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オルセー美術館
Musee d'Orsay

48 51 35.98N,2 19 35.31E

 その昔、ジュデュポーム(印象派美術館)を訪ねた際に、新たな美術館が対岸に1986年完成予定という表示を目にしてから、既に20年、ようやくここオルセーを訪ねることが出来ました。1900年のパリ万博の際に作られた鉄道駅を改修して美術館にしたというのは、結構有名です。しかしそれまで何も使っていなかった建物がセーヌ河畔にあったなんて、東京に暮らしている常識からは何か信じられません。昔のガイドブックを引っ張り出しても当然何も触れていない。パリ大改造によって、突然蘇った20世紀初頭、いや19世紀末の建物です。

 ルーヴルに行った日の午後、アパートメントでちょっと休んでから行ってみると、当然ここも長蛇の列。午前中の冷たい雨はやみ、快晴になった代わりに北風が強く吹いている。そんな中を結局50分位待ったでしょうか、かなり寒さが応えた所でようやく場内へ。まあ、朝一でルーヴルを取るか、オルセーを取るかという選択をせざるを得ない訳ですから、これはしょうがない。残された時間は1時間少々になってしまった。両側の小ブースを覗きながら3階に上がり、印象派の展示を見ていると、突然日本語の放送が始まりました。当美術館は4時45分で閉館しますので、出口にお進み下さいといった内容を、日本語で放送しているのです。いや参りました。これではサイテーの美術館と称したベルギー王立近代美術館並みではないですか。いつから5時より15分も前に閉まると決めたんだ。そして上階の小部屋から閉めにかかるのです。場内に一杯いるお客さんは、仕方なく下りのエスカレータなどに乗るしかない。下のホールに戻ると、両側には一切入れない状況になっているのです。トイレも既に使用禁止。とにかく早く出なさい、君たちにいてもらうと我々が早く帰れないからね。そんな感じの官僚色丸出しのスタッフだったのでした。という訳で、ミュージアムショップでも何も買わずに(当然閉まっていた)終わりました。全くやってくれるじゃないですか。 ルーヴルも閉館までいると同じようなことなのでしょうか。フランスも注意しないといけませんね。

 で、展示ですが、規模は大きくなったけれど、昔のジュデポームの方が印象派の絵にはマッチしていた気がします。どうもこちらは駅の構造が見えてしまい、絵の展示はそのおまけ、というと少々言い過ぎですが、絵画以外の視覚的情報が多いため、絵に集中できない環境にあるという印象が強かった。オランジュリーまでとは言いませんが、もう少し展示を考えて欲しかった。いや、駅舎の改装が合っていないのかも。基本的に印象派の時代とこの駅との時代関係は合っているはずですから、やりようはあると思いますが。

中央のホール。完成した当時からの駅の大時計が5時5分前を示しています。両側の小ブースには既に入れてくれませんでした。早く帰りなさいという訳だ。

クールベの「画家のアトリエ」この位大きな絵にはこちらの空間が似合います。
ジュデュポームに展示してあったその昔の「オランピア」。こちらの展示の方が好きでした。
追い出されてから、セーヌを渡り、結局アパートまで歩いて帰りました。快晴の黄昏時。オルセーの光はセーヌの河面に照り返り、この町の成熟した美しさを見せつけてくれました。

オルセー美術館