わんだふる 中国四川山群 (2)

  1.プロローグ 
  2.中国四川省成都(セイト)へ向けて出発 : 7月16日(日) 
  3.日隆(リーロン)へ : 7月17日(月) 
  4.日隆(リーロン)での高所順応 : 7月18日(火) 
  5.いざ、ベースキャンプ(老牛園子(ラオニューエンツー(3,600m)))へ : 7月19日(水) 
  6.ベースキャンプでの高所順応(大海子(ターハイツー)、花海子(ホワハイツー)) : 7月20日(木) 
  7.アタックキャンプC1(4,300m)へ : 7月21日(金) 
  8.大姑娘山(タークーニャンサン(5,025m))登頂へ : 7月22日(土) 
  9.日隆(リーロン)へ : 7月23日(日) 
  10.日隆(リーロン)から成都(セイト)、そして帰国 : 7月24日(月)、25日(火)
     *トレッキング留意事項(感想)* 
 
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3.日隆(リーロン)へ : 7月17日(月)

 朝5時半には起床したが、まだ外は明るくなかった。腰の調子がやや気になったが、体調は悪くはなかった。コルセットはずっとつけるようにした。いよいよ5000m峰かと思うと(かってに5000m峰登頂を考えていた)、身が引き締まるようだった。6時20分に朝食のためにレストランへ行ったが、われわれのグループでは一番早いほうであった。食事はバイキング形式で、まあまあの内容であった。
 7時半、ロビーに集合した。ここで初めて名古屋と関西方面から来たメンバーと顔合わせということになった。ツアーリーダーより簡単な注意を受けた後、30人乗りくらいの中型バス(四川省ではこれが大型バスとのこと)に全員乗り込み、出発となった。空は、例の明るい薄曇り空(スモッグ?)で、まあまあの天気であった。まずは、車、バイク、自転車で混雑する大通りを通り、市街地を抜けたところで成都と都江堰(トコウエン)を結ぶ高速道路に乗った。ほぼ片道3車線だったと思うが、日本に比べ広々とした感じで、渋滞もなかった。高速道路の脇にはインダストリアルパーク(工業団地)があり、広々とした敷地の中にアメリカのウェストコーストにあるようなハイテクメーカーの建物がたくさん並んでいたのには驚いた。現地ツアーガイドの話によると、世界のグローバルハイテク企業が集まっているとのことであった。

 高速道路を1時間弱走り、都江堰(トコウエン)の市街地に入った。ここは観光地として有名らしく、街路樹の緑が美しく、とてもきれいな町であった。町を抜けたところで、道の両側にスイカなどの果物を売っている店がたくさん並んでいるマーケット?があり、そこでリーダーがスイカをたくさん買い込んだ。スイカは利尿作用があるとのことで、後で高山病対策も兼ねておいしいスイカを食べることになった。ここからは、山岳道路に入っていく。山のスケールは大きく、山肌を縫って4000m以上の峠を越えなければならない。しかも、道路はまだ開発中のようで、大部分は舗装されてはいるのだが、大規模な工事箇所がたくさんあり、一部は一方通行となるため、大きな工事渋滞が予想されるとのことであった。

 途中、トイレ休憩があるのだが、10年前に比べればよくなったといわれるが、女性にとってはかなりつらいトイレのようである。男性も大きいほうはちょっと遠慮せざるをえないようであった。トイレ休憩場所には、食料品販売などが行われて、結構賑わっていた。


スイカ市場? トイレ休憩タイム 休憩場所の果物販売
 1時半ころ、ようやく昼食のためにレストラン”美味飯店”に入った(標高はおよそ2000m)。食事は中国四川料理で、回転式丸テーブルでの食事であった。食後は、帰りに寄る予定であった”大熊猫(パンダ)苑”に立ち寄ることになった。パンダは私にとっては今回の目的ではなかったが、家内はパンダを抱きたいとはしゃいでいた・・・。苑内はかなり広く、パンダもたくさんおり、上野動物園で見たことのある檻の中のパンダとは大分イメージが違った。

 家内はさっそくパンダを抱いて写真を撮りたいとダダを言い(写真を撮りたいと言ったのは家内ともう一方のみであった)、ツアーリーダーに交渉してもらった。料金は500元(7,500円)ということであったが、こちらは500元も持ち合わせていなかったので、日本円での支払いを交渉してもらった。ところが日本円は問題はないが、日本の500円硬貨は受け取れないということで(おつりを中国元にしてくれてもよいといったがダメであった)、いろいろと交渉した結果、最後は日本円と中国元の両建てで支払うことになった(律儀にも、領収書を日本円相当分と中国元相当分の2枚をもらってしまった。ところが、その領収書を書くのにまたまた時間が掛かってしまった。いらいら・・・)。

 いよいよパンダとの出会いとなったが、ここでもちょっともめてしまった。というのは、写真を撮るために近くに行くことができるのは1名だけで、それ以外の人は遠くでしか撮れないとのことであった。また、中に入った1名がパンダと並んでいるところを、外にいる人が撮ってはならないとのことであった。まあ規則だからしょうがないが、写真くらいは自由に撮ってもいいのではと思ってしまった。とにかく、家内は自分と同じようなパンダを抱っこしてご機嫌ではあったので、よしとしよう。
 もうひとつ、パンダと写真を撮ると、パンダ保護に貢献したということで、証明書をもらえることになっていたらしい。こちらはそんなことは分からなかったのだが、現地のツアーガイドがそれをもらいに行ったのだが、例の領収書が必要とのことで、あちこちと走り回ってもらうことになった。何か手順が悪いなといった感じがした。こんなことに時間が多く取られ、3、40分くらいの予定が1時間ほどかかってしまい、他のメンバーに大いに迷惑をかけてしまった。どうも済みませんでした。

 大分遅くなってしまったが、3時40分に大熊猫苑を後にして出発、日隆(リーロン)を目指してバスが走り始めた。5時15分、3230m地点で休憩をしたが、まだ空気が薄いという実感はなかった。3000mを超えても日本とは違って、あたりはフウロウlike、オタカラコウlike、アズマギクlike、アヤメlikeなどの高山植物が一面に咲く草原であった。いよいよ中国の山に入ってきたのだという実感がした。4000m付近からブルーポピーが見られるというので、ブルーポピーの見られる岩場に停車してもらい、写真を撮ることになった。6時、標高3900m付近でバスが止まり、バスから降りたところ、少し目まいがした。そして、写真を撮って、立ち上がろうとすると、目まいと足がふらつき、あやうく倒れそうになってしまった。あぶない!あぶない!間違いなく高山病の前兆である。それでも気をつけながら、必死にブルーポピーやエーデルワイス(ウスユキソウlike)、黄色のサクラソウlikeなどなど、あたりにたくさん咲く高山植物の花を撮りまくった。
ブルーポピー ブルーポピー エーデルワイス 巴朗山峠近くの道とヤクの群れ
 いよいよ、日隆(リーロン)までの行程で最高地点となる巴朗山(パーロンサン)峠(4285m)である(巴朗山(パーロンサン)は4476m)。ところが、だんだん高く上がるにつれて霧が出てきて、6時45分に峠に着いたときには霧で回りは何も見えなかった(時間が遅かったわけではない)。ここでもバスから降りると少し目まいがした。やばい!やばい!少しトイレタイムをとった後、すぐにバスは一気に道を下り、ようやく8時過ぎに(まだ暗くはなかった)日隆(リーロン)のホテル”ジン昆賓館”(標高およそ3200m)に到着した。パンダ苑へ寄ったこともあるが、成都(セイト)から12時間半の長いバスの旅であった。いやいや大変なところへ来たなという実感であった。
日隆のホテル前

 部屋で休む暇もなく、すぐに夕食となった。もちろん食事は四川料理で、円卓テーブルでの食事であった。やや疲れもあり、腹が減っていたので、おいしく、かつたくさん食べてしまった。ここで、ツアーリーダーから、全員に対し利尿促進(高山病対策として重要)のための錠剤(ダイナロック)の希望があるかどうか聞かれた。3200mでの宿泊なのでまだ大丈夫かとも思ったが、念のため私も家内も半錠もらって飲むことにした。これが今晩大変なことになるとは想像できなかったのだが・・・。
 明日は、高所順応のための軽いハイキングだけということで、食後はすぐに風呂に入って疲れをとり、早めに寝てしまった。忘れていました。腰痛は悪くならず、幾分よくなってきたような気がした。Good Luck!!


4.日隆(リーロン)での高所順応 : 7月18日(火)

 朝6時過ぎに、鳥のさえずりで目を覚ました。昨夜は利尿促進の錠剤(ダイナロック)を飲んだため、1時間おきに目を覚まし、トイレに行くはめになった。そのため、睡眠時間は長かったにもかかわらず、朝方起きるのがややつらい感じがした。でも、今日は高所順応のハイキングのため、朝は比較的余裕があった。今日も腰の状態は、かがむのがちょっとつらいが、何とかなりそうである。7時に朝食。バイキング形式であったが、内容的にはやや貧弱であった。しかし、成都(セイト)からこんなに離れた山村のホテルでは贅沢を言ってられない。こういう山歩きではすべて前向きに考えなければならない。もちろん、おいしくかつたくさん食べることができた。朝の食事後も、利尿促進剤を半錠もらって飲んだ。

 9時にホテルのロビーに集合した。今日の案内人であるシェルパ族の若者と現地チベット族の若者が紹介された。ランチパックが皆に渡され、ハイキングでの注意、すなわち、ゆっくり歩き、深呼吸を心がけ、高所順応に努めること、水分をたくさんとり、新陳代謝を活発に維持することなどの注意があった。空は快晴で、日差しは強かった。ラッキーである。軽い体操をしてから、9時15分にホテル(標高およそ3,200m)を出発した。行き先はホテルの裏の山の中腹までであった。ゆっくりと深呼吸をしながらホテルの裏の山道を登りはじめた。登りはじめるとすぐに高山植物が至る所、あちこちに見られ、写真を撮るのに忙しくなった。10時半、3,200m付近で休憩をとった。ここからは高山植物が咲き乱れるかなり急な草原の中を登った。ハクサンフウロウlike、タンポポlike、イブキトラノオlike、コウリンカlike、オタカラコウlike、エーデルワイス等々、いろんな花が草原いっぱいに咲いており、皆あれは何の花、これは日本の何の花等々花の名前を言い当てながら楽しんで登っていた。

花1 花2 お花畑の中を登る 休憩タイム
 11時半、3,500m付近のお花畑の中でランチとなった。ここからは、明日歩く尾根が真正面に見ることができた。頭が少しすっきりしなかったが(頭痛というほどではない)、体調はよく、高山病の症状は出てこなかった。お花畑の中でめいめい座り、朝渡されたランチパック(サンドウィッチ他)をおいしく食べた。食後も珍しい花、きれいな花など、たくさんの花をカメラに収めた。

ランチタイム 明日歩く対岸の尾根(手前) 日隆を流れる海子川 日隆の村
 ゆったりとした後、12時半に下り始めた。眼下には、出発地点の日隆(リーロン)の村の町並みや村の真ん中を流れる海子”河”(ハイツィゴウ)がよく見えた。帰りの途中、チベット族の若い案内人の家に立ち寄り、バター茶や粉菓子のようなものを頂いた。そこでは、バター茶を作るところも見せてもらった(右の写真)。

チベット族の家(入り口) チベット族のおばあさん バター茶製作
 午後2時15分にはホテルに戻った。いったん部屋に戻り、それから恥ずかしげもなく、家内とホテル前の景色のスケッチにトライした。でも、いつもながらの駄作で、自分の絵を見て気分が悪くなってしまった。もうスケッチなど止めたらという声が聞こえてくるようであった。
  夕方5時、といってもまだ明るいのだが、ツアーリーダーが日隆(リーロン)の村のショッピング街を案内してくれるということでついていった(ホテルは村の中心からやや離れた高台に建っていた)。
 村のショッピング街といっても、300mほどの道路の脇に3、4階建てのホテルが10数軒(最近目覚しい勢いで増えてきたとのこと)、観光客相手の土産店や飲食店が20〜30軒くらい並んでいるだけであった。土産店では日本語はもちろん、英語も通じない。もちろん定価札などはない。値段交渉は筆談あるいは電卓での表示となる。中国では値下げ交渉が必須とのことであった(相手の言う価格の半値くらいから交渉するのがよいとのことであった)。とても私にはできないので?、ツアーリーダーに価格交渉をお願いした(ずるいですね!)。さすがに慣れている!確かに相手の当初の価格に比べて3分の2くらいにはなったようである。

ホテル”ジン昆賓館”全景 日隆の村(建物はホテル)
 6時半に夕食となった。この日も四川料理であった。だんだん油っぽい料理が気になってきたが、頭がすっきりしない点を除けば体調も比較的よく、腹も減って食欲があり、十分に食べることができた。食後は例の利尿剤を半錠飲んだ。今晩も恐らく何度もトイレに行くことになるのだろうか?明日は8時出発ということなので、早めに部屋に戻り、就寝した。

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