●「昨日のように遠い日−少女少年小説選−」● ★★☆ |
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2009/04/25
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「少女少年小説選」という副題を信じて読むと、あれれ?、と思うに違いありません。 本書に収録されているのは、いずれも小品といった方が相応しい作品ばかりですが、どの作品を読んでも趣向に似通っているところが全くない。作品の扉を開ける度に、新たな世界が繰り広げられるという印象。これはとても楽しい! ヴィヴァンテ「灯台」は、主人公である少年にとって喜んだらいいのか悲しんだらいいのか、どちらとも言い難いところに絶妙の味わいあり。 レベッカ・ブラウン「パン」は、寄宿学校の朝食時、パンをめぐるだけの話なのですが、実に上手い。こんな日常的で些細なことから、こんなにもスリリングなストーリィが生まれるのかとこと自体が奇跡のように思えます。 バリー・ユアグロー「大洋」(柴田元幸訳)/ |
●「いずれは死ぬ身」● ★★ |
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2009/07/15
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「エスクァイア日本語版」の95年4月号から98年1月号まで、英語で書かれた現代の短篇小説を自由に選んで訳すという連載を続けさせてもらった、のだそうです。 本書中、抱腹絶倒した観のあるのが、「みんなの友だちグレーゴル・ブラウン」。 本短篇集には、総じて人生の終わり近い時期を感じさせるストーリィが多い。 「昨日のように遠い日」のような、宝石箱を見つけたという感激にはとても及びませんが、各篇ともそれぞれクセがあって、そのクセこそが面白かった。 スチュアート・ダイベック「ペーパー・ランタン」/ |