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11.雪の夜のあと 12.傷−慶次郎縁側日記− 13.再会−慶次郎縁側日記− 14.昨日の恋 15.埋もれ火 16.消えた人達 17. おひで−慶次郎縁側日記− 18.峠−慶次郎縁側日記− 19.お茶をのみながら 20.蜩−慶次郎縁側日記− |
【作家歴】、深川澪通り木戸番小屋、花冷え、まんがら茂平次、恋忘れ草、その夜の雪、風よ聞け−雲の巻−、深川澪通り燈ともし頃、東京駅物語、江戸風狂伝、銀座の職人さん |
妖恋、隅田川(慶次郎縁側日記No.6)、妻恋坂、脇役(慶次郎覚書)、やさしい男(慶次郎縁側日記No.7)、夜の明けるまで、赤まんま(慶次郎縁側日記No.8)、夢のなか(慶次郎縁側日記9)、ほたる(慶次郎縁側日記10)、月明かり(慶次郎縁側日記11) |
父の戦地、白雨 (慶次郎縁側日記12)、誘惑、似たものどうし(慶次郎縁側日記傑作選)、あんちゃん、澪つくし、あした(慶次郎縁側日記13)、祭りの日(慶次郎縁側日記14)、たからもの、雨の底(慶次郎縁側日記15) |
ぎやまん物語、乗合船、恋情の果て、春遠からじ、化土記、いのち燃ゆ、初しぐれ、こはだの鮓 |
●「雪の夜のあと」● ★★★ |
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2022年08月
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短編集「その夜の雪」、
その表題作の続編となる長編作品です。 どんな風に短編作品が長編に書き継がれているのかに興味を引かれながら読み出しました。ところが、本作品は、そんな気軽さを吹き飛ばすような、見事に充実した作品でした。 ストーリィの中心となる人物は、短編同様に、元同心・森口慶次郎であり、常蔵であり、その娘おとしです。それだけにとどまらず、はるかに多くの市井の人々が、それぞれの人生を背負って登場してきます。“それぞれ”であり、人によって、重い、軽いの別を感じることはありませんでした。 後半に至ってからは、ただ、ただ、圧倒されるように読みつづけました。最後は、悲惨としか言いようの無い結末。しかし、その中にも救われるような思いを得ることができる。人はそれを救いに生きていくしかない、そんな結論でしょうか。 今まで読んできた北原作品の中では、もっとも迫力に満ちたものだと思います。表面的な人情話だけで終わる作家ではない、それを実証してみせた作品だと言えます。 |
●「傷−慶次郎縁側日記−」● ★☆ |
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2001年04月 2022年06月
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気軽に読んでそれなりに楽しめる、という感じの連作短篇集です。主人公は「その夜の雪」「雪の夜のあと」の森口慶次郎。 この、元定町廻り同心の隠居で寮番という設定が、なかなかのものです。暇ですからいろいろと面倒話に首を突っ込むのも自然ですし、その一方で、捕り物および人間への洞察力は長年の同心時代に鍛えた自家薬籠中のもの。また、時に岡っ引を手足として使える人脈もあります。 もうひとつ私にとって魅力なのは、慶次郎と婿の晃之助、その妻の皐月との関係とその距離感です。 なお、「その夜の雪」が冒頭に挿入されているため、本書から読んでも充分楽しめます。 その夜の雪/律義者/似たものどうし/傷/春の出来事/腰痛の妙薬/片付け上手/座右の銘/早春の歌似ている女/饅頭の皮 |
●「再会−慶次郎縁側日記−」● ★★ |
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2001年11月 2022年07月 1999/05/26 |
元同心・森口慶次郎を主人公とする連作短篇集第2弾。 北原さんは藤沢周平系統の作家なのですが、本書を読む限り、思い出すのはむしろ池波正太郎「剣客商売」の秋山小兵衛です。隠居同然の主人公から生じる、ゆったりとした雰囲気があるからでしょう。とは言っても、小兵衛のような超人的活躍は望むべくもありません。 北原さんの市井小説がすっかり円熟の段階に至った、という印象を受ける一冊。シリーズものとして、これからも楽しみです。 恩返し/八百屋お七/花の露/最良の日/日々是転寝/やがてくる日/お見舞い/晩秋/あかり/再会一(秘密)/再会二(卯の花の雨)/再会三(恋する人達) |
●「昨日の恋−爽太捕物帖−」● ★ |
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1999年04月
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事件というより、市井だからこそのいろいろな出来事を、事件にせずに済ませる、という傾向の連作短篇・捕物帖。 |
●「埋もれ火」● ★ |
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2001年09月
2000/04/27 |
幕末の激動期、坂本龍馬、近藤勇らはそれぞれ歴史に名を残す生涯を遂げますが、その裏舞台では、彼らに関わった女たちが思いがけず時代に翻弄されたような生き方を余儀なくされました。そんな残影とでもいうような、彼女らの後日を描いた短編集。 お龍・・・・・・・維新後も龍馬の妻として生きたお龍 |
●「消えた人達」● ★ |
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2010年03月 |
「昨日の恋」の岡っ引・爽太親分が登場。 |
●「おひで−慶次郎縁側日記−」● ★★ |
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2002年10月 2022年09月
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シリーズ3冊目に至り、盤石の連作シリーズになってきた、と思いました。
本シリーズに一番近い連作ものというと、池波正太郎“剣客商売”シリーズだと思うのですが、同シリーズはあまりにも登場人物たちが普通の人ではない。つまり、秋山小兵衛・大治郎父子にしろ、佐々木三冬、各篇で登場する人物にしろ、剣術使いという特殊な世界の人達が多く、活躍ぶりもまさに超人的です。 ごく普通の市井ばなしに、ちょっと哀歓が混じっている、というのが本シリーズの良さだと思います。 ぬれぎぬ/からっぽ/おひで(一 油照り)/おひで(二 佐七の恋)/秋寂びて/豊国の息子/風のいたずら/騙し騙され(一 空騒ぎ)/騙し騙され(二 恵方詣り)/不惑/騙し騙され(三 女心)/あと一歩 |
●「峠−慶次郎縁側日記−」● ★☆ |
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2003年10月 2023年06月 2000/11/05 |
「小説新潮」に連載されている“慶次郎縁側日記”シリーズですが、第4巻目ともなるとすっかり安定してきた観があります。 「峠」は、1回、それもやむなく犯した罪であるにも関わらず、そのことによってどれだけ人の人生が狂わされてしまうのか、ということが主題となっている作品。 慶次郎、美男のため付け文されるという晃之助、島中賢吾の岡っ引・太兵衛等々、登場人物の皆がスーパーマンではなく普通の人間であるところに、地味ですが本シリーズの良さがあります。 峠/天下のまわりもの/蝶/金縛り/人攫い/女難の相/お荷物/三分の一 |
●「お茶をのみながら」● ★★ |
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2005年11月
2001/12/15 |
北原さんの初エッセイ集。そのため、幅広く北原さんのエッセイが収録されています。北原さん自身の周辺事もいろいろと書かれていますので、北原ファンとしては楽しめる一冊。 そのうち「むかし書いた話」は、本当に昔々、北原さんが新人賞を受賞した以前のものだそうです。最近のエッセイと比べると、やはり随分違うなぁ。人生の年輪、作家としての経験の差だと思いますが、味わいというものがあまり感じられない。(言い換えれば、最近の北原さんのエッセイには、小説と同じように味わいがある、ということです) 一番面白く読めたのは、冒頭の「あんな話」。 あんな話/むかし書いた話/むかしの話/こんな話 |
●「蜩−慶次郎縁側日記−」● ★★ |
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2004年10月 2023年07月
2002/02/11 |
お馴染み“慶次郎縁側日記”シリーズの第5弾。 20歳も年上の地獄宿の女を女房に貰おうという「綴じ蓋」、女を騙す稼業がそれを上回る女に仰天して番屋に駆け込んできたという「権三回想記」、おしゃべりが唯一の楽しみという「おこまの道楽」は、いずれも愉快な一篇。 森口慶次郎は、もはや登場人物のひとりというに過ぎません。主役は、各ストーリィそれぞれの主人公たち。でも、慶次郎、晃之助、辰吉、佐七と、いつもの面々が所々に登場するところに、安心できる楽しさがあります。 綴じ蓋/権三回想記/おこまの道楽/意地/蜩(ひぐらし)/天知る地知る/夕陽/箱入り娘/逢魔ヶ時/不老長寿/殺したい奴/雨の寺 |
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