラーとなり、映画化まで予定されているというから、驚きです。勿論、それだけの魅力がある作品です。

主人公のアーサーは、サンフランシスコの建築家。アパートで入浴中クロゼットから歌声が聞こえたので開けてみると、何と中には若い女性が! しかも、その女性ローレンは、本体は自動車事故で長い昏睡状態にあり、自分は本体から抜け出した幽霊だと告げます。そのローレンも驚いたことは、誰にも彼女が見えない筈なのにアーサーだけが彼女の姿を見、声を聞き、身体に触れることもできたのです。
となると思い浮かぶのは、北村薫「ターン。似た点の多いストーリィです。
ただし、「ターン」が静かな感動ある作品であるのに対し、本書は洒落たラブ・ストーリィ。と言っても、読み出したら途中で止められない面白さは全く引けを取りません。
アーサーとローレンの会話、振る舞いはとても魅力的で楽しい。しかし、第三者から見ると、アーサーは一人で何やら奇矯な動作をしている、ということになります。その辺りの面白さはすこぶる戯曲的。したがって、映画化にはぴったりです。
2人の間には自然と愛が芽生えますが、或る日、ローレンの本体が安楽死させられるという危機が訪れます。決然としてアーサーはローレンの本体を病院から盗み出そうと計画。
本書は、2人のロマンスが主題ですが、もうひとつ、親から子供へのメッセージ(亡き母親リリからアーサーへ)を篭めた作品です。その点にも味わいがあります。
さて本書の結末は....、それは読んでのお楽しみです。

※映画化 → 「恋人はゴースト

  


   

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