食在広州

生在蘇州

穿在杭州

食在広州

死在柳州

景色の良い蘇州に生まれ、絹織物で有名な杭州の衣服を身につけ、美味しい広州の料理を食べ、
良い材木の出る柳州産の棺桶に入る。これが最高の一生だ、というところから取られていますが、
食在広州だけが一人歩きしています。


鵝鳥(ガチョウ)

を飼い慣らすと、アヒル(家鴨) になり、白鳥を飼い慣らすとガチョウ(鵝鳥) になるんじゃないかと思いますが、日本では、まず、鵝鳥が食べられる事はありません。 しかし、これがまた非常に美味しいのです。台湾では大量に養鶏ならぬ養鵝されており、町には「鵝肉大王」などと書かれた看板を あげる専門店もあります。
肉質は少し固めで、歯ごたえがあり、全て筋肉質で、鶏でいう「ササミ」の白い肉はありません。水鳥の脂肪分と、 噛めば噛むほど味が出る肉は、七面鳥などは足元にもおよばす、 鴨、鶏に優るものがあります。多分、白鳥 のイメージがあり、日本では食べられないのではないかと思いますが、非常に残念です。

鶏の羽をむしって、皮が黒い鶏を烏骨鶏といって、珍重されますが、 白鳥の羽の黒い鳥、黒鳥は羽を毟ると 何色なんでしょうね。白でも黒でも、絶対、美味いと思います。


南菜・北菜

中華料理は大きく分けると、揚子江の南と北に分けられ、南菜・北菜 と呼ばれます。但し、揚子江の北岸の揚州料理は南菜に含まれるといわれます。南菜は魚介類、鶏肉が多用され、味付けも淡白で、北菜は牛、豚、羊などの肉類を 多用し、味付けは濃厚です。寒い所ほど、味は濃厚になるようですね。更に分けると、

南淡・北緘・東酸・西辣

(北緘の”緘”は字が違います。歯へんに”緘”の右側(つくり)の組み合せが本当です)と言い 南は淡白、北はしょっぱい、東は酸っぱく、西は辛い、と特徴を表します。
米と小麦粉の関係も、おおよそ南北に分かれ、北は小麦粉を使った料理が多くあり、 南は米を使います。例えば、餃子類は北の点心(餃子、饅頭、焼売、春捲やお菓子類のように軽く摘まんで食べられるものを点心と言います)で、 米粉は南部の福建省辺りが名産地とされます。


焼酒鶏

このHPのタイトル「美味不問遠路」は、私の両親の故郷、台湾での体験から選びました。今から40数年前、初めて台湾に行った時のこと、夕方、友人の家で「さあ、これから夕飯を食べに行こうか」と車に乗って食事に連れていってもらいました。高雄のさらに南東にある台湾の地方都市「屏東」の街を夕闇の中、走り出しました。田舎道を延々と走りつづけ、辺りは真っ暗闇に変わってゆきました。時々、小さな街に差し掛かると電柱の灯、家の灯りが見えますが、あとは真っ暗な道をヘッドライトが照らす中を走りつづけました。そう、2時間半か3時間ほど走るうち、真っ暗な中にぽつんと灯りが見えて来、そこに2軒、テント掛けのような店がありました。
「ウエーッ、こんな処、客なんているのかな?」
と思って入ると、中は大変な客の数で大繁盛していました。
これが台湾における海鮮料理のハシリで、現在は台湾全土にいくつも大きな店を構える海鮮料理「海覇王」のはじまりだったようです。

更に10数年後、私には台湾の高雄に兄とも仰ぐ素晴らしい友人が出来ていました。仕事で台湾へ行く度、言葉には尽くせないほどの世話を受けています。そして、高雄滞在中のある日曜日、

「おい、昼飯、何を食べたい?」との問いに

焼酒鶏!」と答えました。

「よし、じゃ行くか」

彼の車ともう1台、そこの会社の幹部連中も誘って車は走り出しました。ちょっとその辺だろうと思っていると、なんと、台湾縦貫の高速道路へと入っていきました。これまた延々と走りつづけること1時間、高速道路を下り、更に30分ほど走って、とある山の中腹にあるレストランに着きました。

「兄さん、なんでこんな所までくるの?」

「だって、お前、焼酒鶏、食べたいって云ったろ。どうせ食べるなら美味いところで食べなきゃ」

と当然のように云われました。そう、台湾人にとって、食の美味とは距離には関係の無いものなのだということを思い知らされたことが、 タイトルになったのです。

で、焼酒鶏とは?

鶏をぶつ切りにし、米焼酎で煮込んだものですが、クコ、当帰、肉桂、などなど多種多様の漢方薬を同時に煮込みます。強火で煮込むうちに米焼酎のアルコールが蒸発し、青い炎をボーボーと発し、やがてアルコールが燃え尽きる頃に出来上がります。アルコールのとんだ酒そのものの旨み、漢方薬の不思議な甘み、鶏のコクが作り出すハーモニーは思い出すだけでも胃が騒ぎます。

鶏は勿論、地鶏でなければ価値が下がります。

台湾では非常にポピュラーな料理で、胡麻油で鶏肉を炒めてから煮たり、素麺を足したりと、各種バリエーションがあります。


  • 中華料理あれこれ、その壱
  • 中華料理あれこれ、その弐(updated June 9)
  • 中華材料あれこれ(updated July 10)
  • 中華料理店の利用の仕方(Oct 10)
  • 美味しい話(お勧めの店)(Oct 10)
  • リンクいろいろ(Sept 20)
  • 最初のページへ