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「小慢」と「親の会連絡会」の基礎知識

Q:小慢ってなんですか

A:「小児慢性特定疾患治療研究事業」は現実として、対象となる疾患の患者と認定されると、 保険医療の自己負担分が国と地方自治体から半分ずつ補助される、つまり医療費が無料になる制度です。ちなみにMLD、クラッベ病患者は10あるカテゴリーの中で最初に指定された「先天性代謝異常」で、ほとんどの患者が認定を受けてます。

Q:なぜ法制化するんですか、いまのままでもいいじゃないですか

A:いままで法律や制度の裏付けのない厚生労働省の事業としてやってました。行政改革でそういう事業はムダが多いため毎年一律予算を削っていくことになりました。法制化してしまうと制度の根拠がはっきりするので、やめちゃったり縮小するのが難しくなるわけです。

Q:なぜ制度の見直しが必要なのですか、どこを見直すんですか

A:昭和49年に始まって、その後対象疾患を広げてきた制度です。しかも、もともと法律とかの裏付けはなかったわけですから、原則というものがなく、そのときどきの判断でやってきた部分もあるため、かなり不合理な状況があるのが事実です。たとえば非常に重症で治療法のない難病が認定されていない一方で、それほど重症ではない一部の疾患が予算全体のかなりの部分を使っていたりといったことです。もともと病気の子どものための制度ということでよく言えば弾力的、悪く言えば恣意的に利用されてきた部分があり、このご時世でそれじゃ通用しない、と まぁそういうことです。

Q:なんでいままでタダだったのが急に自己負担ありになるのですか

A:法制化するとなると、ほかの法律とのバランスというのが問題になります。似たような制度なのに極端に違うとなるとまずいわけです。福祉目的で医療費を軽減する制度はいろいろありますが、ごく一部の歴史的な理由のある例外(結核とか)を除くと受益者負担ということで 一部自己負担が当然になっているので、小慢だけ自己負担なしで法制化はできない、というのが厚生労働省の説明です。

Q:医療費自己負担なし」ということですが、いままでも病院に支払いありましたが

A:保険診療の自己負担 分(通常3割)に対する補助ですから、保険外の薬や検査、あるいは差額ベッド代は補助してもらえません。また、対象疾患の治療だけが対象になるので、それとは関係ない感染症や事故で治療を受けた場合も補助されません。

Q:いったいだれが制度の見直しをやったり法案を作ったりしてるのですか

A:厚生労働省の児童家庭局です。ただ、一応、「一般に広く意見を集める」ということになってますから、担当課長は親の会連絡会と常に連絡をとって意見交換してます。また、小慢見直しについては、厚生労働省は平成13年から「小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会」というのを開いて専門家 (医療関係者、行政関係者、福祉関係者)が議論する機会を作っています。ただし、実際の作業の中身については公開されていません。

Q:いったいどんなな「治療研究事業」を行ってるのですか

A:医療費を補助することで、難病の患者が病院にかかりやすくなることが、これらの難病の解決(治療研究)のためには不可欠、という認識で始まった制度です。予算は医療費の補助に当てられ、実は研究費には (少なくとも直接的には)使われてません。対象疾患の治療調査研究には別の予算が組まれています。

Q:特定疾患との違いはなんですか

A:非常にざっくり言うと、特定疾患は大人・子どもに関係なく「難病」の患者のための制度です。とはいえ、難病であっても指定されてない疾患もあるし、難病とはいいがたい疾患が指定されたりもするので、厳密にはいえません。小慢は小児難病を対象にしているという面と、小児の慢性疾患を対象にしているという面があります。そのため、一般的には「難病」と考えられていない疾患も入ってます。また、小児を対象に限定した制度なので、18歳を超えると病気の状態には関係なく対象外になります。MLDやクラッベ病のように小慢、特定疾患の両方の対象になっている疾患もあるし、小慢だけの対象になっている疾患、特定疾患の対象だが小児患者も多い疾患もあります。

Q:親の会連絡会と小慢の関係は

A:親の会連絡会の参加団体は、「小児難病 」の「親の会」ということではありますが、小慢の対象になっているとは限りません。ただ、対象外の疾患であっても指定を希望していることが多い(たとえばSMAとか)ので、小慢事業の将来については関心が高い団体が多いわけです。 ですから、個別に新規指定要望とか、対象患者の拡大とか、年齢制限の拡大といった折衝を行ってきました。ただ、小慢事業 全体の危機、見直しということになると、個別の団体で対応するのは難しいわけです。疾患によっておかれている事情がまったく違うため、個別の患者会の視点だけでは全体像が見えませんから。そこで横のつながりを作って、その情報交換の連絡会を中心に対応していこうという動きが出てきたわけです。以来、親の会連絡会をベースに厚生労働省と意見交換を行ってきているため、一部の大きな患者会を除くと、親の会連絡会が小慢に関する厚生労働省と個々の患者会の窓口になっている感じです。

Q:親の会連絡会に入ってないと法制化や見直しの情報は入らないのですか

A:「小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会」の報告書などは厚生労働省のWebでも読めますが、情報が公式に発表されるのはすべて決定して変更不可能な時点 、というのが現実です。そもそも、そういう検討会が開かれていること自体、患者本人や、患者会には特に通知されません。親の会連絡会は厚生労働省とチャンネルがあるので、ある程度通知されるし、また横のつながりで情報交換できますから、重要な動きについては連絡を取り合って対応してます。厚生労働省の動きをウオッチするには、よほぼ規模の大きい患者会でない限り、親の会連絡会を通した方が楽だと思います。ただ、同じ様な動きをしている団体は他にもあります。まず疾患ごとの患者会があって、さらにそういった患者会同士の横のつながりがないと、情報はほとんど入ってこないと思います。重要な情報の多くはインターネット上では出せないわけですし。 あと、親の会連絡会の会場提供や事務作業は難病の子ども支援全国ネットワークがやってますから、その機関誌「がんばれ」を購読すれば個人でも動向はつかめます。ただやっぱり、オフレコ情報やホンネ情報は無理ですね。

Q:親の会連絡会はどのように運営されているのですか

A:親の会連絡会は名前通り連絡会で、1疾患あたり1団体が参加して定期的に情報交換しているだけです。組織も事務局もありませんし、代表もいません。従って、たとえば「親の会連絡会に連絡をとる」こと自体が現状では不可能です (組織としての実体はないから)。ただし、現実には難病のこども支援全国ネットワークが、ある程度事務局的な作業を代行しています。なお、今回の提案書やイベントのような 、なんらかの作業が必要になる企画は、定期の連絡会で方向性が決まった後、有志が実行委員会を作って実作業を担当し、プロジェクト終了後に解散します。

Q:自分の患者会は親の会連絡会に入っているが、情報が伝わってこないのはどうしてでしょう

A:「連絡会」なので、連絡会に代表が出席しない会にはなんの情報も伝わらないことになります。ただし、現実にそれが難しい会も多いため、別の形で情報を共有する方法も模索中です。現時点では経過などは難病のこども支援全国ネットワークがメール、FAXで加盟団体に報告してます。もっとも実際問題として、親の会連絡会の活動を個々の患者の会の会員に伝える手段って、会報ぐらいしかないんですよね。誰でも読めるホームページだと問題がある場合もあるし。

Q:今回の「提案書」は親の会全体の提案ということなんでしょうか

A:賛同した団体のみという位置づけです。実際には「全国心臓病の子どもを守る会」だけが、自己負担制の導入を認める方向での意見書提出には会内部の総意が得られないという理由で連名してません。連絡会は連絡会なんで、「組織としての意見統一と しめつけ」はしないというのが基本方針です。 まぁ、そういう形でやっているところもあるけど、そういうのが感覚的になじめない人たちがなんとなく集まってやってるのが「親の会連絡会」というところもあると思います。

Q:このサイトの管理人と親の会連絡会はどういう関係ですか

A:管理人(高橋洋)は「ロイコジストロフィー患者の会」のメンバーとして親の会連絡会に参加してます。ロイコジストロフィー患者の会って、疾患ごとに「MLD・クラッベ」「ALD」「ペリツェウス・メルツバッハ」がそれぞれ連絡網を作ったり、回覧板、会報などを作ってる段階で全体として「会」として動いてはいないんだけど。他の団体からの参加者も、会を代表して派遣されてくるというより、自分の子どもの病気だけじゃなくて、全体的なことが特に気になる人が個人的に参加して、疾患の壁を越えて人的ネットワークを作っている部分が大きいと思います。今回の「提案書」でもそうですが、別に上部団体として 参加団体の利害調整しているわけではなく、プロジェクトごとに賛同する団体の積極的な個人が手を挙げて合議しながら作業してます。


(2003/10/28)


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