わんだふる 中国四川山群 (6)

  1.プロローグ 
  2.中国四川省成都(セイト)へ向けて出発 : 7月16日(日) 
  3.日隆(リーロン)へ : 7月17日(月) 
  4.日隆(リーロン)での高所順応 : 7月18日(火) 
  5.いざ、ベースキャンプ(老牛園子(ラオニューエンツー(3,600m)))へ : 7月19日(水) 
  6.ベースキャンプでの高所順応(大海子(ターハイツー)、花海子(ホワハイツー)) : 7月20日(木) 
  7.アタックキャンプC1(4,300m)へ : 7月21日(金) 
  8.大姑娘山(タークーニャンサン(5,025m))登頂へ : 7月22日(土) 
  9.日隆(リーロン)へ : 7月23日(日) 
  10.日隆(リーロン)から成都(セイト)、そして帰国 : 7月24日(月)、25日(火)
     *トレッキング留意事項(感想)* 
 
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9.日隆(リーロン)へ : 7月23日(日)

 ぐっすりと眠れたようだ。6時に起床し、帰りの荷物の整理を行った。天気は曇り空で、あまりよくない。どうも雨期の雰囲気そのものである。6時半に、恒例のシェルパリーダーによるモーニングティーとビスケットがテントまで運ばれてきた。テントで暖かい紅茶が飲めるのはほっとした気持ちになる。歯磨きや洗顔を行い、7時30分からダイニングテントで朝食をとった。昨日、大姑娘山(タークーニャンサン)を登頂したので、皆なんとなく明るい顔である。もちろん、もう利尿促進剤や健康チェックはなしである。
ツアーリーダー(Y&Oさん)と 現地ガイド(Kさん)と
 8時30分、テント前に集合し、日隆(リーロン)へ向けて出発した。もちろん、主な荷物はダッフルバックに入れて、馬に運んでもらった。したがって、我々のザックは水と小物ぐらいである。雨が降りそうなので、最初から雨具(上下)を着た。最初、100mほど草原を登るが、その後はほとんど緩やかな潅木に覆われた細い下り道である。ただし、道はぬかるみが多く、また馬糞もあちこちに添えてあるので、歩くのに注意しないといけない。途中からは、時々霧雨が降ったりしたが、たいした降りにならなかったのは幸いである。
 11時40分頃、ようやく潅木の道を抜けて広々とした草原に出た。四姑娘山(スークーニャンサン)は望めないが、霧雨もやみ、快適なハイキング気分である。11時50分、きれいなトイレとパゴタのあった鍋庄坪(3,390m)に到着。もうすぐ日隆(リーロン)である。

 ほとんど疲れもなく、快適に歩ける。日隆(リーロン)に近づくにつれて、だんだんと暖かくなってきた。12時30分、ホテル(3,145m)に到着。みんなほっとした様子である。すぐに割り当てられた部屋に荷物を置いて、近くのレストラン(飯店)にランチを食べに出かけた。食後は、いったんホテルに戻って、久し振りのシャワーを浴びて、ゆっくりと休んだ。
 夕食は6時半とのことなので、夕方街?へショッピングに出かることにした。ところが、ホテルでは日本円を中国元に両替してくれないのには困った。中国元は、例のトイレットペーパーを買ったりしたため、ほとんどない。やむをえないので、買い物は筆談をしながら、日本円で支払いを行った。やはり、成都(セイト)のホテルでもう少し両替をしておくべきだったようだ。日中は暖かかったが、夕方から冷え込み始めたので、すぐに引き上げてきた。
 6時半、ホテルで夕食を食べた。明日の起床が6時で、出発が7時ということなので、食後はすぐに部屋に戻って荷物の整理を行い、早々と寝てしまった。恐らく疲れも溜まっていたのだろう、すぐに熟睡したようである。


10.日隆(リーロン)から成都(セイト)へ、そして帰国 : 7月24日(月)、25日(火)

 6時起床。今日も朝から霧雨が降っており、外はかなり寒かった。強い寒気団が降りてきたようで、気温は15℃より低いのではないかと思われた。荷物を部屋の外に出し、6時半にはあわただしく朝食をとって、7時にはホテルのロビー集合である。なぜ急ぐかというと、来るときにもお話したが、道路事情が不明で、工事渋滞に巻き込まれて、成都(セイト)入りが遅くなることを恐れていたからである。

 すぐに、全員バスに乗り、日隆(リーロン(3,145m))を出発し、まずは邑朗山(パーロンサン)峠(4,285m)に向かった。どんどんとバスは高度を稼いでいく。途中からは雨は止んだが、バスの外はとても寒い。4000m近くになると、山が白く覆われているところもあった。どうも昨夜は高山では雨ではなく雪が降ったようである。寒いはずである。
 8時5分には、邑朗山(パーロンサン)峠(4,285m)に着いたが、寒かったのと展望もよくないということで、バスから降りるのはやめた。代わりに、来るときは急いでいたので、バスの窓からしか見られなかったレッドポピーを見たいという意見があり、レッドポピーの咲いている地点(標高約4,150m)でバスは一時停車した。皆でレッドポピーを撮影した。

車窓からの山々 車窓からの山々 レッドポピー(右)
 順調に峠を越えて、一路成都(セイト)に向けてバスは山岳道路を下り始めたが、ここでハプニングが生じた。ちょうど道路の路肩を工事している現場に差し掛かったところ、大型ダンプが道路わきで路肩に組み入れる大きな石をちょうど下ろすところであった。そのため、バスは停車を余儀なくされたのだが、そこまではやむをえない。ところが、ダンプが石を下ろし始めると、大きな石は道路の端だけではなく、真ん中までゴロゴロと転がって、完全に道路をふさぎ、車が通れないようになってしまった。ダンプは石を下ろし終わるとすぐに去って行ってしまった。道路には、1m立米はあろうかという大石がゴロゴロと散らばっている。うわー、これでは通れるまでに何時間も待たなければならない!皆、ひどい!ひどい!と騒ぎ始めた。
 と騒いでいると、側でダンプの石下ろしをみていた工事の作業員10人ほどが現場に集まり始め、石を人力で動かし、道路わきに移し始めた。でも、大きな石は人手やテコでは、とても動かせない。ショベルカーのような機械はどうもないようである。やっぱりだめだ!!すると、今度は石斧をもった作業員が現れ、その大石(複数ある)を斧で割り始めた。最初は、本気?と皆疑ってしまったが、人間の力は凄いものである。何度も斧で石を叩くと、一部が割れて少し小さくなった。それから、その大石を道路わきにテコを利用して移した。すばらしい!!皆、あきれた思いをしながらも、拍手、拍手であった。

 道がふさがれてからバスが通れるようになるまで、約30分であった。車が大石の間をすり抜けるときは、道路工事の作業員に手を振ってお礼をした。作業員のほうも、なにか照れくさそうに、手を振って応えてくれた。とにかく、全員ほっとしたところである。ツアーリーダーの心中が察せられるようだ。
 バスは遅れを戻そうとしているのか、必死になってくねくねとうねった山岳道路を下る。だんだんと日が差すようになり、外は暖かくなってきた。10時35分、往時と同じ飯店(1,905m)でランチとなった。ほぼ予定通りであったようである。
 昼ごろからは空は晴れ渡り、暖かいというよりは猛暑になってきた。13時5分、トイレ休憩(標高1,095m)。14時30分、再度のトイレ休憩(標高770m)。何故かここでバスは洗車を行う(タイヤが熱くなったため冷やすのかも?)。洗車業者が控えており、迅速に高水圧の水で車をあらった。外は日差しが益々強くなり、たいへん熱くなってきた。ここからはもうすぐで平地になる。

 来るときに現地のツアーガイドがスイカを買った市場を抜けると、都江堰(トコウエン)の街に入る。並木道が美しく、人通りもたいへん多く、活気があるようだ。ようやく山から下界に下りてきたという感じである。15時、バスは自動車専用道路に入り、一路成都(セイト)に向けてひたすら走る。空は青空で、晴れ渡り、快適なドライブであった。30分もすると、成都(セイト)の市街地に入った。成都(セイト)では、まずはパッケージツアーでは当たり前の?日本人向けお土産店に連れて行かれた。これも現地ツアー会社のバックマージン稼ぎの手段なので、やむをえないことと考えている。というよりは、最近はお土産を買うのには手っ取り早くて便利なものだとも考えるようになってきた。高価なものは一切目もくれず、友人用のお土産をかなり買い込んでしまった。

 40分ほどあわただしい買い物をしてから、いったん数日前に宿泊したホテル(ミンシャンH)に向かった。17時10分、ホテルに到着。日隆(リーロン)を立ってからおよそ10時間の行程(標高差およそ4,000m)であった。かなり疲れていたとは思うが、夕食はバスに乗って、有名な?麻婆豆腐の出る店へ行き、それから、最近は日本でも知られるようになった、たいへん人気のある四川省川劇(センゲキ)を観劇するとのことであった。割り当てられた部屋にとりあえず荷物を置いてから、すぐにロビーに集合した。

 17時55分、全員バスに乗り、まずは有名な?麻婆豆腐の出るレストランへ向かった。有名らしく、高級感があり(値段は高そうである)、店の中は広く、大勢のお客がいた。食事内容は、今まで食べてきた料理とあまり変わらない感じがした。私にとっては、はっきり言って中国料理の味は辛くて油っぽいといったイメージだけで、味がよいかどうかはどうやら判断できないようである。有名な?麻婆豆腐が出てきたのだが、私にとっては辛すぎて、また熱すぎて、味がほとんど分からず、おいしかったのかどうか判断できなかった。まあ私にとっては料理が有名かどうかはどうでもよいといったことでしょう。

その後、四川省川劇(センゲキ)が行われる「蜀風雅韵(Shu Feng Ya Yun)茶館」という劇場へ向かった。夜の8時に着いたのだが、少し暗くなり始めており、公園のような中でバスから降りた。劇場の入り口の門をくぐると、中は建物の中ではなく、広い敷地に舞台に向けて席が設けてある野外劇場であった。まだ観客は少なく、案内されて指定の席に着いた。間もなく長い筒のある茶器からお茶を注ぐ変わったサービスがあった。また、場内の脇には展示場と売店があり、そこで今晩演じる2、3人の俳優がデモンストレーション的にメイクアップを行っていた。演劇は、絢爛豪華で、なかなか面白かったが、中国語がまったくわからないので、意味がほとんど理解できなかった。最後の演目がチェンジフェースであったが、これはすばらしかった。皆拍手喝采であった。
 21時45分、演劇が終わり、早速バスに乗ってホテルへ戻った。長い一日であったので、着かれきっており、部屋に入るや否や、バスで一浴びして、すぐに寝てしまった。
 
俳優のメイクアップ 演劇の場面 チェンジフェースの場面

10.その2 そして帰国 : 7月25日(火)

 25日の成都(セイト)の空は、ややスモッグかかってはいたが、晴れ渡っていた。6時半に起床し、朝食後出発まで時間が大分あるので、ホテルの周りの街中を歩いてみた。道路幅は広く、街路樹の緑も多く、20階程度の高いビルも林立しており、ごみなどもなくとてもきれいな市街であった。車は日中に比べて少なかったが、通勤が始まる頃か、自転車(モーター付きを含む)やバイクがかなり走っていた。中国の街がこんなにすばらしいとは思ってもいなかったので、ほんとうに驚いてしまった。中国が経済的に日本を追い越すのは時間の問題ではないかと実感させられた。
成都(セイト)市街1 成都(セイト)市街2 成都(セイト)市街3
 ホテルへ戻り、10時45分、ホテルを出発し、飛行場に向かった。13時40分、予定通り、成都の飛行場を離陸した。16時、北京(ペキン)着陸、17時、北京(ペキン)を離陸し、21時、ようやく成田に到着した。今回もとてもよい旅で、家内ともども大満足であった!!

  **トレッキング留意事項(感想)**

 中国の四姑娘山群のトレッキングを終えて、いろいろと感じたことを箇条書きにしてみました。何か参考になればと思います。また、質問等がありましたら、ご連絡ください(Mail Addrは「わんだふる山中湖」のHome Pageにあります)。

1. トレッキング・登山内容ですが、私にとっては行程、高所順応、5000m峰登頂、お花畑など、全般的に大満足でした。特に、当初体力の不安や腰痛の発生などがあり、5000m峰登頂は無理かと思っていたのですが、高所順応日が2日もあり、1日の登る標高差が700m程度、歩くスピードも当然ゆったりとしており、比較的快調に登れたことは、ツアー会社の企画がよかったということかと思います。高齢者、特に女性に人気があるトレッキング・登山コースであることがよくわかりました。

2. 費用ですが、他のコースに比べて安かったと思います(ネパールの同様のトレッキングに比べるとやや高めかな?)。私としてはもう少し安いと助かるのですが(そうなれば、世界中もっとあちこちに行けるのですが!)、現地でのスタッフサービスや馬での荷物運び等を考えると、やむをえないかなとも思っています。

3. 登り方、歩き方ですが、私はあまり1列隊列を組んで歩くのが好きではないので、歩いている途中はとても窮屈に感じてしまいました。スピードはゆったりなのですが、それでも私はあちこち見回しながら、写真をとったり、一息ついたりしたいと思っているので、スケジュールに縛られて?、予定時間通り歩くのがやや不満でした。最後の登頂時は、高山病等の危険もあるので、きちんと歩く必要があるかと思いますが、高所順応や移動時はもう少しリラックスして歩いてもよいのではないかと思いました。エヴェレスト街道のときはもう少し緩やかであったと思います。比較にはならないかも知れませんが、ニュージーランドのミルフォード・トラックではまったく個人の自由でした。でも、ツアーリーダーとしては統制の取れた隊列が管理しやすいので、やむをえないかなとも思っています。

4. 高山病対策ですが、毎日朝晩脈拍および酸素吸収チェックが入り、自分の体の状況がよくわかり、たいへん安心することができて、よかったと思います。ただ、利尿促進剤ですが、飲まなかったらどうなるかわからないので何とも言えないのですが、必要性が最後までわかりませんでした。もちろん、水分の補給は大切なので、水または湯をたくさん飲んで、代謝を促進することは当たり前ですが、薬効がよくわからないということです。

5. 今回の報告に何度も書きましたが、私の方で下痢に対する対策がまったくなかったのは大失敗でした。ツアーリーダーから下痢止めの薬を何度ももらって本当にありがたく思いました。今度どこかへ行くときは必携と考えています。

6. 食事ですが、トレッキング・登山中はまったく問題がなく、おいしく食べることができました。特に、スイカサービスや紅茶サービスはとてもよかったです。中国でスイカの美味しさを再確認しました。

7. テントやシュラフはきれいで、これも快適でした。ただし、ネパールのような湯たんぽのサービスがあったらなと思いました(ネパールは12月末の厳冬期でしたが)。というのも、私は足が特に冷えて、眠れないことが多いからです。今回は、お湯を入れた透明ビニール?の水筒と、かつ使い捨てカイロで何とか切り抜けました(夜は特に冷え込みが厳しかったということはありませんでした)。

8. ホテルやトイレあるいは道路事情等は北米やヨーロッパ等と比べれば劣りますが、これは現地に行ったらそこに慣れるしかないと考えているので、登山ツアーとしては問題ないと思います。

9. 今回はツアーリーダーが2名でしたが、どちらも本当に献身的?なサービスをされていました。仕事とはいえ、いろいろな考えや行動パターンをもった21名のメンバーを引き連れて、統率しなければならないのですから、とても大変だったと思います。私にはサービスのやりすぎで、もう少し一緒にツアーを楽しまれたらどうなのかなと思うくらいでした。本当にお世話になりました。この場でお礼を申し上げます。
 *ひとつだけ不満。中国元への両替情報をきちんと教えてほしかったと思っています。買い物等で不自由しなければならない場面が多々ありました。

                                                                     以上


                                             2006年9月21日 完
                                                                      
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