わんだふる 中国四川山群 (3)

  1.プロローグ 
  2.中国四川省成都(セイト)へ向けて出発 : 7月16日(日) 
  3.日隆(リーロン)へ : 7月17日(月) 
  4.日隆(リーロン)での高所順応 : 7月18日(火) 
  5.いざ、ベースキャンプ(老牛園子(ラオニューエンツー(3,600m)))へ : 7月19日(水) 
  6.ベースキャンプでの高所順応(大海子(ターハイツー)、花海子(ホワハイツー)) : 7月20日(木) 
  7.アタックキャンプC1(4,300m)へ : 7月21日(金) 
  8.大姑娘山(タークーニャンサン(5,025m))登頂へ : 7月22日(土) 
  9.日隆(リーロン)へ : 7月23日(日) 
  10.日隆(リーロン)から成都(セイト)、そして帰国 : 7月24日(月)、25日(火)
     *トレッキング留意事項(感想)* 
 
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5.いざベースキャンプ(老牛園子(ラオニューエンツー(3,600m)))へ : 7月19日(水)

 6時に起床した。今朝も昨日に続き快晴であった。ついているなと思ったが、この雨季という季節にこんな快晴がいつまでも長く続くのかといった不安が心の中をよぎった。でもベースキャンプまでは快適なトレッキングになると思われたので、晴れて悪いことはない。腰の状態も、曲げるのがやや怖い感じがしたが、軽いザックならなんともなさそうである。よしよし・・・。何とかこのままでもってくれと祈るだけである。
 今日は、登山には持って行かないものはスーツケースにまとめて、ホテルに預けていく。そして登山に持って行く荷物は、途中で使用するヤッケや食料は自分のザックに入れ、その他はダッフルバックに詰め込んで、馬に運んでもらうシステムとなっていた。

 6時半に朝食。その後、酸素吸収および脈拍数のチェックを行ったが、問題はない。利尿促進のダイアロックも半錠飲んだ。これで万全!
 8時ホテルのロビーに集合した。皆元気そうで、やる気まんまんといった様子である。こちらは、体力、足腰等あちこちに問題はあるが、表情に出さないように気をつけ、みんなと挨拶をした。ツアーリーダーから各自に今日のランチパック(内容は昨日とほぼ同じ)が配られたので、ザックにしまいこんだ。お湯はホテルでもらい、テルモス(魔法瓶)に入れておいた。今日はネパールから来たシェルパのリーダーがやってきた。これから登頂までずっとわれわれをガイドしてくれるとのことであった。昨日のシェルパの若者もサブリーダーとして同行することになっている。軽い体操をして、ホテルの玄関(標高3145m)を出発した。

 はじめは車の道路沿いをおよそ300mくらい歩いて、昨日のハイキングコースとは反対側の尾根への上り口に着いた。ここからゆっくりとしたペースで登りはじめる。ちょうど馬が仕事?(観光客を、大海子(ターハイツー)、花海子(ホアハイツー)方面へ乗せていく)に行くために使う道のようで、どんどんと馬に追い越されていった。しばらく登ると、青空をバックにした四姑娘山(スークーニャンサン)の山並みが見え始めた。特に四姑娘山のピラミッドが美しい。皆が歓声を上げ、写真を撮った。さらに登っていくと広々とした尾根に出た(9時5分頃)。斉戒坪(ザイツェーピン(標高3300m))というところで、パゴタ(仏塔)が建っており、まわりは潅木と草原である。日差しがとても強い。


四姑娘山群 四姑娘山群(斉戒坪) 草原の尾根を登る きれいな有料トイレ
 しばらく休憩してから、緩やかな草原の尾根を登りはじめた。ザックは軽く、ペースがゆったりとしているので、本当にハイキングのようである。9時35分、鍋庄坪(標高3365m)に到着。ここにはきれいな有料トイレが建っており、驚いた。今までの幹線道路のトイレとは比べ物にならない。何故山に立派なトイレがあって、観光道路沿いにはないのか一瞬疑ってしまった。

四姑娘山(6,250m) お花畑の尾根を登る お花畑(トラノオLike) 馬が追い越していく
 トイレ休憩の後、更に草原の尾根を登っていった。日差しは強いが、日本の山のような蒸し暑さはなく、四姑娘山群を正面に見ながら、高原のすがすがしい空気の中を歩くので、とても快適であった。そして、四姑娘山(スークーニャンサン)が本当に美しい。10時10分頃、朝山坪(標高3450m)に到着。ここにもパゴタがあった。観光客を乗せた馬がひっきりなしに追い越していく。観光客はほとんど中国人のようだ。しばらく休憩した後、再び草原を登るが、しばらくして尾根からはずれ、隆日(リーロン)とは反対側の山腹を歩くようになる。それから草原が終わると、低木林が繁った山腹をトラバースするようにベースキャンプのある老牛園子(ラオニューエンツー)へ向かって歩いていく。

 11時頃、標高3,480m地点で小休憩。11時半、ちょっとした低木林に囲まれた広場(標高3500m)でランチタイムとなった。皆涼しい木陰を見つけて、そこで朝もらったランチパックを食べた。ここで申し訳ありませんが、私はやや下痢気味であることに気づいた。その時はホテルで食べたものが消化できなかったのかなと考えたが、後で高山病の症状が出始めていたのである(この件は後でお話したい)。

海子河と老牛園子 老牛園子(ベースキャンプ) ベースキャンプ 食事風景
 30分のランチタイムの後、12時ちょうどにベースキャンプへ向けて出発した。12時35分、3,550m地点で小休憩。13時20分、3,585m地点で再度の小休憩。14時ころ、今日の最高地点3,655m付近に到達した。ここでようやく海子河(ハイツーコー)とその河岸に広がる老牛園子(ラオニューエンツー)のベースキャンプ村を眼下に見ることができた。ここから一気に下り、14時20分にベースキャンプ(標高3,585m)に到着した。8時過ぎに日隆(リーロン(3,145m))を出発したので、行程は6時間強、標高差はおよそ450mであったが、ゆっくりとしたペースで歩いたので、3,600m近くまで登った割には疲れた感じはしなかった。

 ベースキャンプのテント村に着くと、早速コーヒーとスイカのサービスがあった。成都(セイト)から日隆(リーロン)へバスで向かう途中で購入したスイカだったのか、スイカがとても美味しかった。
 ベースキャンプは海子河(ハイツーコー)の河岸に設定されており、たいへん広々としていた。テントやシュラフは中国のツアー会社が用意しているようだ。テント(二人用)はおよそ20張りくらいはあっただろうか。ほとんど日本人用である。食事は大型のテント内でとるシステムで、料理は中国人のスタッフが用意してくれる。テント村のはずれには、トイレ用のテントが4つほど用意されていた。もちろんシャワーなどはないが、洗面用のお湯のサービスがあり、そのお湯で濡らしたタオルで体を拭いてさっぱりすることができたのはとてもうれしかった。

ダイニング用大型テント 二人用テント テントのトイレ
 夕食まで時間があったので、テント村のまわりでゆったりと過ごすことができた。ついでにといっては何だが、恥ずかしながら家内と二人で早速下手なスケッチを試みた(結果は散々の出来であったと言わざるを得ない)。
 6時半に夕食となった。やや疲れていたので、とても美味しく食べることができた。食後は例によって、ダイナロック半錠を飲むとともに、酸素吸収および脈拍のチェックを行った。異常なし!!昨日の軽い頭痛もいつの間にかまったくなくなり、腰の痛みも出てこないので、とても快調であった。夕方までは晴れ渡っていた空が、食後には小雨が降りはじめ、明日の天気が心配になった。明日の天気の回復を祈りながら早めにシュラフにもぐり、寝込んだ。

 ところが、すぐに眠ることができたのだが、高山病の症状である下痢が始まって、夜中に何度か起きるはめになってしまった(このときもまだ高山病の症状とは考えておらず、ホテルの食事の消化不良ぐらいと考えていた)。小雨は上がり、夜空は満天の星空であったが、真夜中に懐中電灯をたよりにテントトイレに通うのにはいささか参ってしまった。早く良くなりますように。トホトホ・・・


6.ベースキャンプでの高所順応(大海子(ターハイツー)、花海子(ホワハイツー) : 7月20日(木)

 初めてのテント泊であったが、トイレ通いを除けば快適なテント泊であった。朝6時45分に起床する。昨日の夜の雨がウソであったかのように、空はきれいに晴れ渡っていた。これはとてもついていると思った。
 間もなくシェルパのガイドがモーニングティーをテントまで持ってきて、サービスをしてくれた。これは、ヒマラヤ(エヴェレスト街道)をトレッキングしたときも同じで、英国式のモーニングサービスとのことだった。 シュラフをたたんだり、洗顔、歯磨きをしたり、今日の高所順応ハイキングのためのザックの持ち物を確認したりと、忙しかった。

 7時45分から、ダイニングテントでの食事が始まった。下痢気味のところを除けば体調が良いので、食欲も進んだ。食後は、例の酸素吸収と脈拍のチェックを受けたが、まったく問題なしであった。もちろん利尿促進のダイアロックも半錠飲んだ。それに、ツアーリーダーに下痢止めの薬をもらって、それも飲んだ(高山病で下痢の症状が出るとは考えてもいなかったので、下痢止めの薬は持ってきていなかった)。

 今日は高所順応のハイキングということで、9時ちょっと前にテント村の広場に集合し、そこでランチパックをもらってザックに入れた。9時ちょうどにベースキャンプ(標高3580m)を出発した。テント村の斜面を少し登ってから、山腹をトラバースするように海子河(ハイツィゴー)に沿う形で北東に向かって進んだ。途中は潅木帯で(高い針葉樹はほとんどなかった)見通しが良くなかったが、高度差はほとんどないので(最高地点でおよそ3700m)、皆は快適な歩みであった。途中に、写真のような美しいタカネバラLikeが咲いていたのに驚いた。その他にヒイラギの葉に似た葉をつけた木が印象に残っている。
 
二姑娘山と大海子 二姑娘山(アールクーニャン) ウスユキソウLike 黄サクラソウLike
 1時間もすると、大海子(ターハイツー)の湖と二姑娘山(アールクーニャンサン(標高5454m))が見えてきた。二四姑娘山もなかなか良い山のようだが、日本人が気軽に入れるほどポピュラーな山ではないようだ。10時20分、大海子(ターハイツー(標高3660m))に到着した。標高はベースキャンプと大差はなかった。周りはお花畑となっており、ウスユキソウLikeや黄サクラソウLike、ホタルブクロLike、ヤマエンゴサクLike、シオガマLikeなど、たくさんの花が咲いていた。ここで20分ほどゆったりと休憩をとった。

 10時40分、次の花海子(ホワハイツー)へ向けて出発した。道はやはり山腹の低木林帯の中を歩く。およそ50分ほど歩いて花海子(ホワハイツー(3665m))に到着した。雰囲気は大海子(ターハイツー)と同じで、テントなどが数張りあった。馬も数頭のんびりと草を食べていた。ほんとうに美しくかつのどかな風景で、どっぷりと自分がその中に浸かっているのが分かった。
大海子から花海子へ 花海子を見下ろす 花海子(ホワハイツー) 二姑娘山(アールクーニャン)
 ここでランチタイムとなった。日差しは強いが、草原なので日陰の場所がなかった。でも気持ちのよい草原、それも標高3600m以上もある高原でのランチは格別である。高山病の症状もまったく出ず、体調は完璧?である(日中は下痢はほとんどなかったのは助かった)。食後はもう少し花海子(ホワハイツー)の先まで行くことになったが、家内と私はまたまた絵心??が出てしまい、ここでのんびりしながらスケッチをすることにした(申し訳ないことに、我々二人だけ残すことはできないということで、ツアーリーダーが一緒に残ってくれた。恐縮!!)。

 花海子(ホワハイツー)のお花畑でゆったりと過ごした後、湖の先まで行ってきた人たちと再度合流し、13時40分にベースキャンプへ向けて出発した。14時25分、大海子(ターハイツー)で小休憩し、15時30分、ベースキャンプに戻った。いやはや、すばらしいハイキングであった。爽快爽快!!
 ところで、ベースキャンプのテントが、出かけるときに比べて大幅に増えていた。おそらく70張り近くはあっただろうか。ツアーリーダーに尋ねると、我々の前のグループと次のグループが一緒になるためとのことだった。それもほとんどすべて日本人である。どうも日本人は人気があるところへ集中して行くようである(という我々も高山植物がすばらしいということで参加しているのだが)。それにしても凄いですね。

 到着が早かったので、夕食まではテント村の周りでゆったりと過ごした。19時に夕食。その後、酸素吸収と脈拍のチェックを受け、利尿促進のダイアロック半錠、それにツアーリーダーからもらった下痢止めの薬を飲んだ。腰痛も出てこず、下痢気味である以外は体調はすこぶる良好であった。
 *下痢が続いて、日本から持ってきたロールペーパー1本がなくなって困ってしまった。幸いにもテント村で売っていたので、2本買うことが出来たが、1本20中国元(約300円)もとられてしまった。でも手に入らないときはどうしようかと大変悩んでいたので、手に入ったときは本当にうれしかった。
花海子から大海子へ ベースキャンプを見下ろす
 明日はいよいよアタックキャンプC1(標高4300m)へ前進することになるので、食後はすぐに寝てしまった。でもまだ下痢が続いており、夜中に何度か起こされてしまった。夕方はちょっと雨が降ったが、真夜中はまた星空となっていた。何でこんなに毎晩星空を見るのでしょうね? 

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