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スターブチャーチ
Stave Church

 ノルウェーは当然森林の国です。岩も一杯あるけれど、木材はそこいら中に豊富にあり、運搬も便利な資源、そんな背景をもとに独特なスタイルで作られた木造教会スターブチャーチ。Stave Churchを辞書で引くと「樽板教会、樽の板を使った北欧独自の教会様式」とあります。それがここノルウェーのこれまた不便な場所に点在しているのです。足回りの悪さの中、何とか2箇所訪ねることが出来ました。建造されたのは今から約900年前、そんな昔の建物が山の奥、フィヨルドを見下ろす丘の上などにひっそりとたたずんでいるのです。

 何故木造なのか。そうなんです。教会はヨーロッパでは石で作るのが半ば常識。いくら木が一杯あるからといって、耐久性に問題がある木を敢えて使うとはどういう訳なんでしょう。ノルウェーにある「中世スカンジナビア」のサイト内スターヴチャーチのページでもマンパワーの節約と運搬に楽という位しか触れていません。確かにバイキング船は見事な木造だし、その加工技術はかなり発達していたとは思いますが、それだけでは説明できません。

多分一番の理由は、高さを得たかったからではないかと私は思っています。教会の塔はどこでも必要なもの。ロマネスクの時代から鐘楼の高さは必要不可欠であったし、ゴシックの登場により、人々はより一層高さを求めるようになりました。鐘の音をより遠くまで届かせるため、宗教としての求心力、アイデンティティを得るため、単なる町の間の競争のため、人々は競って高い塔を建ててきたのです。そしてここノルウェーの田舎。高さを持った教会は十分な時間と財力があれば石造で出来るのだけれど、こんな小さな村の限られた資材と人材の中では無理。だから比較的手軽に加工が出来、高さを作り出すことの出来る木材を使おう・・・・出来たのは圧倒する高さではないけれど、十分満足のいく高さ。上層部に向かって徐々にしぼめていくという、高さを得るにはもっとも有効な構造としたのだと思います。

 しかし木造建築物を守っていくのは並大抵のことでは出来ません。信仰の対象としての存在が失われた時、その建物も失われていきます。(日本でいわば上からの押し付けで作られた国分寺が殆ど現存しないのはそのためです)村人たちが常に支えていよう、守っていようという信念が無い限り建物、特に木造建築物は受け継がれていかないのです。ノルウェーでも何百年という間に多くの教会が失われていきました。しかしその分、現代に受け継がれたものは珠玉のものがあります。世界遺産に指定されたウルネスは足回りの悪さから行けなかったけれど、それよりも美しいと思うボルグンド、フィヨルドを見下ろす位置にあるカウパンガー、の2箇所を訪ねることが出来ました。おまけでバレストランドの教会も合わせ、3箇所をご紹介します。

 なおスターヴチャーチの詳細については上で少々触れたwww.medsca.org/stavechurchに載っていますので、興味のある方はご覧ください。(このページが無くなってしまったのが非常に残念です。)

ボルグンドにて

カウパンガー教会

ボルグンド教会 バレストラン教会

ベルゲン

ソグネフィヨルド スターヴチャーチ オスロ