塩田

 時国家を後にして、珠洲市内(曽々木の窓岩の近く)の塩田を見に行く。…読んで字のごとく、塩の田んぼ(正式には「揚げ浜塩田」)。
 海水を天日干しにして、塩を採るのだ。

 歴史は意外に古く、文献によると慶長元年(1596年)に遡る。
 加賀藩の当時の藩主 前田利常が、田畑の少ない農民に米を貸し、その代わりに塩を納める(玄米1石につき塩6俵の割合)ように奨励したのが始まりとされ、それが元で一大商業として発展を遂げる。

 しかし、生産性に劣るので、戦後衰退。
 現在、ここは石川県で唯一の塩田となる。


 作り方は、
1.海水を汲んできて、砂浜に撒く(上写真の枠で囲まれた部分)。
2.砂浜が乾いたら、また1を何度も何度も繰り返す。
3.たっぷりと塩を含んだ砂を海水で洗い、その上澄み液をとる。
4.3を大きな釜で煮て、塩の結晶が浮いてくるようになったら(この写真では分からないけど、鍋の中は解けかかったかき氷のような状態になっている)濾してできあがり。

 右の写真は、ほったて小屋の内部。
 小屋の中は、暗くて蒸し暑い上に恐ろしいくらいの磯の香りで充満しており、全身の毛穴が丁寧にふさがれていくようなじっとりとした圧迫感があった。
 この鍋をかき混ぜ続けるという重労働。ここで働いていた人々が歌った「砂取節」は、県の無形文化財になっているという凄まじさである。


 そんな作業とは裏腹に、できあがった塩はミネラルたっぷりで、かなり美味しい。
 和食にはもちろん、スパゲッティーに入れても美味しかった。
 「奥能登の塩」として、石川県内の土産物屋でも手に入れることが出来ます。

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