宮前真樹出演舞台「ファミリー・タイムス 〜めざせ若草物語〜」@新宿シアターサンモール

時間

約2時間。

脚本・演出

木野花

キャスト

注:役名の表記はいずれも不明なため、勝手に字を当てています。

清水よし子: 吉永       (母親)
竹内 都子: 吉永  恵    (長女)
磯野貴理子: 吉永 祥子    (次女)
石井久美子: 吉永 ベス    (三女)
宮前 真樹: 吉永 恵美子   (四女)
相島 一之: 赤羽さん    (下宿人)
大窪 通子: 町田さん    (下宿人)
小玉 治美:          (婦警)
後藤 里美: 三田さん    (看護婦)
野村  忍: 智美   (恵美子の友人)
藤田 浩子: 山井さん     (病人)
布施 恵子: 青山さん    (下宿人)
星野 園子: アヤネ叔母さん(母親の妹)

あらすじ

話の大筋に関係ない部分はかなり割愛しています。ご了承下さい。また、かなりシリアスな内容に見えますが、実際は面白おかしく脚本してありました。

 舞台は下宿屋「若草荘」を営む吉永家。吉永家の父親はボランティアの仕事で15年前からアフリカに行っている。母親も近年ボランティアを始め、家族を巻き込んで老人ホームなどでお芝居を演じている。今年は女子刑務所へ慰問することになり、母親は「若草物語」のミュージカルを演じると大張り切り。しかし娘たちはあまり乗り気でない。ある晩、家族がミュージカルの練習をしていると突然叔母さんが恵のお見合い相手の写真を持って乱入してきた。「恵が33になってもいまだに結婚できていないのは、恵が教師の仕事であまり収入の良くない若草荘を支えているからだ」ということを指摘する叔母さん。恵は「機会が無かっただけ」と笑い飛ばすが、叔母さんは「恵が一家の犠牲になっているのを見てられない」と言う。そんなドサクサに紛れて外出しようとする恵美子(黄色いスウェットに、ジーンズ地のロングスカート)。姉たちは恵美子を呼び止め、夜中にどこへ行くのか問い詰める。「どこでもいいでしょ」と反発する恵美子。マニキュアを塗り、髪を染め、へそピまでしてる恵美子が最近おかしく、「そんな子じゃなかった」と言う恵。恵美子は「そんな子ってどんな子よ、私は自分の好きなようにすることに決めたの。大学へも進学しない!」と言い放ち家を出ていく。
 ボランティアの本番当日、「若草物語」の衣装に身をつつみ慌ただしく恵美子を探し回る家族。恵美子は前日の夜中に家を抜け出していた。その時、「恵美子を保護している」と警察から電話が。恵美子を引き取りに警察へ向かう家族。恵美子(ピンクと水色のストライプへそ出し、同ミニスカート)は友人の智美と一緒に渋谷のクラブから出て来て三人組の男に絡まれていたところを保護されていた。なぜそんな事をしたのか恵美子を問い詰める家族。「はやってるからやった。みんなやってる」と開き直る恵美子。取り敢えず恵美子を引き取り、家に帰る一行。家に帰り、恵美子に「クラブは楽しかった?お酒はおいしかった?」と聞く母親。首を横に振り、「もう気が済んだ」と言う恵美子。恵が「当たり前よ、クラブに行くのが目的だったんじゃなくて、悪いことをして私達を困らせるのが目的だったのよ」と指摘する。さらに、「あんた、まだ私達に何か隠してるでしょ」と問い詰める。智美も、「ここまでくると今言うしかない」と秘密があることをほのめかすが、恵美子は「今は言えない」と語ろうとせず、部屋に引っ込んでしまう。それを追いかけて行った母親が腰を痛め、入院してしまう。
 母親が入院してしまった吉永家では、ベスが大学を休学して若草荘を切り盛りしている。それを見かねた下宿人の赤羽さんは有給休暇を使ってベスを一日手伝う。赤羽さんに将来のことを聞かれたベスは、音大に通ってはいるが将来が見えないと打ち明ける。赤羽さんはよく気が付いて働き者なところがベスの取り柄だとさとす。その晩、恵が一家に「明日はみんなに話があるから早く帰って来て」とアナウンスする。翌晩、食卓に集まった一家に「母さんが退院して来てもすぐには自由に動けない。ベスも休学を続ける訳にはいかないので、若草荘をやめるべきでは」と相談を持ち掛ける。ベスは「自分が学校を辞めて若草荘を継ぐ」と言うが、「そんな事を勢いで言っても仕方ないので、この事はゆっくり考えよう」ということで話がまとまる。そこで食卓を離れようとする一同を引き止める恵。曰く、「話はもう一つある。恵美子のことよ」。恵美子が大学への進学を諦めたのは本気かと真意を正す恵。恵美子(ピンクのポロシャツ)曰く、「私のせいでお姉ちゃんだって結婚できないでいるじゃない。もうお姉ちゃんに犠牲になって欲しくないの。私、高校出たら一人暮らしして自立するの。私、もう決めたの!」。「いいや、まだ何も決まってない」と反論する恵、恵美子が家を出て行きたい理由が他にあるとし、恵美子が中年の男性と歩いていたという噂を聞いた話を持ち出して恵美子が何を隠しているのか聞き出そうとする。「お姉ちゃん達だって、私に嘘付いてることあるでしょう!」と反発する恵美子。突然「ゴメン」と謝る祥子。実は半年も前に会社を辞めていたことを告白し、今まで毎朝家を出てはパチンコに通っていたことを白状する。あきれる一同。「お父さんになんて報告するのよ」と嘆く恵。恵美子、突然「お父さん、本当にアフリカにいるの?ボランティアやってんの?」と言い出す。「何言い出すのよ」と言う恵に対し、「私、お父さんに会った。中年の男の人って、お父さんのことだよ」と言う恵美子。「今、なんて言ったの?」とうろたえる姉たち。姉たちもそのことを知らなかったことに驚きながら恵美子曰く、「父さん、日本にいるよ!」
 母親の退院の日、恵は一人遅く起きて来た。「母さん迎えに行くんだから、早く支度してよね」と急かす祥子に対し、「私、行かない」と言う恵。曰く、「父さんのこと、どうすればいいか分からない」。「私が母さんに言ってあげてもいいよ」と言う恵美子(白いTシャツ)に対し、「言ってどうするの」と切り返す恵。「母さんにもうこれ以上嘘付かなくてもいいと言ってあげたいし、父さんも家に帰りたいと言ってた」と言う恵美子。「そんな事言ったら今まで嘘を突き通して来た母さんの立つ瀬が無くなってしまうし、父さんをこれまでの15年間がなんにも無かったかのように迎えることもできない」という恵。そこへ、突然一人で帰って来た母親。曰く、「おみやげよ。父さんからの手紙!父さん、今カンボジアにいるんだって」。手紙を読み始める母親。それをさえぎって恵美子曰く、「私、父さんに会った。父さん、『かもめ』のママとはもう別れたって。母さんに会いたいって!」。母親は静かに手紙を置き、父親が出て行った日のことを語り始める。そして「父さんは出て行ったことで私達にプレゼントをくれた。てんてこ舞いの日々というプレゼントを。父さんがいたら到底味わえない人生だった。だから、母さんは父さんが形を変えたボランティアに出かけたと思うことにした。母さんは父さんのことが好きだから、あなたたちにも父さんを好きでいて欲しいの」と涙ながらに訴える母親。そこで「父さんのことは母さんに任せよう」と決断する娘たち。それを受けて、「父さんを下宿人の一人として迎えよう」と提案する母親。「それはできない」と拒絶する恵。曰く、「第一、若草荘はもうやっていけない」。「母さん、まだやれる!」と絶叫する母親。突然、「若草荘は私が継ぐ」と言い出すベス。曰く、「私は一家の犠牲になるんじゃない。本当にこの仕事がやりたいの。私に向いてると思うの」。そこへ、再び叔母さんが乱入。今回は赤羽さんのお見合い相手を紹介しに来たと言う。叔母さんの勢いに乗せられて思わず「お母さん、ベスさんをください!」と告白してしまう赤羽さん。自分の言ってしまったことにうろたえる赤羽さんに対し、「本気なの?」と聞く母親。最初は否定していた赤羽さんも、母親の話術によって「結婚式は若草荘で挙げる」と言ってしまう。それに対し、「そうなればいいね」と微笑むベス。
 結婚式の当日、花嫁が招いた父親はまだ来ない。探しに行く恵美子(黄色いワンピース、花の付いたチョーカー)。恵美子が父親からの手紙を持って戻って来た。手紙を読み上げる母親。そこには、「結婚式に招待してくださってありがとうございます。父さんは今、ボランティアの仕事を始めています。母さんの嘘がなかったら思いも付かなかっただろうけど、やってみればやりがいのある仕事です。今は国内だけの仕事ですが、いつかは本当にアフリカへも行ってみたいと思います。アフリカから帰って来た時が、私が若草荘に入るに相応しい時だと思っています。ベスさん、ご結婚おめでとう」と書いてあった。

感想

 真樹ちゃん出演3作品目となるこのお芝居、真樹ちゃんからは「面白い舞台」だと聞いていたので、私は「バカ面白いだけの、ドタバタもの」という意味だと誤解していたんですが、実際はめちゃめちゃ深い内容で「面白い」舞台でした。面白おかしい舞台ではありながら、現代のいろいろな問題を折り交ぜたとても深い内容で、私は自分の人生について考えてしまいました。たまたまちょうど悩んでた時期だったし。本当に素晴らしいお芝居でした。正直、あんなに素晴らしいものだとは思ってもみなかったです。もちろん、真樹ちゃんの演技もとてもよかったです。ボディコン姿や、高校の制服姿(!)(残念ながらセーラー服ではなかったですけど)なども見えましたし。私は結局3公演観に行きました。本当に、いい思い出になりました。
 真樹ちゃんの母上様にもまた会えましたが、相変わらずお元気そうでした。真樹ちゃんの祖父母様もお見えだったようです。


→ 次のレポート
← 前のレポート
↑ 参加記録ページ
URL: http://www.mscom.or.jp/~miya/makibo/report/event/960901.html
Copyright © since MCMXCV by: K. Miyauchi. All rights reserved.