黒板に貼ったり手元で使ったりできるチェックボードです。 毎日(月〜日)お薬を飲んだかチェックする「お薬飲んだ?」は、薬を飲んだら「曜日」の部分を右にスライドすれば、笑顔の子どものイラストが出てくるので飲んだことがわかります。 「掃除当番のチェック」は、掃除機当番・ほうき掃き当番・バケツ当番・ゴミ捨て当番を1週間ごとに替えることがわかるようになっています。今週は、○○さん・来週は○さんと、例えば掃除機のところをスライドさせれば該当するお子さんの写真の顔が出るようになっています。 「持ち物チェック」は、学校に持っていくものをチェックするものになっていて、「ジャージ類・着替えのTシャツ・ハンカチ・ポケットティッシュ・家の鍵・筆記具・服薬する薬」を用意したかわかるようになっています。例えば、ハンカチを持ったらハンカチのところを右にスライドさせれば、子どもの笑顔のイラストが出るので持ったことがわかるようになっています。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り4」のページをご覧下さい。 |
これは教材というよりも自助具のようなものです。 私の担当する学年ではなく他学年ですが、同じ作業班の生徒で「ひも結びを教えて欲しい」という保護者の要望を受けてひも結びの練習を担任の先生と行っている生徒がいます。 その子の担任によると、手元を殆ど見ないこともあっていつになったらひも結びを習得できるのかわからないとのことでした。 作業学習で自分一人でエプロンを身につける(エプロンのひもを結ぶ)ことのできない生徒なので、「先生、お願いします。」と言われて時々ひもを結んであげるのですが、このままでは自立心も育たないので、さてどうしたものかと考えていました。家庭から持ってきて使っているエプロンのひもが細いのでマジックテープも貼れないし、結ぶことは全くできない状態だしと。 そこで、100円ショップで売っている木の穴の空いた玉を片方のひもに結び・ひもの片方は輪っかにすることで、玉を輪っかに入れるだけで結んだのとほぼ同じ状態になるようにしました。これなら簡単なので、今持ってきているエプロンにも応用が利くし、この生徒でも一人でエプロンを着られます。ひも結びはできなくても、人に頼らないで身の回りのことをなんとかできることが、まずは自立心の向上の第一歩かもしれません。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り4」のページをご覧下さい。 |
タイマーを自分では使えないお子さんが使えるようなる、タイマーと取り扱い図です。 ※数字は1しかわかない・ひらがなの読み書きはできないレベルですが、「同じ」はわかるお子さんで、着替えや歯磨きなどの日常生活はほぼできるようなお子さんが対象になります。 (材料・道具・作り方) タイマー(ダイソーで売っているキッチンタイマーがシンプルでいいです。)、カラーシール、図を作るためのデジカメ @タイマーの分の所に緑のシール・秒の所に黄色のシール・スタートの所に青と赤のシールをなります。 A取り扱い図は、タイマーの3分表示・5分表示などをデジカメで撮って画像にします。赤等のシールは白い紙に貼って撮影して画像にします。 (使い方) ※初めは、学校で何回かタイマーと取り扱い図を使って練習します。ある程度理解ができたら保護者にお話しして、家庭でも練習と実際に使うことを試してくださるようにお願いします。面談の時に話すと保護者にも図の使い方がわかりやすいでしょう。 @タイマーのボタンを押してみます。緑は分の表示・青はスタート・赤は音を止めるストップ・数字を0に戻すには緑と黄色を同時押しを行ってみます。子どもたちにも押してもらって数字が変わっていくことや0に戻ることを経験してもらいます。・・・ここは、ボタンを押すと数字が変わることがわかれば良いでしょう。 A家で食べているカップ麺などの写真から、自分で食べているものを選びます。(各家庭の連絡帳でどんな商品を食べているのか事前に聞いておきます。) ![]() ![]() 表示される数字がタイマーの写真の300と同じにできればOK。もし、タイマーの数字が400等になっていたら、緑と黄色のボタンを同時押しして000に戻すようにします。 Bタイマーの数字が表の数字と同じになったら、青のスタートボタンを押します。 C音がなったら赤のボタンを押して止めます。 ・・・このやり方を休み時間などのちょっとした時間で練習します。 やり方が大体わかったら、タイマーと取り扱い図を家庭に持たせて家で実際に使ってもらうようにします。ゲーム好きのお子さんの場合は、ゲームを行う時間を決めてタイマーを活用していくといいでしょう。親御さんがついて教えなくても自分でできるようになったら、タイマーは回収します。保護者があるといいなと思ったら、タイマーは家庭で購入してもらうようにして行きます。 |
友人のA先生から頼まれて作った、小学部のエレベータの「ダミースイッチ」です。A先生が担当するお子さんでエレベーターのスイッチを悪戯するお子さんに困っているとのことでした。 私としては、エレベーターの鍵を教員が持っていて、普段は電源をOFFにしておけば済むのではないかとと思うのですが・・。 エレベーターのスイッチは1階と2階にありますが、昇降のスイッチ等微妙に違うのと、悪戯防止の関係で木枠とカバーが既につけられているので、その形にダミーのスイッチを合わせなければならないので、何かと制約が多い代物です。 消防の関係で鍵をつけるのはダメと言うことで私の方に依頼があったのですが、ダミーのスイッチを押すとスイッチの部分にライトがつくこと、悪戯する児童に本物のスイッチをわからなくすること・本物のスイッチを押すことができなくすること・教員が本物のスイッチを簡単に押せるというのが条件です。 木枠のついた箱状の中にダミースイッチを納めるのと、上記の条件を満たすにはどういう方法が1番良いのか考え、このダミースイッチでは本当のスイッチが外側から見えないようにステンレスのカバーで覆ってあります。児童がダミーのスイッチを押すとLEDのライトがつきますが、上側のカバーを上にスライドして下側のカバーの突起部分を出し、それを押すことで下側のカバーが上に開いて本物のスイッチが表れるという仕組みになっています。 |
上のエレベーターのダミースイッチは、悪戯をするお子さんが簡単に本当のスイッチがわからないようにする為に、2分割している上のステンレスのケースを上側にスライドさせると、出てくる下のケースの突起部分を押して下のステンレスケースを跳ね上げることで、本物のスイッチが出てくるいう仕組みでした。ただそれでは仕組みがやや複雑なため壊れやすいと思ったので、もっとシンプルな仕組みにして、ケースは分割していない1枚のステンレスケースで、 ケースの一番上を押すことでケースが跳ね上がるようにしたものです。LEDライトのほうもケース分は全て取り除き、ケースの高さを低く押さえるようにしたものです。 ステンレスが丸めてある状態の物だったので、ケースの面が平らになってくれないのが不満でしたが、やむを得ないですね。A先生に「ダミースイッチがなくても、電源をON・OFFする鍵を教員が持っていればいいのでは?」と聞いたところ、2階には電源の鍵穴がなく、車イスのお子さんも含めて複数の児童を見ているので、2階から利用する際に1階のエレベーターのスイッチの電源のキーのところまで行けない。」・「電源をONにしておくと悪戯するお子さんが年中スイッチを押してしまうから・・。」という切実な実態であることを聞かされました。なるほど、だからダミースイッチが必要だったわけなんですね。 |
家庭での生活の中で、懐中電灯等の使い方は知っていて使えるのに、電池切れの時にはどうしていいのかわからないという生徒がいました。 懐中電灯がつかないのは、「電池切れであることを知らない・電池には色々な種類があることを知らない・電池を入れることを知らない・電池の入れる向きがわからない」などの理由が挙げられると思います。 学校ではそんなことを学習する場面は殆どありませんが、子ども達の生活をより良くするという観点から、この「電池の入れ方学習」の教材を考えました。使う電池は、単三電池・単二電池・単一電池です。 この教材は、電池に+(プラス)・−(マイナス)という向きがあること・電池を入れるには正しい向きがあるこ・電池には種類があることを知るためのものです。大きさが合った電池を正しい向きに入れられないと、スイッチを押してもライトはつかないことを知ることで、正しい電池の入れ方や電池の種類を学習します。 ・・スイッチは、これがないと電池を入れた途端にライト(豆電球)がつくかつかないかわかってしまい、よく考えないで電池の向きを訂正してしまうので、考える間を開けるためについています。スイッチを入れてもライトがつかなければ、何故つかないのだろうと考えてくれるでしょう。 |
コンセントにプラグをさす・抜くという動作を安全に行うことを学習する教材です。 (学習時の使い方) 家庭にも学校にもどこにでもあるコンセント。教室で掃除機を使って掃除をしているとき、生徒(中学部)がコンセントからプラグを抜くのを見ているとコードをつかんで引っ張って抜いていることに驚きました。知的に高い方のお子さんだったので、思わす「えー!」と声が出てしまいました。 家庭ではどうしているのでしょう。もしかしたら、家庭で一切触ることがないのかもしれません。学校で掃除機や作業班でアイロン・電動サンダー・CDプレイヤー等を使う位なのでしょうか・・。 この教材は、コンセントにプラグを差し込む際の安全なやり方や、プラグをコンセントから抜く際の正しい抜き方を学習するものです。本物のコンセントでは、感電やコードの破損がおこる可能性があるので、電気は流れてはいません。この教材で学んでから、本物のコンセントを使った学習を行うようにします。 |
手を石鹸で洗うときに、こまめに水道の栓を閉めるか、水を流しっぱなしでするかでどれだけ使う水の量が変わるかを実感させるものになります。 左の水が一杯に入っているペットボトル3本と、少量の水が入っている4本目のものが、こまめに水道の栓をしめて使った水の量です。 右の方は、石鹸で手を洗っている間も水を出していたときの水の量になります。ペットボトルで6本弱になります。「水を大事に使おう」と言っても、節水を心掛けた時とそうでないときの違いはなかなか実感できませんが、こうやって体感すると一目瞭然です。 (材料・道具) 500?のペットボトル6〜7本、じょうご、洗面器等の水をためられるもの (学習時の使い方) @水道の栓を開けて水を流し、石鹸を手につけて手を洗います。石鹸で手を洗っている間も水は流したままにします。水で手を洗う時は、20秒間洗うようにと言われていますが、その辺は厳密でなくても良いでしょう。いつものように子どもたちには手を洗ってもらうのでOKです。 A洗面器に溜まった水をじょうごを使ってペットボトルに移していきます。・・これで水を出しっぱなしにして使った水の量がわかります。 B次は、節水の場合です。水を出して手を濡らしたら水道の栓をしめます。石鹸を使って手を洗います。水道の栓を開けて水を出して手を洗います。 C洗面器に溜まった水をじょうごを使ってペットボトルに移していきます。これで節水を心掛けて使ったときの水の量がわかります。 |
水筒などの上蓋をしっかり閉めることをわかりやすくした印(マーク)です。 中学部の担任の時に、生徒達が夏の間毎日学校に水筒を持ってきていましたが、時々水や麦茶が漏れてリュックの中がびしょびしょということがありました。 水筒の蓋をぎゅっと締めない為に、水や麦茶が漏れてしまっていたというのがリュックをびしょびしょにした原因でした。 (学習時の使い方) 元々力が余り出ないお子さんだったこともありましたが、どこまでぎゅっと締めれば良いのかわからないということも水漏れの一因です。このマーク(ラベルシール)は、蓋と水筒の本体側に貼ることで、ここまでぎゅっと締めないとマークが合わないことをわかってもらうためのものです。上と下のマークが合えば蓋締めがOKということが見てわかります。 蓋をしめることを子どもたちにやってもらい、蓋と水筒本体のマークが合うまでしめることを指導します。マークが合わない場合に、水筒を逆さにしたり水筒をふると水が漏れやすいことも体験させると理解が進むでしょう。 この子達の段階では、このマークの活用が子どもたちの困っている状態を解決してくれるいい方法なのですが、個人的には子どもたちが大人になった時に、いつまでこういったマークにたよらなければならないのかと考えてしまいます。靴をそろえる印なども同じようなものと言えるでしょう。マークや印がなくてもわかるようになるにはどうしたらいいのかといつも感じていることです。・・とは言え、今困っていることを一つずつ改善するのは、大事なことには違いありません。 |
児童・生徒用玄関の下駄箱に靴を入れる時、靴の左右を考えないでポイッと靴を入れてしまう子がいます。 この教材は、児童生徒が靴の左右を考えてしっかり靴を入れられるようにするものです。 (学習時の使い方) シューズトレイは、左の写真から「仕切りのあるタイプ」・「仕切りと足形が貼ってあるタイプ」・「靴型の溝のあるタイプ」・「靴型の溝と囲いのあるタイプ」・「靴型の溝・仕切り・囲いのあるタイプ」になります。 お子さんたちは、一人一人が認識力や性格等が違うので、それそれのシューズトレイを試して、その子が一番使いやすい・わかりやすいタイプを使うようにするといいと思います。仕切りだけあれば、靴の左右を間違えないで靴を入れられるようになる子もいれば、囲いがある方が良い子もいるでしょう。 ![]() 「仕切りのあるタイプ」・・・ダイソーで売っているPPシートを折り曲げて作ります。幅は靴箱の幅と同じくらいにします。 「仕切りと足形が貼ってあるタイプ」・・・仕切りタイプにダイソーで売っている中敷きを速乾ボンドで貼っています。 を貼ります。厚紙に中敷きを使って足形をなぞって描きます。中敷きの大きさでは靴は入らないので、3周り位大きく描きます。デザインナイフで切って溝にします。 「靴型の溝と囲いのあるタイプ」・・囲いは厚紙をボンドで貼って作ります。手前側は靴を入れやすいようにあけておきます。 「靴型の溝・仕切り・囲いのあるタイプ」・・・上のタイプに厚紙で作った仕切りを速乾ボンドで貼り付けます。 |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 「賞状」は学校生活ではなかなかもらえないものですが、自分が頑張ったことをみんなの前で褒められるのは、やる気や誇り・自信につながっていくものになる可能性があります。 全校での表彰は難しくても、学部や学年で表彰状を出すことは、そんなに難しいことではないと思います。 学部会や学年会で話し合って、がんばっている子どもたちに賞状を贈ることで、もっと頑張ろうと思ってくれるようになったら、意味のあるものになっていくでしょう。 |
![]() ![]() ![]() ![]() 頑張ったカードは、上の賞状よりもクラスや学年で出しやすいものです。 また、がんばった内容も学習や運動といった面だけでなく、「配膳を頑張った」・「歯磨きを頑張った」・「マラソンの練習を頑張った」・「掃除をがんばった」と学校生活の色々な場面で頑張ったことを褒めることができます。 自分の頑張りが周囲の人に認められるのって、とても嬉しいことです。保護者の方も「あー、こんなことを頑張っているんだ。」とわかりますし、家族の間での話題にもなるかもしれません。頑張りカードは乱発すると効果が薄れますが、子どもたちにたくさん笑顔が生まれ、その子の自信につながるのであれば、作る価値があるものになるでしょう。 |
![]() 学校では給食後に歯磨きをおこないますが、その時は先生がお子さん達と一緒に歯磨きをしながら指導を行ったり、仕上げの歯磨きを行ったりしているでしょう。 この歯磨きチェック表は、給食後の歯磨きをやったかどうかをチェックするものではありません。先生方が側について歯磨き指導を行うのであれば、やったか否かはすぐにわかることですから、そんなチェック表は意味がありません。この表は、家庭での朝の歯磨きをしているのかどうかを調べるものになります。 (学習時の使い方) 朝食後に家庭でしっかり歯磨きをおこなっているかどうか調べることで、下の「先生から」の欄に家庭への連絡欄を設けて歯磨きの励行を促すようにすることが目的になります。障害のあるお子さんのいる家庭では、朝はスクールバスに乗せるまでがとても忙しい時間になるようです。大事だとはわかっていても忙しさに紛れて歯磨き指導がおろそかになりやすいという話は保護者からよく聞きました。 幼い頃の歯磨き指導は、ある意味身体の健康といった一生を左右する大事な事柄ですから、朝・夜の歯磨きは大事なんだということをこのチェック表で保護者に再認識してもらうきっかけになるといいなあと思います。 |
![]() ![]() ![]() ![]() 学校生活をする中で、子ども達に使うものやその名前・役割等を説明したりする時に使う写真カードです。 (学習時の使い方) こういったカードはそれなりに役立ちますが、一番良いのは、実物を用意して「次はこれを使います。」「この道具やものを用意します。」・「これはなんですか?」・「この道具の使い方を知っていますか?」等の声掛けをすれば良いのですが、実物が手元にない場合や、集めるのが大変な場合には、カードで代替することになります。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() 教材・教具ではりませんが、児童生徒が疲れたときに教室でちょっと横になれる本のベッドです。 本は折りたためるので、使わないときには折りたたんで教室の片隅に収納できます。スペースを取らないのと厚みがあるので体にやさしいのが良い点です。また、折り畳める面は寝る部分で、床に触れる面は常に下側になるので衛生面でもいいです。 (写真の右から2番目のものがひとつのパーツになります。ひとつのパーツには、本(少年ジャンプ等)が4冊使われています。) (使い方) 折りたたんであるのを広げて図のように並べるだけです。 |
![]() ![]() ![]() 肢体不自由児の学校の教室や郊外に出た際に、お子さん達のおむつ替えをするとき周囲からの視線を遮る為のマットになります。折りたためるので、移動時にかさばらなくなります。 これは私が新任の時(今から40年位前)に考えたものです。今はどこの学校でも誰かが作って使っているようです。当時は校外に出ると、デパートのトイレにさえベッドは置いてあらず、今のような身障者用トイレもめったに見たことがないという時代でしたので、子どもたちのオムツ替えの為に、お風呂マットをそのままの形で持っていきました。 ![]() (材料・道具)お風呂マット・たこ糸、カッターナイフ、きり (作り方) お風呂マットをカッターナイフで4等分します。分けたマットは、きりで穴をあけてたこ糸を通し、隣のマットとつなげます。つなげかたは、たこ糸を通して糸を結ぶだけ。 |
![]() これは、子ども達が家庭から持ってきた麦茶やスポーツドリンクや学校の水道の水を忘れずに効果的に飲むように勧めるカードです。 今年の夏は、38〜39℃と猛烈な暑さの日が続いています。子どもたちの命を守るためには、水分補給が大事なのは言うまでもありません。お子さん達は、家庭からスポーツドリンクや麦茶を入れた水筒を持ってきていると思いますが、かなり大きめの水筒でもすぐに飲みきってしまうでしょう。水筒の中身が空になってしまうと自分から水道の所に行って水を飲んでいるのか、怪しいお子さん達がいるかと思います。 先生方としては、子どもたちに「いつでものどが渇いたら水分補給をしていいよ。」と伝えていると思いますし、時々水分を取るように声かけもしていると思います。ただ、授業に気が取られていたり、次の授業の準備で忙しかったりすると、「あれ? 水を飲むように言ったかな?」と首をひねってしまうこともあるでしょう。 高等部くらいになれば生徒さん自身が自分から言われなくても水分補給をしてくれますが、小学部くらいだと始終ちょこちょこと動き回っていて、自分から水分補給することをしないお子さんが結構いると思われます。中にはこちらが黙っていると、家から持ってきた水筒の麦茶やスポーツドリンクを1回も飲まずに家に持って帰るお子さんもいるでしょう。 (学習時の使い方) 学校生活の中で、30分から1時間ごとに「水を飲みましょう」と声掛けして、一人一人の子がちゃんと水分補給しているか確かめる必要があります。先生方も忙しくしていると、お子さん達に声を掛けることをうっかり忘れてしまうこともあるでしょう。 そこでこの「水飲んだカード」がお役に立ちます。黒板に書いてある「今日の予定表」のところに、このカード(裏側にマグネットシート)を貼っておき、子どもたちに声を掛けて水分補給したらカードを外すようにしていきます。カードが「今日の予定(時間割)」の横に貼ってあれば、「あーそうだ、水分補給させなくては・・」と先生方も留意するでしょうし、水分補給のタイミングも逃すことがなくなるでしょう。 (材料・作り方) イラストは、インターネットでフリーのものを探し、印刷したら厚画用紙に貼って裏にマグネットシートを貼るだけですから簡単です。 |
![]() (※これは、大きさ・強度に課題点があったので、下に紹介する改良型に替えて校外宿泊学習では利用しました。) |
経管栄養の子が、校外で使うボトル(イルリガートル)吊り用パイプの「改良版」(ステンレス製) |
![]() ![]() ![]() ![]() 経管栄養のお子さんが、校外で食事を摂る時に使うボトル吊り用のパイプです。以前作ったパイプは大きすぎるので、「このままではちょっとなー」っと悩んでいました。もっとコンパクトで耐荷重の高いものを作り直そうと考えて、あらためて作ったものです。 ステンレス棒に穴をあけるという工作が必要なのでやや面倒になりましたが、こちらのほうが格段にコンパクトで耐荷重もステンレスなので高いものになりました。一度に2本のボトルを吊り下げることができます。パイプは、車椅子の背もたれ部分のパイプにマジックテープで固定します。左から2番目の写真は、太い管の中に細い管を納めた状態です。使用時には、これを伸ばして高さを1m70p位にして使います。細い管を太い管の中に写真のように収容している時の長さは、1m位です。 右の写真はボトルが1本の時・右から2番目はボトルが2本の時の引っかける金具の使い方です。 (作り方) ステンレスパイプの太いパイプの底に丸棒(3p位)を差し込んで接着する。これでこのパイプの中に入れる細い方のパイプが下に落下するのを防ぎます。 やや細い方のパイプを太いほうのパイプ入れて、同時に上部に穴(径6o)をあけます。(穴をあける時は、電動ドリルのドリルを金属対応のものにすることと、ステンレス管がドリルを押しつける圧力でつぶれないように、ステンレス管の中に木の丸棒を入れる。) この穴はパイプを携帯するときの為に、ボルトを入れる穴になります。次に、細いパイプを伸ばした状態で太いパイプと細いパイプが重なる部分に穴をあけます。細いパイプの上部に穴をあけ、そこにS字状の金属棒を通します。ビニールテープは、2本のパイプをボルト・ナットでつなげるときに、穴の位置を探さなくてもすむように、丁度穴が合う場所にくるように巻いてあります。 (材料) ステンレスパイプ(太さの違う2本、太い方の径は、15o。細い方の径は、13o。長さは各1m位)、蝶ネジ・ボルト、S字状の金属棒(マルチフック)、マジックテープ(2)、ビニールテープ、丸棒 |
![]() これは、教材・教具というものではなくて、教室や家庭で掃除をする際に、どの部分(場所)を意識すれば良いのかを学習するための方法です。 (学習時の使い方) 教室の掃除をするときに、新聞紙を濡らしたものをちぎって床に巻き、ほこりが巻き上がらないようにしてごみとほこりを掃き掃除することがあります。 教室の床であれば木製ではないし、畳敷きではないのでそれでもいいのですが、実際に家の中を掃除するときには、床は畳や木のフローリングだったりするので、学校の樹脂製の床のようにはできません。また、各家庭で掃除をする際には、今ではほうきで掃き掃除をするよりも掃除機を使う方が一般的ではないでしょうか。 学校でつける力は、学校内だけで役立つというのでは意味がありません。家庭や職場で使えるような力でないと生活の中で活かせないからです。掃除機を使う際に、細かなごみやほこりはなかなか目にすることが難しいので、お子さん達はどこを掃除機で掃除していけばいいのかよくわかりません。そこで乾いたままの新聞紙を細かくちぎって教室全体にまきます。 特に教室の四隅や机の下などほこりが溜まりやすい場所に多く新聞紙をまくようにします。お子さん達は新聞紙を見てそこを掃除機できれいにすればいいことがわかります。 家庭でもできることなので、保護者の方に勧められる方法のひとつと言えるでしょう。部屋全体と特にごみやほこりのたまりやすい部屋の四隅を丁寧に掃除機をかけることができるようになれば、もう新聞紙を部屋中にまく必要もなくなります。 (※左の教室の図の黒い●が新聞紙をまくポイントを表しています。) |
爪を切ることが怖くてなかなかできないお子さんのための爪切り練習の教材です。 爪切りは、本来ご家庭で保護者の方々がお子さんに対して行うべきことですが、爪が凄く伸びているにもかかわらず一向に切ってこないような家庭も多々見られます。こういった家庭は、残念ながら連絡帳で何度も「爪を切ってやってください。」と書いてもそのままで何も変わらないことが多いです。 また、知的に軽いお子さんが自分で爪切りをするようになると、得てして深爪になりやすいことも見られます。誰かにやってもらうことが当たり前のようになっているのではなく、できる限り自分の身の回りのことを自分でできるようになることは、自立への一歩なのかもしれません。 (学習時の使い方) 爪切り練習具は、爪の白い部分(そうせん)の部分を切ることで深爪にならないようにすることや擬似の爪(ダイソーで売っている透明の下敷きが土台になっていて、切った感触が爪に近い。)を切ることで練習を行うようにしたものです。いきなり自分の爪を切るのはお子さん達には怖いことでしょうから、まずは爪を切る練習から始めて、最後には自分の爪を切るようにしていきます。左側から手の形をした台に擬似の爪・真ん中は指サックの擬似の爪・指に擬似の爪をつけたものです。個々のお子さんの様子を見て、そのお子さんに会った方法をとれば良いでしょう。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り1」のページをご覧ください。 |
爪を切ることが怖くて暴れてしまうようなお子さん用の爪磨きです。爪を切らなくてもすむようになるでしょう。 紙やすり・布ヤスリの400〜800番の目の細かいものを細い板に貼ったものです。小学部で自傷・他傷の激しいお子さんを担任していたときに、「家庭で爪切りをしようとすると暴れてしまいできないので、なんとか学校でやってもらえませんか・・。」と保護者から依頼されましたが、通常の爪切りでは怖がって暴れてしまいました。 その時同じ学年の若い女性の先生から、「爪を切るのではなく、磨くことで爪を短くしたり形を整えるものがあります。」と見せてもらったものを思いだしたものです。この「爪磨き」は、本物とほぼ同じような形にしてみたものです。紙やすりや布ヤスリに爪を立ててすべらせると思っている以上に爪を削れます。これならば爪を切るのを怖がるようなお子さん達にも有効でしょう。 怖くないんだとわかれば本人にも家族にも精神的な負担が減ることでしょう。爪の手入れは、学校で教員がやるのではなく、各家庭で行えるようにアドバイスする際に有効なモデルになるかもしれません。勿論、その先にはお子さんたちが自分でやるようになるのが目標になります。。 |
自分で給食や作業学習で使うエプロンのひもを結べない生徒用の磁石付きのエプロンです。 ひもを後ろ手で結ぶことは無理な生徒さん(ひも結びもできない)が、できるだけ自分で身支度ができるようにした磁石ボタン付きのエプロンですが、ボタンでなくてもマジックテープを活用すればいいと以前は考えていました。何故、磁石式のボタンがあるかというと、肢体不自由で手が自由に動かせない方が、普通の服のように磁石のボタンで装いを整えられるようにと考えられたのではないかと思います。 エプロンのひもに球と輪っかをつけて、エプロンの前で結ぶ(輪っかに球を通す)やりかたも使いましたが、これから高等部に行くこと等を考え、見た目が自然な形を家族の方に提示する目的で作ったものです。100円ショップで売っているボタンではなく、100円ショップの商品の強力磁石と「くるみボタン」とホームセンターで売っている万能接着剤を使っています。両方のボタンを近づけるとすぐにぴたっとくっつきます。100円ショップで売っているものでも、磁石のパワーがあるものであれば活用できるでしょう。 |
この鏡は、通常の鏡とは違い落としたり叩いたりしても割れることがありません。また、弾力性があるので、曲げることもできる鏡です。 特別支援学校や特別支援学級では、ものをすぐに投げるお子さん達がいますが、そういったお子さん達でも安心して持たせて使えるものです。歯磨きの際に鏡を使いたいけれど、あの子には危なくてとてもじゃないけれど教室に鏡は置けないというようなケースでも、この鏡なら安心です。鏡を使った学習にも使えます。 (材料・道具、作り方)「0から始める教材作り4」をご覧ください。 |
靴やサンダル等の左右を間違えずに履けるように学習する為のものです。 (学習時の使い方) 小さな子は、足がまだ大人に比べて軟らかいためか、靴の左右を間違えて履いてもさほど違和感を持たないようです。左の練習盤は、実際に靴ではないのでややわかりづらいと思いますが、正しく左右を揃えられると上に○ができるようになっており、間違えて並べると下に×のマークが出るようになっています。 サンダルの方は、正しく揃えられるようにテープが貼ってあります。お子さん達が履く運動靴や室内履きは、簡単な目印(サンダルで言えばテープ)があれば、そこに注目するように指導していけば左右を間違えることなく履けるようになっていくでしょう。なるべく本物の靴を使う方がいいでしょう。平面的なものだと今一わかりづらい・・。 |
100円ショップ(ダイソー)やクリーニング店でもらうハンガーに顔と上体のイラストを貼ったものです。ハンガーを使う際に、衣類の袖側にハンガーの袖部分ではなく、ハンガーの洗濯ポールにかける部分(フックの部分)を突っ込んでしまうようなお子さん達用のハンガーになります。 フック部分に人の顔のイラストを貼り、袖の部分に上体のイラストを貼ることで、袖に入れる部分とフックの部分がはっきりわかるようにしたものです。顔のイラストがついていれば顔側(フック部分)を袖に入れようとはしないのではないかと考えました。 実際に特別支援学校のお子さん達で試してはいないので、どれくらい効果があるかはわかりませんが、もしフック部分に袖側に突っ込むようなお子さんがいれば試してみてはいかがでしょうか・・。 |
![]() 学級で使っている1日の学習の流れ(予定)と「場所」を表したカードです。場所のカードがあることで、障がいが重いお子さんたちにもわかりやすくなっています。 日直のお子さんが先生と一緒に貼り、朝の会(始まりの会)の時にクラスのみんなと今日の学習について1時間目から確認する時に活用しています。 (学習時の使い方) 「学習の予定カード」は、知的障害の特別支援学校や特別支援学級(特学)ではどこにでもあるものでしょう。この「学習の予定カード」が、よく見る「学習のカード」と違う点は、学習内容の横にその学習を行う「場所」のカード(教室・体育館・音楽室・プレイルーム・校外・給食室・プール等)が貼ってあることです。 学習内容のカードにはその学習を表す絵が入っていることとと場所が写真ですので、文字が読めないお子さんにとってもわかりやすくなっています。障がいが重いお子さんの場合、学習名が書いてあっても読めませんし、イラストがついても理解ができない場合がありますが、体育館ならこういうことをやるんだというぼんやりとした見通しは持てるお子さんが結構いるので、場所の写真カードが横に貼ってあることが重要なのです。要はどう使っていくかが肝心ですね。 (材料・道具)カット集のソフト、マグネットシート、ラミネーター、ラミネートフィルム、 (作り方)一太郎やWordにカット集の絵を入れてカードを作ったらラミネートします。裏面のマグネットをつけて完成。 |
![]() ![]() この「場所カード」は、黒板の「学習予定表のカード」の隣に貼るカードです。 字の読めないお子さん達でも1日の授業の流れがわかるように、教科名のカードにはその学習がなにかわかるようにイラストを入れてわかるようにしてありますが、障がいが重くなるとイラストでは理解できないお子さんが多くなります。 小学部や中学部のお子さん達の中には、障がいが重くても学習する場所に行くと何をするのかがぼんやりとわかるというお子さん達も多くいます。文字やイラストではわからなくても、体育館の場所のカードを見れば体育館で何をするかがわかるということです。場所カードは、そういったお子さん達に適したカードです。 (学習時の使い方) 体育や音楽などは、曜日によって体育館や音楽室で行う日と校庭の日・プレイ室で行う日と違いがあるので、例えば次の授業は体育とわかってもどこへ行くのかわからない児童生徒の方が多いです。 ![]() ![]() ![]() 「次の時間は、ここへ行きます。」とカードを見せながら言えば、障がいが重いお子さん達でも結構自分から移動ができたりします。 場所のカードは、全ての授業の場所をカバーする為、「体育館」・「教室」・「音楽室」・「プレイ室」・「玄関」・「食堂」・「保健室」・「調理室」・「作業学習の各教室」(陶芸室・木工室・学部の畑等)・「校庭」・「中庭」・「さきたま古墳公園」・「視聴覚室」・「○○公園」「トイレ」などがあります。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 以前「学習予定カード」として紹介した黒板に貼る学習名の入ったカード(その日の授業の予定)の小学部版・中学部版・高等部版です。 小学部版は、イラストとひらがなが入っていて、ひらがなが読める児童・ひらがなは読めないけれどイラストでわかる児童向けに作って、朝の会・帰りの会で「今日の学習の予定」の発表で使ってきたものです。 ![]() ![]() ![]() 中学部・高等部だからといって漢字しか書いてないカードでは意味がありません。高等部でも漢字やひらがなが読めないお子さんはたくさんいるでしょうから・・。その辺まで配慮しなくては、教室環境として×でしょう。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
教材・教具と言うよりも自助具(?)の一種です。手に軽い障がいのあるお子さん達や病気で手がマヒした人が靴を履く際に有効なひもの輪っかです。昔から肢体不自由の学校ではよく知られているものです。 知的の学校のお子さんで靴を履く際に踵が上手く入らない為、かかとをつぶして歩いているようなお子さん達にも有効なものになります。 靴や洋服の袖などに輪っかを取り付けることで、輪っかに指を入れて引くと靴の踵がすっと入ったり、袖を手元まで引っ張れるというものです。 輪っかは、写真の例はわかりやすいように大きい輪にしてありますが、この半分ほどの大きさの輪っかでも大丈夫でしょう。余り大きすぎるとかっこが悪いと思うお子さんもいますから、個々のお子さんの手の状態等に合わせていくことが大事です。 |
工作用紙で四角の細長い箱を作り、その箱をT字型や十字型にすることでジョイントにします。そのジョイントに角材を通して衝立の枠にします。 ジョイントにはマジックテープを貼ってあるので、パネル(プラ段ボールや段ボール板)に貼ってあるマジックテープと合わせることで衝立が完成します。 ジョイントを工作用紙や厚画用紙で作れるので費用がかからないのと、ぶつかっても痛くなく怪我もしないというのが良い点でしょうか。写真の衝立は高さが180pありますが、150〜160pあれば高さは足りるでしょう。 (材料・道具)(作り方)0から始める教材作り3のページをご覧下さい。 |
上の衝立用のジョイントと作り方等は同じです。ジョイントの形が写真のように違うのと角材の長さが違うだけです。ミニハウスは、教室にいて一時的に避難したいお子さんが使うものになります。 写真のミニハウスも衝立と同じように段ボール板かプラ段ボールをパネルとして使います。ジョイントについているマジックテープとプラ段ボール等につけるマジックテープでパネルにします。 プラ段ボールは、ホームセンターで売っていて180×90p位にサイズになります。写真のミニハウスの枠の大きさは、180×90×60pの大きさです。かなり大きいサイズになるので、教室によってはもっと小さいサイズで作ると良いでしょう。設置も片付けもジョイントに角材を差し込む・角材を抜くだけで簡単です。 (材料・道具)(作り方)0から始める教材作り3のページをご覧下さい。 |
椅子に座ったときに、脚が床面に届かないでブラブラして困っているお子さん用の「高さ調整台」です。 教材・教具というほどのものではありませんが、児童が使っているイスと机をどんなに調整しても、小低には小さな児童がいるため、うまくいかないことが多々あります。イスも机も一番低くしても足が浮いてしまったり、机を一番下まで下げるとイスと机の間が狭すぎて窮屈になってしまうということがおこるわけです。 イスを一番下まで下げて、それに合わせて机を下げると足が窮屈になります。そこで机を上に一段上げると、お腹の上の方に机の面がきてしまい、いい状態でなくなるわけです。(※机の面の位置は、おへその高さの位置がいいと言われています。) そこで足の下に足を乗せる台を置き、イスと机の高さを調整するとうまくいきやすいです。教室で使っている2人のお子さんの場合、給食を食べている間に足が疲れてしまい、給食の後半には片足をイスの座る面のところに上げて食べるという具合になっていました。足が疲れないような状態を作ってあげることで、正しい姿勢も維持しやすくなるわけです。 (材料・道具)(作り方)少年ジャンプ等の漫画、布ガムテープ 漫画雑誌の高さ(厚さは)2p位なので、必要な高さの分だけ重ねてガムテープで貼るだけです。お子さんに合わせて何冊積み上げればよいかわかりやすいです。(写真のお子さんの場合は、1冊を横に2枚です。) |
![]() 背の低いお子さんが、給食の盛りつけ時などに机を使いやすくする為の高さ調整用の台です。 給食の配膳の際に、クラスのお子さんたち(小低)の係活動でご飯や味噌汁をお皿やお椀によそったりしています。初めは教員が盛りつけをして、お子さんたちは落としても大丈夫なパンや牛乳を自分の机に運んでいましたが、「ご飯よそってみる?」と聞くと『やりたい!』と言ってきたので、何事も経験ということで始めました。 子どもたちは覚えるのも思っていたより早く、今は最後に盛りつけの調整をしてあげればいいほどになりました。調整は、肥満のお子さんが多いので、個々のお子さんに合わせた分量にしています。小学部の3年ということもあり小さいお子さんが多いので、食缶から味噌汁をお玉ですくう際に窮屈そうにしているので、大丈夫かなあと気にしていたのですが、先日お玉から味噌汁をこぼしてしまうことがあり、小さいお子さんでもすくいやすいように台を設けることにしました。 雑誌(漫画)はほぼ2pの厚さなので、積み重ねることで高さを容易に調整できますし、木で作るのと違い、布ガムテープだけでできるので簡単です。ちょっとした配慮だけで格段に活動がやりやすくなるので、【たかが台、されど台】です。 |
![]() 体に合っていない椅子に座る際に、姿勢をよくする為の調整ボードです。 教室で給食を食べていた時に、児童の机とイスの高さがなかなか上手く調整できないことから姿勢が悪くなったり(足が疲れてイスに足を上げたり、猫背になってしまったり等)、ご飯や味噌汁等の汁物を盛りつける際に、児童の背が低いことから食缶から汁物をお椀によそう際にこぼしてしまうことを改善するため高さを調整する台を作りました。 小高になって食堂を使うようになってから、イスが高さを調整できないものになり、足が床に届かない児童が多くなったことやイスが大人用の大きさのため、座面が広く奥行きがあることにより、背中をイスの背もたれにつけると反り返った状態になってしまう状態の子が殆どになってしまいました。 足が床に届かない状態は、小さい子には今まで他の学年がそうしていたように巧技台を使ったり、昨年まで教室で使っていた台(雑誌で作った台)を使うことにしましたが、背もたれに関しては適当なものがないので、高さ調整の台と同じように雑誌(漫画やパソコン誌)を布ガムテープで貼り付けて使うようにしたものです。これで反り返って背もたれによりかかることがなくなり背筋が伸びるようになりました。 |
![]() ![]() このスプーンは、市販のスプーンと違って手作りのため、一人一人の子どもに合わせて握りの柄の長さ・太さ・全体の重さのバランスの設定がしやすくなっています。 市販のスプーンやフォークは、握りの部分が細く平らなため、手指の操作が未熟な子どもたちには持ちづらく、本来ならば5本の指で握るところを親指と人差し指の2本の指だけでつまむようにして使っている場合が多い状況です。 手作りのスプーンでは、柄の部分が個々の子どもさんに合わせられるので、今まで2本の指だけでスプーン(フォーク)をつまんでいた子も、しっかり握って使えます。スプーン(フォーク)のネックの部分は、子どもさんの手首の使い方等を観察したうえで、使いやすい長さを選んだり食べやすい方向に曲げたりして、個々の要望に応えられるようにします。 市販の特殊スプーンを活用しているお子さんについて、そのスプーンから通常のスプーンに移る場合の橋渡し的活用が考えられます。 私が作るのは、学校の小・中・高等部のお子さんのお母さん方や先生方から要望があった時に作っています。卒業したり、転校したお子さんについては、お母さん方から電話で連絡があると、今までのスプーンの使い心地を確かめながら話し合って新しいものを作ります。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り1」のページをご覧ください。 |
![]() ![]() 手作りスプーンにゴムのベルトを付けたタイプです。これは、スプーンを長くは握っていられない子やすぐに放り出してしまう子用のものです 大人の反応を見て、スプーン(フォーク)を放り投げることを楽しんでしまうようなお子さんには最適です。ベルトはきつくしないで使うように心掛けます。ゴムのベルトは、ホームセンターで売っています。ゴムの穴はきり等でいくつかあけ、締まり具合を見ながら使います。子どもの手に合わせ、きつすぎないようにすることが肝心です。 (作り方)ゴムは、スプーンの柄の部分の底のところとネックの部分の手前に木ねじを入れて、そこに取り付けます。ゴムの穴のあいたところを木ねじに押しつけると、簡単にはまります。ベルトの穴は数カ所あけておき、お子さんの手の大きさにすぐ合わせられるようにします。ゴムベルトは、取るときは簡単に取れるので、毎回洗うことが容易です。 (材料)手作りスプーンの材料とゴムのベルト・木ねじ(ねじの頭が半球状のもの) |
手作りのスプーンは、スプーンの柄の部分を木で作ることで握りやすくしたものです。スプーン操作の苦手なお子さんは、通常の市販のスプーンですと握ることが下手なので(ものを握る指の動きが弱かったり、そっと握るためスプーンをしっかり持てていない為、スプーンがぐらぐらしていたり)、握る・すくうといった一連の動きがスムーズにできていないことが多いです。 スプーンの柄の部分が木になっている市販品もありますが、殆どの物が細身であるので、障がいをもったお子さんには細すぎます。自作のスプーンの柄の良さは、スプーンを使う個々のお子さんに合わせて柄の太さを決められることです。 肢体不自由の養護学校(特別支援学校)に勤めていた時には、担当していたお子さん用に作ったり、先生方や保護者の方々から頼まれてよく作りました。今回は、知的障害の学校の担当するクラスのお子さん用に作りました。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り1」のページをご覧ください。 |
「手作りスプーンの2」を1ヶ月ほど児童が給食時に使い、その様子を見てこの「スプーン3」を制作しました。こちらはスプーンの首の部分(ネック)を調整してあるものです。 ご飯やおかずをスプーンですくうことが上手でない児童の場合、うまくすくえないことでお皿から食べ物を外にこぼしてしまいます。原因は手首の使い方が未熟であったり、対象物をしっかり見ていないことが考えられます。 今回作ったスプーン3では、スプーンのネックの部分を2よりも大幅に曲げて、手首を返すような動きが少なくても食べ物をすくいやすいようにしました。「スプーン2」をこれに変えて、しばらく給食で使う予定です。使い勝手が良いようでしたら、2本作ったので、1本は家庭用にと考えています。 |
![]() 担当したお子さん達は殆どのお子さんが右利きでしたが、左利きのお子さんがいたので、保護者から頼まれて左利き用のスプーンを作りました。普通のスプーンを両手で曲げて左利きのお子さんが使いやすいようにしたものです。 手作りスプーンやフォークは、肢体不自由の特別支援学校でも知的の特別支援学校でも、子どもたち一人ひとりに合わせて作ってきました。担当しているお子さん達のスプーンの使い方を見て必要と感じたお子さんに作り、学校で練習してからは家庭でも使ってもらうようにしてきました。 家庭で使うようになるとお子さんのスプーンの使い方が上達したことを保護者も実感できるので、「担任が変わった後のことも考えて数本作ってください。」と言われて、一人のお子さんに対して3本くらいずつ作りました。 |
![]() 給食では余り使うことはないのですが、家庭用にと考えて作ったフォークです。通常のフォークに丸棒の柄を取り付け握りやすくし、フォークのネックの部分を通常より手前側に曲げることで、手首を余り動かさなくても食べ物を刺しやすいようにしてあります。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り1」のページをご覧ください。 取っ手の部分の作り方は、半丸の棒を用意しそれを握って大体の長さを決めたらのこぎりで切ります。半丸の棒2本で柄が1個になります。棒にフォークの柄の部分をペンで輪郭を書き、その部分を彫刻刀で削ります。柄の部分を削ることが終わったら、柄の前後をナイフで削って丸く仕上げます。柄の形に削ったところにボンドを塗ってフォークを押し込み、そのフォークの所にもボンドを塗り、輪ゴムをぐるりと巻いて固定します。乾いたらサンダーか布や紙のヤスリで柄の部分を磨き、最後に柄の部分に透明ニスか床用のワックスを2回塗っては乾かすことをして完成になります。 |
スプーンを正しい持ち方になるようにするスプーンです。手は、手のひらの部分に玉等のものがあると、握った時に親指と人差し指がちょうどつまむような位置になります。そのことを利用したものです。 スプーンの柄をわしずかみにするようにして食べている生徒さんがいるのですが、保護者は「先生、箸を使えるようになりませんか・・・。」と言ってきます。スプーンの柄を握って食べるお子さんのレベルでは、正直なところ箸を使うのは「今は、無理ですよ。」としか答えようがありません。 箸の練習でエジソン箸などが出回っていますが、スプーンの柄をぎゅっと握ってしか食べられないお子さんの場合、箸に工夫をしても正しい箸の持ち方を習得することはできないというのが、経験上言えることです。 握って使う段階から、次のステップになるスプーンの柄を親指と人差し指でつまむような使い方ができるようにならないと、箸を使う練習にはいけませんので、親指と人差し指でスプーンの柄をつまむような練習のできるスプーンとして考えることにしました。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り4」をご覧ください。 |
スプーンやフォークを正しい持ち方になるようにするスプーン・フォークです。 手は、手のひらの部分に玉等のものがあると、握った時に親指と人差し指がちょうどつまむような位置になります。そのことを利用したものです。 100円ショップで売っている木の球と木の雑炊スプーンを使って左のスプーンを作りましたが、木のスプーンは通常の金属のスプーンと違い、すくう部分・口を当てる部分が肉厚で、食べ物をすくいづらいことが使ってみてわかりました。 私のクラスの生徒は、このスプーンを使うお子さん以外は全員が箸を使えますが、このお子さんの場合は箸を使えないので、麺類などはフォークを使っています。そこでつまみ補助の球付きのフォークも作りました。スプーン等の柄をぎゅっと握る段階から、柄を親指と人差し指でつまむ練習に使います。本数は複数作り、家庭でも練習できるようにしました。 |
木を使ったつまみ補助の玉つきスプーンとフォークを作りましたが、家庭で使う時には洗剤で洗う際に手荒に扱うと破損する可能性があるので、その心配のない金属製の通常のスプーンです。 通常のスプーンですと毎日給食で使っていますので、木のスプーンよりも違和感は少ないでしょう。私は定年退職して、来年からは学校にはいなくなるので、1本ですと万が一破損した場合に代わりがありませんが、2本あれば当分大丈夫でしょう。 ※給食の時間に使ってもらって様子を見たところ、人差し指と中指の使い方は上手ではありませんでしたが、時々指の位置を注意してあげればそれほど違和感を持たずに使えることがわかりました。10分くらい使って普通のスプーンに戻そうかと考えていましたが、結局食事の初めから最後まで使えました。(※下のスプーンが完成形ですので、そちらも御覧ください。) (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り4」のページをご覧ください。 |
つまむ動作を誘発する丸棒と親指・人差し指を置く場所がわかりやすくなっている三角の板がついている「つまみ補助付きスプーン」の完成形です。 上のつまみ付き(補助玉)スプーンを生徒にしばらく使ってもらい様子を見ていると、親指と人差し指でつまむことをしないで、右の写真のように親指を上側に立てて使っていました。手を取って「こうするんだよ。」と言っても、親指と人差し指でつまんでいるのは数秒で、また、親指を立ててしまいます。 そこでつまむことがわかりやすくなるような目安として、三角状の板を親指と人差し指でつまむようにしたものです。このスプーンとフォークは保護者の要望で学校用と家庭用に2セット作って卒業前に渡しました。 |
![]() これは教材・教具ではなくて、ある困った行為を低減させるためのものです。 その困ったこととは、やたらと椅子や机をガタガタさせて、非常に大きな音(騒音)を出して喜ぶ児童が教室にいるということです。1日中そういう行為を行っているので、騒音の苦手な自閉症のお子さん達は耳をふさいだり落ち着かなくなったりしています。 また、その子の行為をおもしろがって真似をして喜ぶという児童が数名出てきてしまい、今まで以上にうるさい教室環境になってきました。 そこで、その行為を止めさせることは殆ど不可能なので、音自体を軽減させることで大きな音を出して喜ぶという状態を変えようということにしました。椅子の脚と机の脚にゴムのクッションをつけることで音を小さくするだけですが、意外なほど効果的です。(殆ど音がしなくなります。) その結果、机や椅子をガタガタやって喜んでいた児童は、音がしなくなったことでその行為を行わなくなりました。思っていた以上の結果になりました。 ![]() ![]() 硬めのゴムの板と柔らかめの(ふわふわした感触のゴム。裏面に接着剤がついています。)を机や椅子の脚の部分の大きさにはさみで切ります。(大きなはさみなら切れます。) 2種類のゴムを貼りつけたら、机の脚の部分(底側)に布(紙)やすりをかけてなめらかにし、瞬間接着剤で貼りつけて完成です。ゴムの部分がはずれやすい場合は布ガムテープでぐるりと巻いてしまえば安心です。 硬めのゴムと柔らかめのゴムは、ホームセンターの工具等を売っている所で探せば売っています。 |
特別支援学校や小学校で児童・生徒が使っているのは、上の「椅子と机の音防止クッション」の写真のような椅子ではないでしょうか。こちらで考える椅子は、脚が4本独立しているような椅子で、体育館を使った行事等で使われる椅子です。 体育館では主にパイプ椅子を使いますが、脚が4本独立している椅子も使うことがあるので、テニスボールを使った椅子の脚カバーは、そういった椅子をお子さん達ががたがたさせない方法になります。 テニスボールは挿したり抜いたりがすぐできますから、椅子をがたがたさせるお子さんの椅子だけ使えばいいでしょう。テニスボールは、ダイソーで売っているものを使っています。カッターナイフで十字に切れ込みを入れるようにします。 もし、カバーをつけても音が出るようでしたら、テニスボールを2個使って1個は切れ込みを大きくして、もう1個に上からかぶせるようにして使うといいでしょう。 |
100円ショップ(ダイソー)で売っている赤ちゃんがテーブルなどの角に頭などをぶつけるのを防止するカバーを使った、パイプ椅子用の椅子の脚のカバーです。このカバーがつくことで、児童・生徒が椅子をガタガタさせても余り音がしなくなります。 体育館で始業式・終業式・文化祭・学部行事・離任式・卒業式などを行う際には、児童生徒はパイプ式の椅子に座ることが多いでしょう。イスに座ると椅子をがたがた揺らして落ち着かないお子さんが必ずいます。先生方がパイプ椅子の脚の部分に足を乗せて、なんとかがたがたさせないようにしますが、これって結構しんどいことです。 お子さん方が、がたがたさせようとしても音が出ないようにした工夫のひとつになります。カバーは椅子の足の四隅に差し込んで使うようにします。音が出なくなると椅子をがたがたせせていたお子さんが、「あれ?」という表情を見せますが、やがてがたがたさせなくなっていきます。 (※カバーだけでは騒音が減らない場合は、椅子の脚とカバーの間に新聞紙を巻き付けると効果があがります。) |
![]() このカレンダーは、黒板の前に置いて日直の人が使ったり、カレンダーの学習をしている子どもが使うものです。 特に変わったものではありませんが、日めくりカレンダーや一般のカレンダーと違い、自分たちで曜日・天気・月日を変えられるメリットがあります。ただ、実際のところ、丈夫で手に取りやすいというメリットをのぞけば、ベニヤ板で作るよりも段ボールのような素材のほうが簡単に作れていいと思います。ベニヤ板で作ると丈夫でいいのですが、反面壁に吊して使うような形がとりずらいので、良し悪しという状態です。 (材料・作り方)9o厚ベニヤ板・3o厚ベニヤ板・丸棒・釘・木工用ボンド・水性ペンキ 月日・曜日・天気の各カード(3o厚ベニヤ板)にボード(9o厚ベニヤ板)の丸棒に差し込む為の穴を開けます。ボードには、各カードを差し込む為の丸棒を穴を開けて差し込み、木工用ボンドで固定します。 |
![]() ![]() これは、和式のトイレを洋式化するものです。折りたためるので、車椅子の背中のポケットに入れて携帯することができます。 現在では、どこのトイレにも殆ど洋式トイレや障害者用トイレが設置されるようになりましたが、30数年くらい前にはまだまだ和式のトイレが多く、子どもたちと散歩に行ったり、遠足や社会体験学習・修学旅行等で校外に出ると大変な思いをしたものです。 この便座は折り畳むと車椅子の背中のポケットにも入り、和式の便座にしっかり納まってがたつかないというものです。組み立ても折り畳みも10秒もかかりません。この作品はいくつか作られ、散歩・校外学習等に使われるとともに、私の教え子たちから「先生、旅行なんかの時にあるといい。」ということで、プレゼントしたものです。家族旅行の時に重宝していると、御家族からのお手紙に書いてありました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (材料)9o厚ベニヤ板・蝶番・木ネジ・床用ワックス |
教室で歯磨き指導を行うときに使う歯形の模型です。 (学習時の使い方) 歯磨き指導と言えば、各クラスで昼食後の歯磨きの時に、お子さん達と一緒に歯磨きしながら先生が行いますが、保健の先生が教室や保健室で歯形の模型(右の写真)を使って歯磨きが大事なことや歯を磨く正しい手順などを子どもたちに指導してくれることもあります。 歯形の模型は子どもたちも興味を持ちますし、歯ブラシを歯のどの部分に当てて磨けばよりきれいに磨けるかがわかりやすいものです。残念ながら学校全体では人数・クラスが多いため、保健の先生がクラスまできてくれるのは年に1〜2回くらいになります。 クラスに歯形の模型が常に置いてあれば、歯磨き指導がやりやすく効果もあがるだろうなと思っていましたが、保健室に1個しかない状況では毎日貸してくださいというわけにもいかないので、割合簡単に作れてクラスに置いておける歯の模型を作りました。これがあれば毎日の指導の効果も上がることでしょう。材料代も200円もかかりませ。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作りの4」のページをご覧ください。 |
歯磨き指導用の歯形の模型です。保健室の先生が作っても良いし、先生方が教室に常時置いておいて児童生徒への指導に使ってもよいものです。教材は、忙しい時間の中で工夫して作らなければならないので、上の「歯形の模型」よりも作りやすいものとして考えました。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作りの4」のページをご覧ください。 材料は、サイダー等の発泡飲料の大きなペットボトルとメラミンスポンジと両面テープ・100円ショップ(ダイソー)で売っている肌色のPP板のみです。 |
手指に重い障がいがあって雑巾絞りができないお子さんが使う雑巾絞り器です。 手指に重い障がい(手がかたまりのような状態になっていて、手術で指を形成した手。手指は不完全な状態で通常の指のような動作は難しい状態。)のあるお子さんは、雑巾絞りのようにものを指でつかんでねじるような動きをすることは困難です。 タオルのように長いものであればそれを1/2に折って何かに引っかけ、端を持ってくるくる回せば絞れるかもしれませんが、雑巾は短いのでそういった方法はとれませんし、手指に障がいのあるお子さんには、そもそもその方法では難しいです。 そこで、雑巾の水を絞り出せればいいわけですので、手指の動きに難があっても空き缶つぶしの要領で、板を押せればいいだろうと考えた「雑巾絞り器」です。中学部での教え子が高等部に進み、清掃会社での現場体験をさせたいという担任の要望があったのですが、雑巾絞りができないのでは無理と言うことで学年会で却下されたということで、その担任の先生から相談されて考えたものです。 手指に障がいがなくても、知的障害の学校の小学部の低学年のお子さん達で、雑巾を絞るのができないお子さん達にも使えると思います。 (※この生徒の担任から、毎日学校で使っていて週末には家に持って帰って家庭でも使っていると、後日連絡がありました。現場実習のほうは、雑巾絞りがこの道具で行えるということで、幸いなことにできることになったそうです。) (材料・道具・作り方)「0から始める教材作り1」のページをご覧ください。 (※下の改良版のアイデアも追加してあります。) |
手指に障がいがある子が雑巾絞りができるようにした「雑巾絞り器」の改良版になります。 上の「手指に重い障がいのある子用の雑巾絞り器」は、私のかつての教え子を今担当している先生から制作を頼まれて作ったものでしたので、その時はできるだけ早く届けようと、蓋の形を数種類試行して作ることができませんでした。 ![]() 手指や手に障害がなくても、雑巾や布巾等を絞るという動作が難しいお子さん達や一般の方で病気や事故等で障がいを持った方々にも使えるものになってきたと思います。 サイズは、上の「雑巾絞り器」よりも一回り小さくしてあります。(この雑巾絞り器を使う教え子が家庭で使うことを想定して作ったものです。)材料・道具・作り方は、上の雑巾絞り器と大体同じです。違うのは、蓋の裏側に右の写真のように舟形の部分がついているところと両サイドの板に穴があいてないところです。 |
スプーンの柄をわしずかみにして食事をとっている生徒が、家庭で箸の使い方を練習するためのものです。 スプーンについては、スプーンの柄を親指と人差し指ではさんで食べるように練習する「補助の球付きスプーン」を学校で使い出しましたが、中3で卒業まで残すところ2ヶ月もありませんし、私の方も定年退職してしまうことから、4月以降でも家庭でスプーンの練習と箸の使い方の練習を併せて行えるようにと考えました。 家庭用ですので、大きさはコンパクトにして(A5のケース)邪魔にならないようにしました。使い方は、箸(チップトング)で色々な形をした消しゴムをとり、それを折り畳めるコップの中に入れるという活動です。 箸(チップトング)は、100円ショップで売っていたものの中で、このタイプが親指と人差し指ではさんで使うのに1番使いやすそうなものです。慣れてきたら通常の箸に差し込んで使うもの(らくらくクリップ)も用意しておきました。 (材料) 100円ショップで売っているA5のケース・シリコンの折りたためるコップ、食べ物の形の小さい消しゴム、らくらくクリップ、チップトング(箸) |
![]() 小学部の高学年(低学年)では、保護者向けに「○月の学習予定」という授業の予定表を1ヶ月単位で配布しています。ただ、それは漢字で書かれた大人向けのものであって、ひらがなを読むことができるお子さんが非常に少ないという現状の子どもたちには、縁のない(?)ものになっています。そこで、毎週の「がくしゅうのよてい」を子どもたちでもわかるように絵(イラスト)とひらがなで表したものです。 ひらがなは、少数ですが文字が読めるお子さん達用と考えます。家庭でシール状の絵を貼ることによって、明日の学習内容を知るという活動を家庭学習のひとつとしてとり込んでいきたいとも考えていますが、まずはこの「がくしゅうのよてい」を自分の学年で試行していき、その結果を踏まえた上で小学部の高学年で使えるものになるか先生方に検討してもらおうと考えています。 私の学年(小6)では、朝の会で「今日の予定」を係の子が黒板に書き込むときに、この「学習の予定」を一緒に見ながら曜日と日にち、1時間目から午後までの学習予定を書くようにしています。 絵に関しては、「音楽」などのように子どもたちにすぐにわかりやすいものがありますが、「生活単元学習」・「自立活動」といった内容になると絵でわかりやすく表現することが難しい状態です。どんな絵(イラスト)を採用するかも検討事項の柱のひとつになりそうです。 ※この「学習の予定」は、ここで紹介した数年後に小学部の数学年や中学部の私のいた学年お3クラスで使われるようになりました。児童生徒が、1週間の間に何があるのか結構気にしていることがわかったことと文字が読めないお子さん達にもわかりやすいからです。 |
![]() 保護者が子どもの学校へ持って行くものを用意するのではなく、子どもたちが自分で考えて持ち物を用意する際に使う「持ち物チェック表」です。 (学習時の使い方) 障がいの重いお子さんだけでなく、障がいの軽いお子さんでも家庭において親御さんが身の回りのことに必要以上に手を出してしまうことが多いのが現状ではないでしょうか。 こどもに方法を教えないで、親がやってしまうことを愛情と勘違いしているのかもしれません。障がいのあるお子さんの世話をすることが愛情ではなく、その子が少しでも自分の力でできることを増やせるように支援することが愛情だと考えます。これは教員という立場でも同じことでしょう。どうしたらその子が自分の力で身の回りのことができるようになるか・生活する力がつくかを考えて支援するのが教員の仕事だと思います。 このカードは、翌日学校へ持っていく持ち物をお子さん達が自分で考えて用意することを支援するカードです。普段使わないカードは緑のポケット内に収納します。お子さんが用意出来たもののカードを裏返すと「○印」のカードに変わります。親御さんがやることは、連絡帳に書いてある「○○を持ってきてください。」という教員からの連絡を読んで、その持ち物のカードを毎日持っていくもののカードに追加することです。あとは、お子さん達が自分でできるようになるまで、側で見てあげることです。お子さん達が字が読めなくても、カードを見れば明日水筒や着替えを持っていく等のことはわかります。 家庭では、お子さん達が持っていくものをわかりやすい場所に置いておくように工夫する必要はありますが、辛抱強く待ってあげ、できたらほめてあげることでお子さん達も自信がついていくことでしょう。初めは「ティッシュ」「ハンカチ」くらいから始めて、徐々に持ち物カードの数を増やすと良いでしょう。保護者面談の時のように時間が取れる時に使い方を保護者の方に見てもらい、家庭に持って帰ってもらって活用します。家庭での活動が定着するように学校でも同じようなものを学習に取り入れていくと効果が上がるでしょう。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り4」のページをご覧ください。 |
![]() ![]() 肢体不自由の学校の小学部で、手は動くものの目標とするものを余り見ようとしないお子さんの食事動作の向上に使ったお皿固定用の台です。 (学習時の使い方) このお子さんは、いつも宙をぼーっと見ていて人と視線を合わせない子でした。目標となるものや人に対して視線が向かうように、移動時・学習時とあらゆる場面で指導した結果、人に対しては視線を向けるようになりました。 食事に関しては、自分でスプーンが持てる・食べ物に視線を向けるようになったことから、なんとか自力で食事が摂れるようにならないかと考えて作った台です。 この台を使うことで、今まですぐ動いてしまっていたお皿が動かなくなり、そのことで視線も食べ物により向かうようになりました。すくう動作もできるようになったことで、全面介助状態からほぼ自力で食べられるようになったものです。 (材料)5o厚のシナベニヤ板・角棒 (作り方)固定用の台が給食のお盆にはまるように、角棒をお盆の縁をはさみこむように2本ずつ台の裏側にボンドでつける。上下左右4ヶ所に計8本。(3ヶ所でも大丈夫です。)台にお皿(お椀)の直径に合わせた大きさの円を書いて電動糸のこで切ります。サンダーで板を磨き、水性透明ニスを塗ります。 |
![]() 字が読めない生徒にもわかりやすく・日本語がわからない外国人の保護者にも、翻訳した母国語(ポルトガル語)と写真が載っていることで、お子さんがどんな給食を食べているかすぐにわかるようにした献立表です。 献立表は、栄養士の先生がひらがなで書いてくれたものが月に1回配られます。子どもたちは今日はどんな給食かと毎日楽しみにしていますが、文字が読めない生徒には見てもわかりません。また、日本語のわからない外国籍の生徒さんの親御さんも献立表は知らない字がたくさん並んでいるだけのプリントです。 (作り方) これを作るのは大変ですが、月に1回がんばればいいのです。初めは給食に出るものを写真に撮って使っていましたが、それでは写真に撮っていないものが献立に載ると写真がなくなってしまいます。そこでインターネットで「肉じゃが」等調べて写真を集めることで、そういった面は解消することにしました。 わからなかったことがわかるようになったと喜んでくれる子どもたちや外国籍の保護者の笑顔を考えれば、がんばりがいがあるというものです。 |
![]() ![]() ![]() 上の献立表は、写真が小さかったので、今回(9月から)からは大きくしました。これで字が読めない生徒にもよりわかりやすい献立表になりました。 写真で給食に出るものが一目でわかるため、自分から献立表を見て今日の給食は何かわかるようになると、「今日は何?」「明日は何?」と興味を持ってくれる生徒が増えました。・・・増えたというよりクラスの全員がよく見ています。 クラスの生徒で外国籍の子がいるので、その生徒の保護者のために今までは翻訳でメニューを載せていましたが、いかんせん機械翻訳では限界があるので翻訳はやめて、写真を大きくすることでわかりやすくしました。 わかりやすい献立表ということで写真をメインに作ってありますが、正直なところ献立表を作るのには数時間かかります。給食に出たものを写真に撮っておいて使ったりしていましたが、それでは新しいメニューをカバーできないので、インターネットで料理名を入れて写真を探しだすのですが、それには結構時間がかかります。 1ヶ月分の献立メニューを写真で表すには3〜4時間くらいかかることもあります。ただ、ひらがねで書いてあるだけの献立表では、クラスでわかる生徒はひとりしかいないということです。他のクラスでもクラスで1〜3人がいいところでしょう。生徒や保護者にわかりやすいということは、食への興味関心を引き出しやすいので、それだけの苦労のしがいはあるものです。 この「わかりやすい献立表」は、私の学年だけでなく他の学年(中1・中2)の生徒達も教室へ毎日見に来るようになったものです。 |
![]() 上着を上手にたたむ練習をする支援シートです。 小学部のお子さん達は、日常生活面での食事・排泄・衣服の着脱など基本的な生活習慣の獲得が大事な課題になっています。登校して教室に入ってから、普段着から体操着に着替える際に、着替えを全面的に先生が手伝わなければならないお子さんから、一部または完全に自分で着替えができるお子さんまでとその実態は様々ですが、殆どのお子さん達は先生方の介助(支援)の手が必要です。 大体自分で着替えができるようなお子さんでも、脱いだ服をくちゃくちゃに丸めてしまったり、一応たたんではいるものの雑すぎたりと、なかなか難しいようです。この支援シートは、厚画用紙や工作用紙のような紙でもできますが、噛んだり破ったり投げたりするようなお子さん達でも大丈夫なように100円ショップで購入したまな板シートを使っています。 (学習時の使い方) 脱いだ服の上にこのシートをのせ、左右の袖・服の下側とシートに合わせて折り畳み、最後にシートを上に引っ張ればきれいに服がたためます。課題としては、このシートにいつまでも頼るのではなく、シートがなくても服を畳めるようになることでしょう。 (材料・道具)(作り方)「0から始める教材作り2」のページをご覧下さい。 |
スラックスやジャージなどを折り畳む時にどこで折り畳めば良いのかをわかりやすくしたシートです。 (学習時の使い方) 上の段の写真はスラックスの脚の部分を2つ折りにする場合です。シートの上側の取っ手部分のみが出るようにすれば、スラックス等に挟んで折り、脚の裾の部分を上に持ってくれば2つ折りになります。 下の段の写真は、3つ折りの様子です。シートのビニールテープの所まででスラックスに挟んで折り返せば、ちょうど3つ折りになります。両方とも折り畳んだらシートを抜いて折り畳みが終了です。 |
![]() ![]() エレキットのICの工作キット(お風呂センサー)を使ったトイレセンサーです。便器の中にセンサー部分を置くことで、排尿があるとブザーを鳴らして知らせてくれます。最重度の知的障害のお子さん用に使ったものになります。 ただ、排泄時間を記録するという上では効果的でしたが、大切なことは、排泄時間の記録をつかむということにとらわれることではなく、子どもと常にいてその子の気持ちに寄り添っていくことと思います。 (材料)ICの工作キット(エレキットのお風呂センサー。ホームセンターか通販等で売っています。)・センサー部になる金属片(鉄・銅板など)、半田付けの道具 (作り方) 工作キットは作り方の説明書が入っていますので、それを参考にして制作します。半田付けさへできれば簡単です。半田付けも難しいものではありません。[お風呂センサー」の先端の部分をポータブトイレの底に置くことで、排尿があると通電してブザーが鳴ります。 |
マスクをつける動作が苦手なお子さん用のつけやすいマスクです。 マスクの輪っかをうまく耳に掛けられないお子さんは、特別支援学校には多く見られます。本人も頑張っているのに耳に輪っかをうまくかけることができず、結局は教員が輪っかの部分をお子さんの耳にかけてやらざるを得ない状態になります。 指の使い方の学習を進めても、なかなか上手にマスクがかけられないお子さんの場合、マスクの耳にかける部分の輪っかに輪ゴム2本をとりつけると、自分でマスク 靴のひもを結べないお子さんには、ジッパー型のものを活用すればいいように、マスクがつけられないお子さんには、こういったマスクでもいいのではと考えます。 手指の使い方の練習は続けていくにせよ、とりあえずは「自分でできる」ということを大事にする考え方です。 |
![]() この「生活の流れカード」は、朝登校してきてから朝の会までにやるべき活動(行動)と、給食後から帰りの会までに行うべき活動(行動)を書いたカードです。 自閉症のお子さんは、ある程度認識力が高くても、学校生活の中でしばしば「今何をすべきか」ということがわかっていないような行動をとることが多く見られます。その場面ごとにことば掛けを行って喚起を促すようにしていると指示待ち状態になってしまい、「わかっている筈なのにどうして行動できないんだろう・・」と教員が嘆息するようなことに陥りやすいパターンになっていきます。 子どもたちは、教員からいちいち声掛けされて動くのではなく、自分でカードを読んで自分で行動を起こすきっかけになっています。必要ならば声掛けしなければと思って見ていましたが、ふらふらすることも減って、自分で活動してくれることが増えました。たかが、カード、されどカード・・・といったところでしょうか。午後の授業に変更がある場合は、必ず声を掛けたり授業の絵カードをみせたりして変化に対して対応しています。 (材料)(作り方) 登校時から朝の会までの流れを書いた物と給食後から帰りの会までの流れを書いた物を作ります。それを切り取ってラミネーターでラミネートしてできあがりです。 |
マグネットを使い、ここまで時計の針(長針)がきたら活動が「始まる・終わる」ということを知らせるものです。マグネットなので動かすのが簡単です。 (学習時の使い方) 子どもたちに「始まりの会(朝の会)はここから始めるよ。」・「朝のリズムは、ここからはじめます。」・「給食はこの時間で終わりです。」と話すときに、以前は、時計の針の長針がくるその時刻のところにビニールテープを貼っておいたのですが、これが全く役に立たなかった経験があります。(ビニールテープは、何枚も貼るとわからなくなるので、そのときは朝の会が始まる時刻のところにだけ貼っていました。) 小学部の低学年の子どもたちは、殆どのお子さんが時刻を理解していませんが、目の前でマグネットを持って時計に貼り付けると、クラスのほぼ全員がマグネットを見てくれます。そこで、手始めに給食の終わりの時刻からマグネットを使って「ここまで針がきたら給食は終わりだよ。」と話すと、友達よりも早く食べ終わってイライラしていた子も終わりが見えるようになり、食べるのが遅かった子も終わりを意識して食べるスピードが速くなってきました。 それから、始まりの会・次の授業の始まる時刻・給食の終わりと毎回マグネットを動かしていくようになったら、子どもたちは始まりと終わりの時間を目で見て意識できるようになりました。たかがマグネット・されどマグネットです。 |