諸田玲子作品のページ No.6



51.今ひとたびの、和泉式部

52.元禄お犬姫

【作家歴】、まやかし草紙、誰そ彼れ心中、幽恋舟、氷葬、月を吐く、お鳥見女房、笠雲、あくじゃれ瓢六、源内狂恋、髭麻呂

諸田玲子作品のページ No.1


其の一日、蛍の行方、犬吉、恋ほおずき、仇花、紅の袖、鷹姫さま、山流しさればこそ、末世炎上、昔日より

諸田玲子作品のページ No.2


こんちき(あくじゃれ瓢六)、天女湯おれん、木もれ陽の街で、狐狸の恋、奸婦にあらず、かってまま、狸穴あいあい坂、遊女のあと、美女いくさ、巣立ち

 → 諸田玲子作品のページ No.3


めおと、べっぴん(あくじゃれ瓢六)、楠の実が熟すまで、きりきり舞い、炎天の雪、天女湯おれん−これがはじまり−、お順、春色恋ぐるい、恋かたみ、幽霊の涙

 → 諸田玲子作品のページ No.4


四十八人目の忠臣、心がわり、来春まで(お鳥見女房No.7)、再会(あくじゃれ瓢六)、ともえ、相も変わらずきりきり舞い、王朝小遊記、破落戸、帰蝶、風聞き草墓標

 → 諸田玲子作品のページ No.5

 


                              

51.

「今ひとたびの、和泉式部 ★★


今ひとたびの、和泉式部

2017年03月
集英社刊

(1700円+税)



2017/03/26



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諸田さん、久々の王朝もの。
是非読んでみようとまでは思わなかったものの、女流歌人の
和泉式部という人物、彼女が生きた時代とは如何なるものだったのかという興味から読んだ次第。

冒頭、亡くなった和泉式部を蛍を愛でながら偲ぼうという催しの舞台からストーリィは始まります。
この部分での主人公は、式部の保護者であった
赤染衛門の娘である江侍従
和泉式部の生涯を描く本ストーリィと別に、江侍従を主人公とする後日のストーリィが設けられているその理由は、式部の生涯に幾つかある謎を解き明かそうとする、ミステリ構造になっているからと読み進んでいくうちに判ります。
和泉式部を主人公とした主ストーリィだけでも、運命に翻弄された故というべき数々の試練と恋の遍歴という内容は読み応えたっぷりですが、ミステリ風味を加えた点が諸田さんらしい処。

和泉式部が生きた時代は、
藤原道長が権力を握り、娘の彰子を中宮に押し込み自分の血に繋がる孫を帝位につけようとして専横を振るった時代。
式部が味わった数々の試練は、まさにその道長の専横の結果というのが本ストーリィでの設定です。

自らの権力、立身出世欲のために道具のように扱われ、個人としての幸せを踏みにじられたのは、和泉式部だけでなく中宮彰子、娘の小式部も同じことと描かれています。
男の身勝手さに振り回される女性の悲哀は、現代にも通じる題材でしょう。
試練ばかりの人生を、歌を以て生き抜こうとした女流歌人の生涯は、女性読者の共感を呼ぶところ大ではないでしょうか。

                  

52.
「元禄お犬姫 


元禄お犬姫

2018年05月
中央公論新社

(1600円+税)



2018/06/20



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諸田さんは、元々好きな作家の一人ではあるのですが、本作についてはインパクトがないなぁ〜と感じざるを得ず。

五代将軍綱吉の「生類憐みの令」下の“お犬様”時代、どんな犬も易々と手懐けてしまう武家の娘がいた。
そのため、その娘=
知世“お犬姫”と異名で呼ばれることに。

多数の犬を世話するために設けられた中野村の<御囲>。その世話役を命じられた森橋一家、夜も絶えない犬の鳴き声により知世の母親は心身を損なったため、父親と兄を中野村に残し、知世は祖父の
善右衛門と母親、13歳の弟と一緒に、祖父と親しい剣術道場主の堀内源左衛門の元に身を寄せ、その離れで暮らすことになります。
本作は知世らが、堀内家の離れで暮らした2年半に起きた、犬にまつわる騒動事を描いた長編時代ストーリィ。
堀内道場の弟子で浪人者の
河合真之介らと共に知世は、犬で騒動を起こした間に盗み働きをする<盗賊お犬党>、祖父や源左衛門と親しい堀部弥兵衛の赤穂藩に降りかかった大事件、真之介らの仇討ち騒動、そしてお犬党が企てるテロ計画に巻き込まれます。
 
それなりに色々なドラマが織り込まれているのですが、もう一つ面白いと思えない、というのが正直な感想。
ひとつは、綱吉時代下で、お犬姫というキャラクター設定が、何やら悪法を批判せず、むしろ肯定するかのような雰囲気を醸し出しているところがあり、すっきりしない気分、というのがその理由。
また、お犬姫と呼ばれるような特技があるにしろ、知世にヒロインという程の魅力は感じられず、また河合真之介についてもヒーローとしての魅力を感じるには至らない、というのも理由のひとつ。

人の情に関わる部分も、何やら散文的で、今一つ盛り上がらなかった観あり。


序.お犬姫見参/1.盗賊お犬党/2.赤穂お犬騒動/3.仇討お犬侍/4.お犬心中/5.お犬の討ち入り

   

読書りすと(諸田玲子作品)

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