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(ナルニア国物語・全7巻) 1.ライオンと魔女 (新潮文庫:ライオンと魔女) 2.カスピアン王子のつのぶえ (新潮文庫:カスピアン王子と魔法の角笛) 3.朝びらき丸 東の海へ (新潮文庫:夜明けのぼうけん号の航海) 4.銀のいす (新潮文庫:銀のいすと地底の国) 5.馬と少年 (新潮文庫:馬と少年) 6.魔術師のおい 7.さいごの戦い |
「ライオンと魔女」 ★★ |
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2024年12月
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「ナルニア国ものがたり」第1巻。 “豊かな物語性”という言葉が自然に浮かぶ、児童向けファンタジー冒険小説。 第2次大戦中、空襲を避けてロンドンから片田舎の古い屋敷に疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィという4人の兄弟姉妹が主人公。 その夢みたいな世界ナルニア国では、住民はみな動物だったり神話に出てくるような半人半獣だったり。人間は4人の兄弟のみです。でも、下半身が山羊(フォーン)のタムナス、4人を歓迎してくれたビーバー一家と、皆各々人間以上に人間的であるところが楽しい。 |
※映画化 → 「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」
「カスピアン王子のつのぶえ」 ★★☆ |
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2025年01月
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「ナルニア国ものがたり」第2巻。 第2巻に至って、漸く「ナルニア国」の面白さがつかめてきました。 それは、この物語が第1巻から第7巻まで繋がったひとつのストーリィではなく、それぞれ単独のストーリィが立体的に組み合わさることによって大きな“ナルニア国”の物語を築き上げていくらしいということ。 単に説明で知らされるからということではなく、第2巻に至ってそれが実感として感じられるのです。 第2巻は、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人が休暇を終えて学校の寄宿舎に戻る途中から。
4人はナルニアを元に戻すことができるのか。アスランはどうなったのか。そして読者は、本巻でナルニアという世界の一端を知ることができます。 |
※映画化 → 「カスピアン王子の角笛」
「朝びらき丸 東の海へ」 ★★ |
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2025年02月
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「ナルニア国ものがたり」第3巻。
今回は、朝びらき丸に乗り込んで東の海の果てへと、冒険を求めて航海するストーリィです。 行き先で主人公たちは、様々な不思議な出来事に遭遇します。まるでスウィフト「ガリヴァ旅行記」のようですが、そこはそれ、児童書ですから社会風刺の要素はあまりありません。想像によって繰り広げられる様々な出来事を楽しんでいけばいい、という巻になっています。 人間界からナルニア国に飛び込むのは、ペベンシー家の4人兄弟全員ではなく、今回はエドマンドとルーシィの2人と、その従兄弟のユースチス・クラレンスの3人。クラレンス家にある船の絵を見ていたら、いつの間にか絵の中に吸い込まれていた、それこそカスピアン王自ら、ミラース王に追放された7人の卿の消息をつかむため航海中の朝びらき丸だったという次第。前巻の3年後という設定です。 |
※映画化 → 「アスラン王と魔法の島」
「銀のいす」 ★★ |
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2025年03月 2005/02/27 |
「ナルニア国ものがたり」第4巻。 今回の主人公は、前回ベベンシー兄妹と一緒にナルニアへ行ったユースチス・スクラブと、ジル・ポールという少女の2人。 学校のいじめっ子から追われた2人が、アスランの名前を唱えながら願うと、何とナルニアへ。 そしてジルは、アスランに命じられ、カスピアン王の息子で行方不明になっているリリアン王子を救い出すため巨人の国へと旅します。 冒頭、ジルがアスランと別れてナルニア国へ向かう、物語の幕開けが壮大で素晴らしい。惚れ惚れします。 |
「馬と少年」 ★★ |
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2025年05月 2005/04/30 |
「ナルニア国ものがたり」第5巻。 第5巻は物語を遡り、ピーターらベベンシー兄妹が王としてナルニアを治めていた時代のストーリィ。 主人公は、本シリーズで初めて人間界の子供ではなく、ナルニアの南、カロールメンで漁師に拾われて育った少年シャスタです。 途中、嫌な老人との結婚から逃げ出してきた姫君のアラビス、雌馬のフィンと道連れになりますが、2人と2匹はナルニアの同盟国アーケンに対するカロールメンの王子の攻撃計画を知ることになります。それから2人と匹の旅は、アーケンとナルニアへ急を知らせるための必死の旅となります。 2人と2匹の冒険物語というストーリィのため、シリーズの中でも独立した物語という印象が強い。その分、まとまりが良く、気軽に楽しめる巻と言えます。 なお、ベベンシー兄妹からは、スーザン女王、エドマンド王、ルーシィ女王の3人が特別出演。 |
「魔術師のおい」 ★★ |
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「ナルニア国ものがたり」第6巻。 本巻では、アスランによってナルニア国が作られる様、そして第1巻「ライオンと魔女」から始まるこの物語の謎を明らかにされます。 どちらかというと、ナルニア国ものがたりのひとつとしての面白さは薄く、シリーズ最終巻を迎えるに先立ってナルニア国の謎を解き明かしておくための巻、という印象を受けます。 名探偵シャーロック・ホームズがまだ生きていた時代、ディゴリーという少年とポリーという少女の冒険物語です。 |
「さいごの戦い」 ★★★ |
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「ナルニア国ものがたり」第7巻。 ナルニア国の終焉を描いたシリーズの最終巻です。 大毛猿ヨコシマが愚かなロバのトマドイを騙してライオンの毛皮をかぶせ、アスランの名を騙ってナルニアのものいうけものたちを誑かします。 前半にもうナルニア国の楽しさは失せ、読み手はまるでナルニア国終焉の証人という立場を与えられたかのようです。 そして、この大団円を迎えたところで、もう一度第1巻の最初から読み直したくなります。その点もまた、「ナルニア国ものがたり」の尽きない魅力と言って良いでしょう。 |