ボランティア・NPO活動の基盤整備・社会的支援を考える。



総論「21世紀の社会像」〜シチズンシップをどう確保するか

「分権」と「民営化」
政策の側からいえば、中央集権的な社会の在り方から分権的な在り方へ
端的に言えば、民間に対する信頼度であり、地方に対する信頼度である。
今までは、パブリックセクターとマーケットセクターが大いに資本主義に貢献をしてきたが、ボランタリーセクターがなぜシチズンシップの確立にとって必要か。その理由は、このような市民のディスエンパワメント(力が収奪されている状態)を心理的に、社会的に、政治的にエンパワメントしていくためである。具体的には、NPOという組織を通じて、また家族・世帯やコミュニティを通じて市民が力を付けていく過程(キャパシティーション=問題解決能力を意図的に身につけていくこと)なのである。それが自律であり、互酬なのである。

各論1「分権化時代のパートナーシップ」〜行政と市民セクターの共同関係の形成に向けて

1.政治的代表制の限界〜直接働きかけ続ける運動体としての市民セクター
2.税制的な限界〜全ての公共サービスを平均的に供給するのでなく、優先順位をつけて、NPOやボランティア団体によるサービスの補完、参加による社会的コストの低減など
3.基礎自治体行政の限界〜行政は市民と接点が多いため先端的な問題が数多く生起するが、法律に基づく法律留保の理論のために身動きが出来な事がある。
これらの限界は、税金を徴収して公共サービスを展開するという構図が限界に来ており、新たな資源である市民セクターの力を動員しなければならないことを示唆している。その一方で、社会的負担をせずに利潤だけを追求するフリーライダーがでて来るという「市場の失敗」も指摘される。
本来、多様な地域的な価値やりがいは、行政という一元的な制度的価値に置き換えることで公共サービスへと変換されていくのである。そうした価値や利害を表出して代弁していくのが政治である。それには限界があり、ボランティア団体やNPOがその役割を担うことが期待されるのである。
相互(行政と住民)の学習や理解の上で、ボランティア団体やNPO団体は、多様で多元的な活動を行っているが、その価値をそのまま行政に反映させるのは無理がある。なぜなら、行政は公共制度であり、それらの団体の要求を浩平で民主的な価値へと変換されてはじめて事業化されるため、公的な変換装置の必要性がある。それらは、媒介構造であったり、政党であったりする。

メモ
営利企業とNPOの両者をつなぐ利点
企業のイメージアップや社員のモラルアップの効果を期待して「社会貢献」に取り組むという動機よりも効果に着目して、企業がNPOへの支援が企業に利益をもたらすことを認めるなら、企業とNPOは対等に協働することが出来る。しかも、NPOは企業に集積されている資金や技術、人材の提供を受けられる。そしてこれにより、これまで強大な行政機関と企業群の陰で細々と活動してきたNPOが社会を構成する重要な一員としての位置を築くことも可能になる。

資料
「行政とボランティア、NPOとのパートナーシップ、行政による支援の在り方に関する提言」

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