探査日記(20122月〜2013年3月)



 

 

南アルプス金鉱探査センター 石川潤一

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2 月6−9日 ケープタウンで開催されたMining Indaba 2012 に出席

2012 年2月1日
   最近は、時事的なアフリカの鉱山情報とレアアースの話題はツイッター
   流しているので、そちらをみてください。

2012年2月2日
   マラウイ人相手の最終プレゼン。探鉱の3通りの方法論として、
   a.鉱徴の追跡 b.有望箇所の絞り込み c.推論
   を述べ、百年以上前はa.が一般的だったが、現在はb.が主体になって
   いること。c.がこれから重要になっていくことを述べた。

   更に、以下のように結語した。
   "To Discover New Ore Deposit"
    a. First of All, Consider Every Possibility
    b. Not Be a Stickler for Standard Pattern or Specific Technology
    c. Create Your Own Exploration

2012年2月6−9日
   ケープタウンで開催されたMining Indaba 2012 に 出席。

2012年2月12日
   サハラ以南アフリカの交通の中心はヨハネスブルグ、ついでナイロビか。


The top 60 international air routes in Sub-Saharan Africa


2012 年2月16日
   元司法長官、ゾンバの刑務所に収監。

2012年2月20日
   最近のマラウイの小話。

   高齢の「母」が、刑務所にいる息子に手紙を書いた。
   「今年、私はジャガイモを植えることができない。 私は畑を堀ることが
    できないから。もしあなたがここにいたなら、私を助けてくれたのに。」

   息子は返事を書いた。
   「母さん、畑を堀ることなんて考えるのをやめなさい。だって僕は盗んだ
    お金をそこに埋めたのですから。」

   次の日、手紙を読んでお金を探している警察によって畑全体が堀っくりかえ
   された。しかし何も発見できなかった。

   更に次の日、息子はまた母に手紙を書いた。
   「さあ、ジャガイモを植えなさい。これが僕がここでできる精一杯のこと
    です。親愛なるママ!

2012年2月22日
   公的機関などでは、「複数の専門分野の人が集まって話し合う」という
   ことが仰々しく行われる。初心者には何かしら啓発的な内容になることも
   あるのだろうが、結局のところ何も生まれない。諮問委員会には決定権が
   ないから、初めから責任が免除されているという場合もあるだろう。責任
   がなければ結果がどうなるか真剣になれないということもあるかもしれな
   い。達成されないとペナルティーが課せられるような数値目標もあるほう
   がよいのかもしれないが、より根本的な問題は別にある。

   誰も全体を考えることをしない。ポリシーをもたない。一人一人が自分の
   視野のことしか考えない。全体がみえない。これらは日本人の持病である。
   よい例えでないが、福島原発事故なども、優秀な技術者がいながらああいう
   ことが起こる背景にはそんな事情があるのではないかと思う。

   探鉱も同じである。全員がそうしろとは言わないが、全体のことを考える人
   がいなければ事業は前に進まない。探鉱活動で全体のことを考えるのは、物
   理探査屋でなく地質屋だろう。物理探査屋に、地質や地質構造との関連を考
   えて、地下資源が地下でどのように賦存するかイメージをもつことを期待す
   るのは間違いだと思える。当たり前だが。

2012年3月7日
   2月に「最終プレゼン」をやったつもりであったが、マラウイ人職員相手の
   本当の最終プレゼンを行う。
   演題は"Idea of Near Future Exploration in Malawi"
   主要な項目は、GoldCobaltTantalumおよびCritical Rare Earths

2012年3月29日
   自己洞察なしに「**は地質屋の墓場」などというほど私は口は悪くない
   つもりだ。自分を客観視した上で物を言っているつもりでもある。
   大学等の学者に先験的な劣等感をもったこともない。

   しかし仕事のための仕事をする気もないし、単に生活のためだけの仕事や
   組織の護持発展のための仕事をするつもりもない。
   会社のために会社があるのでもないし、業界のために業界があるのでもない。
   グループや派閥などにも関心はない。

2012年3月30日
   22日にいったん日本に戻った。天候もよくないし概して寒い。
   アフリカの鉱業やレアアースの記事はツイッターのほうで流すように なった
   ので、この『探査日記』の更新頻度は大幅に低下した。
   国内探鉱は休止。静岡県の鉱区は、開発に無理があるので取り消した。

   金価格は高いままだし、国内探鉱をあきらめたわけではないので、頭を
   冷やして考え直したい。

2012年3月31日
   米国で90歳以上の人にアンケートをとった。
    『人生を振り返って一番後悔していることはなんですか?』
   これに対して90%の人が同じ答えだったそうだ。
    『もっと冒険しておけばよかった』

2012年4月8日
   マラウイのムタリカ大統領の心臓麻痺による死去確認。副大統領・
   ジョイス・バンダ女史が大統領に就任。
   まずは平和な状態で事態が進んでよかった。

   ジョイス・バンダ氏は1年半ぐらい前から、野党側の指導者となって
   おり、ムタリカ氏の側近は、ムタリカ氏の死を隠してジョイス・バン
   ダ氏への政権移行を阻止しようとした形跡が窺える。
   しかし、ムタリカなきムタリカ与党DPPには、その方針を貫く能 力
   (軍・警察への統率力、情報操作力、計画性等)がなかったのだと推
   察できる。

   経済の回復、根本的な解決はともかく当面の解決を、新大統領に期待。

2012年4月14日
   18年前にトンネルの岩盤調査をした高速道路が開通。苦労を共に した
   グランドT社に深謝。道路工事全体で亡くなった方に黙祷。
   そんな時代もあったねと、いつか話せる日が来るのですね。

2012年4月22日
   自分の感性や価値観がいくぶんアフリカ的になっているらしい。
   アフリカ的とは、極論的にいえば、自分と外界(社会・自然)の区別が
   あいまいだということになる。心が全てに開かれた状態かもしれない。

   日本人などのアジア的な感性では、(単純化して言えば)自分は外界と
   区別されるが外界に従属する。また、社会と自然の区別があいまいで、
   つまり外界は全て一緒くたで、少なくとも一般庶民は社会や自然をどう
   変えようというポリシーやビジョンを持てない。

   これらに対して欧米的な感性では、自然、社会、人間(自分)は、時に
   は対立しあい、時には相互依存する対象である。更に言えば、これらは
   理念に従属すべき対象でもある。

   以上は、わかりやすくするために思い切り単純化した模式概念である。
   欧米的なのが先進的でよいとも思わない。

2012年4月23日
   現在の日本で「一人前の資源地質屋」をどのように規定したらよいのか
   考えてみたが、学歴や資格は関係ないだろう。総合商社から誘われるよ
   うな日本人資源地質屋が一人前だというのが、一番ましな規定の仕方か
   もしれない。私はまだこの規定以下だが。

2012年5月3日
   地熱発電が注目されているようである。私もかつては関わったことが
   あるのだが、ずっと遠ざかっている。私が所属していた企業グループは
   地熱事業から撤退したが、いくつかの理由で「仕方がない」と思った。

   20年ぐらい前だが、地熱に関わる人が多すぎると感じた。本来は地熱
   が専門でもない人たちが勉強不足なまま取り組んでいる印象を得た。
   私も他人のことなど言えないが、N重化学工業とその関連会社の人たち
   以外は、私も含めて基礎から勉強しなおすべきだと思った。ボーリング
   屋も同じである。石油開発や金属鉱山と違うのである。類似性ばかり
   強調する背後には怠惰な心理が介在している。

   「地熱探査に必要な事項」ということで、次の3項目が挙げられること
   がある。
    1.熱源(マグマ溜り)  2.入れもの(地熱貯留層) 3.水の供給

   どれも全くのデタラメだとは言わないが、私が素直に同意できるのは、
   2.入れもの(地熱貯留層)だ けである。
   実際の地熱開発の現場で、熱源(マグマ溜り)の位置が正確にわかって
   いる場所がどれだけあるというのか? わかっていないと開発できない
   というのだろうか。そんなことはないのである。
   水の供給、つまり集水域についても、実はそんなに確定的に調べられて
   いるとは言えない。これについては思うことがかなりあるが、地熱流体
   の起源水を議論するためには、地域によっては覚悟が必要なのですよと
   注意喚起しておく。

   何を述べてよいかわからない時には、無理して何か言わなほうがよい。
   通俗的になってしまうだけである。

2012年5月10日
   短い間の日本滞在。いろんな人に会った。若い地質屋や探査屋が地下水
   に興味を示しているのは、よいセンスをしていると思った。貧しい国を
   相手にして純粋な商売を成り立たせるのは難しいので、最初はODAに なる
   のは仕方がないかもしれない。しかし、「援助業界」の一員になって固
   定すると風化してしまう。その点をどうするのか、技術的な課題ととも
   に注目したい。

   旧来の業界の通念にはついていけず。
   仕事のための仕事、会社のための会社、業界のための業界。
   維持、継続、拡張だけ。戦前の陸軍と少しも違わない。

   そんな話ばかりではない。某社が国際入札で競り勝って某国の資源探査
   ・開発を請け負っているという話。日本の資源業界を少し見なおした。
   言葉の壁を克服して、たとえばJORCNI43-101に準拠した調査をできる
   ようになれば、多くの者が生き残れるのかもしれない。

2012年5月12日
   ボツワナ共和国に移住。

2012年5月25日
   5〜6年前に受注して作成した鉱山用語辞書、非売品として出版されて
   いることを今頃になって知った。

2012年5月30日
   (5月3日のつづき)
   地熱開発で神経を使うべきなのは、還元位置である。
   「難透水層」の下ならよいのかどうかは疑問である。気体は粘土化帯を
   透過するかもしれない。熱水は圧力が下がれば蒸気となったり非凝縮ガ
   スが発生したりするかもしれない。

   大規模かつ安定的な地下水層の下に還元するのが一番よい気がする。
   一般的に言えば、第四紀の火山地帯の特に裾野ならば、そんな地下水層
   が複数枚あるのではないだろうか。
   仮に非凝縮ガスが透過したとしても、温度が決定的に下がるはずである。
   熱水が地下水層に混入しても人の生活に支障が起きないこと、粘土化
   帯などの難透水層(帯)で、地表に悪影響を及ぼさないための二重三重の
   バリアとなっているのがよいと思う。更に言えば、生産領域と還元領域を
   錯綜させたりせずにシンプルにするほうが、予測しやすくなってよいと
   思うがどうだろうか。

   以上は「地元や役所を納得させるため」の考察というよりは、「実際に
   まずいことが起きないようにするため」の考察である。

   「高温岩体発電」というスキームで注水するときの考え方も基本的には
   同じだろう。付近に全く熱水や蒸気が流動していない本当の「高温岩体」
   (Hot Dry Rock)がどれだけあるのか私は知らない。

2012年6月7日
   アフリカや南米では、人口30万人の都市があれば中華料理屋が1軒あり、
   人口100万人の都市があれば日本料理屋が1軒あると思ってきた。
   しかし、ここボツワナでは、小さな町でも中華料理屋があったりする。
   周辺で中国人が多く働いているということと、ボツワナが豊かで開かれた
   国であることが理由なのだろう。

2012年6月15日
   Gold deposits found in Malawi
   一ヶ月も前の記事だからということもあるが、内容的にも「今さら」という
   感じである。Kirk Rangeに金の鉱化帯があることは前か らわかっている。
   さりとて、SEAMEXがどのように開発するか。鉱化帯が造山 型、IRG、あるいは
   RIRGSなのか。他鉱種の鉱床との関係をも含めた意味での空間 的発展性が
   あるのか。関心は尽きない。

2012年6月17日
   「千みっつ」ということがよく言われたし、かつては私も言っていた。
   何か賭をする時、成功する確率は1000回のうち3回程度という 格言で、
   業界では、千回ボーリングをやって、経済的に見合う鉱脈や石油貯留層に
   当たるのは3回ぐらいに過ぎないという意味で使われる。

   真面目に言えば、統計上の成功率はそれより若干高いが、そんな程度だと
   いうことはできる。
   しかし、そんな議論に大した意味はない。

   日本の資源地質屋や探鉱家が、生涯の間に自分の裁量で掘れる深掘りボーリ
   ングは、1000本もないだろうし、たぶん333本もないだろう。「千みっつ」
   では、職業人生の間に掘り当てる地下資源の数はひとつもないことになる。

   人は統計や法則の奴隷ではない。それを越えようとする不断の努力の中に、
   艶や陰影を見ることができる。探鉱家が「千みっつ」と言うのは「自分には
   志がない」というのと同じである。

   「歴史発展の法則」なるものにあまり未来と創造がないのも、同じ根拠に基
   づいている。

2012年7月3日
   今の若い世代には分からないだろうが、「ウスターソース世代」、「ケチャ
   ップ世代」、「マヨネーズ世代」という言い方がある。
   太平洋戦争の戦中戦後に青春を過ごした世代は、ウスターソースが好き、戦
   後に生まれた世代(団塊世代)はトマトケチャップが好き、私のような昭和
   30年代初期に生まれた世代はマヨネーズが好きという意味だ。実 際に私は米
   飯にマヨネーズをつけてたべることができる。

   いままたマラウイにいるのだが、どこに行っても料理はトマト味だ。
   社会が豊かになるにつれて、そういう片寄った嗜好はなくなるのかもしれな
   いが、日本人の醤油好きはどう考えればよいのか?

2012年7月8日
   難題の解決法について複数の者が同じ提案をしたら、たぶんその提案は誰で
   も考えつく程度の凡庸なものだと思ってよい。
   例えば会社が行き詰まると猫も杓子も、「節約」、「業務の多角化(あるい
   は逆の集約化)」、「ハイテク化」、「リストラ(あるいは逆の人員増強)」
   等と言い出す。
   誰でも考えついたところで、誰でもそれしか思いつかない訳ではない。

   私がいた高校では一学年約300人のうち100人強が東大に進学した。
   だから特別な人が沢山いたとは思っていないが、数十人に一人ぐらい、到底
   及ばないような知能の持ち主がいたことも事実である。
   そういう人がいることを知っていること、接触した経験があることに意味が
   あるかもしれないと近ごろ思っている。大学に入って以降そういう経験はな
   いのだから。
   いかにも自分が頭が良いと思っている凡庸な連中を相対化する隠れた根拠の
   一つでもある。

2012年7月10日
   レアアースを得るために潜頭性のカーボナタイトを探せというのは、市況の
   変動、鉱床学、開発原理などの様々な面で、意味のない意見である。
   どうしてもそうとしか思えないのだ。

2012年7月17日
   マラウイのヤオ語がチェワ語とかなり異なる言語だということを、今頃にな
   って知った。言語と、モスレムが多いこと以外の相違についてはまだよくわ
   からないが、食事の味付けが若干異なるかもしれない。

2012年7月20日
   レアアース採掘 3年で商業化可能  720 1644
     希少な金属「レアアース」が先月、日本排他的経済水域の海底に多く存在
    していることが分かったことについて、調査に当たった東京大学の加藤泰浩
    教授が20日、東京都内で講演し、「採算性は高く、3年で商業化すること
    が可能だ」と説明しました。

    このようにいうのだから3年で採算ベースの商用化を実現していただきたい。

2012年7月23日
   20日から8月18日までラマダンなので、労務管理に多少注意。

2012年7月29日
   オリンピックの金メダルには金がほとんど含まれていない。
   http://www.businessinsider.com/olympic-gold-medal-2012-7
    92.5% Silver 6.16% Copper 1.34% Gold

2012年8月10日
   6月15日付けで書いたSEAM(SEAMEX)Kirk RangeDwangwa川 流域での
   金鉱探査について、マラウイの鉱業界紙"MINING REVIEW August-October
   2012"の4頁に書かれている。スカルン金鉱床らしいが、深成 岩が関係して
   いると思う。米国のBattle Mountain鉱床もそうだ し。

2012年8月17日
   社会の動きにしても、私の商売(地質コンサル)の環境にしても、まどろっ
   こしいことばかりで、日本人の保守層は間接的な方法のほうが直接的な方法
   よりも高級だと思い違いしているのではないかと感じている。

   目的のために「風が吹けば桶屋が儲かる」ような理屈をたてて計画を進める
   のであるが、目的の達成が十年後だったりするから本気でなくなり、あるい
   は初めから本気でないのか、作業すること自体が目的のようになってしまう。
   たとえば、地下水を得るのに、さっさと安い方法でボーリング孔をたくさん
   掘ればよいものを、「調査」ばかりやって時間がたってしまうことがある。

   間接民主主義も同じで、直接民主主義にしろとは言わないが、もっと直接的
   な制度の導入は可能だろう。政治家だけでなく一人一人が考慮していかなけ
   ればならない。

2012年8月18日
   5ヶ月前までJICAボランティアとしてマラウイ共和国にいたの であるが、
   この「探査日記」の主題は探鉱(鉱床探査)なので、ボランティア活動に
   ついてあまりふれないできた。自分が「善行」をしているという気分が居心
   地わるく感じられ、論じるのが後ろめたいということもある。
   しかし、思うことは沢山あるので、おいおい書いていきたい。

2012年8月19日
   世界の金鉱床ランキング(PDFファイル)
   
http://www.nrh.co.il/i/pdf/NRH_Research_2012%20World_Gold_Deposits.pdf
    菱刈もポゴも載っていないので、不完全?

2012年8月27日
   『上海日報』記事 "China looks ahead to the future of rare earth industry"
   論旨は以下の通りである。

    ・中国はレアアース産業の将来に備える
    ・昨年前半のレアアース不足の時と現在は状況が異なっている。
    ・モリコープやライナスの事業によるだけでなく、例えば東芝による
     ジスプロシウムの代わりにサマリウムを使うモーター用磁石の開発が
     川下のユーザーの消費削減をもたらしている。
    ・中国の一部のレアアース企業は、生産を減らすか中止した。
    ・包頭でも広東でも、各元素の価格は急落した。
    ・中国以外からのレアアース供給は増大するであろう。
    ・中国はレアアース生産部門を整理統合するだけでは、原油生産国と同様に、
     資源枯渇の前に最大の利益を得ることはできないであろう。
    ・業界の内部では、中国が一部の中重希土類の純輸入国になると言われている。
    ・中国以外でのレアアース生産は、中国がレアアースの最大消費国になるのを
     遅くするように作用する。
    ・この時間稼ぎの間に、中国はレアアースの明確な価格決定システムと生産計
     画を確立するべきである。
    ・中国国内の23社のレアアース鉱山企業の3分の1と、99社の製錬企業の
     半分以上を閉鎖することで新しい業界秩序が形成される。非合法生産の取り
     締まりも開始された。
    ・レアアース備蓄の政府基金は、単にレアアース価格維持を保証するだけでなく、
     埋蔵量が枯渇したときに中国がハイエンドの製造業で優位を占める(独占する)
     目標に貢献する。
    ・「賢い者は選んで蓄える。馬鹿な者は全てをむさぼり食う」というが、中国は
     長期的に持続可能な方法でレアアース資源から利益を得る正当な行動をとって
     いる。

    署名入り記事だが、概ね現時点での中国中央政府の方針を示していると思える。
   中国のレアアース埋蔵量を数字で明示しないのは相変わらずだが、これまでの
   中国の主張よりはずっと率直な内容ではないだろうか。

2012年8月30日
   Malawi: 1.63 million people facing food shortages
   ; need for food aid outpaces response
   マラウイ中〜南部でトウモロコシ凶作、163万人が食糧不足

2012年8月31日
   Australia's two-track economy: Hitched to the China wagon - The Economist
   オーストラリアの二重経済:中国依存の光と影

   日本語訳の結論がわけわからん。
   最後の"Australia, he says, is better off exposed to China with a
   high variable growth rate than to Europe with a low one."は、
   「同氏いわく、オーストラリアにとっては、変化する成長率が低い欧州よりは、
   それが高い中国へのエクスポージャーが大きい方が良いのだ。」でなく、
   「同氏いわく、オーストラリアにとっては、成長率が低い欧州と接するより、
   成長率が激しく変化する中国と接するほうが、儲かって良いのだ。」
   と訳すべきではないのか?

2012年9月1日
   New malaria drug excites researchers
   「2010年に発見された画期的な合成化合物MMV390048は、アフリカのマラリアの
    治療だけでなく、感染防止にも役立つかもしれない」

2012年9月3日
   ブランタイアで学生の抗議行動に引き続いて、官庁労働者の賃上げスト。

2012年9月5日
   コンゴ盆地の世界第二の雨林を保護するため、アフリカ中部10カ国が結束

2012年9月6日
   日本の地質調査業界の最近3年間の変化は大きく、土木地質をやめて資源だけに
   絞る会社があったり、別の動きがあったりというところである。
   1970年代〜1980年 代は「他の会社が土木をやっているからうちも土木をやる」、
   「他の会社が地熱をやるから・・・」という雰囲気があった。いまは「他の会社
   がやってないからうちは***をやる」というのでなければ戦略は成り立たない
   はずなのだが。

2012年9月8日
   Zambian Mining Town Riots over Satanism Continue
   ザンビア、Chambishiの 鉱山町で、悪魔崇拝で4名が焼き殺された件に係る暴動

   「悪魔崇拝」というのが正確かどうか知らないが、アフリカではこういうことが
   起こりうる。もう少し研究してまとめてみたい。

2012年9月12日
   China's Stockpile Effort Could Stabilize Rare Earth Metals
   このインタビュー記事によれば、中国にはレアアース関連の技術者が十万人い
   ると言われているそうだが、次のような箇所も私の目を覚ます。

    TCMR:中国はアフリカでの多くの地下資源利権を持っている。アフリカの(レ
       アアース)事業は中国が掌握する対象になりそうか?
    BT :多分そうなるだろう。アフリカには世界クラスのレアアース鉱床が沢山
       ある。アフリカ各国は外国の直接投資を望んでいる。アフリカの(レア
       アース)プロジェクトは中国の投資家や企業にとって非常に魅力的だ。
       更にアフリカの政府が、北米・豪・欧の統轄下にある企業とよりも、国
       営企業や中国企業とより積極的に事業していくだろうというのもありそ
       うなことだ。
       フロンティアレアアース社(FRO:TSX)の鉱床にはかなりのヘビーレア
       アース(HREEs)があるように窺える。ナミビア・レアアース社(NRE:
       TSX)の鉱区も高いHREEs 含 有量を有する。分析結果の9割でHREEs
       認められる。
       この産業の最近約8年の発展をみると、焦点はまずREE鉱床を発見する
       ことだった。そして焦点はHREEs にシフトした。いまはCREOs、つまり
       クリティカルなレアアース酸化物だ。実際にはその産業は中国以外で成
       熟した。

2012 年9月20日
   全般的にみればアフリカの政情は安定に向かっている。次の二つの理由を考え
   ることができる。

    1.植民地時代の境界がそのまま国境となり、欧州の国が自分たちの都合だ
      けで定規で線引きしたような国境が多く、一つの種族が国境をまたいで
      居住したり、一つの国に複数の種族が居住するのが当たり前となってい
      るので種族間の争いが絶えなかった。しかし、徐々にそうした争いごと
      を処理する方法を身につけるようになってきた。

    2.貧しい国が多く、外部からたきつける勢力もあって、社会主義(国有化
      -集団化)への幻想があった。「代理戦争」が絶えなかっ た。
      しかし、ソ連圏の崩壊やアフリカの社会主義政権の失政によって、幻想
      が著しく弱まった。

   もちろん、今でもソマリアのような国はある。しかし三十年ぐらい前はもっと
   沢山の国がソマリアみたいだった。90年代に虐殺があったルワン ダも安定して
   きており、経済が発展している。

   私の仮説では政治は宗教の一種であり、その仮説を敷衍すれば国家・国境・領
   土等の政治的な概念は宗教的な概念だということになる。宗教の内側では切実
   な事柄でも外側では相対化される。
   近代民族国家理念をのりこえるパラダイムが必要なはずだが、残念ながら日本
   では政治理念のスケールが萎縮している。最近のルワンダの善政は希望である。

2012 年9月22日
   このwebsiteの閲覧者数が減少している。私の情報発信の中 心がツイッターに
   移り、この「探査日記」の更新頻度が減ったのが一番の理由ではないかと思っ
   ている。ツイッターでは文字数の制約があり、特に私は原則として一つのツイ
   ートを英語と日本語の両方で書くので更に制約されている。情報の紹介だけで
   終わり、ほとんど解説していない。従って補足や解説が必要な場合にはこの探
   査日記で書く心算である。

   日本の書物やウェブで、例えばレアアース問題の解説を地質屋が書くというこ
   とはほとんどない。だから経産省などの公的機関の発表と似たような骨子にな
   る。ニュアンスや力点の置き方は違っても観点や情報は同じである。ほとんど
   何も知らない人に向かって啓蒙するような書き方になりがちでもある。書き手
   がわかってなくて間違った情報が含まれていることもある。

   海外の株屋のウェブなどでは、世界的視野で深く考究した解説が多い。カナダ
   等では探鉱や鉱山への投資が盛んで、レベルが高いということがある。
   日本社会を少しでもそのレベルに近づけるつもりでこのウェブや私のツイッタ
   ーがあると言いたいが、これからどうなるか。残念ながら何も約束できない。

2012年10月10日
   
菱刈鉱山で新たな金鉱脈確認、18年 から採掘開始

    「住友金属鉱山は9日、金鉱石の採掘を行っている菱刈鉱山(鹿児島県伊佐市)
    で、約30トンの金量が見込まれる新たな鉱脈を確認し、2018年から採掘を
    始めると発表した。投資額は約32億円で、11月から工事に着手する。

     同社によると、現在採掘中の鉱体の下部に、有望な鉱体が連続していることが
    確認された。地下の温泉水の水位を更に低下させるため、坑内の海抜マイナス
    80メートルの地点に新たな設備を設けて開発を進める。

     菱刈鉱山は1985年に産出を始め、国内最大の生産量を誇る金鉱山。住友金
    属鉱山は「菱刈鉱山の長期安定操業に向け、今後も新規金量の獲得に努める」と
    している。」(20121010日 読売新聞)

2012 年10月23日−30日
   イタリア 予知に失敗した地震学者ら に禁固6年の判決
   日本の学者もこれくらいの職業意識が必要。税金を使っているのだから。
   「非常識な判決」ということになるとしても。

2012年11月1日
   リモートセンシングと言っても、コンピュータの操作如何でどうにでも異常値
   が出てしまう。目的にあったきちんとした専門の地質屋が、各ステップごとに
   その意味を考えて推論的に進めていかなければ駄目である。

2012年11月2日
   地化学探査の分析の統計処理も、昔のようには行われなくなっている。
   というより、率直に述べれば、地化学探査は世界各地で行われているし、
   手法も高度になっているが、30年ぐらい前に日本のメタコン(非鉄系資源調
   査会社)がやっていたような統計処理手法はすたれてしまったと言ってよい。

   これも、コンピュータの操作だけで言えることはあまりないという一例である。

    わかりやすく言えば、右図のaに鉛の
   鉱床、bに水銀の鉱床があり、それぞ
   れの土壌成分分析値が、青と緑の等濃
   度線(ppm)で 示す分布をなすとする。

   Cの区画の中では、鉛が多い場所では
   水銀は少ない傾向となるので、鉛成分
   と水銀成分は負の相関を示す。

   今度はDの区画の中を考えれば、全体
   では鉛が多い場所では水銀が増える傾
   向となるので、鉛と水銀は正の相関と
   なる。
   

    このように、調査範囲の設定の仕方によって元素間の相関が変わってしまうの
   だから、調査範囲が変われば多変量解析の結果(第一主成分、第二主成分等,
   他の元素も分析する)も変わるのである。
   そればかりか、右上図のような場合、恐らく単一変量解析の結果もかわるので
   ある。調査範囲が変更になれば異常地や有望地が変わるのでは、客観性がない
   ことになる。
   地化学屋としての自負があるなら、こんな半端な「解析」はしないはずである。

   気づいている人もいると思うが、土壌汚染調査でも同じである。図の説明で
   「aに鉛の鉱床、bに水銀の鉱床」と書いたが、「aに鉛の汚染源、bに水銀
   の汚染源」があるとして、それらを土壌分析で特定する場合である。
   そのために土壌汚染調査で各元素の分布図は使うが、多変量解析などはまずや
   らない。やったところで、説明しにくい沢山の図表を報告書に載せては却って
   顧客が困ることになる。

2012年11月3日
   原理的には、3点にカメラを配置して同時に空の写真を撮れば、その時点での
   複数の雲の大きさを測ることができるだろう。その雲の大きさを統計処理して
   「3つの母集団からなっている」とかなんとか言ったところで、そのことは雲
   の成因を反映するかもしれないが、雲の成因を解き明かす根拠にはならない。
   せいぜい傍証や状況証拠的な素材に使えればよい程度ではないのか。
   
2012年11月4日
   昔は、地化学探査で「傾向面図」を作る人もいた。
   重力探査では、基盤の傾動などの大きな構造を知るために傾向面図を作る。
   残差図は相対的に小規模な構造をみるために作られる。

   地化学探査で傾向面図や残差図を作るのなら、その図がどのような地化学
   状況を示すか説明できなければ地化学屋として失格である。
   報告書に余計な図が増えるだけである。

2012年11月5日
   それにしても、今年になって何回引っ越したことか。

2012年11月11日
   住友金属鉱山、鹿児島で生む「金の 卵」
    ― 時価1300億円の金鉱床開発へ :日本経済新聞

2012年11月12日
   金産出量、累計200トンに 鹿児島 の菱刈鉱山 - 47NEWS

   菱刈鉱山 金産出量が200トンに NHK ニュース より以下に引用
    
鹿 児島県にある国内最大の金鉱山「菱刈鉱山」は、金を採掘し始めて
     以来、先月末までの27年余りで、金の産出量が累計で200トンに
     達しました。

     鹿児島県伊佐市にある菱刈鉱山は、昭和56年に金の鉱脈が見つかり、
     その翌年から「住友金属鉱山」が開発に着手しました。
     昭和60年に金を採掘し始めたあとも、次々と新たな金の鉱床が見つかり、
     鉱石1トン当たりの金の含有量がおよそ40グラムという世界トップレベ
     ルの高い純度の金鉱石を産出してきました。
     平成9年には、産出量が累計で83トン余りに達して、新潟県の佐渡の金
     山で産出されたとみられる量を上回り、国内で最も多く金を産出した鉱山
     となっています。
     その後も順調に産出し、会社によりますと、先月末で200トンに達した
     ということです。
     この鉱山は、金の埋蔵量がまだ150トンあることが確認されているほか、
     先月には現在採掘している所よりさらに深い所にも新たに30トンの鉱脈が
     あることが分かり、会社によりますと、最近の金価格で計算すると合わせて
     7800億円分の金がまだ眠っているということです。
     住友金属鉱山では、今後も年間7トン余りの金を安定的に掘り出していきた
     いとしています。

2012 年11月14日
   Rare earth policy comes under harsh criticism
    (レアアース政策が厳しい批判を受ける)
    Global Times, 2012-11-13 By Lin Boqiang

   このGlobal Times=環球時報は、中国共産党中央委員 会の機関紙『人民日報』
   の国際版であり、著者の林波強氏は厦門大学教授で、同大学は中国国務院教
   育部直属の国立総合大学かつ国家重点大学でもあるので、公表された記事内
   容は現時点における中国中央政府の見解に近いとみなすことができる。

   以下に必要箇所を訳出。

 

1.米国防総省は日本のトヨタとと もに、中国の「独占」に対抗するため、カナダ社と協力協定調印した。このように主要レアアース輸入国は探鉱協力を拡大している。

2.中国のレアアース埋蔵量は世界 全体の23パーセントを占めるに過ぎない(訳注:事実かどうか不明)が、中国のレアアースは低価格 で世界市場に供給された。このような不当な採鉱の後、レアアースの中国 国内需要が高まっている中で、中国にはもう、想像されるほど多くの資源はない。他国の探鉱によってレアアース供給の国際構造が変化するであろう。

3.中国内外で中国のレアアース輸 出割当に疑問があがっている。10月の中国商務省発表によれば、中国は今年、全部で30,996トンのレアアースの輸出を計画している。しかし、2012年 の最初の9カ月の輸出量は、発表された年度割当の33パー セント以下だった。2011年の割当も使い切らず、今年も同じようになる可能性が高くみえる。

4.国外需要減少で日本のメディア は中国のことを、レアアース政策を誤ったと茶化しさえしたが、長い目で見ると経済は上向き外需と輸出量は再び増加するであろう。もし中国が配分割当の規制 をすると、また国際的非難に直面するのかもしれない。

5.中国のレアアース産業が生産量 と輸出量との両方を管理できる状態で発展する場合のみ、割当政策の中止を考慮することができる。

6.一方、レアアース資源税の調整 が産業の発展に不可欠である。レアアースの価格が比較的底値の時に、徴税法を量計算から価格計算に変更して比率が市場の力に依存するようにするべきだ。

7.レアアース産業の持続可能の発 展は、その品質向上に負っている。中国は海外市場に過度に依存することを避けるべきである。

8.戦略上重要なレアアース埋蔵 量・輸出・採鉱はもっと規制される必要がある。中国の将来的なレアアースの優先的利用が肝心である。

   
要 するに、「中国は今後もレアアースの国内需要が増加するので輸出は制限する。日本などの各国は足りない分は自分で調達しろ。」ということである。記事の論 調から判断すれば、中国政府は、「領土問題を契機に輸出制限を強化したのは下手だった」と考えている可能性があり、独占を継続できるとは考えておらず、外 国の批判も気にしていると推察される。

しかし、その長期的 なレア アースの確保とそのための輸出制限の方針は不変である。中国南部のイオン吸着型鉱床のうち開発しやすい部分が無尽蔵でなく、限界がみえてきているのは事実 だろう。使用量削減策や代替技術が進んでも、中国は、長期的にみてレアアース需要が増えると考えており、将来の自動車について、製造費が安いと見込める電 気自動車の普及を見込み、重希土類確保を重要課題としていると推測できる。福島事故や四川省の事故にも拘わらず、豪・アフリカ・中央アジアで積極的なウラ ン探鉱を始めているのも、電気自動車用電源確保が目的の一つと考えることができる。

2012 年11月22日
   中国でリン灰土に含まれる重希土類の分離・濃縮技術が完成し、
   貴州省で生産段階に入る。
   http://t.co/lai6ES27

2012年12月12日
   マラウイ北部、本格的な雨期。


2012 年12月20日
   マラウイからボツワナに戻る。


2012 年12月24−25日
    11月14日の日記修正。

2013年1月1日

    The year in review: 2012's top mining
    2012,世界の鉱業界トップニュー ス         

    1月 米国でグランド・キャニオン周辺のウラン採鉱禁止令。
   2月 GlencoreXstrata買収の協議開始。
      Rio Tintoは豪Pilbaraの鉄鉱開発地を34億ポンドで買収へ。
   3月 豪、30%の採鉱税を可決。
      米・日・EU、レアアース輸出制限で中国を提訴。
   4月 CFMEU、豪クィーンズランドでストライキ。
      カタールの投資機関、Glencoreに 先行し26.5億ドルで
      Xstrata5% の利権を獲得。
      Rio Tinto、オリンピックのメダルの公式金属供給 者に。
   5月 加Inmet62億ドルのパナマ斑岩銅鉱床探鉱事業を計画。
   6月 Anglo Americanの豪グローブナー石炭鉱山事 業承認。
   7月 BHP Billitonのオリンピック・ダム鉱山拡張延 期。
      ニュージーランドのNewmontの鉱山で火事。28人救出。
   8月 南ア・マリカナ鉱山で組合相互の衝突で9人死亡。
      (その後、武装警官による発砲で多数死傷。)
      南アで労働争議多発。
   9月 中国・四川の肖家湾炭坑でガス爆発。45人死亡。
   10月 豪クィーンズランド、ウラン採鉱禁止令を撤廃。
   11月 カタールの投資家、GlencoreXstrata買収を承認。
      ミャンマー北部で地震、採鉱者12人死亡。
   12月 世界的に規制が厳しくなり、石炭生産が縮小。

2013 年1月10日
   アフリカで生活していて困ることの一つは泥棒である。
   この『探査日記』で取り上げたことはなかったが、11月にはスリ も
   含めて1週間に1回ぐらいの頻度で泥棒に遭った。

   ありきたりの注意喚起では不十分と思える事例が散見されるので、
   記載しておきたい。

   1.約20人の強盗がバール等でバーグラーバーやドアをたたき壊 し、
     住人や警備員を縛って、家の中のものを持ち去った。

   2.業者を装って家の中を下見して、昼間に別の者が二階から侵入
     して貴重品を持ち去った。

   3.パーティー会場に客を装って参加し、隙をうかがって物品を持
     ち去った。

   4.窓からも入れないので、屋根裏に忍び、天井板を外して部屋に
     侵入し、金品を持ち去った。

   5.タクシーの運転手を装って、仲間のいる荒野につれて行き、暴
     力的に金品を奪い去った。

    6.他の日本人を沢山知っていると具体名をあげて安心させ、「金
     を貸してくれ」と言ってだまし取った。


    殺人や傷害がないのが救いである。JICAは犯罪に遭った際は無抵抗
   に徹するように指導しているが、私もそれが正しいと思う。

   アフリカの「最貧国」の人々が、本人や家族の生活のために泥棒す
   るのも理解できないものではない。世の中の人々を「良い人」と
   「悪い人」に二分できるとも思わない。一方で、あると思っている
   ものがないと頭に来るのも事実である。重要なデータが入ったパソ
   コンが盗まれると取り返しがつかないことも起こりうる。

   貴重な金品は大きめのスーツケース(トランク)に入れてきちんと
   施錠する。大きな現金は人に見せない。というのは当たり前だが、
   ロケーションも重要である。上の1.などは、ほとんど対策もたて
   ようにないが、都会の中心部に住んでいた人の体験である。町の中
   心は危険、住むのは中心以外のところにするのが、すこしでも犯罪
   に出遭う可能性を減らす秘訣と思える。

2013年1月11日
   以前にアフリカで生活する資源探査屋は自炊する能力が必要と書い
   た。正直なところ、私も面倒くさいので、たいした料理はしない。
   手間のかかる料理は駄目である。少なくとも日常の料理にはならな
   い。

   マラウイに住んでいたころ、協力隊員と食事する際はカレーをつく
   ることが多かった。肉と野菜とニンニク、生姜、唐辛子、カレー粉、
   果物、ターメリック・クミン・胡椒などの香料、その他で作った。

   しかし、一人でいるときは、米飯の上に野菜炒めをのせるなどして
   自分の喉を通るようにした。

   便利なのはクッパである。肉・野菜・唐辛子などのスープを米飯に
   かけるだけだ。米は長粒種でもよい。肉は山羊でも鶏でもよいが、
   腸や肝臓の部分は避ける。挽肉だと作りやすい。スープの素や化学
   調味料(MSG)も必要に応じて使う。掻き卵を入れれば日本の焼 肉屋
   の定番メニューに近づく。

2013年1月19日
   見直しを迫られる米国の対アフリカ戦 略

    「ビン・ラディンを殺せば解決するような問題ではなかったな」と
   かなんとか皮肉を言いたくなるが、こういうことが何らかの回路を
   経て私の商売に関係するかもしれないから困るのである。

2013 年1月21日
   北海道標津町での地熱調査実施につい て

    20年前に関わった事業である。私が始めた事業だとも言えなくも
   ないが、その場所のことはかなり忘れてしまった。ご健闘を祈り
   ます。くれぐれも事故に気をつけてください。というだけである。

2013 年1月22日
   Keys to Rare Earth Companies’ Success: Innovation, Cost Efficiency
   
Alex Knox「レ アアース開発企業の成功の鍵は、イノベーションと費用効率である」

    要旨
    ・レアアースに対する需要は今でもある。誰が最初にいくらで供
    給するかという問題があるだけである。
   ・現在は探鉱より開発で勝負する段階である。
   ・中国は不況ではないが、発展の速度は鈍化している。
   ・重希土類(HREE)の分野で中国は今なお主導権を握ってい る。
   ・まだ西側諸国ではほとんどHREEが生産されていない。
   ・何でもそうだが、特にHREEでは低コストの生産者が最後に残 る。
   ・倒産した同業者から追加の資源を得る。または時期を待つ。と
    いう作戦も考えられる。
   ・価格は数年の間に激しく揺れ動く。
   ・立地、インフラ、製錬そして放射能対策がコスト要因だろう。
   ・Matamecが最も先行している企業だが、Zr分離の課題もある。
   ・Tasman Metalsはスウェーデンで開発中で、立地に 優れる。
    Matamecと同タイプの鉱床で製錬も同様である。酸(硫 酸)の
    使用を減らしてコストの低減を図るべきだ。
   ・Quest Rare Mineralsの北ケベックの鉱床は 品位はよいが立地が
    よくない。
   ・以上の3社が先行している。他は予備経済性評価に至らない。
   ・多くの企業が抽出経費を減らす方策について Orbite Aluminae
    社と相談している。同社は原鉱を溶液に浸し、酸(塩酸)を消
    耗しない方法を開発した。
   ・Orbiteのプロセスはコスト的に有利だが、他の有用元素の 抽出
    に有効なら、更に経済的に有利だろう。
   ・ナミビア・レアアース社の鉱床のHREE比率は7080%と驚異的。
   ・Commerce Resourcesの鉱床は大規模だが、同 社は単独では生産
    したがらないかもしれない。
   ・ついでに言えば、Tantalusのマダガスカルの鉱床は同社 が派手に
    宣伝したが、面白い鉱床だ。
   ・Avalonの鉱床は割るのにちょっと硬いナッツのようだ。選 鉱法を
    再検討している。湾岸での処理は難しいのではないか。
   ・Molycorpのように軽希土類(LREE)に重点を置く事業は難しい。
   ・LynasLREEだ が、より多く供給しようとして、その見込みもある。
    マレーシアの件を解決すればだが。
   ・これらの2社に対してコスト面で有利でなければLREEでやっ てい
    くのは難しいかもしれない。Molycorpには昔からのイン フラもあ
    る。
   ・今年は重希土類(HREE)が魅力的だ。
   ・レアアースは全く新しいゲームだ。MatamecTasmaneudialyte
    型鉱床からレアアースが抽出されたことはない。
   ・だからイノベーションと費用効率が重要なのだ。

2013 年1月26日
   現在、アフリカ北部〜中部で治安問題が表面化しているが、ボツワ
   ナやマラウイを含む南部では、内戦のようなものはない。

    恐らくアルジェリアの事件は、アルカイダ系が人質をマリにつれて
   行って、フランス等に「マリ北部への攻撃を止めろ」と言うつもり
   だったのだろう。

   サハラ砂漠の探鉱者が2年前にリビアからの武器、トゥアレグ族の
   不満およびアルカイダの到来を予想しなかったのは仕方がない。

    追いつめられて無茶をしそうな人々の行動範囲には入らないのが基
   本ではある。

2013 年1月27日
   今の日本に希望をもてない。今でも英会話学校(NOVA)に籍が あり、
   たまに日本に行けばレッスンやフリートークに出かけるが、そこで
   「尊敬する人は誰か」と聞かれると、ほとんどすべての生徒が
   「坂本龍馬」と答える。「何故か?」と聞かれると、これもほとん
   どすべての者が何も答えることができない。英語で言えないという
   よりは、何をしゃべってよいのかわからないといったふうなのだ。

    結局、ほんとうの意味での「自分の考え」がないのである。

    坂本龍馬を貶したい訳でないが、龍馬だろうがマルクスだろうが
   スティーブ・ジョブズだろうが、過去の人である。過去から学ぶの
   はよいが、神聖化するところからは創造は生まれない。

2013 年1月28日
   SEMAFO: Over 95% Gold Recovery at Siou in Both Oxide and Sulphide Rock

    セマフォ社、酸化鉱と硫化物の両方のカーボンインリーチ法・金抽出
   試験で回収率95%以上を達成(Siou, Burkina Faso

アフリカリスクマップ



    アフリカのリスクを地図で見る。本当 に危険な場所はどこ?


    自分の実感とは少し違う。
   北アフリカでは最近「危険度」がアップしているの
   かもしれない。




2013年1月29−30日

    10 年まで世界市場の90%以上のシェアを握り、レアアースを戦略資源と位置
    付 けて外交カードに使ってきた中国は、今後、資源戦略の転換を迫られそうだ。
    中国、レアアース輸出額66%減 国 際価格下落…外交カード見直しか (SankeiBiz)


   この「探査日記」の11月14日付け記述を 読めば、こんな理解には
   ならないだろう。2年半ほど前に中国の担当者に思慮が浅い人がいたと
   思える。しかし中国で「資源戦略の転換」があったとしても、それは
   この間に既に終わっているのだ。 今後も新たな転換があるとしても
   SankeiBizがいうような転換とは違うだろう。

   SankeiBiz編集者に「レアアースには軽希土類と中重希土 類があって・・
   ・・・・・」とレクチャーするのは野暮かもしれない。

    編集者にはナショナリズムしかなく、こういう種類の人は、日本に生ま
   れたから日本のナショナリストになり、中国に生まれたら中国のナショ
   ナリストになったのだろう。気安く「日・米・インド・豪で対中包囲網を」
   などという人もいるが、米国や豪は日本より中国との関係を重視するか
   もしれないのに脳天気で、自己中心的、天動説的なのだ。見るべき世界
   戦略がそんなところから生まれることは期待できない。

2013 年1月31日
   Rare Earth from Mud: Commercial Pipe Dream or Possibility?
   ジャマイカのボーキサイト残土(赤泥)からのレアアース回収事業の
   可能性

2013 年2月1日
   1月29−30日づけでごちゃごちゃ書いてしまったが、私が言いた
   いのは次のようなことである。

    軽い方のレアアース(軽希土類、LREE)は、米国のマウンテン・パス
   鉱山とオーストラリアのマウント・ウェルド鉱山が操業開始したので
   足りているが、重い方のレアアースは実はまだ明確な見通しがない。

   生産工程の改善でレアアースの輸入量が減って、日本のメディアやナ
   ショナリストは「レアアース問題は解決しつつある」、「中国に勝っ
   た」と思っているようだが、当初予想の範囲内で日本企業が健闘して
   いるだけだ。基本的には、中国は近い将来自分の国で使うレアアース
   を確保するために輸出制限しているのであって、日本と勝負するため
   ではない。

2013 年2月5日
   日経より悲惨なNHKのレアアース報道

2013 年2月7日
   MINING INDABA 2013 に参加。


norilsk
jica

mali
riotinto

china
jindal

barrick
bhp
2013 年2月14日
   田舎くさい学者崇拝。自分たちも学者のようになろうとして、専門
   範囲を狭めてプロジェクトが破綻することもある。
   学者というのはプロではなくてアマチュアに属する。

2013 年2月15日
   マラウイ、Lilongweの公務員ストライキが4日目に突入。
   マラウイ湖北部のタンザニアとの国境問題で戦争になるという噂が
   流れているが、ありえないことで馬鹿げた噂である。

2013 年2月16日
   ある事柄をそのまま突き詰めていけば進歩や向上があるかのように
   思いがちだった。「一つのことを続けて十年たてば一人前になれる」、
   「続けなければだめだ。とぎれとぎれでは意味がない」と思ってき
   たし今でもそう思うのだが、「ある事柄」や「一つのこと」は幅を
   もたせて考えるべきだ。

   たとえば、昔は真空管の研究や製造に従事する人たちが沢山いた。
   その間に真空管の技術は進歩した。しかしいくつかの原理的な問題
   があってトランジスタに取って代わられ、多くの真空管技師が仕事
   を失った。

   そのことは、技術の進歩にとって後退だろうか? トランジスタの
   登場によって、ラジオやコンピュータはコンパクトで高性能になっ
   た。間違いなく飛躍的な進歩だろう。

   ウランやプルトニウムの原子力にこだわらずに、トリウム・サイク
   ルや核融合に鞍替えするのは、一時的に失業者が沢山でたとしても、
   逃げることにはあたらないだろう。

   鉱床探査でも同じで、特定の鉱床タイプや特定の技法に純化するよ
   り、異なった概念を包摂することが発展につながっている。

2013 年2月17日
    レアアース探す日本人、SNS縁で初取材 @ハボローネ

   誰のことやら。


2013年3月6日
   Two dead after 4,000 riot at gold mine in Tanzania
   タンザニア:North Mara金鉱山で4千人の暴動。2名死亡。

2013年3月10日
      Zimbabwe: Gold deposits found during burial
     ジンバブエ:墓地で埋葬の際に金鉱床を発見
    Gold deposits discovered in Hwange
    ジンバブエのHwangeで金鉱床発見

   これらの記事を総合して解釈すると、葬式に参加した人の中に砂金
   取りがいて、掘り返した土の砂金に気づき、埋葬の際も土を調べて
   いた模様。砂金取りは夜こっそり墓地に来たが人々に見つかり逮捕
   された。しかし人々も金に興味を持ちだしたので、砂金取りは釈放
   され、地域が警察から遠いこともあり、(本来なら鉱業権などの手
   続きが必要なところ)人々が金を採るのも大目に見られている。と
   いうことらしい。

2013 年3月16日
   13日までちょっと日本にいた。
   NOVAに行って英語力が落ちてないこと、すこしずつ向上しているこ
   とを確認したのは収穫だった。
   毎日英語を使っているのだから、と言いたいが、年齢のこともある
   ので不安だった。

2013年3月20日
    Winner Take All (Dambisa Moyo)
   昨年、ダンビサ・モヨ氏が上梓しベストセラーになった書物である
   (日本語訳は未刊)。
   「勝者総取り方式」、「勝者は全てをぶんどっていく」、中国が他
   の国のことや世界全体のことなど配慮せずに資源を独占してしまう
   という刺激的な内容である。

   先月のマイニング・インダバで彼女は、無計画な膨張はいつの日か
   欠乏を起こすと、わかりやすく述べていた。ただし、彼女によれば、
   実は中国人は将来の危機の意味に気づいている。アフリカをはじめ
   世界中で「買い物三昧」しながらも、である。
   モヨは言う、「それは天然資源にとって組織的・意図的な多大陸キ
   ャンペーンである」。そして、西側の報道機関では中国は新植民地
   主義を指向し、環境や人権で低い実績しかないとみなされているが、
   多分に偏見があるという。

   確かに、アフリカ人は中国に悪い印象ばかり持っているわけでなく、
   雇用創出・貿易・インフラ整備への貢献などで、どちらかといえば
   よい印象をもっているのかもしれない。
   しかしこれは、昔の帝国主義や植民地主義でも同じで、両面がある
   だろう。

   物事には様々な面があるのだから、彼女が言うのはわかるが、私に
   言わせれば、それでも彼女の中国や中国人に対する理解は、まだま
   だ単純すぎると思う。

   たとえば文化大革命を経験した年輩層なら、建前だけだったかもし
   れないが国際主義的な社会主義について何がしかは知っているはず
   だ。毛沢東の第三世界論が現在の中国のアフリカ進出の背景に幾ば
   くかの影を落としているのではないかという解釈も、現段階ではま
   だ全くのデタラメとも言えまい。

   モヨ氏の世代にはわかりにくいかもしれないが。

2013年3月21日
    Earthquakes make instant gold seams
   地震で「一瞬のうちに」金鉱床が形成か

2013 年3月23日
   Hanlong A$1.4bn Sundance takeover in doubt
   14億豪ドル規模のサンダンス買収で、中国・漢龍は入札期限を見逃す?
   意外な転回

   Chairman of Hanlong Arrested in Beijing for Harboring Brother

   China detains Hanlong founder

   サンダンス、漢龍会長の身柄拘束報道について追加情報を請求中

   私は事情通ではないので具体的な解説はしないが、中国は一枚岩の
   国でなく、派閥志向に根深いものを感じる。
   明日から習近平主席がアフリカを訪問するが、この件は、三日もす
   れば大きく事態が変わるのかもしれない。

2013年4月2日
   China's Continuing Monopoly Over Rare Earth Minerals

   日本のNHKや日経新聞の歯が浮くような記事と違って、ある程度わかっ
   ている人が書いているらしい。

2013年4月9日
   High pressure gold nanocrystal structure revealed
    高圧における金のナノ結晶構造が解明

   Coherent diffraction imaging of nanoscale strain evolution
   in a single crystal under high pressure
    高圧における単結晶でのナノスケール歪み発現の干渉回折画像解析

   地殻やマントルの中での鉱物形成の解明と、精密工学の発展に寄与
   するのかもしれない。


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