探査日記
201010月〜20116月)

 

 

南アルプス金鉱探査センター 石川潤一

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ある日のフィールド

2010年10月2日
   Firms rethink rare earth sourcing
   商業新聞の中では、この書き方が最も客観的で洞察的ではないだろうか。

2010年10月3日(アルカリ岩 その5)
   マントル起源の、角閃石/燐灰石が多い特殊な捕獲岩:
    希土類分布曲線は急勾配(LREE=軽希土類に富み、Eu異常がみられない)
    軽希土類−コンドライト・タイプ。である。
    このパターンはカーボナタイトやキンバーライトに類似。
    というよりカーボナタイトやキンバーライトの起源マグマに近い?

   このようなマグマが上部マントルの中でTi,V,K,PおよびLREEを伴う移動媒体
   となった可能性。大陸におけるアルカリ岩火成活動の原物質と想像できる。

2010年10月5日
   NTCの同級生のブログにケニアの採金地の写真と記事

2010年10月6日
   ディーゼル油が来ないのでフィールド作業は延期。
   日本では考えられないことだが、この国ではこういうことが頻繁に起こる。

2010年10月11日(アルカリ岩 その6)
   軽希土類(LREE)…希土類フッ素炭酸塩、蛍石と共生。
   重希土類(HREE)…イットリウム(Y)、パイロクロア、Zr-silicatesと共生。

   未変質のアルカリ岩は地殻のREE組成を示す。
   交代変成岩(メタソマタイト)で総希土類(TREE)の量が多い。Eu異常は明瞭。

   カーボナタイトでは、Eu異常はみられず、REE-distributionHREEが少ない。
   Nb-Zr-REE鉱化作用がHREEを濃集する。カーボナタイトには期待できないが、
   カーボナタイトを含むアルカリ岩複合岩体のどこかにはあるかもしれない。

2010年10月13−14日
   政府系ファンド通じた資源獲得競争、日本も外貨準備で参入の動き
   「日本が実際に外貨準備を用いて(中国のように)世界の希少資源を買い集め
    れば、資源価格の高騰を招き、世界的なインフレに火がつきかねない。そう
    なれば、資源産出国は資本流入の規制策を強化し、自由貿易を阻害する恐れ
    もある。」
   と書かれているが、アフリカに住む日本人の資源探査屋など私とボツワナの3
   名以外にいるのかどうかも知らないし、日本に資金があっても資源を集める能
   力があるのかどうか疑問である。それに、ロイターのような旧宗主国の特権で
   いまだにアフリカの政治経済に介入する国の代弁者みたいな通信社に、他国を
   「自由貿易を阻害する」と非難する権利などあろうはずもない。

   しかし、なぜ日本の企業がアフリカに来ないのか、表面的な経緯だけでなしに
   一度は背景を筋道をたてて整理してみるべきではないだろうか。

   日本の鉱山会社の資源開発は、せいぜい南米までである。
   社員は必ずしも「海外で鉱床開発をやる」などというつもりで入社していない。
   そういう覚悟や資質をもった人が少ないということがある。

   地元採用や縁故採用が多い企業にもそれなりの強みはある。企業体全体として
   意外な包容力があったりする。拠点を持っているということは地域社会の様々
   な問題に関わらなければならないから、嫌でもそれらを処理する能力が備わる。

   しかしそういう大企業に、リスクを避ける人たちが集まる傾向があるのは否定
   できない。日本人的な<和>を強調する倫理観や価値観も、横一線が尊重され
   る結果、突出した存在が疎外されて、つまり出る杭は打たれて、極めて優秀な
   人がいられなくなり、一線を超える人が育たないように作用している。

   まして海外の探鉱事業など失業対策でやることではない。言葉の壁、文化の壁、
   食生活の壁、事故や病気の危険……を充分に覚悟して乗り越える人たちだけが
   やることとしか思えない。

2010年10月15日
   マラウイの鉱業紙「マイニング・レビュー VOL NO2/2010」が発行されました。
   A3版8頁、当たり前ですが英語です。概略的な目次を下に掲げます。

      頁           内 容

     1−2  鉱業による国家収入が急増
      3   カニーカ鉱山(Nb)2013年生産開始
      3   マチンガ・プロジェクト(REE)進捗状況
      3   リビングストニア・プロジェクト(U)レポート
      4   マラウイのREEポテンシャル、更に明らかに
      5   進行中のプロジェクト
      6   バルロワールドの機械設備が鉱業部門の成長に貢献
      7   政府が小規模採掘業者を救済
      8   モタ・エンジル、中部で金等の試錐探査を計画
      8   Nsanje港建設が鉱業への投資を促進

   私はこの新聞を1部しか入手できなかったので、他人に渡すことはできません。
   全頁について写真を撮りましたが、1頁が3メガバイト近くあります。
   当地(ゾンバ)の通信環境が極めてわるいので自信がありませんが、1頁だけ
   なら送信できるかもしれません。ご希望の方は、氏名、所属先、希望する頁、
   目的などを記したメールを、ここを見て私宛に送って下さい。現場作業をして
   いるかもしれないので、いつ送ることができるか約束はできません。

2010年10月20日
   実のところ、石炭の調査は開店休業状態で、この数ヶ月レアアース探鉱に明け
   暮れしている。
   カーボナタイトには重希土類が少ないし、今までさんざん探鉱されていながら
   開発に至っていないところが多いので、食指が動かないでいた。
   しかし、燐灰石資源にもなりうるので、再考してみたい。

   トウモロコシ栽培には多量の肥料が必要である。
   毎年ムタリカ政権は、農民に化学肥料を助成(配給)しているが、今年は量が
   足りない見通しである。もうすぐ雨季に入り施肥をしなければならず、人夫が
   私にまで「肥料を買う金を貸してくれ」と頼み込んでくる有り様である。
   チッ素はキマメ等の一種の緑肥で対応できるとしても、リン酸が不足する。

   カーボナタイト鉱床は多量の燐灰石を伴うことがある。マラウイやイギリスの
   会社が開発を志しているが、資金や技術の問題がある。
   マラウイの農業に貢献できて軽希土類も生産できれば、採算があうはずである。
   日本の企業が投資しなければ中国が乗り出してくるのだろうか。

2010年10月21日

    中国、レアアース 外交カードに 欧米輸出も停滞
         2010/10/20 23:39 日本経済新聞 電子版

2010年10月22日
   ブリヂストン、鉱山車両タイヤ生産能力増強=北九州工場などに240億円投資
   「世界的な鉱物資源の生産増加を背景に中長期的に旺盛な需要が見込まれるため」
   だということだ。

   カエレケラ・ウラン鉱山の生産、10%低下
   湿式製錬設備の合成樹脂に砂などの外来物がたまったことに因る。二次的クリー
   ニング装置作動と選鉱設備改善(ジョークラッシャー、サイザー)で解決。
   
(サイザー等で水を多量に使うので、乾季が続くと同じ問題が起きるか?…石川)

2010年10月23日
   Shire川のNsanje港が開港。マラウイ、ザンビア、ジンバブエの大統領が出席して
   開港式。貿易・物流の向上で鉱業の発展への寄与が期待されている。

2010年10月24日
   "THE MALAWI COOKBOOK"入手。この数年、日本にいても私の読む本の半分は料理本
   なのだが、完全に本に書かれている通りにやることが少ない。自己流というか適当
   である。JOCV隊員から、私がつくるカレーは当たり外れがあるとかなんとか言われ
   ないように努力はするが、それでもこの本の通りにはやらない気がする。隊員が
   「本の通りにやれ」というのならするが、ハチノコの塩あえ、イナゴのトマト煮、
   羽アリの揚げ物etc.の材料は自分たちで採ってきて欲しい。

2010年10月29日
   価値は労働時間で決まるという『資本論』の論理には限界がある。芸術は短時間で
   よいものができることもあれば、時間をかけて手直ししてもあまり変わらないこと
   もある。探鉱にもそういう面があると思う。

   サラリーマンに芸術は無理だが、探鉱も無理、ということになるまいか?

   またこの「探査日記」のファイルを分割しました。

2010年10月31日(アルカリ岩 その7)
   筑波大・星野氏ほかによれば、日本でHREE等に富むジルコンを含む花崗岩は相対的
   に低温生成ということになるらしい。
   私なりに敷衍して解釈するなら、ペグマタイト的な末期のマグマほどHREEを多く含
   む傾向があると言えないだろうか。ザクロ石の結晶生成とも連動する?

2010年11月1日
   現在の情勢では、資源開発は急がなくてはならず、やらなければならないことだけ
   をやるしかない。「やったほうがよいこと」は結局「やってもやらなくてもよいこ
   と」であり、そういう次元の作業は省略して、最短時間で開発しなければならない。

   「やってもやらなくてもよいこと」は開発を遅らせるだけであり、「無駄なこと」
   というよりは「邪魔なこと」である。

   現在の世界の地下資源探査活動は岐路に立っていて、今まで知られていなかった
   タイプの鉱床を推論して発見するぐらいでないとやっていけない。そういうのは
   サラリーマンでは無理な気がするが、偉い先生のお墨付きがなければ決まらない
   萎縮した学界にも期待できない。

   この国で作業していて分かったことは、探鉱の中心をなすのは「技術」ではなく、
   「推論」だということである。

2010年11月5日
   首都Lilongweで開催された"JOCV ACTIVITY PRESENTATION"で報告。
   多数のマラウイ人と日本人が出席。私は正確にはJOCVではないかもしれないが。

   こういう機会を与えていただいたのは光栄です。JICAの方がこの日記を閲覧され
   ているのでしたら感謝します。

2010年11月8日
   Korea Resources Finds Rare Earth Minerals in S. Korea's East
   周辺に熱水性鉄型があるのは知られていたのでは。

2010年11月9日
   8月8日の日記
    「基本的に、鉱床探査には次の2つの方法があります。
     1.鉱徴の追跡  2.絞り込み 」
   と書いたのだが、「3.推論」も加えるべきだろう。
   よい例えでないかもしれないが、海王星という惑星は推論によって発見された。
   それと同じである。

2010年11月20日
   地質や資源に限ったことではないのだが、これだけ変化が激しい世界では旧来型
   コンサルタント業のような「仕事を作る」だの「プロジェクトを仕掛ける」だの
   という発想は成り立たなくなるのではないだろうか。
   自分の得意分野にいつまでも執着するのでなく、需要に合わせて自らをしなやか
   に変化させ、「仕事があるところにいる」、「嫌でもお呼びがかかる」ぐらいで
   なければ生き残れないように思える。日本にはそういう会社があるのだろうか?

2010年11月21日(アルカリ岩 その8)
   苦鉄質造岩鉱物の雲状微球体=聚球晶子の合間の粒界へのLIL元素の濃集は
   初期の段階で起こっている。

2010年11月23日
   銅価格高騰。商社争奪戦 チリ鉱山の権益開発に奔走。

2010年11月25日
   20日から本格的な雨季に入った。昨晩は風雨が著しく、倒木も見られた。

2010年11月29日
   Quest Rare Minerals Ltd. Named 2010 Prospector of the Year
   見習いたい。

2010年12月5日
   周辺の協力隊員の大半は大挙して南方に遊びに行ってしまい、週末にZomba
   来たのは2名だけ。わりと静かな休日だった。

2010年12月7日
   企業は青年海外協力隊採用枠を…JICA提言へ

   金価格が最高値、再び存在感を増す資源関連株

2010年12月10日
   世界で国際的な資源探査業が成り立っているのは、カナダ、米国、中国、
   ロシア、オーストラリア、イギリス、フランス、南アフリカ、ブラジルぐら
   いではないだろうか。

   私もかつては所属していた“日本の資源探査業界”を再生させるには、まず、
   何がどう駄目なのかを認識しなければならない。

    ・田舎の土建屋的な因習が強く、若者が魅力を感じない。
    ・契約通りにやればお金がもらえる慣行。
    ・作業する者は契約履行が「目的」になり、本来の目的を見失う。
    ・たとえば、ボーリングポイントの近所に鉱床の露頭があることがわかっ
     ても、そのことがばれれば仕事がなくなると思って黙っている。という
     こともなしとしない。逆に考えるべきなのだが。
    ・やることはクライアント側が決めて、コンサルタント業になっていない。
    ・クライアント側が微細で完璧な作業手順を決めればよいかもしれないが、
     本末転倒だし、「地下」資源探査では不可能である。
    ・クライアントが現場にいないので、計画の途中修正がしにくい。
    ・日本のボーリング屋で語学ができる者がほとんどいないので、現地の技師
     と意思疎通できない。
    ・日本の投資家は地下資源探査に無理解でおよび腰である。
    ・日本で地質学が盛んでないので、探査技師が少ない。
    ・数少ない探査技師も、現場仕事がないのでコンピュータ・オタクみたいに
     なっていて鉱床学と探査法のframeworkは発展せずに停滞〜退行している。
    ・専門外の、手順もわかっていない人が予算を握って意思決定(承認)して
     いる。その点は中国のほうが優れているかもしれない。
    ・官民共にリスクを恐れて、失敗のない(?)作業でお茶を濁す傾向。
    ・若者はアフリカに行きたがらない。石油会社でナイジェリア転勤の辞令が
     でると会社を辞めてしまう者もいる。
    ・天然自然の鉱石を採るのは環境破壊をもたらす「悪」でリサイクルは「善」
     であるかのような消極的産業観。リサイクルだけでは社会は成り立たない。

   書いていると憂鬱になってくるし、全てがこんなだとは言わないが、一面では
   こんなふうに見える。実は、これらは全て解決可能なことばかりだろう。もっ
   と暴露することもできるが、今さらなので止めておく。
   私が探査会社やジュニアをつくればよいのかもしれない。

2010年12月11日
   世界銀行 "Malawi - Mining Technical Assistance Project"

   マラウイの鉱業労働者は34年前の3倍に増えている。
   年間GDPへの鉱業の寄与の目標10%である。

2010年12月14日
   Greenland Minerals and Energy granted permit to evaluate Kvanefjeld Project

2010年12月15日
   金の税込み小売価格が4000円に近づいている。これだけ値上がりすれば、玉山金山
   以外でも旧坑取明けの話がでてくるのではないだろうか?

2010年12月16日
   U.S. Department of Energy "Critical Materials Strategy" 8頁より。

 


2010年12月20日
   バヤンオボ(熱水性鉄型−鉄希土類型?)
   ・カーボナタイト・マグマが関係?
   ・複合的な成因? NbThFeの鉱化作用は後期?
   ・北中国クラトンの北端に沿った、大局的な裂け目に相当。
   ・韓国にも類似の鉱床。
   ・火成岩はIOCG型、オリンピックダム型と異なる?

   Mining Indaba 2011 行けなくて残念。

2010年12月22日
   (韓国では、)
「新戦略鉱物に選定され、政策支援が以前より拡大されるレアアー
    ス(希土類)とリチウムの自主開発率を7.3%から26%に設定した。有煙炭、
    ウラン、鉄、銅、亜鉛、ニッケルの6大戦略鉱物の自主開発率も25%から42%
    に引き上げた。」
   「また、探査資料の分析などを行う資源開発サービス業の育成を支援するため、埋
    蔵量告知制度の導入なども検討する。」

                         (聯合ニュース
    ライナスにも動き。

2010年12月24日
   これから10年ぐらいの日本の資源業界の推移をあえて予想するなら、日本以外の
   国と同じようになっていくだろうと言うしかない。
   メジャーとジュニアがあって、それらを取り囲むように個人業の技術屋がいる。と
   いう構図だ。

   2社か3社のメジャー、3社か4社のジュニア、そして数十人か100人程度の独
   立した技術者がいる状態に再編されるだろう。
   その過程で私のような中間的な存在は粉々に裂け散ってしまうかもしれないが、そ
   れでも時代は必然的にそうなっていくと思う。

   現段階で、「2社か3社のメジャー」は既存の大会社が有力候補だと予測できるが、
   「3社か4社のジュニア」については、既存の会社ではなさそうだ。
   独立技術者は、必要な知識技術、語学および体力を有するIQ130以上の人たちという
   ことになるのだろう。

2010年12月30日
   J.シュレ=カナール『黒アフリカ史』
    アフリカの前近代社会は「アジア的生産様式」に酷似している(?)
   中国における1980年ごろの「アジア的生産様式」論争とその頓挫・・・・

2011年1月4日
   Cenepa Gold Project, Peru
   World Class Gold Exploration Opportunity

2011年1月5日
   METI投資協定・経済連携協定(投資章)セミナー開催(初開催)のお知らせ

2011年1月7日
   CYU他が豪州クイーンズランド州、マウント・アイザの50km東南東、マウント・
   ドロシー銅・コバルト鉱床で、HREEYの大規模な含有を発見したということだ。
   気になるのは鉱床の特徴だが、次のようなものらしい。

    1.銅鉱化作用は基本的に、珪長質火山岩の中の断層と斑岩に関係。
    2.断層付近でCu-Co硫化物の鉱化帯。その外側に自然銅の鉱化帯。
    3.地表付近では石英にとむ断層角礫石と剪断された斑岩に孔雀石の鉱染。
    4.銅が多い部分で数十〜数百g/tのコバルト。
    5.北東約20kmにウラン鉱床(マリー・キャスリーン,交代型,1982年閉山)。
    6.西北西約50kmにマウント・アイザ鉱山(ブロークンヒル型=BHT)。
    7.調査孔MDD00571m87mT-HREE+Y=1249g/tCu-Co硫化物帯内。

   断裂が関係するのだろうが、これだけでは濃集過程のイメージがつかめない。

2011年1月10日
   中村繁夫氏 レアメタル専門商社で第一線に立ち続ける 前編

2011年1月12日
     総合商社は50兆円もの売上規模を誇りながら利益が出ないし金が
     集まらなくなっている。このため子会社関連会社を整理しないと
     いけない、人員を整理しないといけないという苦境に追い込まれ
     いまごろになって自分達が最も得意な分野に特化しようと言い
     出している。    大前研一『ドットコム・ショック』より引用

   10年前には、私はこういう考え方を「なるほど」と思い、インターネットが
   普及すれば総合商社は要らなくなるなどという見方を鵜呑みにしていた。
   しかしその後の10年は、大前研一が思うようには推移していない。
   経産省資料より下図を引用する。


   要するに、総合商社の利益の半分以上が資源とエネルギーに依存しているのであるが、
   利益は今世紀に入って急増している。
   12月24日の日記で、「日本の資源業界の推移をあえて予想するなら、日本以外の
   国と同じようになっていくだろう」と私も書いたが、日本独自の業務形態である総合
   商社の資源業界における位置づけを考えてみないわけにはいかない。

2011年1月15日
   総合商社の役割を簡単に言えば、BBSでも書いたように、日本人は一般に国際業務が
   苦手なので、その作業を代行することだと思う。
   だから、鉱山会社がやればよいようなことも総合商社が肩代わりする。

   その事情は大前研一もわかっているが、その日本人の課題の深刻さや実態についての
   大前の認識はまだまだ甘い。

2011年1月19日
   メディアでは、総合商社は利に聡くて情報に敏であるとされている。世間的にもその
   ように思われているのだろうが、私にはどうしてもそう思えない。

   具体的に書くと角が立つが、特に情報収集のスキルもなければ利益のノルマもない私
   のような者でも、マラウイ共和国の鉱産物に関する限り、総合商社より新しい情報を
   沢山持っている。
   個々の商社マンの努力や能力の問題でなく、総合商社も人が少ないのだと感じる。
   社員が何千人いても、こんな<小国>に駐在員や事務所を置くのは採算があわないと
   言えばそれまでだ。商社にどれだけ地下資源の専門家がいるのかということもある。

   特に若手のほうで人材難なのだろう。英会話学校が倒産するのも、若い人たちが海外
   業務や国際活動に消極的になっていることが背景にあると思える。
   「JOCVでよい人材はいないか」と聞かれることがたまにある。

2011年1月23日
   弟子屈町奥春別地区の山林で「良質の鉱脈」

2011年2月1日
   長い射程で考えれば、大前研一の認識を完全に切り捨てることはできない。
   「総合商社」なるものが地下資源開発に関わるという日本独自の業界態様は変則的で
   欠陥があるのだから、何十年か先にはメジャーやジュニアなどからなる「国際標準」
   に移行するという予測は今の段階ではまだ成り立つだろう。

   見識豊かな大前でさえ過小評価した“日本人の海外業務不適応”が未だに深刻だと
   いうだけだ。 大前のこの4年ぐらい発言を読むと、そのことを痛感しているのかも
   しれないが。

   日本で誰が最初のジュニア・カンパニーを作るだろうか。私ではないが、ふだん海外
   に住んでいる日本人かもしれない。

2011年2月3日
   当面の私はアフリカ専門の資源地質屋として生きていかなければならないのであるが、
   地質屋ならばアジアやアフリカに沢山いる。ボーリング岩芯やルートマップの記載を
   したり、GISソフトを動かしたりする程度なら彼等だってやる。そんな程度なら彼等と
   同程度の賃金しか得られないだろう。月給がせいぜい数万円程度だ。

   私の知っている白人の地質屋は、ジュニア・カンパニーを作っている。私もそうする
   べきなのかもしれない。

   それにしても、日本でレアアース予算を当て込んだかのような便乗的発表が多いのは
   どうしたものだろうか。他人の商売にケチつけしたくはないが、いますぐにでもレア
   アースが欲しい時に、開発できそうもない金鉱床を「レアアースが少し含まれている」
   として花火を打ち上げるのはいかがなものか。

   スティーブ・ジョブズではないが、自分たちが今までやってきたことと大きく異なる
   ことをやるべき時に、今までの延長でやりすごしていこうとする願望は破戒されなけ
   ればならない。

2011年2月8日
   たぶん「予算」というものをある期間内に使わなければならないからなのだろうが、
   順番に充分に配慮しない探査手順が行われたりする。地質調査で絞り込んでから物理
   探査をやるべきところ、予算の枠の中で無理して同じ場所で同時にやったりするから、
   物理探査の測点間隔が粗くなったり、想定される鉱床分布に最適化されない測点配置
   になったりして、解析不能な精度の結果になることがある。

   更によくないのは、そういうのが当たり前になってしまうことで、探鉱が進んだ段階
   でリモートセンシングなどが提案されて概査に引き戻されてしまうという馬鹿げたこ
   ともあり得る。
   狭い分野が専門でしかない大学の学者だけでなくて民間会社でもそんなところがある
   から、日本の調査業はすたれるのである。

   日本で採鉱学や冶金学はあっても、戦時中を別にすれば、探鉱学(鉱床学ではない)
   がほとんど育たないのには根深い事情がある。このwebがまだ存続する根拠でもある。

2011年2月10日
   Great Westernの最高責任者ジム・エングダール氏は、南アフリカのSteenkampskraal
   鉱山で高品位鉱を採掘することで、「今日の世界中のいかなる既知鉱床よりも多く重
   希土類を産出するであろう」と現担会議で述べた模様である。南アフリカが世界の主
   要なレアアース産出国の一つになるだろうとも豪語しているらしい。

   鉱床は背斜構造に関係して貫入した石英閃緑岩とleucotonaliteに関係するモナズ石
   −燐灰石脈らしいが、正直なところ、まだ情報収集が不十分である。

   周辺の別の鉱床のZandkopsdriftについては、Frontier Rare Earths Ltdによれば、
   2015年から年間20,000t規模の生産が期待されるというが、REOのことかどうか明確
   でない。

2011年2月18日
   ゾンバで学生がタウンまでデモ。逮捕者がでた。学生の要求は学内の貸付金や文具手
   当に関する内容だが、副大統領・ジョイス・バンダ女史を支持する唄などを歌いなが
   ら行進。
   先日リロングウェで燃料不足の抜本的対策を求めるデモがあり、昨日はブランタイヤ
   でも学生のデモがあり13人が逮捕されたらしい。
   町のなかは静穏で、一般民衆が騒ぐ気配はなく、すぐに大きな騒動に発展する可能性
   は低いが、エジプトなどの件が影響しているようにも窺われる。注視していきたい。

2011年2月25日
   Looming hunger in Balaka
   マラウイのトウモロコシの生育が順調だと言われたりするが、複数の地区で雨量が少
   なく、食料不足となる恐れがある。特にBalakaMwanzaPhalombeNsanje および
   Chikhwawaの各県が深刻とされる。
   政府はストックを放出するなどの対策を考えていると言われる。

2011年3月1日
   やはり深刻なのが燃料不足である。内陸国で運搬が不便であることや資金難もあるが、
   本当はもう少しやりようはあるのだろうと思う。公定価格はガソリン160/リットル
   ぐらいだが、闇ではその2〜3倍するらしい。ディーゼル油の価格も1割ぐらいしか
   違わない。今日の中東−北アフリカの政変状態で世界的にも燃料が値上がりする徴候が
   あり、2009年末のような交通機関停止が再発する恐れがある。

2011年3月7日
(要約)
   African BUSINESS,No.372,P.32-42; Special Report "African mining, the big boom"

   ・南アフリカの石炭輸出は、2008年は欧州向け63%、アジア向け18%だったが、2010
    には、それぞれ25%59%と逆転している。
   ・モザンビークのTete州ではVale(ブラジル)Riversdale()Moatizeベーズンの
    石炭を開発。他にも多数の企業。インド企業JSPL Mozambique MineralsCahora-
    Bassa地区で1.65bn-tの石炭資源を発見。中国・慶華(Qinghua)もニアサ地区で資源
    評価を開始。
   ・カメルーンでは、Sundance ResourcesMbalam鉄鉱山開発で中国の支援を仰いでい
    る。
   ・その近くのガボンでは、Belinga鉄鉱開発事業のCNMEIEC(China National Machinery
     & Equipment Import & Export Corp.)の開発費用は$3.27bnと見積もられている。
   ・モーリタニアは2014年に、鉄鉱石の輸出量が20mt/yとなると見込まれている。
   ・アフリカの3大金生産国・マリ、南ア、ガーナで金生産増加。
   ・タンザニアでも金生産が回復しつつある。
   ・LME銅建値(2010年平均)$9,631.75/tと上昇し、ザンビアの銅鉱山開発に拍車が
    かかっている。
   ・金生産業者の利益が急増している、昨年の中国の金の需要は105tであったが、
    今年は更に増えて150tと見込まれている(不確定要素はある)。
   ・IDCによれば、昨年のダイヤモンド(原石)価格は25%上昇している。主要生産国で
    あるボツワナの経済は、向こう4年間に平均8%/年の成長が見込まれている。
    シエラレオネの経済成長率は4.3%が期待されている。
   ・先般の豪クィーンズランドの洪水は、火力発電用石炭について世界第二の生産地
    からの供給を中断させている。
    今年は市場の需要の5%(14mt)のコークスが供給されないとされる。
    Fairfaxによれば、コークス価格が$225/tから$300/tに跳ね上がる可能性がある。
   ・アフリカでは、火力発電用石炭についての世界最大の輸出企業・Xstrata
    BHP Billitonは鉄道輸送確保の困難に直面している。
    南アRBCTまでの輸送に18本が運休してしまった。
    火力発電用石炭の価格が$125/tから$150/tに上昇する恐れがある。
   ・ただし、アフリカ最大の製鉄企業・ArcelorMittalは生産を維持している。
   ・インドのEssar Steelはコークス用石炭と鉄鉱石の安定した供給源として、南ア、
    モーリタニアおよびモザンビークに目をつけている。
   ・銀は昨年一年間に、主として投機的理由によって$18.82/ozから$29.31/oz74%
    値上がりした。2009-2010年に明らかに、需要に対して供給が過剰であったに
    かかわらずである。
    銀価格の変動は不確定要素が多い。1980年の投機的高騰とその結末が想起される。
   ・プラチナ価格は、中国による投資によって昨年12.6%上昇した。ディーゼルエンジン
    の触媒などの堅調な需要により現在の価格で落ち着くと見込まれる。
   ・ウラン価格は2010年に40%上昇した。需要は更に大きく伸びると見込まれている。
    生産企業・Paladin Energyの株は昨年18%上昇した。
    ナミビアの経済成長率は4.9%と見込まれるが、ウラン、ダイアモンド、セメントの
    生産増加が期待されることによる。
   ・鉄鉱石価格は過去2年間に2倍以上に上昇した。
    他の金属と同様に中国の需要増大に因る。今後は西アフリカ諸国の生産が鍵になる。

2011年3月8日
    Lynas's Chief Turns Contrarian $5 Million Rare Earth Bet Into $3.5 Billion

    男はかくのごとくありたいものだ。

2011年3月15日
   中国におけるネオジムとジスプロシウムの生産拡大計画および供給

2011年3月16日
   【コラム】日本が誇るべき「ショック療法だけでない希望」−ペセック
   日本が世界に開かれた国である限り、困難を乗り越えてゆくだろう。

2011年3月17日
   ライナスが3月31日から一週間以内に出鉱。

2011年3月21日
   Quantum Prospect , Pine Creek, NT

Mining Weekly

2011年3月29日
   福島第一原発 現状と今後とるべき対応策 (大前研一ライブ580
   私はこの「探査日記」で大前研一を批判することもあるが、今回の原発の件では
   大前の解説以外に見るべきものがない。
   ゾンバでは通信条件が悪く、動画でみるのはまず無理。

   技術的には、もっと安全な原発をつくることは可能だろうし、将来的にはトリウム
   ・サイクルとなり、更に遠い将来には核融合となっていくのだろう。
   そういう意味で「原子力をやめろ」とは言わないが、電力会社や行政の幹部の責任
   感の不足や鈍感さをみると危なっかしくて仕方がない。業界に利害はあってももポ
   リシーは感じられない。たぶん彼等にも彼等なりの社会的責任感があって、パニッ
   クを防ごうとしたり電力の収支を気にしたりしているのだろう。利権という面だけ
   で彼等を批判する気はないが、現代では情報は広く伝わると考えたほうがよいとい
   う認識が欠けている。また知識や技術というものへの過信、もしかしたら神秘化の
   ようなものが感じられる。現時点でどこまでが制御可能でどこからが不可能なのか、
   従ってどこまでが産業として成り立つのかを大所高所から考え直してみるほかない
   だろう。

2011年3月30日
   ゾンバでは中国人の店が増えているが、どれも似たような雑貨屋。
   同じような物ばかり売る店が増える意味がわからないが、新しい店ほど大きい
   ので、中国人が相互に競い合っているのかもしれない。
   落ち着かない商売のやり方だ。

2011年3月31日
   Large Rare Earth Deposit Discovered in E China
   浙江省。銀・鉛・亜鉛・カドミウムなども産すると言うが、地質構造や
   鉱床タイプがわからない。情報収集中。

2011年4月4日
   世界銀行、マラウイの鉱業部門に2千5百万ドル貸し付け。

2011年4月6日
   Thor Lakeの選鉱・製錬試験結果

2011年4月7日
   マラウイ政府、カンガンクンデに期待。

2011年4月10日
   3月31日の日記について、http://woodlawnpost.com/?p=11371などを参考に
   補足すれば、REEでもスカンジウムの含有量が多く、鉱石1トンあたり14グラム、
   800トンの銀と13万トンの鉛・亜鉛、70トンのスカンジウムが埋蔵されている。
   カドミウム鉱が3000トン、錫7000トン、ガリウム400トン、レニウム55トン。
   まだ4平方キロメートルほどの鉱床しか調査していないのに、これだけのスカン
   ジウム資源を発見できているので、このまま探鉱を続ければ、もっと多くのレア
   アース資源を発見できる可能性もある」とされている。
   タイプはボリビア等にもある熱水性かもしれないが、REEが特に多い理由はまだ
   わからないので、もっと調べてみたい。

2011年4月11日
   3月にレアアース高騰。

 

2011年4月12日
   タンザニアのトレンチ結果。

2011年4月13日
   The race for rare earth metals

2011年4月15日
   Chinese Rare Earth Explorers Positioned to Benefit From New Regulations

2011年4月18日
   4月10〜11日にゾンバで大雨が降った。その後気温は下ったが、ほとんど
   晴れている。
   乾季に入った模様だが、今日また気温が上がっており、まだたまに天候が崩れ
   ることはあるだろう。

   ゾンバのマラウイ大学(チャンセラー校)の「学問の自由」を求める、政府・
   警察との対立が相変わらずつづいている。マラウイでは中学校の生徒の大半も
   教科書を持っていないし、普通の人にはお金も時間もなくて初めから「学問の
   自由」とは無縁だ。この国の政治を変える端緒にしたい気持ちはわかるが、大
   学人の運動が現在のような特権的なスローガンを掲げる限り、運動が一般民衆
   にまで拡大するとは思えない。

2011年4月20日
   Rare Earth Elements: A Bubble Or A Long-Term Growth Story?
   Rare-earth mining company celebrates 'groundbreaking'

2011年4月26日
   ライナスのレアアース工場、建設を中断 環境影響調査のため

2011年4月27日
   Mkango Resources Ltd. Announces Commencement

2011年5月1日
   北部のムジンバ(Mzimba)の宝石の催しに参加。当地の宝石は、ペグマタイトに
   関係するエメラルド、アクアマリン、ローズ・クオーツ、ガーネットなど。
   採掘は小規模、複数の個人鉱区で、重機も火薬もほとんど使われていない。
   宝石の輸出先は南アなどだが、結局は中国が南アなどから多量に買っていると
   いう。

2011年5月6日
   Globe Metals & Mining makes rare earth discovery in Malawi

   日本語版では「マラウイでの初のレアアース発見を発表」となっているが、
   翻訳ミスである。
   その場所では知られていなかったレアアース鉱徴を発見したということで、
   マラウイで初のわけがない。

2011年5月7日
   Virgin Rare Earth Discovery at Salambidwe, Malawi

2011年5月11日
   Australia's Lynas to start up rare earths plant within a week
   3月にも似たようなニュースがあったような(笑)。

2011年5月12日
    
黒木:・・・イランにあるアザデガン油田を有事の際の日の丸油田などと
       いうのは、ブラック・ジョークです。

    谷口:わたしも同感です。すでに世界中のめぼしい開発地は資源メジャー
       や中国などに押さえられているわけですから、いまさらノコノコ出
       て行っても得られるものはいくらもないでしょう。ですから、日本
       としては「日の丸開発」に無駄に税金を投入するのではなく、別の
       戦略を考えるべきです。

      いまさら「日の丸開発」は無意味--「国際資源戦争」の実相を読む
       対談 谷口正次 VS 黒木 亮(後編) より

   必ずしもそんなことはないということをご覧にいれたいものです。

2011年5月14日
   「世界保健機関(WHO)は十三日、二〇一一年版の「世界保健統計」を発表、
    〇九年の日本の平均寿命は八十三歳で、前年と同様、イタリア中部の内陸国
    サンマリノと首位を分け合った。・・・平均寿命が最も短いのはアフリカ南
    部の内陸国マラウイで四十七歳。」(東京新聞)

2011年5月16日
   ガーナの Nzema 金プロジェクト

2011年5月17日
   (海外資源の確保について)すでに、官民の緊密な協力による「オールジャパ
   ン」での取り組みが進められているが、今後、これを一層強化していく必要が
   ある。経団連『資源の安定確保に関する提言』(2011.5.17)より

   「オールジャパン」というが、資源確保はそういうふうにやるものではないの
   です。

2011年5月18日
   12日付けの「日記」でも触れた、日本が独自に国際的な資源開発戦略を
   持ち得なかった件は、日本人の島国根性だけでなくて、「日米関係」も重要
   な要素なのだろう。ここでその件を入念に論じる気はないが、本気で考えざ
   るを得ない時代の転換点に入っているのだろうとだけ書き留めておく。

2011年5月19日
   希土類酸化物の価格は成層圏を吹き飛ばしている。
   この記事のポイントは、以下の通りである。
    1.重希土類がなければ資源価値は不十分である。今後の3〜5年間、
      北米と欧州で重希土類が丹念に調査され、その分野では、これから
      発展する企業は、既存の企業と同等の価値がある。
    2.Molycorpは自社のマウンテンパスに重希土類がないので、投資家が
      気づく前に重希土類を含む資源の権利を得ようとしている。
    3.アラスカのレアアース鉱床が、中国以外の供給地となるかどうかが
      重要な要素だと言われている(Bokan鉱床)。
    4.LynasMt.Weldの鉱石をマレーシアで処理する件で、環境保護派に
      対応するために多数の専門家を集めている。
    5.Lynasはマラウイでもレアアース鉱床の開発開始について、マラウイ
      政府の承認を得ている。鉱床(石川註:Kangankunde鉱床)は、レア
      アース鉱床としては「異常に低い自然放射線レベル」である。

2011年5月24日
   Malawi's maize output seen at 3.8 mln-T this yr.
   大統領によれば、トウモロコシ以外のサツマイモ、キャッサバ、米も増産
   の見込みだという。しかし、肥料を助成する資金に難があるのでは?

2011年5月27日
   Academic Freedom Demonstration in Zomba, Malawi
   「学問の自由」を求める抗議行動の100日目ということである。
   デモはそんなに人数がいたわけでないが、参加者は赤い服を着たり、赤い
   鉢巻きのような布をネクタイのように首に巻いたりしていた。意思表示な
   のである。布で口を塞ぐのは警察等への面当てなのだろう。
   418日の日記で「運動が一般民衆にまで拡大するとは思えない」と書いた
   が、ごく少数だがゾンバのタクシーの運転手でも首に赤い布を巻いた人が
   現れたのは、若干ながら運動の浸透を意味すると思う。

2011年6月2日
   グーグルのアフリカ向け無料ショートメッセージが好評

2011年6月4日
   Western Mozambican province of Tete

2011年6月6日
   Indicator Minerals, Pathfinder Minerals and Gold Exploration
   記事の後半部分は重要だが、ある意味では常識。

2011年6月9日
   モザンビークのムアンベ山でボーリング開始

2011年6月10日
   「燃料危機に慣れろ」
   しかし、日本の指導層も戦時中とか危機になればやっぱりこんなことしか
   言えないし、近頃またマラウイに似てきてしまった。

2011年6月11日
   新聞記事より
    ・Niobium prices stability benefits Malawi
    ・Govt earns K 2-bn from mining sector

   結局のところ今の私にとって探鉱とは、お金を得るためにやっていること
   でもなければ、どこかの会社のためにやっていることでもない。
   仕事を作るために仕事をすることでもない。もっと崇高なことである。

2011年6月12日
   マラウイの物価上昇率は約7%/年だそうだが、もっと高い気がする。
   新聞料金がこの1年で2回にわけてK100K130K170となった。今年に
   入ってEscomの電気料金が20%以上値上げ。
   この国は郵便は家まで配達してくれないのだが、私書箱(PO)の料金が1年
   で5万円弱に極端に値上げしたのはまったく馬鹿げている。

   この半年ぐらいで大抵のものが30%程度値上がりしている気がする。
   ゾンバでは、ワインとオリーブ油が買えなくなっている。

   今年は160,000トンの化学肥料補助が、来年には140,000トンになるという。
   電力難のためにカエレケラ・ウラン鉱山の成長は遅滞している。
   携帯電話の普及率は2007年で8%2009年で11%程度でしかない。

2011年6月14日
   正常に営業しているガソリンスタンドが少なく、順番待ちの長い列をなす
   車両も夕方には運転手が出て行ってしまい、道路の端部で駐車状態。

2011年6月15日
   Govt earns K272m in Kayelekera royalties
   
【記事要点】マラウイ政府はオーストラリアの鉱業会社パラディンが所有
   するKayelekeraウラン鉱山から、昨年の鉱業権料K272×百万(販売価値の
   1.5パーセント、約1.7百万ドル)を得た。
同鉱山はウラン726,088.89kg
   113,460,876.09ドル[K17.246×10億]の価値を持つ精鉱[イエローケーキ]
   をカナダに輸出した。
2億ドルの費用がかかったプロジェクトの85%を
   パラディンが持ち、政府が残りの15%の株を所有する。


2011年6月17日
   5月17日付で書いたように、資源確保に「オールジャパン」などという
   概念は成り立たない。「護送船団」方式は破綻している。
   探鉱はオープンにやるものでないし、片手間にやるものでもない。
   応分のリスクと地道な努力を避けて通れない。
 
2011年6月20日
   IAEA、マレーシアのレアアース製錬施設の安全性調査実施

2011年6月21日
(世界のレアアース「埋蔵量」−1)
   エコノミストや私の同業者が訳知り顔に「レアアース埋蔵量は、中国は
   世界の3割に過ぎないから」と言ってきた。結論的な論旨について強い
   異論はないのだが、「埋蔵量とは何か」、「数値は正確なのか」という
   前提については、本当はもっと検討しなければならない。

   私の理解では、埋蔵量(埋蔵鉱量,〔OreReserve )とはJISの用語で
   JORCの「鉱物資源量,Mineral Resources」とほぼ同義である。
   埋蔵量は,その確度の順に,確定鉱量,推定鉱量,予想鉱量に3分される。

   USGSRare Earths Statistics and Information にリンクされている
   レアアースのMineral Commodity Summaries所収の表を下に引用する。
   上段が2010年版、下段が2011年版である。

 

 

   注意したいのは、中国の埋蔵量が36百万トンから55百万トンに増えて、
   世界の埋蔵量の50%になり、オーストラリアの埋蔵量が大幅に減っている
   ことだ。Reserveの説明(Substitutes 6)の冒頭で"Reserves data are
   dynamic."と書かれており、それはそうなのであるが、数値が増減した
   理由について更に調べてみたい。

2011年6月22日
   Rare Earths mining, processing and supply outside China

2011年6月24日
(世界のレアアース「埋蔵量」−2)
   USGS(米国地質調査所)は最近になってレアアース埋蔵量の数値を大幅に
   見直したのだ。オーストラリア地球科学機構(Geoscience Australia
   の、経済的に証明された資源量の慎重な定義をUSGSが採用し、豪州の
   資源量を下方修正した。

   一方で中国については、はっきりしたことがわからないが、今までも常
   に外部に出ているデータが限定的であった。USGSが新たにデータを収集
   するごとに埋蔵量は大きく算定される。これからも更に数値が拡大する
   かもしれない。

   中国はレアアース備蓄計画の細部を公にしていない。包頭などで、少な
   くとも10箇所以上で備蓄施設が建設中であり、備蓄は10万トンを越える
   かもしれないと、中国の国営メディアは報告している。年間生産量の8
   割だが、中国以外の世界の需要の1年分以上でもある。

   これは、その気になれば中国が安売り攻勢に転じて、中国以外のほとん
   どのレアアース新規鉱山について、収支見通しを壊滅的に混乱させるこ
   とが可能であることを意味する。

   
> 中国のレアアース生産、世界で占める割合は大幅に低下へ
   軽希土類についてはそうかと思えるかもしれない。しかし、"中国工業
   情報省の元高官"が今頃になってこういう報道を流す意味を読みきるか
   どうかで数年後に明暗が現れるだろう。

2011年6月29日
   Rare Earth Deposits Found in S.Korea's Gangwon, Chungcheong Pr.
   
   「ブランタイア−ゾンバ間道路」、今年着工。

2011年6月30日
   【韓国】国内発見の希土類鉱脈,経済性ない


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