1996年
1996年1月
特集
児童について
不登校、いじめ、児童虐待、情緒障害の広汎化
施設、臨床:問題の複雑化、多様化、ボーダーレスな問題
思春期の子供へのケアの重要性
関わり
小規模によるマンツーマンの体制が望ましい。
メンタルフレンド
平成3年厚生省「引きこもり、不登校児童福祉対策モデル
学生ボランティアの派遣;友達のような結びつきの重視
生育史の中で親によって得られなかったものを親友関係でやり直す。(チャム)
ギャングエイジ(群れる世代)がなくなりつつある現在、失われたものに対する新しい補強方法の一つ。
施設の長所:仲間がいること(集団であるため)
制度
1989年;「児童の権利条例」国連採択
主体的権利の保障〜児童の意向を度外視したまま一方的に処遇が決定されることなどを防止する規定)
福祉の分野で「心のケア」が大きな問題になったのは乳児園でのケアされている乳児の発達障害に関わる「ホスピタリズム論争」
未熟児を扱うNICUでの保育との連携
養護施設の「養育機能アフターケア事業」
児童相談所の「児童虐待ケアマネージャー」
情緒障害児短期治療施設、救護院など
蛇足
家族体系の分類
- コンテナーモデル;同じ部屋の下に共に暮らしお互いを助け合い、親密な人間関係を分かち合う家族。
- ネットワークモデル;コンテナーの一体感というものはなく、むしろ、一人一人が一個の点になって協力しあうネットワークを形成する。
PTSD(post traumatic stress disorder)
心的外傷後ストレス症候群
症状
- 睡眠障害
- 悪夢を見るなどのイメージの障害
- 情緒障害〜行動の変化
- 身体障害〜関連したことから想起し、疲労するなど
元来自らの生命や尊厳を揺るがすような危機的状況のさらされた後に、精神的に健康であった人が生じる一連の特有の精神的症状を指す。
震災時の精神科医療需要は身体救命救急の山に少し遅れて発生するが、その後長期にわたって持続する。
PTSDについての詳しいホームページは
PTSD.INFOが詳しいです。
1996年2月
特集
阪神大震災、その後
コミュニティ活動、早期再開への力(伊丹市)
社会福祉協議会の地域コミュニティの再構築(特に在宅福祉サービス業について)
緊急通報システム・・・高齢者、重度障害の電話回線を利用した通報システムが・・・震災で混乱。
安否の確認など、社会福祉協議会・友愛訪問ボランティアより開始する。
仮設住宅への取り組み
入居者の半数近くが要援護世帯の寄せ合い世帯→
- コミュニティを形成し、自立支援を行う
- ボランティア活動の実践の場(友愛交流)
- 震災復興基金、県、市の補助金を得て行う。
- ふれあいセンター管理局の設置(異職業間の情報の統一など)
震災支援からのネットワーク(加古川)
高齢団地への取り組み
サービスコーナーの設置
市社会福祉協議会では、専従的なサービスセンターの職員を配置しなかったため、ボランティア間のトラブルが生じる。また、バラバラな調査のために住民が混乱する。
- 支援団体による連絡調整会議
- 台帳などの情報の共有
- 行政などと連携
- 共通の活動記録
- 巡回訪問
住民自治会の設置
ふれあいセンターの設置;自治会、ボランティア、社会福祉協議会、福祉事務所の連携
震災復興と社会福祉協議会活動
仮設住宅巡回バスの運営
65歳以上の身体障害者手帳所持者
自力で入浴できる
市内5ブロックに分け、10月よりマイクロバスで先頭まで巡回
住宅改造
バリアフリー的な建築にするため、ボランティアによる仮設住宅の改造(手すり、段差など)
情報誌の作成
KDDの独身寮を仮説料として借り上げ、要援護者の単身入居の提供。
社会福祉協議会は、市連合婦人会と共催で毎月一回寮での会食、また、週3回話し相手になる。
1996年3月
特集
事業型社協とは何か
- ニーズの発掘
- 住民参加型サービスで対応
- ケアマネージャー、アセスメント、サービスの策定、計画
- インフォーマルなグループの形成
- ケアマネージャー部門
- 福祉サービス推進部門
- 地域活動推進部門
- 社協企画・経営部門
- ボランティアセンター事業
介護保険導入後の社協
- 財源:委託事業として行ってきたホームヘルプ、ディサービス事業が保険事業になり、保険収入による事業運営という経営課題に挑戦する。
- 策定:障害、児童の分野でも取り組みが必要になる
- NPO:支援的機能を発揮される
在宅福祉サービスの実施
在宅ニーズの流動性、多様化に対応できるケアマネージャー機能や総合相談機能を作り上げる。(他の社会資源などの連携を視野に入れながら)
福祉コミュニティの形成
在宅ケアの推進は、近隣とのインフォーマルなコミュニティの形成を推進させていかなければならない
経営センス
パイロット事業など、多角的な運営
*小地域活動をしながら問題発見のパイプを太くして、相談機能の柔軟化、具体サービスをケアマネージャーとして結びつける。
史的社協の変遷
1期:1970年代「コミュニティ形成と社会福祉」
2期:1980年代「在宅福祉サービスの戦略」
3期:1990年代「地域における民間福祉活動の推進について〜社協、共同募金に係わる制度改正について」
今後の地域福祉事業活動の展開に向けて
「事業型社協」推進の構想の前提になったのは、平成5年7月に報告された「ふれあいネットワークプラン21基本構想−21世紀を目指す社協発展・強化計画」であった。
- 住民参加
- 民間性を発揮した福祉サービスの策定
- 他組織との組織化、連携
- 専門技術の活用
展開
- 専門家の一方的な判断ではなく、ニーズを発掘する
- ニーズを必要とする当事者中心の策定
- 当事者、地域を結びつける専門技術
1996年4月
特集
公的介護保険の方向性
流れ
- 在宅福祉は、家族の役目という伝統的な価値観などから思うように普及しない
- 福祉と医療のシステムのちがいによる利用者のニーズがすくい取られない。
- 増税に対する拒否感
- 医療保険や年金など、社会保険の身近さが定着している
- 高齢化の急速化
- QOL、ノーマライゼーションから在宅福祉中心へ。
- 1989年:全国社会協議会「介護費用の社会的負担制度のあり方を求めて」(ゴールドプラン)
- 1990年:福祉8法の改正(老人保健福祉計画)
- 1994年:「高齢社会福祉ビジョン懇談会」(21世紀福祉ビジョン)
- 同年9月:社会保険制度審議会から2次報告「介護保険」
- 同年12月:高齢者介護自立支援システム研究会
- 1995年7月:「中間報告」
概要
- 若年障害は、障害児試作の充実で対応
- 24時間巡回サービスを提唱
- サービス水準は段階的に整備を要する。下回っているレベルについては、保険料に見合った水準に引き下げるなど。
- 介護施設への転換を進める。施設は特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群など、介護体制の整った医療施設を対象にする。(一般病院の長期入院は認めない)
- 家族への現金給付は両論併記(社会的支援をどの程度行うのか、家族が提供できる介護料をどのように客観的に査定するのか)
- 基盤整備は国、地方公共団体の責任
- ケアマネージャーの養成を確保する。
- リハビリの充実(寝たきり防止)
評価
- 特別養護老人ホームは、施設として、養護老人ホームは生活支援(在宅寄り)という位置づけの明確化
- 老人福祉の施設は現行の補助制度を維持
- 人材育成のため具体的な方策が欠けている(人数は増えるが、有資格者の配置基準がない)
- 在宅支援センターについて触れられていない(ケアマネージャー期間を在宅支援センターに限定して良いかどうかということで抽象化されている)
提言
- 市町村を保険者に:基本は市町村で、大きさについては、社会保険である以上、自主的に作ればいい。国が保険者となる国民年金方式は国の一律なやり方であり、税金でやったらいいという議論になりかねない。
- 介護保険導入で医療費は下がる:社会的入院が減り、入院費用が下がるから
- 介護保険は医療、福祉改革である:地域や在宅サービスなど経営的な多角化を図らないといけなくなる。
- 保険料負担と給付のバランス:家庭の中の介護サービスを社会化していこうということが目的。具体的なメニューの提示が必要。
- 現金給付について:サービスを利用できなかった場合には本人に支給されるものであり、家庭の介護を労働の対価として捉えるのとは違う。
特徴
- 介護;専門家による提供が望ましいが、家族などのインフォーマルな部分で代替されていることが多い
- 医療;専門最良で、一義的、適正に行われるが、高齢者の領域では、介護サービスとの間に相当程度代替性がある
- 入院(所)サービス;医療部分で、介護スタッフの構成や基準面でのカテゴリー上の違いはあるが、供給サイドの論理で分けられた面が強い。
- リハビリ、生活復帰、通過型;短期のはずが、受け皿の少なさから滞留することが多い。
- 長期療養型;必要なときに医療的支援さえあれば生活支援型や在宅でも十分な者がいる。慎重に検討する必要がある。
- 生活支援型;特別養護老人ホームからの自立援助、自己決定を中心として取り組む必要がある。
資料
第2次報告(老人保健福祉審議会、H8.1.31)
- 要介護高齢者などに対するサービスモデル
- 痴呆、虚弱、要介護高齢者に対する典型的ケースモデル
- 新たな高齢者介護システムにおけるサービス利用プロセス
- リハビリ体制の確立
- 費用、基盤整備料の将来推計
介護保険制度について(今後の介護サービスのあり方に関する検討会);全国社会福祉協議会(H.7.12.1)
1996年5月
特集
学校と地域をつなぐ福祉教育
子供たちから「なぜ障害者と仲良くしなければならないのか」といわれる。
なぜ、障害者だけが関わる交流などの材料になるのか。徳育という面が強調されるが・・・。
問題
ボランティア活動を社会福祉施設などへの訪問、交流活動や学校内外での収集・募金活動、清掃・美化活動などに限定し、矮小化する傾向があったといって良い。
目的
- ボランティアに対する年少時からの教育、参加を通じてボランティアの敷居の高さを取り除こうとするもの。
- 福祉教育は本来、ボランティア活動そのものの推進を図ろうとするものではない。福祉教育の延長線上にボランティア活動が位置づけれらるのである。
- 福祉教育は、社会福祉の制度・試作の仕組みや商品・サービスについての知識・情報を理解し、自主的・主体的、総合的・合理的に判断し、意志決定をすることのできる福祉商品・サービス消費主体の形成を図るものである。
- 消費者教育と福祉教育は共に、単なる知識・情報の理解にとどまるのではなく、福祉商品・サービス消費主体としての意志決定能力の育成と態度・行動の変容・変革を促すものであり、そこから体験的・実践的学習活動が重視される点も共通するところである。
- 施設体験には目的意識を持つ。
- 無目的だと突っ立っていたり、内申点のためという意図から意味のないものになる。
- 疑似体験に過剰な期待はできない(アイマスクなどの体験で障害を知ることを重視しすぎない)
今後の方向性
カリキュラム、資料(教科書)などの整備→福祉教育の体系化
福祉教育の要→ノーマライゼーションの浸透、自分で考える障害者像
制度
H5.4「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(厚生省告示117号)
H5.7「ボランティア活動の中長期的な振興方策について」(中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会意見具申)
H6.12「エンゼルプラン」、「新ゴールドプラン」
H7.12「障害者プラン」
H7.10「日本福祉教育・ボランティア学習会」