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メイン 基礎知識 提案書全文 提案各項目の解説 今後の見通し


 平成15年10月27日、小児難病親の会連絡会は連名で厚生労働省に「小児慢性特定疾患治療研究事業法制化にあたっての提案書」を提出しました。いままで厚生労働省の「制度的裏付けのない事業」として行われてきた「小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢)」が本年度中に法制化される見通しであることを受け、それにともっなって行われる制度見直しが当事者である患者にとって望ましいものになるように各参加団体の要望・提案などをとりまとめて逆提案したものです。提案の内容については最終案直前のものをALD、ペリツェウス・メルツバッハなどロイコジストロフィー関連の患者の連絡網に流しており、MLD、クラッベ病の機関誌「Supporters' News」には概要を掲載しています。
 なお、項目ごとの詳しい解説として提案項目の解説を用意しました。


平成15年10月27日

小児慢性特定疾患治療研究事業法制化にあたっての提案書


(1)この提案の位置づけ

 今後の小慢のあるべき姿について、当事者の立場から考え、それぞれの疾患の枠を超えて支持できる基本方針を話し合いました。従来の障害者福祉制度、医療制度、教育制度では対応できなかった小児難病患者特有の問題を解決するとともに、すべての子ども、子どものいるすべての家庭、そしてこれから親になろうとしているすべての人たちが、安心して暮らしていける社会を実現するための提案です。

(2)法制度全体の中で小慢を考える

  1. 障害者福祉制度ではカバーできない、難病特有の状況に対応できる制度必要

  2. 診断基準や手続きの一本化など「特定疾患」との関係を整理して矛盾・不合理を解消する

  3. 小児難病対策の理念と方向性を明らかにし、自治体ごとの格差縮小を図る

  4. 疾患情報データベース構築など、治療研究事業の推進に寄与する制度とする

  5. 法制化・制度化は、事務手続きの増大による患者負担が生じない形で進める

(3)対象疾患

  1. 対象疾患の追加・除外を検討する公開の機関を設置し、対象疾患・診断基準を毎年見直す

  2. 疾患名による指定と、病態による指定の両面から対象者を考える

(4)対象者と重症度基準

  1. 小児難病特有の事情(別表※1)を考慮し、他の福祉制度の対象から漏れる患者の救済に留意する

  2. 重症認定は軽快者との間の流動性を確保し、病状の急変に対応できる制度とする

  3. 年齢制限、対象範囲など、従来あった疾患群ごと、疾患ごとの特例の原則的廃止

  4. 認定者全員を対象に公費負担(診断書費用含む)で毎年診断・検査を実施

(5)対象年齢

  1. 医学的必要性から長期治療計画が20歳をまたいで実施される場合には対象年齢の延長を認める

(6)患者負担の導入

  1. 本来、自己負担分はゼロであるべきで、患者家族による財政負担肩代わりであってはならない

  2. 患者にとって、それが生涯にわたる継続的な経済負担であることを考慮する

  3. 小さな子どもを抱えた家庭の経済事情に配慮し、所得税なしの低所得者層は自己負担ゼロに

  4. 家庭内全患者、全医療機関の費用総額に限度額を定め、窓口支払いはそれ以下に

  5. 自己負担限度額は年額として育成医療の月額以下が望ましく、最大でも月額5,000円以下に

  6. 重症者重点化の観点からも、自己負担上限額は入院・通院で一律とする

(7)福祉サービス

  1. 小慢手帳を改革し、従来の医療費補助以外の患者支援に活用

  2. 入通院に付随するさまざまな困難を軽減するための制度を用意

  3. 病態悪化の予防も含めて在宅療養用医療器具や日常生活用補助具を現物支給・貸与する

  4. 「補装具としての保険外医薬品・食品」という概念を積極的に認め、経済的援助を行う

  5. 全国統一の相談・情報提供窓口や、難病情報センターのような広報機関を設置する

  6. 在宅介護・療養には各種専門家を派遣し、患者だけでなく家族全体を支援する

  7. 小児難病患者支援機関・組織・団体の活動を助成し、積極的に活用する

  8. 患者の社会的自立・自活を実現するための教育、職業訓練、資格訓練を提供する

(8)事業評価の仕組み

  1. 事業評価作業は一般に公開し、患者団体もその作業に参加する

  2. 地方自治体ごとの実施状況の評価を行い、その結果に対する提言を行う

(9)われわれが目指すもの

最終的な目標は、難病患者の福祉を包括的に実現する難病基本法の制定です。小慢法制化はそのための第一歩であり、考えを深め、制度を具体化していくためのステップだと考えます。


(別表※1) 重症度基準の考え方と小児難病における「重症」の定義

 重症度基準の導入は、「小児難病とはなにか」という問いに直結するため、小児難病患者の実情に合った基準であることが重要です。このためには、疾患ごとに特定の症状を「重症度基準」として指定するだけではなく、以下のような定義にひとつでも当てはまっていれば「重症」とする考え方を提案します。

  • -a 現在行っている治療を中止すれば、将来、生命や健康の重大な問題を引き起こす場合

  • -b 治療法の有無にかかわらず、疾病の結果として現在日常生活に著しい不都合が生じている場合

  • -c 進行性の疾患であるため、近い将来に重度の心身障害が発生することが確実である場合

  • -d 現時点では治療を行っていなくても、ちょっとしたきっかけで重症化するリスクが非常に大きい場合

  • -e 医学的に有効と考えられる治療法を行っており、その治療費が高額かつ長期間におよぶ場合

  • -f 長期にわたる検査入院など、年間の入通院日数が所定の基準を超える場合

  • -g 現時点では病名が確定していないが、対象疾患群に相当し、予後の重症化が明らかな場合


【提案者】親の会連絡会

SSPE青空の会(亜急性硬化性全脳炎)
あすなろ会(若年性関節リウマチ)
アラジーポット(アレルギー児を支える全国ネット)
ウィルソン病友の会
ALD親の会(副腎白質ジストロフィー)
SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会
財団法人がんの子供を守る会
魚鱗癬の会
ゴーシェ病患者及び親の会
骨形成不全友の会
鎖肛の会
人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)
腎性尿崩症友の会
全国膠原病友の会
社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会
全国「腎炎・ネフローゼ児」を守る会
胆道閉鎖症の子どもを守る会
つくしの会(軟骨無形成症)
つばさの会(原発性免疫不全症)
TSつばさの会(結節性硬化症)
つぼみの会(T型糖尿病)
天使のつばさ(全前脳胞症)
日本水頭症協会
特定非営利活動法人日本トゥレット協会
日本二分脊椎症協会
日本ムコ多糖症親の会
日本レット症候群協会
嚢胞性線維症患者と家族の会
XPひまわりの会(色素性乾皮症)
ファブリー病患者と家族の会
社会福祉法人復生あせび会(稀少難病)
ポプラの会(低身長児・者友の会)
マルファンネットワークジャパン
ミトコンドリア病患者・家族の会
特定非営利活動法人無痛無汗症の会「トゥモロウ」
メンケス病の会
もやもや病の患者と家族の会
ロイコジストロフィー患者の会
CdLS Japan(コルネリア・デ・ランゲ症候群)
FOUR−LEAF CLOVER(染色体起因障害)

連絡先       親の会連絡会/特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク事務局気付
 113-0033 東京都文京区本郷1-15-4 文京尚学ビル6F Tel. 03-5840-5972 Fax. 03-5840-5974


以上 (2003/10/28)


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