〜2007

2008
〜2010年9

2010年10
〜2011年6

2011年7
〜2012年1

2012年2
〜2013年3

2013年4

 

 

2008年4月9日
   試掘権登録のために、9万円の登録免許税を納付する。

2008年4月24日
   試掘権が登録される(静岡県 試掘権登録第5813号)。

2008年6月18日
   静岡森林管理署に伺い、国有林野入林許可申請願書ほかを提出。

2008年6月27日
   上の許可等を受け取る。

2008年8月16日
   K技師、I教授と、巡検・地化学探査等を行う。


なぜか、篩・・・・・


2008年8月17日
   某鉱山会社のボーリング現場の近くを通る。

2008年8月20日
   静岡県に鉱区税57,000円を納付。

2008年11月6日
   M社を定年退職される佐藤(英)さんにお会いしたので、
   私のように鉱業権を得て個人探鉱してはどうかと
   お勧めしました。

2009年4月
   このホームページを始めて、先月で10年になることに気づきました。
   他の場所の鉱業権出願も検討しています。

2009年5月26日
   また静岡県に税金を納めました。

2009年9月20日
   
海外探鉱作業の予定があり、国内個人探鉱を休止することを検討している。

2009年9月26日
   このウェブサイトは、特に閲覧者を限定的に考えたことはなく、
   地下資源探査(探鉱)についての素人からプロまで様々な人を想定してきた。
   だから、ボーリング屋と地質屋の違いを知らない人が質問してくるのが
   嫌だと思ったことはない。

   しかし、業界や学界に所属することを矜持に思っているような人が未経験
   故に、地下の見えないものを探査することの困難さをあんがい知らない
   実態に直面してしまう際には、寂寥を覚えないわけにいかない。
   ある断裂の地下での傾斜が84度だろうか、85度だろうかということで
   悩んだ経験のない人が、他人の言葉による先入観を自分の考えのように
   偽装して提出するのなら、「汝の道を行け。人をしてその人の言うに
   まかせよ」という一節が想起されるだけである。

2009年10月2日
   リンク集を更新していますが、リンク先がなくなっているものが多く、手直しに
   時間がかかりそうです。


2009年11月1日
    ろう石鉱床が金銀を伴う可能性について検討した。
    日本のろう石鉱床は、火山活動の末期に熱水が割れ目を上昇する過程で形成
   された。H2Sを含む熱水が深所から上昇して酸素が溶けた地下水と混合すると
   強い硫酸酸性の熱水溶液となる。
    このような酸性熱水は周囲の岩石からAl2O3を溶かして、Al2O3に富む熱水と
   なる。更に周辺の岩石との反応が進むと、熱水が強酸性から弱酸性となり、
   溶液中のAl2O3は沈積して、パイロフィライト、カオリン、ダイアスポアなどが
   生成する。更に反応が進んで熱水が中性に近くなるとセリサイト(絹雲母)が
   生成する。
    これらの変質鉱物は岩石中の長石や火山ガラスなどの元からあった物質と
   置き換わり、パイロフィライトが多い岩石やセリサイトが多い岩石ができる。
   これがろう石鉱床である。

    金銀の熱水鉱床では、金銀は石英に伴って生成する。つまり、石英脈や
   珪化岩(岩石に元からあった物質が熱水性石英に置き換わった岩石)が金銀を
   含む。たとえば坂越大泊鉱床(兵庫県赤穂市)では、ろう石鉱床内部および
   付近の割れ目に沿った石英の脈が金銀鉱床(鉱脈)となっている。

    また、これらの金銀を含む岩石が地表付近で風化した場合に、多くの成分が
   溶け出すが、褐鉄分と金が残ることで、更に金の品位が高い二次的な富鉱を
   形成することがある。

    従って、もし、ろう石鉱床が金銀鉱床も伴うとすれば、石英脈、珪化岩
   および褐鉄質岩に金銀が含まれるはずである


2010年1月6日
   福島県二本松市にある訓練所(JICA NTC)に入所。

2010年3月11日
   JICA-NTCを修了。

2010年3月24日
   日本を出国。Départ dans l'affection et le bruit neufs!
              (出発だ、新しい愛情と騒音へ!)
2010年3月25日
   マラウイ共和国に入国。

〜2010年4月13日
   
Lilongweに滞在してチェワ語の勉強ほか。

 

 

      JOCV(青年海外協力隊)の面々

2010年4月12日

 

 

      マラリアの予防薬と治療薬

2010年4月14日
   
Zombaに移動。

 

 

作業場がある建物

Zombaの市場


2010年4月18日
    チルワ湖付近の日帰り偵察。
    Wikipedia を読むと淡水湖のように書かれているが、実際は塩分を含み、魚の種類も
    マラウイ湖やシレ川とは異なるようだ。

 

 

Lake Chilwa Kachuluにて.Chisi島に行く船.東方(右)はモザンビーク.


2010年4月24日

   真の地質屋?

    

 クリックすると拡大

    ここに書いてあることはたぶんデタラメ。
    真の資源地質屋は全体を解析・把握して、
地下がどうなってるかイメージでき、
    探査の結果について一人で責任を負える存在だ。物探屋とは違う。

    「多くの専門家や先生を集めてもっともらしい議論して、責任を分散〜無化する」
    なんてことを民間会社はしない。

    JICA的に言うなら「技術」、「語学」、「体力」のどれもがなければ 駄目。
    技術があっても語学力がなければ駄目。

    要するに、総合的でなければならない。部分的な存在は邪魔。
     
2010年4月30日
    1987年、東北地方の現場で新聞を読んでいたら、小さな一つの記事が
    目にとまった。「岩手県の某集落に電線が通り、電気が使えるようになった。
    これで日本で人が住む里はどこも電化された」という内容だった。
    「まだ日本で電気が使えない所があったのか」と驚いたわけだ。

    このマラウイ共和国では94%の家庭で電気が使えない。電気が使える家庭や
    オフィスでも毎日2時間の計画停電だ。
    水力発電施設も原子力発電所も建設に時間がかかる。国産の石炭による火力
    発電を考え、石炭をもっと開発する必然があることになる。

2010年5月20日
    途上国における石炭の開発促進はCO2排出増大につながるので、ODAに不向きだ
    という意見がある。先進国が途上国と目線をほとんど
合わせていないで議論している
    ようにしか思えない。
    先進国の国民が電気を使うことでマラウイ等のサブサハラ諸国民より桁違いに多い
    石炭を消費していながら、マラウイ人が電力不足改善のためにわずかな石炭を開発
    することに目くじらをたてるなら、不条理なことだと感じてしまう。
    以前から思うのだが、環境とかエコとかというのも一種の宗教ではないだろうか。
    右も左もそこに終着して退化する。

    「都市鉱山」とか「地上資源」とか後ろ向きなことばかり言ってる人たちも同じ。
    彼らの願望がかなって全ての資源が「都市鉱山」から供給されるなら、仮に回収率
    が100%だとしても人類の資源は不足する。
    人類は鉱害を解決できないかのような、科学や技術を軽視した議論でもある。
    いまの日本では病理的な退行表現だけが幅をきかせているように思えてならない。
    誰もが同じことを言っていないと仲間はずれにされそうな不安におそわれるのだろ
    うか。馬鹿馬鹿しくて仕方がない。

2010年5月22日
    マラウイ共和国の電力不足のもうひとつの解決策として、地熱発電を検討しろと
    言われた。
    アフリカ大地溝帯(Great Rift Valley)にかなりの地熱エネルギーが存在する
    可能性があるとされる。ケニアでは最近、電力の15%が地熱発電で供給されて
    いるという。大地溝帯全体で「少なくとも7000メガワット」の地熱発電が可能で、
    東アフリカ諸国のエネルギー需要に大きく貢献すると期待する向きもある。

    マラウイには火山
(第四紀)はないが、正確に書けば北部国境付近のタンザニア
    側に火山があり、その噴出物はマラウイ側にもある。
    マラウイ側の温泉でも地化学温度が比較的高い(Zuze Dulanya et al.(2010))。

    地質構造調査と小坑径ボーリングを検討しています。なかなか日本の企業が乗り
    出すのは難しいかもしれませんが、興味がありましたらお知らせ下さい。

2010年5月26日
(先カンブリア紀の金鉱床ノート−その1)
     金鉱床の生成時期は、始生代末と新生代に集中。ここでは前者について再確認。
    造山型金鉱床(Orogenic Gold Deposit)

    貫入岩関連金鉱床(intrusion-related)=中熱水性鉱脈=IRG鉱床
    斑岩型銅-モリブデン-金鉱床(pophyry Cu-Mo-Au deposit)
    金に富む火山性塊状硫化物鉱床(VHMS)・・・ノランダ型鉱床ほか
    浅熱水性鉱床(epithermal deposit)

    金は始生代のクラトンから最も多く採取されている。たとえば次のような大鉱床。
   カナダのLupin, Golden-Giant, Campbell, Hemlo, Abitibi gold belt ,
   ブラジルのMorro Velho, 南アフリカのWitwaterstand area, New Consort,
   ジンバブエのCam and Motor, Globe & Phoenix, タンザニアのBulyanhulu, Geita,
   インドのKolar Gold Fields, Hutti, オーストラリアの Boddington, Big Bell,
   Hill 50, Eastern Yilgarn Craton, Plutonic など。

    特に造山型金鉱床は、鉱床が集中して鉱床群をつくりやすい。鉱化流体(鉱液)の
   塩濃度は高くない。ただし、重炭酸の影響・混入。火山活動あるいは構造運動の後期に
   重炭酸分の動き・・・"Lode Gold"の特徴。花崗岩類(granitoid)マグマの上昇・固結。
   造山帯なので大なり小なり変成作用は受けている。

   造山型金鉱床のトラップ
    1.断層 2.破砕帯 3.帽岩(Cap Rock)的な構造 4.褶曲とそれに伴う蝶番断層構造

2010年5月30日(先カンブリア紀の金鉱床ノート−その2)
     造山型花崗岩類(orogenic granitoid)
   「造山運動に伴って迸入する花崗岩類。比較的小規模な岩体が多いが岩相変化に 
    富み、時に累帯構造を伴う。昔は堆積岩起源とも考えられたが、最近の学説では,
    造山運動と水の影響によって,はんれい岩を主とする下部地殻の融解によって
    デイサイト質マグマが生じ、花崗岩類の大量生産が一時に起こったと推定されて
    いる。造山型金鉱床の形成に関係。」
   地殻物質の影響が増大するに従って、トナル岩、花崗閃緑岩、花崗岩と変化。
更に
   優白質になることも。

      kotobankの「深成作用は一般に短いが,長期間続く」という説明、意味わからん。
   花崗岩類の年代は、幅がある(個々の岩体で若干の差異がある)。
   造山型金鉱床は鉱脈〜裂罅充填型で、花崗岩類の固結より後に形成。
   
2010年6月3日RIRGS−その1)
     Reduced Intrusion-Related Gold System
   (還元性貫入岩関連金鉱化帯
…という訳でよいのか?
   主としてC.J.R. Hart(2008)によれば、
    RIRGSともいう。小規模な深成岩体の頂部〜甲殻部に特徴的に多く賦存する
   含金石英脈群。
    低品位だが大規模な金鉱床を形成し、ビスマス・テルル・タングステンを伴う。

   「還元性」とは、要するにチタン鉄鉱系(イルメナイト系)
*ということ。
     
 *Ishihara, S., 1981,The granitoid series and mineralization: Economic Geology 75th Anniversary Volume, p. 458--484.

   中生代…アラスカのFort Knox、カナダのDublin Gulch…白亜紀中頃
   先カンブリア紀…オーストラリアのTennant Creekほか

   シリトー(Sillitoe)が定義する貫入岩関連金鉱床(intrusion-related gold)
   =中熱水性鉱脈=IRG鉱床とは別の(というより相互補完的な)概念。
   すなわち、
   RIRGSは、酸素フガシティーが低い条件→チタン鉄鉱系のGranitoidに関連。

   簡単に述べれば、
   IRGは、酸化的で磁鉄鉱系の深成岩に関係する斑岩銅鉱床で、銅が減るとか
       金が増えるとかしたもの。Oxidized Type.
   RIRGSは、還元的で珪長質な深成岩に関係して、タングステンを伴い、
       硫化物は絶対量が少なくて還元的な構成。Reduced Type.

2010年6月5日

      Blantyreに行き、2000年に亡くなったJOCVの方の慰霊碑の前で黙祷しました。

2010年6月8日RIRGS−その2)
       
帯磁率計で花崗岩類の系列と鉱床の関係を説明していたら、鋭い質問が来たので急いで勉強しないと。。
   特に始生代・原生代の鉱床で、RIRGSと造山型金鉱床の区別が曖昧なまま。
   Hart氏は古い時代の鉱床を造山型にして、デボン紀〜石炭紀と白亜紀の
   鉱床を
RIRGSにしたくて仕方がないらしい。

   しかし、相反する概念ではない。つまり、広域変成帯を伴う造山帯に、チタ
   ン鉄鉱系の花崗岩類が貫入したらいけない、などということはないのでは?
   鞠子氏の分厚い本(鉱床地質学,2008P.179〜)にもある「斑岩金鉱床」には
   IRGRIRGSという概念がなく、はっきり区分されていない!?

   鉱化作用が及んだ主たる範囲が花崗岩類(〜斑岩)の内部であるか外部で
   あるかは、各岩石の岩質、地質構造、蒸気圧と封圧や岩石強度の関係で起こる
   retrograde boiling (下降的沸騰)の有無や規模等に規制されると思える。
   斑岩銅鉱床でも斑岩の外部が採掘対象になる場合があることを想起すれば、
   本質的問題とは言えなくなる。

   金品位は、多くの場合1g/t未満であるが、時に50g/tに達する。
   品位が高いのは孤立した脈の場合が多く、bulk mine mass mine として

   採掘することを前提にすれば、局所的な高品位を議論しても仕方がない。
   それでも、スカルン型の交代作用によって高品位部ができることは注目すべし。

     Iタイプ……火成岩の初生マグマから形成された花崗岩類
     Sタイプ……堆積岩起源の花崗岩類
     Mタイプ……Iタイプの中でもマントルに由来する花崗岩類
     Aタイプ……Iタイプの中でもアルカリに富む火成岩に由来する花崗岩類

   Iタイプの花崗岩は,磁鉄鉱系とチタン鉄鉱系の両方がある.
   多くの金属鉱床がIタイプに関係するが、果たしてRIRGSは? (つづく)

2010年6月12日RIRGS−その3)
     ※前回の補足
   Retrograde Boiling (or Second Boiling ; 下降的沸騰、後退沸騰、第二沸騰
   
…日本語訳は一定しない)
   斑岩銅鉱床等の生成過程で,ほぼ固結した段階の珪長質マグマで,
   蒸気圧が封圧や岩石の強度より高くなり,一気に角礫化が起こること.
   基質部に鉱液が浸入して鉱床を形成。
     ※物理学的な説明は、コトバンクの「第二沸点」の項を参照!

   ワールドカップがあって、勉強がはかどりませんね。

2010年6月15日RIRGS−その4)
   RIRGSの鉱化作用を規制している最終的な要素は、母岩の化学反応性である。

   例えば、熱の影響が及ぶ範囲に石灰岩がある場合、スカルンが形成される。
   還元型スカルン(灰重石が卓越)にグライゼンが伴う。
   
   熱変成帯では、硫砒鉄鉱(arsenopyrite)が金と共生する。
   熱源の花崗岩類から数kmはなれて、透輝石±緑泥石±陽起石スカルン。

   Hartによれば、深成岩(花崗岩類)-母岩境界から母岩側に3kmまで流体の影響を
   受ける可能性。

   このように鉱床の規模と形状は、鉱化作用の性状に依拠するが、
   貫入岩母岩性で、シート状の鉱脈をなす鉱床が資源として重要。
   (saddle reef =鞍状鉱脈や leg reef だけでは大規模な鉱床になりにくい。)
   ひとつひとつの鉱脈延長は200300m

   鉱化作用の通路は、アプライト、ペグマタイト、モンゾナイトなどで充填され
   ている場合が多い。
   局所的に灰重石を含み、高温(650)・無水の透輝石-斜長石スカルンによって、
   初期段階の鉱石は特徴づけられる。

2010年6月16〜18日RIRGS−その5)
   比較的低い温度で鉱条が発達して黒雲母、zoisiteまたはactinoliteが卓越する
   (含水性)スカルンは、多量の硫化物を含む場所で金も伴いやすい。
   高温の硫化物は、主として磁硫鉄鉱からなり少量の黄銅鉱を伴う。しかし、
   低温の硫化物は、主として硫砒鉄鉱からなり、多様なBi-Te-Sb-Pb-Au鉱物と
   固溶体からなる。

   初期の鉱脈の大部分の母岩は貫入岩である。
   初期の鉱脈は、アルカリ長石、雲母、灰重石を含む石英脈として特徴づけられる。

   地化学探査では、RIRGSはタングステンと関係するAuの優勢と、銅が少ない
   点で酸化性のIRG(貫入岩関連金鉱化帯)と区別される。
   ビスマス、テルル、砒素、アンチモンは指示元素になる。
   これらの元素は帯状分布を示すが、その規模は関係火成岩である深成岩に規制
   される。

   脈際の変質鉱物は、カリ長石、または炭酸塩(苦鉄質鉱物を交代)のいずれかである。
   そのすぐ外側は、絹雲母-±黄鉄鉱±炭酸塩帯になっているが、金鉱床に特徴的
   な変質と言える。更に遠方で緑泥石が出現することがあるが普遍的ではない。
   
2010年6月22日RIRGS−その6)
   Prograde Alteration (昇温変質)←→Retrograde Alteration (後退変質)
   一般的には、前者が先に起こって、後者が後。後者は熱水等流体が豊富で広範囲。
   たとえば、(昇温変質・熱変成作用で)黒雲母が生成した後の変質でできた
   絹雲母は、ホルンフェルス化ハローの広範な領域に分布することがある。
   中心から離れたところにAg-Pb-Zn鉱脈が胚胎することもある。

   しかし、大部分のAu-W-Bi-Te鉱脈は、CO2に富み低塩濃度の、初期の高温環境
   (>300)で生成。
   
同位体について……後まわし。

   RIRGSは基本的に、中心から末端に向かって、貫入岩母岩→接触帯→深成岩周辺
   →深成岩遠方へと金属を沈澱させていく。従って、関係火成岩である深成岩から
   外側に向かって異なった鉱化状況をなすような帯状分布を示す。


2010年6月23日RIRGS−その7)
   関連する深成岩は、概して小規模である。単独で存在するので、熱水流体の熱源〜
   供給源であったことは明白である。
   揮発成分を多く含んだり、分留と流体があったりしたことを示す特徴としては、
   黒雲母花崗岩類に角閃石が含まれ、組織的な粒度変化、アプライトとペグマタイトの
   岩脈、電気石鉱脈、miarolitic cavity、一方向的な晶出がみられる晶洞、および
   グライゼン変質がある。鉱化作用はドーム状に起こる。

2010年6月25日RIRGS−その8)
   RIRGSに関係する花崗岩類はチタン鉄鉱系に属し、磁鉄鉱が少なく帯磁率は低い。
   従って、空中磁気探査でもフラットな応答となる。

   鉱化作用は還元的で、硫化物、通常は磁硫鉄鉱と、局所的にメタンを含む流体が
   強く関係する。

   鉱床の形成には、冷却に伴って揮発成分が飽和したマグマと、マグマから流体が
   分離する状況が必要である。金属元素と揮発成分(硫黄、ハロゲン等)は、
   おそらく、マグマから分離して、水分と炭素に富む鉱化流体相(鉱液、鉱化剤)
   を構成する。
   
高圧環境では揮発成分が容易に珪長質マグマに溶存できるので、迸入時の圧力と
   深度は、揮発成分の飽和に大きく関係する。
   ただし、揮発成分の飽和は、マグマの中で造岩鉱物の結晶が始まる前に起こる。
   広範に分布する深成岩の中で、ある特定のものがRIRGSと関係するのは、迸入深度
   と鉱化作用の関係の重要性に因るところが大きい。
   そして、鉱化帯は飽和が起こった場所より上部と外側に限定される。
   マグマ・メルトより質量が低い状態で、流体はマグマ溜りの比較的粘性が低い
   部位に移動する。その部位は、初期に固結した甲殻部のすぐ下の、揮発成分に富む
   マグマ性ドームである。

2010年6月28日
   RIRGSについての勉強と取りまとめは、まだ続けるというかこれからが本番なので
   ある。一昔前までなら、こういう海外の新しい理論のまとめと啓蒙は大学等の
   研究者がやっていたことである。そういう人も少なくなったし、目先の利益ばかり
   が重視される世相なので、私のような「ボランティア」がしゃしゃりでてくる
   次第だ。

   先週もある方にメールしたのだが、海外の某鉱山会社がリーマンショックで倒産
   しかかった際に、日本の会社はどこも助けてくれなかったが、中国の企業が投資
   して支えたという。最大の窮地に陥っている時に助けてくれるのが本当の友だと
   いうのはたぶん正論だ。同社が今でも中国に感謝していて、目先のことしか頭に
   ない日本のビジネス界を良く思わないのは私にはよく理解できる。
   昔、田中角栄が病気で倒れて、日本の政治家が彼を無視するようになっても、
   中国の政治家は日本にくれば、田中邸への表敬を欠かさなかった。
   私は、中国の政治体制がよいとも思わないし、このマラウイでも中国人を嫌う人は
   沢山いる。しかし、上のような中国人の義理堅さは学ぶべきだろう。
   日本人が忘れかけている「東洋的な美質」も、自然を相手にして長い時間をかける
   探鉱ビジネスでは威力があるのではないだろうか。

2010年6月29日
   上の私の意見を嘲笑する御仁は、ためしに、最新の英語の鉱床学用語をネットで
   ウェブ全体から検索してみるとよいと思う。英語のサイトが沢山でてくるのは
   当たり前だが、中国語のサイトはでてきても日本語サイトはなかなかでてこないか
   全くでてこないことに気づくだろう。資源や鉱山の知識技術では、既に日本は中国
   に抜かれているし、このまま行けば大差がついて取り返しがつかなくなることを
   思い知らされるはずだ。

   特に自分が愛国者だと思わないが、世界の地下資源や鉱山に目を向ける日本人が
   いなくなって、「都市鉱山」だの「地上資源」だのと吹聴し、静脈産業があれば
   動脈産業は要らないと言いたくてうずうずしている人たちばかりがのさばる
   近未来の日本国というのは、外部を知らない観葉植物ばかりの温室とか、養鶏場
   とかのような国になるとしか思えない。

2010年6月30日
(先カンブリア紀の金鉱床ノート−その3)
   RIRGSをとりあえず別にした上で、下の始生代の主要な金鉱床をまとめた包括的な
   概念の必要。
     造山型金鉱床(Orogenic Gold Deposit)
     貫入岩関係金鉱床(intrusion-related)=中熱水性鉱脈=IRG鉱床
     浅熱水性鉱床(epithermal deposit)
   その他、lode gold, shear-zone-related quartzcarbonategold-only deposits
   などと呼ばれたりするものも含めた・・・・・・・・。

   そして、
   Greenstone hosted quartz carbonate vein deposits (from Poulsen et al., 2000)
   =グリーンストーン母岩性石英−炭酸塩鉱脈鉱床
(とでも訳すか)

   始生代の地層中の金鉱床としては、金の量で最も重要。
   また、世界的に重要な同タイプ鉱床が原生代と古生代の地層に賦存する。
   大規模なグリーンストーン母岩性石英−炭酸塩鉱脈鉱床は、断層帯に沿って分布。
   鉱床は縞状の含金銀石英−炭酸塩鉱脈で単純な脈から錯綜した網状脈までの形態を
   とる。
   母岩は時に苦鉄質な緑色片岩。
   金は、石英等の脈や網状脈に含まれるほか、鉄に富み硫化・破砕された母岩にも
   含まれる。母岩中に鉄炭酸塩。

   Dube P. & Benoit G. (2006)が金鉱床の各タイプとその関係をまとめた図を示す。

 

 

Inferred crustal levels of gold deposition showing the different types of gold deposits and the inferred deposit clan

 

Dube P. & Benoit G. 2006: Greenstone- Hosted Quartz Carbonate Vein Deposits. Geological Survey of Canada, Quebec City.


2010年7月2日
   「探査日記」のファイルサイズが大きくなりすぎたので、二つに分割しました。
   
2007年までの日記はここをクリックして下さい。

2010年7月6日(先カンブリア紀の金鉱床ノート−その4)
   Bulyanhulu鉱山(タンザニア)
   地層が規模と構造を規制し、異なる母岩の中でほぼ平行な弱線に沿った鉱化作用。
   流体包有物均質化温度は300450℃。CO2-CH4を含む低〜中塩濃度の熱水。
   鉱脈形成の間に相分離。
   剪断帯から母岩への流体通路に沿って幅の狭い変質帯。金鉱脈の走向傾斜は一定しない。

   マグマ性(斑岩)流体。造山型・重炭酸?含有流体の活動は複数次にわたる。
   Cuが多い鉱石群(+Bi-Te,Mo)……ただし鉱種の構成は鉱脈ごとに異なる。


2010年7月7日RIRGS−その9
   (6月25日のつづき)
   流体は、甲殻部のフラクチャーに侵入。また、時には付近の母岩にまで入り込んで
   化学反応を起こすこともある。
   火成岩の甲殻部やホルンフェルス化した母岩で鉱物が産出。
   多くのRIRGSの主要な母岩たる深成岩体は、多量の金属や揮発成分をもたらしたに
   しては小さすぎるようにみえる。より大規模な初生流体の関与が示唆される。
   そして、潜頭性のバソリス、または苦鉄質でlamprophyricなマグマが想定される。

   島弧環境の高酸化型マグマは、Cuと時にはAuが卓越。還元型マグマシステムでは、
   Cuは初期の硫化物析出によって外部に取り除かれがちであるのに、Wは共生しに
   くい挙動を示して、分別作用の間、富化される。


2010年7月9日RIRGS−その10
   多量のCO2を含み、一部を除いて塩濃度が低い流体がRIRGSで支配的である。
   その性状は斑岩銅鉱床の場合とまったく異なる。
   冷却は迅速に起こり、マグマ活動が活発な時と熱水活動の時期は隔たっていない。

   古くは大陸縁だった場所に珪長質深成岩が貫入した"造山帯の突端部"に注目するべき
   である。そのような場所は、昔から錫、タングステン、銀あるいは金の鉱徴が知られ
   ていたりする。


2010年7月14日
   Newsweek(日本版)「アフガンに金鉱? アメリカはどうして発表したのか?
   関心を寄せざるを得ない記事だが、異常に情報が貧しい。

2010年7月16日
   2001年以来の閲覧が5万となる。当初よりペースが落ちているが、同じぐらいに
   古いウェブサイトの大半が低落著しいわりには生き延びているほうだろう。

   少し解説すれば、検索や直リンクで「探査日記」や「リンク集」だけを閲覧する
   人がかなりいるけど、その場合アクセスカウンターで計算されないので、実際の
   の閲覧数は表示の1.3倍程度らしい。

   多くの人々はわかっていないようだけど、ウェブサイトが生きる秘訣は技術的な
   能力でもないし、発想力でもない。社会性だ。
   このウェブサイトは平日のほうが閲覧が多いし、閲覧時刻の過半は日本の普通の
   サラリーマンの勤務時間帯なのです。

2010年7月20日希土類=レアアース その1)
   
China's rare earth cutbacks could push search for Canadian sources
   この種の記事を近頃さんざん読まされているので、鉱床の概念をまとめたい(下図)。

       希土類元素(Rare Earth Elements = REE) 濃集プロセス

   マグマの分化−苦鉄質鉱物の結晶化によって、残ったマグマはより珪長質になる。
   残存しやすい元素(タングステン、モリブデン、ウラン、ニオブ、タンタル、
   希土類等)が濃集してゆくが、これらの元素も濃集の仕方は、温度、圧力、
   酸素フガシティーなどの要素でそれぞれ特徴がある。
   カーボナタイト型、アルカリ岩型と、中国のイオン吸着型(花崗岩風化型)、
   熱水性鉄(鉄希土類)が重要。他に漂砂型、ペグマタイト・アパタイト等の脈、
   カーボナタイト風化ラテライト。
   重希土類はイオン吸着型とアルカリ岩型につきやすい。

2010年7月21日希土類=レアアース その2)
   どこが希土類資源の探鉱地として有望なのかについて、こんな公開のWebで書く
   わけにいかない。
   しかし、場所にもよるが、探鉱と同じぐらいに難しいのが選鉱と製錬だろう。

   マウンテンパスでは、粉砕の後、浮遊選鉱により脈石鉱物とバストネサイト鉱を
   分離する。精鉱は、(か焼→)焙焼・塩酸浸出して、不溶性残渣を除去する。
   得られた溶液は溶媒抽出によって各成分に分離される。
   中国では、バストネサイト精鉱の処理は硫酸加熱から始め,焙焼による硫酸塩を
   冷水浸出によって硫酸塩溶液とする(その際SOxFSによる大気汚染を要防止)。
   インドでは湿式比重選鉱・磁力選鉱の後、モナズ石精鉱に苛性ソーダ液を加え、
   リン酸分除去、加熱加圧して水酸化物とし、更に熱濃リン酸ソーダ液にする。
   UThがあれば、これらの過程で濃塩酸等を用いて分離除去する。

   特開2003-245573出願案件(風化希土類鉱石からのバストネサイトの選鉱方法)を
   読むと、解決手段として「最初に重晶石及び蛍石の連続的な逆浮選を行った後に、
   バストネサイトの浮選を行う」としている。普通の浮選は捕集剤で有用成分を抽出
   するのに対して、逆浮選で不要な重晶石を抽出して取り除く。
   似たようなことは上のマウンテンパスでもやっているが、もっと複雑な鉱石に
   対応できるのだろう。

2010年7月23日希土類=レアアース その3)
   上述のどのような選鉱法であれ、結局は酸性またはアルカリ性の液ができる。
   希土類元素は塩酸、硫酸、硝酸には溶解しやすい。
   シュウ酸、フッ酸、リン酸、炭酸とは化合して難溶性の生成物ができる。
   また、希土類水溶液は苛性ソーダ、アンモニアによって水酸化物を沈殿する。

   イオン吸着鉱の場合は、現場で採取した段階からリーチングによる酸性液である。
   つまり、耐酸性ピットに入れた鉱石スライムまたは現地の地層に希硫酸を浸透させ、
   カルシウム分は石膏にして不溶化し、希土類元素硫酸塩の溶液を抽出する。

   中国華南では、その希土類元素硫酸塩の溶液にシュウ酸を添加して希土類の
   シュウ酸塩を沈殿させ、焼成によって希土類酸化物(要精製)を取り出しているが、
   廃棄する石膏に硫酸が残っているので鉱害が発生していると伝えられる。

   ミッシュメタルのような製品を別にすれば、希土類を各元素に分離する。
   希土類の各元素は性質が相互によく似ているので分離が難しいが、現在工業的には
   溶液は、
SX(溶媒抽出)に、分別沈殿法、イオン交換法を組み合わせて、元素ごとの
   酸化物を精製していく。
   必要に応じて更に電解製錬を行って、各希土類金属を抽出する(後述)。

   需要状況から製品(〜中間製品)の種類が多いので、SX-EWの工程はとりにくい?
   日本では、信越化学工業が溶媒抽出工程、三徳が電解工程、昭和電工が溶媒抽出と
   電解設備の技術や設備を持っているが、現在の中国のSX技術は優れている。

   SX=solvent extraction=溶媒抽出法は、もともとは化学分析の際の分離濃縮技術で
   あったが、TBPD2EHPAt等の溶媒の使用によって工業化されるようになった。
   金属イオンを溶かす油と、金属イオンを含む水溶液を混合すると、一部の金属イオン
   が水溶液から油に移動する。そのあとで油と水溶液を分離、油を取り出し、酸などの
   別の種類の水溶液と油を混合接触させて、油中の金属イオンを逆に水溶液に移す。

   Amex法(有機アミン−ケロシン)、Dapex法(リン酸系有機溶剤)、Clanex法、
   というのもSXの一種で希土類分離にも利用されるが、よく使われるのは、TBP
   (燐酸トリブチル;4CeLaの高純度化)D2EHPA(-エチルヘキシル燐酸-
   モノ2-エチルヘキシルエステル;Eu濃縮)、りん酸二水素(2-エチルヘキシル)
   Tricapryl Methyl Ammonium SaltPC-88A(酸性リン酸エステル)などを溶かし
   た灯油やn-ヘプタンである。

2010年7月24日
   JOCV隊員送別会で、マラウイ南部の日本人十数人がゾンバに集まりました。

2010年7月26日希土類=レアアース その4)
   溶媒抽出の次に電解製錬についてまとめるつもりだが、まだジャーナリスト的な
   解説でしかない。私はアフリカ現地在住の探鉱者かつ地下資源開発アドバイザー
   であり、日本希土類学会の会員でもある。
   「こんな問題もありますよ」というだけでなく、問題の解決方法を提出するなり
   示すなりしなければならない。問題とはもちろん希土類の供給不安であるが、
   探鉱面だけでなく、実は選鉱・製錬にも多くの問題がある。使用の絶対量が急増
   しているのだから、リサイクルなど解決にならない。

   抽出剤を用いて、希土類を溶かした水溶液層と振とうすると、重い希土類ほど
   錯体の安定度が高くて溶媒側に抽出される。
   中国の大工場では「向流多段装置」によって連続的に数十段のミキサーセトラー
   による溶媒抽出操作を行う。バイヤンオボ産の「北方鉱」と華南の「南方鉱」
   (イオン吸着鉱抽出物)とは別のラインになっている。
   現在、この工程では、規模とノウハウで中国の大企業が最先端に位置しており、
   付加価値の研究にも余念がない。
   日本の企業は数年程度おくれていて、後塵を拝している。

   ただし、中国では<合理化>によって希土類生産を20社程度?に絞り込みつつ
   あるらしい。<市場経済>と言っても、原料は供給(配給)制であり、国家
   原料部からの許可がなければ生産は不可能となる。あるいは融資の条件を厳しく
   することもできる。設備が不十分な企業の操業資格を取り消すこともできる。
   輸出税の増税・委託加工貿易の禁止などは既に行われている。

2010年7月27日希土類=レアアース その5)
   基本的な課題は、製錬技術で中国に勝つか負けるかではなくて、日本の企業が
   希土類を安定して購入できるか、である。中国が安定した供給を継続しない
   場合の議論なので、中国国内の製錬所は利用できないとして検討しなければ
   ならない。その可能性は potentiality でなく probability である。

   溶媒抽出法(SX)ではたとえば
pHの管理が重要で、特に多段抽出装置では細かい
   配慮が必要になってくる。製錬所には精通した技術者が常駐する必要がある。
   日本と中国以外に製錬所を設ける場合、現地出身の人だけではまず無理だろう。
   現場で更に技術者を育てる体制をとる。

   溶媒抽出法で分離された希土類各元素の塩化物または酸化物は、金属として抽出
   する際は溶融電解工程に送られる。少量なら金属カルシウムや金属ランタンと
   混合して高温還元すれば金属抽出できるが、工業的な大量生産には向かない。

   塩化物は、吸水剤を加えて蒸留脱水した塩化希土を高温溶融し溶融塩電解する。
   吸水剤のうちCaは電解されず希土金属に不純物として含まれない。
   多量の塩素ガスが発生するので、大型除去装置が必要である。

   酸化物は、たとえばフッ化希土、フッ化バリウム、フッ化リチウムを混合した
   3元塩浴に酸化希土を溶解して高温電解する。この方法ではフッ化物の一部が
   電解されてフッ素ガスが発生するので対策が必要である。

   電解製錬には電力の安定供給が必要である。BHPビリトンや三菱商事が出資する
   モザンビークのMozalアルミ製錬工場もESCOMからの電力供給が支えているが、
   規模が違っても立地の点で同様に配慮する必須事項である。

   このwebsiteの主題からはずれて選鉱/製錬を少し細かく述べたが、大きく逸れ
   ているとは思わない。希土類の探鉱について現時点では敢えて詳しく述べない。
   私がこうして辺境にいることがアポリアへの解答である。

2010年7月29日
   「世界中の資源の現場を行くと、貧困な地域こそが、なぜレアメタル資源に恵ま
    れているのか、疑問に思う」(中村繁夫『資源開発と幸福論』,WEDGE,2010.01
   私はたぶん、このアドバンストマテリアルジャパン(株)の社長ほどには世界中
   を駆けめぐっていないが、同じ感想を持つ。いまだに恥ずかしいのを抑えて「・
   ・金鉱探査センター」と称しているが、法令や鉱業権の問題を別にすれば金鉱も
   ボリビアで探す方がよいと思った。
   マラウイで鉱山をやるのならば、この国の平和とGNHの維持向上に本気で取り組
   んで「成果主義」ではなく高い次元の「成果」をめざす、新しいポリシーを築く
   ことが企業や個人の課題である。
   いろんな企業のホームページを見ていると、企業理念や環境方針とされる項目の
   前後にやたらと地球の絵がでてくるけれど創造力の貧困しか意味しない。本気で
   考えればもっと独自の具体的なやり方が沢山でてきそうなものである。

2010年7月31日
   企業間の争いの一方に肩入れしているのではないかという指摘を受けた。
   そんな意図はないが、私はS社のまわし者ではないし()、関わりもないので
   21日付けの8行を削除した。

2010年8月2日
   マラウイ南部の炭田地帯におけるBeaufort統とEcca統の追跡。
   選炭で灰分をかなり除去できるのでは?

   Mrs. Musopoleの誕生日である。

2010年8月8日
   以下、役所からの質問を受けたので答えた内容である。ある意味あたり前の
   ことなのだが、こういうことも踏まえられていない場にでくわすことが多い
   ので、ここに編集して再録する。

    基本的に、鉱床探査には次の2つの方法があります。

     1.鉱徴の追跡
     2.絞り込み

    昔は、地下資源は地表で鉱徴を見つけてそれを追っていくのが基本でした。
    たとえば銅なら、銅の小さな鉱脈が地表にあればその連続が想定される
    場所に向けて坑道を掘ったりボーリングしたりして、品位が良くて幅がある
    鉱脈を確認したものでした。

    しかし、そのようにして探鉱できる場所はほとんど掘り尽くしてしまった
    ので、現在「鉱徴を追う」方法だけでは探鉱や開発は難しくなっています。
    実際に浅部の鉱床は掘り尽くしつつあるので、世界的にはいままでは露天
    掘削の鉱山が多かったのですが、最近は坑道掘削の鉱山が多くなっています。

    「鉱徴を追う」だけでないとして、どのようにやるのかと言えば「絞り
    込み」です。そこら中で蜂の巣のようにボーリング穿孔して調べる訳には
    いかないので、どこでボーリングするか、場所を選ぶことです。

    たとえば最初に地質図やGIS、リモートセンシングのデータをみて、興味
    深い範囲を絞り、地表踏査して精査範囲を絞り込み、そこで地面に電気を
    流して解析して、更に有望な場所を絞り、最後にボーリングを掘って鉱床
    を確認するというような方法です。
    ですから、リモートセンシングやGISは、それだけで鉱床を見つけると
    いうのではなく、いくつもの方法を組み合わせるその一つのプロセスと
    して意味があるのだと言えます。

    ある程度開発が進んでいる場所なら、今さら新しく地質図を作る必要も
    ないかもしれませんが、開発が進んでいない場所で投資を呼び込んで、
    探鉱しようという場合、投資家が納得できるような情報が必要だという
    こともあります。

2010年8月13日
   上で「絞り込み」と書いたが、ほんとうはこんなにあっさり書くべきでは
   ないのかもしれない。
   絞り込みから外れた場所は「有望でない」ことになってしまうからだ。

   もし将来、その「有望でない」場所が「有望」になったり、同じことだが、
   オミットされた範囲で対象鉱種の優良な鉱床がみつかったりした場合、先に
   絞り込んだ技術者は責任をとらなければならない。
   そうでなければ、技術者が何のためにいるのかわからなくなるからだ。

   地形が険しすぎるとかゲリラがいるとか言う事情で鉱山開発できないので、
   絞り込みの対象から外すということはありうる。
   しかし専門外の人は「まさか」と思うかもしれないが、技術的に絞り込み
   から外した範囲で後になって優良鉱床がみつかる例は珍しくない。

   他人のあら探しをする気はないが、何故そういうことが起こるのかを知る
   ことは、私にとって切実な課題だ。
   たとえばリモートセンシングのシステムの解像度やセンサーのバンド数が足
   りなくて絞り込みから外した。今のセンサーだったら精査対象にしたという
   のなら、「技術の時代的制約」ということになる。当時の人類の知識では
   どうしようもなかったというのなら「科学の時代的制約」ということになる。
   しかし、そういうことで100%説明できるケースはあまりない。
   
   層準規制型の鉱床で、下盤が露出しているので探査対象から外していたら、
   別の人が実は上盤だということに気づいて優良鉱床を発見することはある。
   対象とする鉱床をある型に絞り込んだが、あとになって同じ鉱種で別の型の
   優良鉱床が見つかるということもある。
   ある地熱地域で、浅部の地温分布と深部の地温分布がまるで違うので、途中
   段階まで、不毛なボーリングを重ねたということもある。

   恐らくそれらは、ある段階までは不可抗力だろう。誰も地下を見ることは
   できないのだから。しかし途中で地質構造をよく考えて作業仮説を修正する
   こと、早く気づいて方針をたてなおして顧客や関係者を納得させて、有望な
   地下資源の開発につなげることは、探査やコンサルのプロ、特に総合解析者
   の存在にかかっている。

2010年8月16日
   南アフリカの投資リスク増大、アングロやロンミンが鉱業権失う
   投資にはリスクがつきものだが、これでは誰も南アに投資しなくなる?

2010年8月23〜24日RIRGS−その11
   (7月9日のつづき)
   RIRGS探鉱指針
   ・古期大陸の縁部、地質区分の境界部および造山帯先端……珪長質深成岩。
   ・(金の鉱徴が知られていない場合でも、)タングステン、錫の鉱徴を探す。
   ・金を含むスカルンを伴うことがある。
   ・ホルンフェルスもあるかもしれない。
   ・銀を含む鉱脈に気をつける。
   ・下流に砂金などの金の鉱徴。
   ・関係火成岩(深成岩)の迸入時深度が熱水系の規模と産状(様式)を規制。
    浅い場合は、拡がりのあるエピ帯をなし、Au-As-Sb-Hgの鉱徴。
   ・深成岩は、Cu-Mo斑岩鉱床の母岩ともなっている磁鉄鉱シリーズ深成岩と
    容易に区別できるはず。ex.カッパーメーター
   ・深成岩の甲殻部が最も鉱化作用を受けやすくて有望。
   ・深成岩の上も有望。ただし深成岩が地表になく、どこにあるのか判りづらい
    かもしれない。
   ・深成岩迸入(貫入)による地質構造上の特性を捕捉する。
     ex. ダイアピル的な注入褶曲、コーンシート、リングダイク、撓曲。
   ・下流に灰重石の砂鉱?

2010年8月28日
   アルカリ岩の生成過程と鉱床についても整理するつもりであったが、
   フィールド作業のために「探査日記」の執筆は少々中断される。急に決ま
   った探鉱計画がこの日記の記載を妨害する。このような「妨害」は喜ぶほか
   ない。「探鉱の経験」をやりとげることは、それについて書くことよりも
   愉快であり有益である。

2010年9月1日
   地獄のような日だった。
   山を越えて、また同じ山を越えて戻ってきたのだが、長い急斜面で、ゾウなど
   危険な動物を避けるためにわざわざ岩の多いところを歩かざるを得なかった。
   それでも山際でゾウの跡が沢山あった。遭うと大変なことになるようだ。
   後から考えれば、リフトバレーの縁部にあたる斜面だったわけで、もっとよく
   考えて計画をたてるべきだった。

2010年9月7日
   某所でサンプリング。明け方は寒くて寝ることができなかった。

2010年9月9日
   尾根に出れば、どこかに煙や炎が見える。焼き畑をやっている。
   
この付近の主要な作物はモロコシ(sorghum)だが、焼き畑のローテーションに
   組み込まれた場所は歩きやすい。

2010年9月10日(アルカリ岩 その1)
   
ラマダンが明けました。
   チルワアルカリ岩類…マグマは恐らくマントルのやや深部で部分溶融(融解)
   によって生成。CO2が作用することで粘性が変化する。
   供給源の縮小→マグマの上昇。
   アルカリ金属元素は、マントルの造岩鉱物には入りにくい。マグマの量が多いと
   中のアルカリ金属濃度は薄くなってしまう。だから「部分」溶融である必要。
   マントル内部で初めから濃集していた訳ではないらしい。

   少量の溶融物に地殻からの混合物の影響。
   Euの低濃度異常を示す
響岩とそうでない響岩。

2010年9月15日
   日本の経産相や外相が828日から北京で、レアアース問題について政府間協議
   で解決を図ろうとしたが、うまくいかなかったそうだ。
   政府の対応をなじるのは簡単だが、自分ならどうするだろうか。
   中国のように地質屋が首相になればよいのだろうか。
   オタク揃いの日本の地質屋に政治的センスがあるとは思えない。
   政治は本質的に汚いものなのだから「政治を消滅させろ」という伝道ならわか
   らないこともないが、「綺麗な政治を」と言うのならその時点でアウトである。

   今まであまり使われていなかったが最近になって需要が鰻登りに増加している
   鉱種の供給で、リサイクルが特効薬に なることも、原理的にもありえない。

2010年9月16日(アルカリ岩 その2)
   地化学的特徴(Y,Nb,Yb,Ta)は海洋島玄武岩(OIB)と同じ供給源を示唆する。
   地殻物質の影響またはF-CO3-で変化。

   希土類元素中でEuは最も安定な2価状態をとる。硫酸ユーロピウム(II)EuSO4
   水に難溶性であるなどEuの2価の化合物はストロンチウムに類似の性質を示す。
   このため自然界ではユーロピウムは斜長石などアルカリ土類金属を含む鉱物中に
   見出されることが多く、モナズ石など通常の希土類鉱物中での含有率は異常に
   少ない(
ユーロピウム異常=Eu異常)。

   斜長石の結晶が生じないほどの高圧で生成した響岩ではEuの低濃度は生じない。
   斜長石結晶がある場合にEu低濃度異常。

   地殻とマグマの相互作用によって生成したシリカ鉱物に伴い特定元素がやや濃集。
   最終段階の流体相互作用で、HFS元素(high field strength elements)が再分配。

2010年9月17日
   今日の新聞のビジネス面に「マラウイで地熱エネルギーが期待できる」の報。

2010年9月18日(アルカリ岩 その3)
   閃長岩等のアルカリ岩は山体を形成しており、地形的特徴がはっきりしている
   ようにみえる。
   しかし、その理由は「硬い岩石だから浸食に耐えることができた」と言うには
   岩石の年代が古すぎる。隆起もない所で、数千万年も山体が風雨に耐えて残って
   いるなどということはまず考えられない。

   アイソスタシー的な浮力で説明するには、岩体や山体の規模が小さく無理がある
   ようにも思えるが、張力応力場である事実と、岩体が深い根をもっている仮定、
   更にリフトバレー内部では地殻が薄くなっていて、浅部までマントルが湧き上が
   っている推測を勘案すれば成り立つかもしれない。それでも全てのアルカリ岩が
   深い根をもっているとは言い切れないから、「山体がない場所の地下にはアルカ
   リ岩は存在しない」とは断定できない。

   リフトバレーにおける鉱床生成に関連した地下構造。それはいつからか。 

2010年9月21日
   今日の新聞によれば、昨日、Balakaで警察車両が女性をひき逃げして死亡させ、
   暴動が発生したという。
   警察は催涙ガスを使い、2時間ぐらいもめていた。目撃者は「警官たちは被害
   者を道路に放置すべきでなかった。連中は一人殺したのだ。」と述べたという。
   人の目の前をフルスピードでとばすこの国の人々にも、交通安全についての認識
   があるのかと、変な形で見直した。やっぱり大半のマラウイ人も日本人とおなじ
   ように人命が大切だと思っているということだ。


ZOMBAからのバス料金(MK)


2010年9月27日(アルカリ岩 その4)
   霞石閃長岩〜閃長岩で、ユージアライト(Eudyalite)−ジルコンに富む場合?
   HFSE鉱物(チタン石,ユージアライト,Ti灰鉄ザクロ石,ジルコン)の濃集。
   この機構はSiO2によって大きな影響を受ける。熱水作用も重要な役割。
   炭化水素も?




著者までの連絡はここをクリックして下さい。

ページの先頭へ