D 釣り場環境

これは水生昆虫が食べて残った葉の葉脈です。水生昆虫は植物食と水生昆虫等を補食する肉食のものがいます。
河畔林や山の植生が重要になり、水生昆虫の餌となる葉が提供されます。そしてその木からは陸生昆虫も水面に落ちてきます。
自然が健全である事が重要です。その健全な自然の時間の中に、フライフィッシングの多くのヒントがあります。
D-1 どのような釣場があるか。
この案内で想定してる釣場は川や湖等の内水面(海ではない淡水域です)と言われる釣場です。そしてヤマメやイワナ、ニジマスなどの、サケ科の渓流魚が生息する環境が必要になります。
環境により違いがあり一概には言えませんが、水温が夏でも20°を超えない環境が、必要になります。
標高の高い渓流域、周りは広葉樹の森。もう少し下流の里川、周りには民家もあり、雑木林が多くある。もっと下流で場所によっては町の中を流れている、川幅も広くなる川。
又は湖やダム湖。このような環境が釣場になって行くと思います。
現在は北海道をのぞく日本のほとんどの内水面で、漁業協同組合が川や湖を管理運営しています。
北海道での内水面の漁協は1部だけでそこ以外は内水面の漁業協同組合は存在しません。
また一般的に管理釣場と言われる釣場があります。川の流域の一部を専用の釣場とし釣り方や、料金を別に設定して運営してる釣場があります。
魚はその川や湖に元来生息していた魚を中心に保護、管理をしてる釣場から、養魚場で育てられた魚が中心の釣場と、色々な環境が存在します。
釣りの出来る期間は春先の3月から秋の9月位が渓流域では一般的です。湖ではもう少し期間が長くなってる釣場もありますが、色々です。
秋から冬にかけて禁漁になる訳は、魚たちの産卵時期を守る為と言われています。
現実の状況は漁業協同組合が釣りを管理運営しています。
漁業協同組合は文字通り漁業で魚を捕る時のルールを決めています。(大元の法律は農水省で決められています)
私たち釣り人がやってる釣りも、魚を釣るところは同じように見えますが、本質は大きく違います。
漁業協同組合は釣り人の為に良い釣場を作ろうとしても、すんなりと出来ない組織です。
釣り人が多く来て、入漁料が多く入り、それによって良い釣場作りを進める、と言う事がなかなか出来ない組織です。
その為釣り人から見ると、理解しづらいルールが多く存在しています。
この案内でも入漁券を(又は料金を払ってから)買ってから釣りをしましょうと言ってますが、一般的な川の入漁券はとても買いづらい。まして始めての釣場だと、何処で買えるのか分からない事が多くあります。
最近は地域のコンビニなどでも売り始めてますが、まだまだ買いづらい事が多くあります。
しかし2013年現在、漁業協同組合の大元の農水省が漁業ではない、趣味としての釣りを捉え始めています。(水産庁のホームペイジである程度調べられます)
多くのところで実情に合わない事がありますが、大元の所が変わろうとしています。
時代は釣り人にどんな釣場を求めているのかと聞き始めています。
その時私たち釣り人が何も答えられないようでは、理想の釣場は出来ないと思います。
自分の好き嫌いとは別に、あるべき姿の釣場環境を考える事も必要な事ではないでしょうか。
D-2 求める釣場環境
自然環境がバランスよく残っていて、魚もそこで世代を繋いでいる、そして釣りという遊びが向かい入れられてるような環境で、釣りをするのが多くのフライフィッシャーの求める釣場環境だと思います。
一方だからといって、人間に養殖された多くの魚がいる、管理釣場と言われる釣り場が面白くないかというと、そんな事は有りません。
管理釣場だからと何も考えず釣りをするのと、管理釣場であろうとライズしてる魚をマッチザハッチの考えで、釣ろうするのでは大きく違ってきます。
釣場そのものも重要ですが、考え方や捉え方で面白さは変わってきます。
フライフィッシングは魚の食べ物となる、水生昆虫や陸生昆虫の存在がとても重要になります。
そして出来るだけ多くの事柄を、自分でやって行くと面白さは大きくなります。しかし変な話ですが、多くを自分でやってると釣りに行く時間が無くなる、と言う事になりかねません。
この大切な両方を損なわないで、水生昆虫の情報も知り、釣りにも行ける状況を作りたいものです。
その時ひとつの方法が有ると考えます。
魚そのものや、食べ物となるモノ、それらのモノは季節により変化したり、釣場の環境により色々です。
この辺のフライフィッシングの元となる、自然のデーターや情報を釣場又はショップからメニューとして出して行く。
今の季節だったらこの釣り場では「モンカゲロウのトップシーズンで多くの流下が見られます」とか。年間のハッチチャート、水温変化等の情報のメニューが季節ごとに有り、もう少し全体的な釣場の規模や環境が判る看板が有る事が望まれます。
釣り人は、色々なメニューや看板の中から自分の求める釣場を選択し、フライフィッシングで重要な魚と水生昆虫が織りなす自然の時間の中に入って行く事が出来ます。
このような事が出来れば、ある程度両方を実現出来ます。
フライフィッシングの観点から見た時の釣場の本当の価値は、このような事が求められると思いますし、質の高い釣場環境と言えるのではないでしょうか。
現在の状況で有るのは「釣場です」と言う看板程度しか見えてきません。フライフィッシャーとして、もっとメニューが欲しいと、声を出すことも必要かも知れません。
ワンポイント
視点を変えて見てみます。
何人かで食事をしようとした時、個々で食べたい物は色々あります。
釣場環境を考えるとき、個々の好き嫌いで考えて行くとまとまりません。
しかしどのような物を食べるにしても看板が出てたり、メニューや値札があり、何をどのくらいの価格で食べられるかはある程度知ることが出来ます。
そして提供する側は、その価格でお客さんが満足するように考え行動してます。
求める側と提供する側がお互い満足するような、バランスのとれた環境が存在しています。その環境があって始めてその先に、個々の好き嫌いが受け入れられる状況が生まれて来るものだと思います。
釣りに行くことを、外で食事をすることに置き換えて考えた時の、外食産業の環境が私たち釣り人が求める釣場環境ではないでしょうか。
「魚が食べてるモノに真似た毛鉤を使い本物と同じように釣る」その為には自然が健全でなくてはならない。
そして釣りが世の中に当たり前に存在し、受け入れられてる事が必要だと思います。
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