探査日記(20134月〜)

 

 

南アルプス金鉱探査センター 石川潤一

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マラウイ北部にて Chisenga氏撮影


2013年4月2日
    China's Continuing Monopoly Over Rare Earth Minerals

   日本のNHKや日経新聞の歯が浮くような記事と違って、ある程度わかっ
   ている人が書いているらしい。

2013年4月9日
   High pressure gold nanocrystal structure revealed
    高圧における金のナノ結晶構造が解明

   Coherent diffraction imaging of nanoscale strain evolution
   in a single crystal under high pressure
    高圧における単結晶でのナノスケール歪み発現の干渉回折画像解析

   地殻やマントルの中での鉱物形成の解明と、精密工学の発展に寄与
   するのかもしれない。

2013年4月15日
   S.African mining stocks fall on China data, weak gold price

   欧州株式市場=続落、中国指標受け鉱山株に売り 金価格2年ぶり安値

   中国の第1・四半期のGDP伸び率が前年比7.7%と予想の8.0%を
   0.3%下回っただけでこういうことになり、専門家が「市場は完全に
   守りに入っていて、リスクをとろうとする動きはない。こうした状態
   からの脱却には時間がかかる」と言い出すのである。

   しかし鉱山開発というものは何年かの期間が必要で、大半の投資家が
   目先の景気で投資するかどうか決めたとしても、そうでない投資家や
   企業も存在するのである。そのような「強い」企業は一般論的に言え
   ば「大きな企業」である。

   金価格の急落は原因とも結果とも言え、共通の原因による結果だとも
   言える。バブル崩壊などと違って景気がひどく悪化している訳でもな
   いので、インドなどで買う人が増えるだけでどこかで均衡するだろう。

2013年4月20日
   この「探査日記」の主題からはずれてしまうが、ボストンでの爆弾容
   疑者逮捕劇についてツイッターでは警察無線を傍受した情報が流れ、
   ボツワナにいてもほとんどリアルタイムで「容疑者はボートで血まみ
   れ」だとか知ることとなった。そればかりか、警察無線がネットで流
   されていた。そういうのが米国の法令に抵触しないのかどうかは知ら
   ない。

   こんな情報は、数時間過ぎればニュースできちんと知ることができる
   ことで、私が多少早く知ることにあまり意味はない。
   しかし、地下資源の情報はすこし事情が違う。競争相手も情報収集に
   敏感だろうし、ほんの少しの時間の差で負けることもあると思ったほ
   うがよい。

   蛇足を述べれば、チェチェン人の容疑者兄弟の両親の談話は、「よい
   息子だった」、「テロの話なんかしたこともない」といった内容で、
   昔の日本赤軍テロリストの親の「息子を極刑にしてください」という
   談話よりはるかに優れていると思った。家族と社会と国家は相互に独
   立しており、どちらが従属するという事柄でないという認識の有無の
   違いで、伝統的な東アジアではその認識が欠落している。権力者が好
   き勝手なことをやれる背景になっている。チェチェン人の親が「世界
   の主義主張の対立の大半が同一次元に属し、対立を無化する主張しか
   優位に立てない」と子供に教育していればよかったが、無理な要求か
   もしれない。ほとんどどこの親もそんな教育はしていないのだから。

2013年4月22日
   A「数年ぶりに対談調の日記を書くか」
   B「いいけど、この数年いろんなことがあったななんて内容は嫌だよ」
   A「先日日本に行って会いそこねた人たちに詫びを述べておけよ」
   B「日本でお会いする時間をつくらず、すみませんでした」
   A「アフリカの鉱業情勢等を集めたり広めたりしている件についても
     何を考えているのかと思われているんじゃないのかね?」
   B「俺が今までやってきたこと、今やっていること、世界の社会経済
     情勢が俺をそうさせているだけだ。情勢を総合的に把握すること
     に失敗すれば、落ちていくしかなくなってしまう」
   A「他人がどう考えるかなんて気にしてられないということだな」
   B「当たり前だ。俺のポジションは京都大学のアフリカ研究者たちと
     全然ちがうし、そんな余裕もない。情勢も変わっていく。百年後
     にどうなっているかなんて、具体的に予想するのは不可能だ。
     ソマリアみたいな国が先進国になってるかもしれないし、そんな
     ことは知りようもない。しかしサブサハラ(サハラ以南)アフリ
     カが、製造業が中心の社会を経ないでサービス業が中心の社会に
     入りつつあることには世界史的な意味があるのかもしれない」

2013年4月27日
   タンザニアの金鉱床の地質記載をチェックしているのだが、飽き飽き
   するぐらいに、どの鉱床も同じような記載である。
   グリーンストーン帯(先カンブリア紀の苦鉄質岩。変成作用を受けて
   いる)に花崗岩類が迸入し、金鉱脈が破砕帯に沿うように賦存すると
   いうような内容だ。

   この場合、理論に合わせるためにテキトーに書いているというより、
   だいたいは本当にそうなのだろう。新しく見つかる鉱床ほど鉱山寿命
   が短い気がするが、たぶん気のせいではないだろう。

2013年5月3日
   Is China Mining a Rare Earth Monopoly?: Op-Ed

   ごく簡単に論旨をまとめれば以下のようになる。

   ・  中国のレアアース優位はまだ5年続く。

   ・  世界の新規レアアース鉱山は5年以内に稼働すべきだ。

   ・  太平洋海底REEと米DOE計画は精錬があまり考慮されてなく、
     中国で精錬するしかない。

   書き手が特に専門家ではないようだが、考えさせられる内容。
   資源開発の中で、探査(探鉱)はほんの一部に過ぎず、採鉱・選鉱・
   製錬・精錬も考慮していかなければならない。


2013年5月7日

   たとえば、ある鉱山から受注した作業を鉱山周辺でしている地質コ
   ンサルタントがいるとする。
   そのコンサルが、鉱山の意向を無視して、あるいは無断で、同じエ
   リアで別のプロジェクトをどこかの公的機関やどこか別の会社に勧
   めたとする。

   そうしたら鉱山側はどのように思うだろうか? 今の日本のコンサ
   ルにはそういう類のこともわからない人がいる。
   役所仕事漬けのコンサルの病態というべきか、あるいは、ネットの
   コミュニケーションは拡がっても人付き合いの経験が減った人たち
   の行動パターンなのか?
   あるいは、社会性やポリシーよりも会社の売り上げが優先されると
   いうことなのか?

2013年5月15日
   Rail Revival Is Lifeline to Biggest Africa Copper Mines: Freight

   私たち日本人は鉄道は旧時代のものと思うこともあるが、
   アフリカでは鉄道の復旧が鉱山業維持発展の大きな要素になる。

2013年5月25日
   World Mine Production and Reserve (t) of REE
        USGS Mineral Summaries, 2013


2011

2012

Reserve

   United States

7,000

13,000,000

   Australia

2,200

4,000

1,600,000

   Brazil

250

300

36,000

   China

105,000

95,000

55,000,000

   India

2,800

2,800

3,100,000

   Malaysia

280

350

30,000

   Other countries

        NA

        NA

  41,000,000

   World total (rounded)

111,000

110,000

110,000,000


   結局のところ、2012年でも世界のレアアースの86%は中国で生産
   されているのである。


2013年5月28日
   コンゴ民主共和国(DRC)の地質屋にレアアースの事情と探査法を
   レクチャー。

2013年6月8日
   1週間前に弟(慎也)が急逝し、あわてて日本に行きましたが、
   昨日ボツワナに戻りました。こんなことは予想しませんでした。

2013年6月23日
   弟の急死で日本に飛んでいき、2日間程度いた後またボツワナ
   に戻り、更にアフリカの別の国に行き、また戻ってきた。
   乾季にもかかわらず雨に遭ったりした。

   アフリカでは日本の本がほとんど買えないので、寝る前の読書
   は電子辞書の百科事典だと、
かなり以前に述べた。

   近頃はKindleという電子書籍が重宝している。詳しく述べれば、
   kindle Paperwhite という
製品名で、インターネットの無線LUN
   (Wi-Fi)が使えればアフリカで日本の「本」を購入できる。
   
ちょっとした都市部なら、アフリカでもWi-Fiが使える場所はみ
   つかる。ネットも年々はやくなっている。

   画面の明るさを調整できるので、停電でもランプ・ろうそく・
   懐中電灯などを使わずに読むことができる。
   いちばんの問題は、リンク先では「豊富な品揃え」と書いてあ
   るにもかかわらず、まだ品揃えが少なすぎることだろう。それ
   でも、1年後か2年後には、携帯電話と同様にアフリカ生活の
   
必需品とされているのではないかと思う。

2013年7月11日
   ウィッテンボガード
(W Uytenbogaardt)は足を悪くしたが、鉱石
   の研究は捨てがたく、鉱石顕微鏡(反射顕微鏡)で膨大な種類の
   鉱石を観察して、鏡下での鉱石鉱物の鑑定表を記載した。この
   ような書物が何十年たっても私たちの役に立っていることは素
   晴らしいことだと思う。

   「学者になること」を目的にしたり、「学者であること」を鼻
   にかけるようなタイプは敬遠するが、研究が好きでたまらなく
   て学者になってしまうようなタイプには否定的になれない。

2013年7月13日
   資源国経済が足踏み 価格下落で採算悪化、インフレ懸念(日経)

   よく読めば、
   「中国の調査会社の大智慧によると、5月の鉄鉱石輸入量は前年
    同月比4.7%増の約6900万トン。8〜9%伸びた昨年から減速
    している。」
   ということで、輸入量の増加が減ったのであって、輸入量が減っ
   たのではないらしい。

2013年8月3日
   今でもそうなのだろうが、JICAの方針でマラウイの南部は青年
   海外協力隊の理数科教師のモデル地区になっていたらしく、
   ゾンバに住んでいたころ、彼らと頻繁に交流があった。

   なかなか立派な若者たちだった。私などは二十代前半で途上国に
   来て英語で数学・物理・化学を教えることなどできなかっただろう
   し、考えたこともなかった。

   そんなこともあって、人の能力についての基準は大いに変わって
   しまった。もっと書くことがあるが、日記を書く時間をもてない。
   後日にしたい。

2013年8月9日
   JICAボツワナ支所での隊員総会で、地下資源のことなどについて
   レクチャーしました。

2013年8月15日
   昨日のエジプトの騒動で死者が525人になったという。心穏やか
   ではいられない。

2013年8月18日
   私がツイッターでアフリカの鉱業情報について書く目的を説明す
   るなら、このような情報の必要性、
情報の交流、日本のメディア
   でアフリカの情報が希薄だが必要な情報を日本の関係者へ報知す
   ること、および情報の蓄積ということになる。

   
しかしそれだけでは、英語と日本語とURLアドレスを合わせて140
   文字以内で書くという「過酷なスタイル」となってしまう必然性
   の説明にはなっていない。
たぶん欧米人にはわからないだろう。
   英語かフランス語で書けばそれでよいと言われかねない。
   
   内田樹『日本辺境論』(特にW章)がそのことの説明になってい
   ると思う。私もまた日本人的努力をしているというわけである。

2013年8月21日
   またマラウイに入国。

2013年9月4日
   都合のよいことばかり大本営のように発表するジュニア探鉱企業
   はバブル的で、それに乗っているだけでは一国の産業政策は成り
   立たないと思う。


2013年9月21日

   アフリカの田舎で仕事をしていると、2週間に一回は軽い食あた
   りに遭い、2ヶ月に一回はやや重い食あたりに悩まされる。
   田舎の村や町の食堂で、いたんだ油や古い肉などを食べさせられ
   ることによる。古い肉はまずいのでわかるが、ちょっとわるい程
   度の油は食べている時に気づかない場合が多い。
   結局、できるだけ油を使わないものを食べようとするが、これは
   案外むずかしい。
   ンシマとかウガリとかと呼ばれる、トウモロコシ、キャッサバ等
   の粉とお湯を加熱しながらねった餅のようなものは、古いものを
   食べることはまずなく、油もほとんど使わないので、概ね安全だ
   ろう。日本人の口にあわないかもしれないが、食べられないもの
   ではない。
   生ものはできるだけ避けるべきだ。


nlimba
Nlimba Hill from Nkambili

2013年9月24日
   First gold pour at Kibali well ahead of schedule - Randgold
   DRコンゴ:キバリ鉱山が金生産開始!

2013年10月8日
   Kenya - Base starts ore-processing at Kwale
   ケニアのクワレ鉱山(チタン)が選鉱開始。本格的出荷は1月から。
   同国で初めての大規模鉱山。

2013年10月10日
   一見相反する二つの事柄が、いずれも棄てることができない事実で
   あったりする。

   ・中国人の豊かさへの欲望に火がついたのだから、中国はまだ経済
    発展するだろう。

   ・中国はバブルであり、国営企業の優遇などの政治・社会的な不公
    正も深刻で、このままでは経済発展に限界がある。

   恐らくこの二つはどちらも
本質的な意味でも)真実なのである。

    The critical contributions of REE to the
'new' economy

   こういう「レアアースはまだ新しい経済的需要がある。探鉱者は
   がんばらなくてはならない。」という論調も真実だが、「レアアー
   スの価格は今でも中国に支配されていて、鉱山開発がやりにくい」
   というのも真実である。

   そして、より大きな意味での真実は、二つの"真実"の中間にあるの
   ではなく、もうひとつ別の観点を設定して現れるのではないのか。

2013年10月20日
   [PPTX]“Can China’s Rare Earths Dynasty Survive?”
   「中国のレアアース王朝は生き残ることができるか?」

2013年10月31日
   Could Industrial Mining Bring Jobs, Peace to Eastern Congo?
   「DRコンゴ東部の武装集団は地表の鉱産物を争うだけで、地下深部の
    鉱床開発を阻み持続的平和への扉を閉ざしている」

   Gold price drop jolts West Africa from mining dreams
   金価格の下落が、西アフリカの金鉱山業者に打撃

   WTO’s verdict against Chinese Rare Earths export quotas
   underscores criticality of Sustainability
   中国のレアアース輸出割当へのWTO評決は、根本的には供給構造に
   無理があることを示している

   Chinese investors take smaller stakes in African resources
   中国の投資家によるアフリカの資源への出資が小規模になりつつある

2013年11月8日
   アフリカでもあまり大きな話題になってはいないが、アンゴラと
   DRコンゴを結ぶベンゲラ鉄道が、昨日、29年ぶりに輸送を再開した。

    Angola and DR Congo railways connected again

   政府軍-M23の内戦の終結と合わせて、DRコンゴの物流が来年以降、
   大きく改善されると見込まれる。なお、鉄道修復工事には中国が
   係わっていた模様。

2013年11月9日
   こんなものを勧めても大半の日本人は食べないだろうから、今まで
   書かなかったのだが、私はボツワナでは、パーボイルド・ライス
   (parboiled rice, 以下,PR)という米を好んで食べている。

   特に新しい米ではなく、昔からインドを中心に南アジアで食べられ
   てきた、伝統的な方法で加工した米で、世界の米の20%はPRだと
   いう。

   PRは米(普通は長粒米
を籾のまま水に浸けて吸水させ、更に蒸気
   で蒸してから乾燥させて精米した米で、糠や胚芽に多く含まれるビ
   タミンやミネラルが米に移動して栄養価が高い。
インド人の多くが
   米を常食にしながら脚気になる人が少ないのはPRを食べてきたから
   だとも言われる。

   色もちょっと玄米に似ているが、玄米に比べて調理に時間がかから
   ず消化はよい。


pr105
  
   PRは、インドなどの南アジアだけでなく、アフリカや欧米でもポピュ
   ラーだ。
長粒種の米は砕けやすいが、PRは砕けにくくわりあい均一で
   きれいな感じである。
   ご飯を炊いたあと、何回か温め直しても粘々せずパラパラしている。

   だから、胃にもたれない。

   食べ方としては、野菜や肉(または魚介類)をたっぷり入れたスープ
   と一緒に、汁かけ飯のようにして食べている。
   スープを東洋風にして唐辛子を入れればクッパのようになるし、カレ
   ー粉等を入れればカレーになる。魚醤や唐辛子を入れれば東南アジア
   風になる。極端に具を多くして五香粉やsesami oilを加えれば、中華
   丼や八宝菜丼のようになる。

   大半の日本人はPRを好まないだろうが、私のように米にこだわらない
   者や玄米が好きな人なら、PRを食べると思う。

2013年12月8日
   ミャンマーの金鉱山関係者と意見交換。
   同国では、今でも水銀を使っているらしい。
   私「水銀は止めよう。将来、水銀条約により買えなくなるだろう。」
   ミ「いや。どうせ将来も中国が売ってくれるだろう。」
   
2014年1月25日
   バリック社が最近開発した探査機だというのだが。
   https://twitter.com/BarrickGold/status/426836262205403136/photo/1/large

2014年1月26日
   北半球は極寒だそうだが、南半球は極暑である。
   夏ばて防止と言っても、アフリカではウナギやスッポンなどまず入手
   できず、肉にチーズをのせて食べる程度である。

2014年2月3日〜6日
   Mining Indaba 2014

indaba1
indaba2

indaba3
indaba4

2014年2月7日
   マラウイのウラン鉱山生産中止 ウラン価格回復まで

2014年2月24日
   久しぶりに日本に一時帰国。

2014年3月12日
   アフリカでの起業を考えている人にお会いする。


2014年3月16日

   Tigray社、エチオピア北部で金鉱床発見

Tigray

2014年4月18日
   中国は、官許報道機関が「レアアースは馬鹿馬鹿しいくら
   いに安くなった」と言いながら、国外での資源を物色して
   いる。

   逆に言えば、日本の企業等には長い射程をとった戦略が
   あるように感じられず、いま安いものや価格変動が著しい
   ものは、社内社外のコンセンサスが得られないので関わ
   らないようにしよう、という安全志向?にみえる。

   しかし、重希土類の問題は根本的に解決したとは言えない。

   日経新聞やNHKが、「レアアースの供給元が増えた」と言っ
   も、中国から第三国を経由して輸入したものを「中国以外」
   にいれていたりで、単なるミスというより、意図的で安っ
   ぽい扇情になってしまっている。願望と現実を故意に混同
   しており、報道機関の姿勢としてほとんど致命的にひどく、
   今の中国の官許報道機関や70年前の彼等に似てき
た。

2014年4月24日
   ブリ−X事件から17年
   結果として、JORC や NI 43-101 が整備され、今日の世界の
   探鉱システムができた。

2014年4月28〜29日
   ザンビアのKitweで開催された Copperbelt Mining Trade
   Expo & Conference に参加。

2014年4月30日
   ライナス社が苦境  Trading in Lynas shares halted

2014年5月3日

   A「以前から考えながらさぼっていることだが、国際協力とか
     ボランティアとかで議論するか。」
   B「さぼる、というが、俺は書く気が起きない時は何も書かな
     い主義だ。商売でやっている物書きなら、そんなことは
     言っていられないのだろうがね。」
   A「73の国際協力NGOが4月14日に、"日本の国益より「途上国の
     貧困解消を!」"という共同声明をだしたそうだ」
   B「俺には小学生のころからの課題だとも言える。昔、浅野晃
     という作家が、子供向けの日本史の本の最後で、"詩人宮沢
     賢治が述べたように、世界全体が幸福にならないうちは日本
     の幸福はあり得ない"とか(語句は正確ではないが)書いて
     いた。調べてみたら、宮沢賢治は、『世界がぜんたい幸福に
     ならないうちは個人の幸福はあり得ない』と述べている。
     浅野晃は、『個人』を『日本』に書き換えて、宮沢賢治の思
     想を改ざんしたわけだ。」
   A「日本では伝統的に、個人を主張するのは悪であるかのような
     風潮があるからな。今でも、小林よしのりの漫画を読むと、
     公のほうが私より重いような書き方だ。」
   B「そういう前提的な課題や疑問を曖昧にして、国際協力とか
     ボランティアとか議論してもまずいことになる。殉死した人
     を哀悼することと、過剰に美化したり神秘化したりすること
     との区別がつかなくなったりする。続きは後日にしよう。」

2014年5月8日
   モリコープ社も苦境  MOLYCORP: Q1 $86M LOSS


2014年5月12日
   ロシア極東で、Polymetal社が、金の新鉱床発見。
   オホーツク町の南西。


2014年5月25日
   マラウイの大統領選挙で、現職のJ.バンダ大統領は苦境で、P.ム
   タリカ氏が当選しそうである。
   最近の経済の低迷、バンダ氏の指導力の不足、あるいはバンダ氏
   の政党(人民党,PP)の基盤の弱さをみれば、事前に予想できた
   ことで、そのようにしゃべったこともあるが、特に歓迎している
   訳でもない。どの政治家も地盤とする地域が異なるだけで、政策
   の違い、というより政策そのものに特筆するものがない。

   ムタリカ氏が大統領になれば、今以上に中国に接近する可能性は
   大である。ただし、全方位外交を変更する可能性は低く、経済の
   中長期計画のような内政で、その評価は決まるだろう。

2014年6月2日
   人は毎年300頭のアフリカゾウを殺し、アフリカゾウは毎年500人
   の人を殺す。
   これは聞いた話で事実かどうか知らぬが、アフリカの農民でゾウ
   による被害に泣いていて、アフリカゾウなど絶滅してよいと思っ
   ている人は多いと思う。
   「早朝に畑に出てきて食い荒らす」と怒り狂っている人に何度か
   会ったことがある。

2014年6月14日
   A「人の和ばかり優先して議論しないのでは駄目になっていくだ
     けだし、時事放談でもするか。」
   B「日本で起こっている出来事は、あまり詳しくないので、時事
     放談でなく、ただの放談でいこう」
   A「南スーダンの政治指導者というのは、ひどい連中だな」
   B「特に、反政府側の前副大統領というのは、自分は全部隊を掌
     握していないと述べて、それでは代表になれないではないか
     と言われたら、あわてて、いや掌握していると訂正したり、
     責任感のない男だな。政府側を持ち上げる気もないが。」
   A「以前この日記で褒めた、ルワンダの大統領も、治安維持のた
     めには逮捕や射殺も辞さぬと言ったり、地肌がでてきたな」
   B「そういう発言はどこまで本気で言っているのか、ということ
     はある。労組の幹部が、本当はそんな気がなくても、戦術と
     してストライキをちらつかせることはある。それでもカガメ
     氏が周辺国で好かれていないのは事実のようだ。今年の初め
     にカガメ氏が死んだという噂がたった時は、DRCのGomaでは
     住民が大喜びしたというし。」
   A「南アのプラチナ鉱山ストライキを指導したAMCUの執行部
     には、芸も何も感じなかったな。」
   B「だいたい要求どおりの賃上げを獲得したのなら、労組の勝利
     だろうが。」
   A「下請け業者は大迷惑だっただろうな。」
   B「労組の大組織に庶民感覚はわからないだろうよ。」
   A「日本の場合は、ほとんど存在価値を失いかけているな。政党
     の応援なんて止めればいいのだ。」
   B「党派的なところとは関わらないことにしている。人は集団を
     組まなければ何もできないようなことを言って、団結とか何
     とか言っても嘘だ。一人になっても逆風になっても耐えられ
     る思想や身体がなければ駄目だ。昔所属していたサークルの
     名簿を作るなんてヤツもいたが、管理主義的でついていけな
     い。組織性にしがみついていなければ何もできないのだろう。
     どっかの古い会社みたいに東京のオフィスで毎朝ラジオ体操
     やるのにもつきあいきれない。」
   A「欧米人はああいうのをみて、マスゲームみたいだというしな。
     没個性的な場では創造的な仕事は生まれないよ。」
   B「管理主義的と言っても、技術管理がきちんとできているかど
     うかは、また別だ。従来型の日本の大企業は、減点法で人を
     評価する。社員は失敗しないように心がける。リスクのない
     ことばかりする。チャレンジしなくなる。自分の得意なこと
     しかしなくなる。全体のことがわからなくなるし、想定外の
     ことが起これば何もできない連中ばかりが幹部になる。多少
     は言い過ぎだが、今でもあたらずとも遠からずだろう。」

2014年6月15日
   A「一般社会に出たときは、誰もが敵だと思うぐらいのほうがよ
     いのかもしれないな。敵とか味方とかいう概念は曖昧だが。」
   B「仲間面して、人の和ばかり重んじて、批判を封じる輩のほう
     が、影でもっと陰湿なことをやっていたりするしな。
いずれ
     にしても、人の和ばかり強調して批判がなければ、何の改善
     も見込めないよ。

   A「4月18日付けで書かれているようなメディアの問題だが、
     敵になりたくないと思えば大勢迎合的になる。近頃の日本の
     雑誌なんて、毎号一つぐらいは中国や韓国の悪口を書いて読
     者を喜ばそうとしているようにみえる。内容が正鵠を射てい
     るのならともかく、いい加減な記事や無茶な記事も多い。中
     国や韓国にも問題は大いにあるにしても、NHKや日経がこれ
     だからな。戦前戦中に似ている。」
   B「何度でも戦争をやったらいいさ。俺はつきあう気はないが。」

2014年6月20日
   カナダでは国内外への探鉱投資が盛んで、探鉱業者も多い。国内
   で地下資源が豊富にあるのが大きな理由だが、それだけではない。
   以前モロッコで仕事をしているとき、カナダの物理探査業者を使
   ったことがある。最初の折衝で「英語でするか、フランス語です
   るか?」と聞かれた。私はフランス語はできないので英語でとお
   願いしたが、カナダ人にはフランス語を話せる人が多いのもアフ
   リカの資源ビジネスでの強みの一つだと思えた。

   仕事や営業のスタイルも根本的に異なっている。
   カナダの資源コンサルタントは必要なことだけ提案する。
   日本の資源コンサルタントは、とにかく自分の会社の仕事を増や
   そうと、無理にでも「あれをしましょう。これをしましょう。」
   と「営業」する傾向がある。市場が狭く競争相手が少ないので大
   きな失敗にならないらしいが、これでは世界に進出できない。

   背景を述べれば、カナダの資源会社や調査会社は余剰人員を抱え
   込まない。作業の必要に応じて外注する。
   日本の会社は(親会社からの天下りなども含め)社員が多く、目
   先の会社維持や雇用確保のために無理にでも仕事を得て社員に与
   えなければならないということがある。

   更に根本的な事情を述べるなら、カナダでは個が確立されていて、
   一人一人にポリシーがあり、自分で考えることにより広い視野と
   客観的な判断ができ、顧客に対しても説得性がある。
   日本やアジアの国では、個人は会社組織ほかの集団に帰属してい
   ないと不安で、周囲の人間や集団に合わせるので、個人のポリシ
   ーは未成熟。所属集団によって個人の考え方も変わり、体系だっ
   た普遍的な考え方が身につかない傾向がある。


2014年6月22日
   A「和平協定が結ばれても、南スーダンから沢山の難民がケニア
     やエチオピアに押し寄せるな。行った先でも食料がなかった
     大変なようだけど。」
   B「南スーダンのかなりの地域で、商人が来なくなってしまい、
     塩もないという。行く宛先がなくても避難するしかないのだ
     ろう。気の毒な話だ。」
   A「南スーダンはソマリアに替わって、今年の
脆弱国家(失敗
     国家)」のトップになってしまったな。」

2014年6月27日
   A「地熱発電には関心をもつ企業もあり、そっちに転職する人も
     いるな。」
   B「やるのなら本気でしっかり勉強してやってもらいたいものだ
     な。」
   A「開発のことがわからなければ、探査にはならないしな。」
   B「石油の先生が地熱にくちばしをつっこんできたことがあった
     が、一般に地熱井では蒸気をケーシングに接触させながら上
     昇させることを知らないので困ったりした。」
   A「広い範囲から有望地を抽出するような作業なら、まだのんき
     にやっていられる面もあるが、数平方キロとか狭い範囲がし
     ぼりこまれたなら、どうやって開発するかの作業になるので、
     やることは全く異なる。細かい調査になる。わからないから
     断層や断裂がどれも垂直だとして済ますわけにもいかない。」
   B「井戸と断裂が交差する深度によってエネルギー・レベルが違っ
     てしまうからな。地熱発電の採算性はシビアだから、そうい
     うことは突き詰めないと、やっていけないはずだ。」
   A「1980年代は企業も政府機関も予算が潤沢にあったが、その後
     はタイトなので、余計なことは省いて必要なことに集中する
     しかない。それができない企業は撤退するしかないよ。」
   B「どっかの先生をおだてて権威主義的に押し通すような時代で
     はないよ。それで済むのならよいが、今はもう、王様が裸だ
     ということがばれてしまっているのだから。無駄なことをや
     ってる時間も金もない」

2014年6月30日
   先週、某大学の教授がやってきて、「資源の呪い」についてこれ
   から研究するので教えてくれというので、不用意ながら思いつい
   たことを述べた。
   大学教授に教えることが僭越だなどとは思わないが、まとまりの
   ない話になってしまった。

   なぜナイジェリアであれだけ石油が採れ、GDPもアフリカ最大に
   なったにもかかわらず国民は貧しいのか。
   DRコンゴで資源が沢山あるのに、内戦ばかりやっていて、国民が
   苦しんでいる事情。

   それぞれの国で事情が違うのだが、宗教がからまない限り、解決
   の道があるように思える。
   宗教については、たとえば、アル・シャバブやボコ・ハラムと交渉
   するとしたらどのようにするのかなど、考えたこともないのであ
   るが、勉強して自分なりの考えをもつように努力したい。

2014年8月19日
   久しぶりにマラウイに来ている。人口1万人もなさそうな町でも
   MTLのインターネットが使えるようになっており、驚いた。

2014年9月8日
   今月はナミビアにいる。極めて豊かな国で、治安もよいので、こ
   こでも驚いている。


2014年9月18日
   いまさら言うようなことではないのかもしれないが、日本の地質屋
   の世界は、コンピュータ屋の世界と同様に、オタクの世界である。
   中学生や高校生の頃から鉱物や化石が好きで、そのまま来てしまっ
   たような人が多い。半分はそんな感じだ。
   だから、錯綜した社会のことについて話をしようにも会話にならな
   いし、国際政治経済の議論なんてする気にもならない。

   そんなことは昔からわかっていたことだが、更に気になるのは、地
   質屋には劣等感の強い人が多いことだ。
   何に対する劣等感かといえば、一つには大学等の学者に対する劣等
   感らしい。
   いつも誰かに馬鹿にされるのではないかと思って、ハリネズミのよ
   うに神経を逆立てている。
   
   他人に何か言われても、受け入れれば自分の存在意義が否定される
   かのようにかまえて頑なになる。意固地になって、思いつきで言い
   出したことも撤回できなくなる場合もある。それだけ劣等感に追い
   つめられてしまっている。ということについて、比較的最近気づい
   たのだが、周りが迷惑するし、本人が損をすることでもある。

   私にも構造的には共通する心理があるのだろうが、なぜもっと自分
   を客観視しようと努力しないのだろうか。

   ちょっとした企業の管理職になると、部下や子会社や下請けに、
   「うちの職場について思ったことを何でも言ってみてくれ」と言っ
   たにもかかわらず、批判的に言われると、「オマエにそんなことを
   言う資格はない」と怒りだす人もいる。
   個人の器量の問題ではあるが、それだけでなく、一つの「文化」に
   なってしまっている。批判されれば自我が脅かされるので過剰防衛
   する。いつも人からおだててもらうのが当たり前になってしまって
   いる。劣等感とその裏返しの優越感によるのだろう。だから鼻につ
   くような自慢話が多い。

   大学の教師に劣等感をもっているが、自分は一般人よりは学者的な
   仕事をしているというような、誇りや優越感をもっている。
   それの何がこまるかといえば、学者であれば、何か一つのごく狭い
   専門分野に長けていれば、社会的な利害の対立を超越して、あるい
   はニュートラルでいられるかのような幻想をもっていることだ。
   同じことだが、学者のように、社会的な生産活動や開発活動をしな
   いことを「かっこいい」とでも思っているらしいことだ。

   馬鹿につける薬はないとしか言いようがないが、現在のように資源
   開発の予算がきびしくなれば、効率ということを考えなければなら
   ないから、余計なことをやっている時間や資金がないというだけで
   なく、開発や生産のためにやるべきことを知っていなければどうし
   ようもない。FSまでは地質屋が中心になってやらなければならな
   いのだから。

2014年9月25日
   カナダ議会、紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)法案を否決。

2014年9月27日
   御嶽山噴火でショックを受ける。現段階で書きたいことはあまりない。


2014年10月1日
   Finding chemistry with mining By Peter Kondos - October 01, 2014

2014年10月2日
   南ア:中国の経済成長鈍化による鉱業不振で株価大幅下落

   アフリカ株式市場動因
    ・香港民主化運動
    ・石油価格下落
    ・ジンバブエの負債
    ・エボラ
    ・コートジボワールのココア豊作予想
    ・アンゴラの速い石油生産

2014年10月10日
   昨日?、ボツワナの協力隊員が、ケープタウンのテーブルマウンテンで
   亡くなった模様である。
   私は2〜3回会ったことがあるだけなので、簡単に書き留めて、ご冥福
   をお祈りする。
   まだ23歳であり、たいへん残念でならない。

2014年10月25日
   南半球なので今月からが暑い時期だ。
   スタミナ食と言っても、ウナギやウニを売っているわけでもないので、
   牛レバーと生姜を沢山入れたカレーやニハリを作るのがパターンとな
   ってきた。

2014年11月2日

   夕方から雨。雨季に入ったか?

2014年11月8日
   ボツワナ首都で10日-11日に豪雨・洪水の可能性 − 予報が当たるか?

2014年11月11日
   昨晩大雨が降り、予報は当たった形だが、あまり大きな被害はない。
   むしろ、更に雨が降って、ダムに水が貯まってほしいところだ。

2014年11月30日
   アフリカの僻地で仕事をしていて、ほかにないので一泊500円とか700
   円とかの「ホテル」に泊まることがよくある。衛生的でなく、お湯な
   どは出ない。トイレは共用である。

   それでも、できるだけ扇風機のある部屋を選ぶように努めている。暑
   いからだけでなく、風をあてると洗濯物がはやく乾くからだ。

   私はあまり使わないが、防虫剤ももっているべきなのだろう。田舎の
   物置みたいな建物に寝かされる時は虫に警戒するべきだ。南京虫だろ
   うが確信はない。体中刺されたのだが、2日たってもかゆみはおさま
   らない。

   アフリカの田舎を旅行する時は、安宿だと石けん、タオル、トイレッ
   トペーパー、ロウソクがおいていない場合も多いので、これらは自分
   で携行するべきだ。用意するのは大した手間ではないのだし。

2014年12月19日
   今なお、中国はほとんど全ての金属をもっと欲しがっている。
   中国は、米国が1901年から2000年の間で消費した量のセメント(45億
   トン)よりも多い量のセメント(66億トン)を過去3年間で消費してい
   るともいう。
   それを「バブル」とみることもできるが、グラフで見る限り、まだそ
   の「崩壊」の兆候は認められない気もする。

1219

2014年12月27日
   Maps of gold
   http://www.goldfacts.org/en/economic_impact/interactive_map/
   金の生産、消費、未採掘資源、中央銀行保有を示す世界地図 南アには
   まだ意外と未採掘資源量が残っているらしい。
Maps of Gold

   左上と左下の図を見比べれば、オーストラリア、南アフリカ、インドネシアが
   将来的に期待できることになる。

2015年1月31日
   アフリカに住むようになってから5年近くたつ。
   その間身につけた習慣の一つなのだが、買ってきたスパイスや少量の
   穀類は冷凍庫に二晩程度入れておくようにしている。
   そうしないと虫がわいてしまうことがあるからだ。
   冷蔵庫でも大半の虫は死ぬが、虫の卵は冷凍庫のほうがよいようだ。
   誰かに教えてもらったことでなく自分で考えたことだが。。

   マラウイにいたころは、協力隊員の食事について、自分の考えを押し
   つけすぎていたと、今頃になって反省している。
   やたらと辛いカレーをたべさせたりした。
   現在は、客には甘い(辛くない)カレーを出している。甘口のカレー
   を辛くするのは簡単だが、辛口のカレーを甘くするのは無理だからだ。

   年齢のために私の性格も丸くなったのだろうか。あるいは、YH時代
   の、料理は薄味でつくり、多種の調味料をテーブルに置いて味付けは
   食べる人の好きにさせるという
ヒッピー的スタイルを思い出したとい
   うことなのか。

2015年2月7日
   いま、マダガスカルにいる。こんな雨季に地質屋が来ても現場仕事に
   はならない。打合せである。
   ここの雨季はほんとうに晴れ間がない。ほとんど雨が降っている。
   暑いかと思って来たのだが、少し肌寒いくらいだ。

   マダガスカル南部はサイクロンの被害を受けている。国全体が長雨で
   洪水の被害。

   まだ裏はとっていないが、
運転手によれば「首都・アンタナナリボと
   周辺
の300万の人口のうち10万人がテント暮らしをしている」という。
   冠水した稲を橋で乾かして、籾をつまんで採っている光景が散見され
   た。

   今季は、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、マダガスカルの4カ
   国で洪水がかなりひどい。このままだと農民は窮乏するだろうし何が
   起こるかわからない。
   いまの私にできることが自分と関係者の安全を図ることだけのようだ。
   悲しむべきことではないのか。

2015年2月11日
   
Mining Indaba の会場にいる。下は金価格の今後の予測だが、これで
   は、「わからない」と言っているようなものではないのか?
      forecast of gold price  

2015年2月21日

   「テロ対策協議の国際会議」で、オバマ米大統領が貧困対策を強調し
   たのは、彼なりの見識だろう。
   テロは残虐だ、よくない、というのは簡単で、私もテロは心臓が止ま
   りそうになるぐらいに嫌いだ。しかしそういうだけではテロはなくな
   らない。世界の中での極端な貧富の差が背景にある。

   窃盗も同じだ。かつての私やアフリカの青年海外協力隊員たちの大半
   は、泥棒にあったことがあるだろう。
しかし、人々が泥棒にならなく
   て済むようにする抜本的な方策や行動を伴わずに
「泥棒はよくない」
   というだけでは、その人に魅力を感じることはできない。

   ある種の人々は、法とか規則とかを自分たちを束縛して苦しめるもの
   だと考えており、率直に言うなら、その考え方に一理はあるからだ。
   同じことだが「所有」というのも、自然科学的な概念ではなく、人々
   の頭の中の観念に過ぎない。

   だからと言って、法や規則がなくなれば、たぶん今より不都合な状態
   になるだろう。所有をやめて何でも共有にしたところで同じだ。
   今までにないような新しい国際社会を創造するという課題が残ること
   になる。

2015年3月21日
   世界の鉱業界、特に探鉱の業界は石油も含めて活気がない状態である。
   鉄鉱石、石油、石炭等、ほとんどの鉱業産品の価格が下落している。

   中国経済の成長率が下がっているが、インド等が「第二の中国」にな
   るのは、とうぶん期待できない。(後日、続きを書きます)

2015年4月21日
   New light on the source of diamond
   Kimberlite、Lamproite とともにダイヤモンドを含む Orangeite の
   成因に画期的研究。南アにしかないと思われた同岩は世界に分布。

2015年5月20日
   欧州議会がDRコンゴ等の交戦地帯からの、金など紛争鉱物を含む生産物
   購入を禁止する法令を突然、抜き打ち的に可決。

   EU lawmakers surprise with vote on ‘blood metals’ ban

   この紛争鉱物法は欧州版のDodd-Frank法などとも呼ばれているらしい。

   しかし、一般にはアフリカ各国間の国境は、柵も塀もなにもなく、人々
   は生活必需品等を「密貿易」しながら過ごしている。
   かさばるものはともかく、金とかコルタンとかなら、たいていの場合、
   見つからずに運べてしまうと思う。

   実際には、反政府武装勢力だけでなく、ウガンダやルワンダも「紛争鉱
   物」から収入を得てきたと言われているし、政治家がどこかの鉱山を
   資金源にしているという噂は枚挙にいとまがない。

   一般庶民でも、「紛争鉱物」の採掘ができなくなれば収入が途絶える人
   が沢山いるだろうと推察できる。

   米国やドイツは、アフリカ進出で豪やカナダに後れを取っているので、
   「紛争鉱物」問題をもちだして自国に有利な状況をつくりたいのだろう、
   という人もいる。中国の利害も、この点では米国に似ているのかもしれ
   ない。

   各国や各人の思惑がばらばらで、法令もすっきりまとまった内容ではな
   い模様で、むしろ、だらだらした会議も嫌になり投げやりに可決したよ
   うな印象さえ与える。

   確かに、武装勢力が資金供給源を断たれておとなしくなれば和平に近づ
   くので、「紛争鉱物」の流通を阻止することは(阻止できれば)意味が
   あるとも思える。
   しかし、「紛争鉱物」があるから武装勢力があるわけではなく、民族・部
   族・氏族の対立や、極端な貧しさが根底にあるので、もっと別の方策も伴
   わなければ、問題の解決はないと私は思うし、内心は誰でもそう思って
   いるのではないだろうか。

2015年6月11日
   ちかごろの日本のメディアは、こういうことをはっきり書こうとしない
   が、耳障りのよいニュースばかり集めるのでは堕落だろう。

   「中国は安値攻勢で自国以外のレアアース生産企業を倒産させて、世界
    市場を厳しく掌握しようとしている。」
    China is about to tighten its grip on rare earth minerals

2015年6月25日
   前述のことはすぐに傍証される。というか、ほとんど実証されたに近い。

   レアアースの米最大手、モリコープが破産法申請  中国の規制緩和で市況悪化

2015年7月2日

   レアアース、中国依存再び (真相深層) :日本経済新聞

   「14年の日本のレアアースの輸入量は約2万2千トン。最も少なかった12年に
    比べて60%増えた。フランスなどを経由したものも含め中国産が8〜9割を
    占めるとされる。」

   日経新聞は以前に、フランス経由のレアアースは中国産でないような書き方を
   していたが、少し進歩したのか。

2015年7月5日
   探鉱業の危機を示す図
   Exploration's big problem explained in one chart
Worldwide nonbulk discoveries

2015年7月26日
   今の日本で資源探査業などやろうとしてもほとんど無理で、外国に行く(来る)
   しかない。
   しかし世界の探鉱業は、少なくとも短期的には下火である。
   だから、今のうちに海外の大学で勉強しておこうという考え方は理解できる。

   資源関係に限らないが、途上国の大学で学ぶほうが、単に授業料が安いだけで
   なく、将来のビジネスにも役に立つ。という考え方も理解できる。
   だから、実際にアクションを起こしている若者たちを、影ながらにせよ応援す
   るというのは、私の理念に適っているといえる。
   
2015年7月31日
   結局のところ、こつこつ勉強することである。発想とか思いつきとかを重視す
   る考え方を、私は信用できない。

2015年8月20日
   私は5年以上アフリカに住んでいるが、国や地域による顔つきや気質の違いが
   わずかにわかってきた程度。
   選挙の予測はしても、情緒や宗教の理解は難しい。
   だから一般庶民と継続的な接触もなく、VIP待遇で訪問したり軍に守られて移動
   したりする人がアフリカ問題の現場の専門家とは思わない。

2015年9月12日
   アフリカの現時点での経済動向を、私なりにあえて簡単にまとめれば、「中国
   経済成長減速と石油安値による景気停滞」と「異常気象の影響」ということに
   なる。

   景気停滞は鉱山国(南ア、ザンビア、DRコンゴ)や産油国(ナイジェリア、ア
   ンゴラ)で顕著で、通貨下落や鉱山の停止などが起こっている。

   異常気象は、ボツワナでは水不足がひどく、私の家は4日間連続で断水した。
   ザンビアとジンバブエの国境付近にある、カリバ湖(世界最大の人造湖)が干
   上がってしまい、両国はひどい電力難に陥っている。異常気象は、地域によっ
   ては逆に洪水となったりしている。

   以上の2点は、アフリカだけの動向ではないのかもしれないが。

2015年11月17日
   熱帯収束帯(ITCZ)が南下・活発化し、南部アフリカ諸国の一部が雨季に入っ
   た模様。
ITCZ
2015年11月18日
   ボツワナで世界第二の大きさのダイヤが採掘される。

2015年11月30日
   昔からお世話になっていた、Dr. Eric Laurence Hoffman (Actlabs 社長、
   創設者)が7月に亡くなっていたのを今頃になって知った。4月頃まで彼に
   メールを送っていた。 May his soul rest in peace.

2015年12月20日
   
資源探鉱の仕事をしたいのなら、まず青年海外協力隊に応募するのも一つの
   道だと、探鉱技術フォーラムかどこかで、質問に答えて述べたと記憶してい
   る。たぶん
10年以上前だろう。

   その考えは今も変わらない。
   結局、6年前に私自身がそれに近い道を経ることになり、後悔していないの
   だから。

   現在でもたまに、就職や転職の相談が来ることがあるが、世界の資源や探鉱
   の事情は少し違っている。業界は概して不景気だと言ってよい。
   将来に備えてこつこつ勉強するのもよいのではないだろうか。
   どうせ語学は必要なのだし。

   それとともに、自己をどう評価できているかどうかが鍵になる。
   おだてあってばかりいるような共同性や、劣等感が強い人たちばかりの共同
   性、あるいは保守的・閉鎖的な共同性の中での他人による評価などはまった
   くあてにならない。

2015年12月26日
   南アのCore Consultants社、Lara Smith氏による、レアアース業界現況(抄)
    要点
    1.中国は不法採掘を規制できていない。
    2.内需が減少しており、輸出が続いている。
    3.レアアースを使わない磁石が開発されている。

   中国当局は不法採掘によるレアアースの流れを止めようと努力している。
   不法採掘のレアアースは価格が下がっただけでなく、地域の村の森林や
   飲料水を汚染している。

   不法のレアアースはカザフスタンで引き取られるらしい。
   同国はレアアース産業の発展を速めようとしている。不法レアアースは
   投資家の利益にならず、削減しようとしている。

   中国の国内販売は下落し、輸出割り当ては撤廃したが、今年の最初の10
   ヶ月間の輸出価格は前年比38.33%の下落である。

   それでもレアアースの使用を減らしたり使わないようにしたりする努力は
   続いている。
   日本はレアアースを含まない鉄・ニッケル磁石を開発した。今年初めの
   ジスプロシウムを使わないサマリウム・コバルト磁石の開発に続く二番目
   の日本による大きな進展である。

   (LEDなどの
蛍光体等の)製造業者は十分な在庫をかかえているらしい。
   代替エネルギーや再生可能エネルギーの進展、特に風力発電の導入の進展
   がレアアースの需要を喚起するように思われそうだが、まだ市場は弱い。

2015年12月31日
   中国の環境問題について若干述べるならば、法制度があっても遵守されて
   いない問題があると思う。資本主義は利潤優先だから公害問題が起きるが、
   社会主義では解決するという馬鹿げた議論をする人は今時いないし、もち
   ろん「社会主義市場経済」の問題でもない。たぶん中国の社会構造や組織
   〜共同体の複雑さや多重性が関係していると思う。どこかに少額の「罰金」
   さえ払っていれば見逃されていて、「罰金」をもらう側も、もらえなくな
   ると困るので抜本的な改善をあえて強いないというような。。。


2016年1月1日
   公害問題でも、若い人の就職や結婚の問題でも、自分自身の今後の生き方
   でも、政治問題でも何でもよいのだが、私は「理想と現実の対立」とか
   「現実主義で」とかいうような問題の立て方をしていない。

   現実と理想は対立するものではなく、理想を実現するのは時には面倒くさ
   いというだけのことに過ぎない。

2016年1月10日
   目標を設定してそのために最適な方法をとるというプラグマチックなアプ
   ローチが、産業の工程では有効でも、行政や国際政治の分野ではうまくい
   かない理由はいくつか考えられる。
   第一に「目標」もタテマエの目標とホンネの目標がある。
   第二に「目標」とした状態の持続可能性についてあまり考えられていない。
   もっと書くべきだろうが、後日にしたい。
   
2016年2月3日
   Don't let anything stand in your way
   デビアス社の女性地質屋へのインタビュー
   「何ものも、あなたの邪魔をしないようにしなさい」

2016年3月27日
   Only 2% of People Can Multitask Successfully
   (たった2%の人しか、マルチタスクで仕事をうまくはできない。)

   このことを気にする理由はわりあい明快で、地質屋が一度に複数の件の
   事業を担当することについて、どの程度まで成り立つのか、という問題
   意識が昔からあり、よくわからないでいた。
   引用の記事を読んで、ははんとくるところがあった。

   20年以上前から、「地質調査会社は、技術職一人あたり2千万円の売上が
   あれば、やっていける」と言われてきた。
   一般技術職に比較して天下りが沢山いるような会社は別だろうが、今でも
   物価や人件費は大して変わらないから概ね同じことが言えるのではないか。

   小さな土木地質系の会社だけでなく、大中の会社でも大きな仕事は十分に
   ないので、数十万円〜数百万円の仕事を複数受注してこなしていく。
   中小の建設会社でも「一人あたりの売上」が違うだけで、本質的な事情は
   同じだろう。

   私を含めて凡人が本質的にマルチタスクで、つまり複数の仕事を同時にこ
   なしてやってきたのだろうか? 見掛けだけのような気がしてきた。

   控えめに述べても、ほとんどの者はスマートに仕事をこなしていない。
   同業者のなかには病気になって辞めてしまう者もいる。不幸な場合には
   30歳代で亡くなる人もいる。
   そして、そうなる人たちと私たちとの間に本質的な違いがあるようには、
   とうてい思えない。たぶん体力の違いさえない。
   せいぜい、私たちのほうが、「会社の売上を○○億円にする」だの、「立
   派な本社ビルを造る」だのといった会社の(経営者の)つまらぬ目標や、
   ポリシーも何もなく「とにかく自分は役員をやりたい」というような感じ
   で本当に役員になったら何をやってよいかわからず新聞ばかり読んでいた
   り、オフィスや座席を移動させることで「存在意義」を示そうとする雇わ
   れ経営者を見てばかばかしく思う度合いがいくぶん強く、いい加減にやり
   過ごしていたに過ぎない。
   
   心の中まで会社に支配されるようになると、「自分は○億円の仕事をして
   いる」、「自分は○件の仕事を担当している」などとつまらないことを自
   慢したり、残業が当然であるかのような仕事オタクになるのだが、そんな
   ふうになった場合、心の余裕はまるでなくなっている。自分では気がつい
   ていなくても仕事の内容はあらだらけで、とりつくろうためにほとんど下
   請けにまる投げになっていたりする。
   社会の複雑さを理解できず、社外の者や会社を辞めていく者も自分と同じ
   価値観をもっていなければいけないかのような勘違いをすることもある。

   知識や技術でも、見る人が見れば、根本的なところから駄目だったりする。
   見るべき人が至近にいない間だけうまくいっているようにみえるに過ぎな
   い。
  
   何のことはない。かくいう自分もそうした世界の一員だったわけだ。
   そういうのは、マルチタスクというよりは擬似マルチタスクというべきで、
   私たちの大半は背伸びしてもその程度のことしかできないらしい。
   
   引用記事の標題の「2%」という数値も、自分の体験に基づく実感にあっ
   ている。残念ながら私は98%のほうである。

2016年4月4日
   モーリタニアのタシアスト金鉱山(キンロス社)が大幅拡張・増産。

tasiast

2016年6月4日
 世界的にみれば、中国による資源買いあさりが始まった2002年から金属価格下落
直前の2012年にかけて、企業による探鉱への出費は10倍に増えたにも拘わらず、
発見数はそれほど伸びず、最近は減少していた。
 アフリカでも、金属価格の下落に伴い、探鉱投資の対象が石炭やグラファイト等
に移行し、更に最近では化学肥料原料やリチウムに関心が集まっている。
 昨年末から金属価格は回復基調で、金属探鉱にも活気が戻ると期待したい。


2016年8月7日
 以前から書いてきたことの繰り言になってしまうかもしれないが、「広い範囲から
有望地を絞り混む」だけなら、ただの学者のやることである。
 開発を視野に入れなければプロとは言えないし、それができなければ資源の仕事を
続けることができない時代に入っている。とっくの昔からだが。

2016年8月25日
 オーストラリアで4kgの自然金が掘り出される。

2016年9月30日
  アフリカ南部のマラリアの予防薬について、以前より主成分がメフロキン
  (Mefloquine)で、1回/週、飲む薬が薦められてきた。
  具体的には、私は、このMefliam (南ア・Cipla Medpro (Pty)Ltd.製)という
  製品を買っている。
                     Mefliam
  ヨハネスブルグの空港 (O R Tambo International Airport)にある薬局
  (Bon Voyage Pharmacy)で売っているが、ただ、「マラリア予防薬」と
  いうと、1回/日 飲む薬を売ろうとするので、「1回/週 飲むメフリアム
  (Mefliam)という薬」を注文する。1箱(6錠)で千数百円程度。

  なお、この薬は、4人に1人程度は副作用のために飲み続けることはできない
  らしい。副作用が出るようなら、服用を中止するべきである。

2016年11月17日
   New gold recovery process revealed in the US

  ナノテクノロジーを用いた新しい金回収法。
  回収率90%というが。。。

2016年12月24日
  小坂町(秋田県)とか神岡町(岐阜県)とか、
鉱山町の経済は鉱山が中心
  であって、土建業、車両修理、小売業、飲食業等、鉱山以外の業種も鉱山
  がなければやっていけない。
  そういう地域に住んでいた鉱山会社の正社員が、自分が世界の中心域にい
  るかのように振る舞うのが癖になったとしても仕方がないのかもしれない。
  頻繁に組(下請け業者)に接待されおだててもらう。それに慣れすると、
  
酒席で自慢話ばかりするのが常態になる。社内でも、おだてあって和を保
  つのが習慣になり、まともな自己評価がしにくくなる。

  こんなことを書くのは、今の日本でも同様の思い違いをしている人たちが
  いるのではないかという気がするからだ。
  
日本における「製造業」は、鉱山町における「鉱業」だろうか?
  「基幹産業」という言葉があり、一般的に言えば重工業やエネルギー産業を
  指すらしい。
  そうした産業に従事することを誇りに思うのはよいことかもしれないが、
  自分たちの活動が日本経済を支えているという考え方は、高度成長以降は
  成り立たない。日本の経済の中心がサービス産業に移行してしまっている
  からだ。敷衍して述べれば、重工業やエネルギー産業を活性化させれば
  回り回って日本経済全体が潤うというヴィジョンも、現在では成り立たない
  と思う。

2016年12月31日
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