北陸の旅 2005年版
 <前号から・その2>

えちぜん鉄道<2> 三国芦原線

 ホテルの送迎バスは次の便として新たなお客さんを乗せ、再度ホテルから加賀温泉駅に向かう。加賀温泉10:46発(クモハ413−3)で福井へ。福井12:35発の三国港行きに乗る。途中は越前の米どころ「こしひかりのふるさと」と大きく看板を掲げたJAのホッパーを眺めながら、線路は芦原温泉近くまで真っ直ぐに北上する。見渡す限り、重たく穂をたれた田圃の連続である。

 終点一つ前の三国駅で下車、妻を駅に残して暑い中を三国局まで往復する。急いで駅に戻り、12:50発で終点の三国港へ。一緒に乗り込んだご婦人に声を掛けられ、東京から北と聞いて珍しがられた。保育園の保母さんを長く勤め上げた方だった。三国港駅から漁港の岸壁に近いバス停まで、ご親切に案内していただいた。

東尋坊から雄島を望む

 バス停「三国港」12:55通過の路線バスで終点「東尋坊」へ。お土産やが並ぶ道を老若男女の観光客に混じって岩場へと散策。天気に恵まれて見晴らしは良いのだが、とにかく暑くてのんびりできない。磯焼きの匂いに誘われながらも、冷房が効いていそうな喫茶店で一休み。
 東尋坊バス停14:05発で、雄島、越前海岸などの岬一周方面に乗る。芦原温泉街の狭い道を抜けて、えちぜん鉄道「あわら湯のまち」駅前で下車。同駅14:43発の電車で田原町へ戻る。次の福井鉄道は昨日と同じ15:29を待つことになる。

福井鉄道

 田原町駅前に聳える大きな建物フェニックスプラザの内部を散策、広場の隅にある小さな植物園を見学したりして時間を過ごす。昨日と同じダイアだが、入ってきた電車は違う形式だった。本線と福井駅前に入る分岐点である市役所前で下車、電停からの横断歩道はないので地下通路を通って歩道に出る。
 当初の計画では、終点の武生まで福井鉄道を完乗するつもりだったが、郵便局貯金窓口の営業時間に間に合わないので、次回と諦めたわけだ。

 地下道を上がると、交差点の西北の歩道に出る。駅前から本線に戻り、武生方面に向かう列車のポイント通過の方式を確かめたくなった。同じ興味を持つ人もいるとみえて、三脚にカメラを構えた男性が1人、少し離れた場所に陣取っていた。
 3方向とも複線である。福井駅前から戻ってきた列車はいったん田原町方面の電停まで進み、渡り線を折り返して再び武生方面の電停に止まる。列車は福井駅前と市役所前と、2回も進行方向を変えるので、運転手は前後の運転席を行ったり来たりすることになる。
 運転手は窓から手を出してポイント制御のスイッチを操作し、駅前に寄るのか本線を進むのか、進行方向を選んでいるのが見えた。武生から田原町に向かう列車は駅前に寄らずに、市役所前を直進する。

 交差点を渡ると、福井佐佳枝局がある。県都の真ん中にある郵便局なのに、風景印があるという。記念として自宅あてに絵はがきを出す。
 局を出て足羽川に架かる幸橋方面に進むと、面白い場面に出会った。橋の手前で、福井鉄道の線路は路面から離れて専用軌道として鉄橋を渡る。幸橋は自動車専用となり、鉄道橋、さらに上流に歩行者や自転車用の橋と、3つの橋が並んでいる。
 面白のは、鉄道橋の入口に、線路を横切る向きで踏切の遮断機があることだ。信号のタイミングによっては、踏切のバーを前にして電車が止まっている図が見られる。バーが上がると電車が出てくるのだ。
 電車は信号で制御すればよいはずで、あの踏切は間違って軌道部分に入られないように自動車や歩行者向けの目的かも知れない。

踏切バーが電車を遮る図のシャッターチャンスを逸す


 さきほどの3分岐線路の制御と、足羽川鉄橋手前の踏切バーの制御について、ゆっくりと観察を続けたかったが、暑さの中を道路脇で待ちくたびれている妻の姿を見ると、そうこちらの勝手ばかりしているわけにもいかない。
 JRの駅に戻り、福井17:03発(モハ412−3)で加賀温泉に戻った。

8月25日(木)

 当初の計画では、旅の最後は敦賀から小浜線、舞鶴線経由で京都へ回り、東海道新幹線で帰京の予定だった。しかし、台風14号が太平洋沿岸に近づいているとの天気予報である。車中とか途中駅での台風待避は避けたい。日本海回りで帰ることに変更した。

 今日もホテルを09:10発の送迎バスで加賀温泉駅へ。北陸から日本海回りで帰京となると、常識的には「ほくほく線経由で越後湯沢から上越新幹線というルートになろう。経路変更ながら折角の日本海回りの旅だ。特急「北越」をエンド・ツー・エンドの利用で新潟を訪ね、上越新幹線も始発駅から乗ってみたくなった。乗車券は長岡=新潟間が重複するので、加賀温泉=新潟、新潟=都区内と、2枚となる。

 加賀温泉09:55発のサンダーバード3号で金沢へ。10:19着の同じホームで約20分の待ち合わせで金沢始発10:48新潟行き特急「北越3号」485系(先頭車は481)の客となる。昨年、能登の旅で通った津幡から、1昨年の黒部・立山の旅で利用した富山までは未乗、同じく犀潟から先も始めて乗る区間である。

「北越3号」先頭車(金沢にて)

 越前(福井県)・加賀(石川県)・越中(富山県)・越後(新潟県)と、「こしひかり」の穀倉地帯を通るわけだが、減反計画に応えてか、一面の田圃に混じって所々に枝豆や蓮根に転換した畑が見受けられる。黄金色に稔る田圃の中では、早稲の収穫が始まっている。周りの畦近くだけは手で刈り取り、中央部はコンバインで収穫する。稲藁は残らないのでは。藁細工に困らないのかな。

 糸魚川を過ぎると「電気の切替で停電します」とのアナウンス、短時間だが車内の照明が消える。交流電化区間から直流区間へ帰ってきたわけだ。来るときの「しらさぎ」では、米原=長浜間での逆の切替は社内放送もなき、気が付かなかった。

 新潟駅の正面に出て、少し方向感覚が狂った感がある。信越本線は北から新潟駅に入るのだ。台風の影響か、強い風が吹いていて、暑さが少し救われる。駅付近を散策して、新潟中央局新潟駅前局に寄る。
 あとは始発の新幹線に乗るだけだ。ゆっくりと駅ビルで軽食を摂り、16:42発「とき330号」で大宮19:18着。夕方のラッシュアワーに引っかかっていたが、埼京線や新宿乗り換えの小田急線急行と順調に乗り継いで、無事に帰宅。2泊3日の2005年版北陸の二人旅を終わる。

【立ち寄った郵便局】

 福井県 : 福井中央  勝山  福井田原町  三国  福井佐佳枝
 石川県 : 片山津  動橋駅前
 新潟県 : 新潟中央  新潟駅前

= その1 =

=2005年9月19日 記 =

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