わんだふる 中国四川山群 (4)

  1.プロローグ 
  2.中国四川省成都(セイト)へ向けて出発 : 7月16日(日) 
  3.日隆(リーロン)へ : 7月17日(月) 
  4.日隆(リーロン)での高所順応 : 7月18日(火) 
  5.いざ、ベースキャンプ(老牛園子(ラオニューエンツー(3,600m)))へ : 7月19日(水) 
  6.ベースキャンプでの高所順応(大海子(ターハイツー)、花海子(ホワハイツー)) : 7月20日(木) 
  7.アタックキャンプC1(4,300m)へ : 7月21日(金) 
  8.大姑娘山(タークーニャンサン(5,025m))登頂へ : 7月22日(土) 
  9.日隆(リーロン)へ : 7月23日(日) 
  10.日隆(リーロン)から成都(セイト)、そして帰国 : 7月24日(月)、25日(火)
     *トレッキング留意事項(感想)* 
 
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7.アタックキャンプC1(4,300m)へ : 7月21日(金)

 今日はアタックキャンプC1(標高4,300m)へ登る日である。6時に起床した。ところが今朝の空は曇り空であった。今までが良すぎたともいえるが、ちょっとがっかりというか、明日の登頂日の天気が心配になった。といっても、不安になっているだけでは始まらない。今日は日隆(リーロン)から持ってきた荷物はすべてアタックキャンプまで持って行くことになっているので(といっても、今度も馬に運んでもらうのだが)、馬に運んでもらう荷物と自分のザックに入れる荷物を仕分けて、馬に運んでもらう荷物はダッフルバックにパッキングした。6時半にはモーニングティーのサービスがあった。

 7時半、全員テントで朝食を食べ、その後利尿剤の服用と、酸素吸収および脈拍のチェックを行った。もちろんこちらは問題はなかったが、例の下痢止めのためにツアーリーダーから下痢止めの薬をお願いしたところ、意外なことにツアーリーダーからは日本からたくさん持ってきたのだが、底が尽きてしまったと言われた。どうも下痢をしているのは我々だけでなく、他のメンバーも下痢をしている人が多いようである。やむをえず整腸剤があるというので、それを頂いて飲んだ。腰の調子は悪くはなっていないので、下痢さえ止まってしまえば、快調そのものなのだが。

 8時半、テント前に集合した。今日は昨日の高所順応のためのハイキングとは違って、標高4,300mまで、およそ700mを登らなければならないので、皆幾分緊張しているようだった。リーダーからはゆっくりと、深呼吸をしながら歩くようにとの指示を受けて、出発した。テント村の川とは反対の斜面をゆっくりと登りはじめた。斜面はもちろん高山植物の咲く草原である。その中を一歩一歩と歩みを進めた。

隊列を組んで登りはじめる アツモリソウ ヤクの親子?
 8時55分、1回目の休憩(標高3700m)。9時30分、2回目の休憩(標高3800m)。まだまだ草原が続いた。そんな草原の中の小さな潅木の中をシェルパのリーダーが案内してくれた。それはそれは驚いてしまった。なんと大きな濃紫色をしたアツモリソウが数株咲いているではないか。日本では赤紫色をしたアツモリソウ(育成中)を見たことがあるだけである。また、ここにアツモリソウがあるという話も聞いていなかっただけに、その驚きといったら、なんといってよいやら。皆写真を撮りまくっていた。
 10時10分、3回目の休憩(標高3900m)。大姑娘山(タークーニャンサン)の山塊が見えてきたが、雲の中であった。特に空気が薄くて苦しいということはなかった、とにかくゆっくりゆっくり、深呼吸をしながら歩いた。すばらしい高山植物がたくさんあるのだが、歩調を乱して疲れるといけないので、途中ではできるだけ花の写真を撮るのは控えるようにした。途中の草原ではたくさんのヤクがのんびりと草を食んでいた。10時50分、4回目の休憩(標高4000m)。日が差さないのでやや肌寒い感じがしてきた。再び登りはじめると、石の瓦礫の多い場所に出た。ところがそこはブルーポピーの群生地であった。あちこちにきれいなブルーポピーが咲いており、皆歓声を上げて写真を撮った。近くに薄紫色の花をたくさんつけたツツジのような木がとてもきれいであった。

ゆっくりと草原を登る ブルーポピーの群生地 上ブルー 右ピンクのポピー
 11時30分、ようやくランチとなった。標高は4,100mである。ここでもブルーポピーがたくさん咲いていた。青空は見えないが、山頂付近を除けばまわりはよく見えた。皆高山病の症状も出ていないようで、おいしそうにランチを食べていた。食事が終わると、またブルーポピーを観察したり、写真を撮ったりした。

ツツジLike(薄紫の花) ランチタイム 大姑娘山方面の岩場
紫色のポピー
 30分のランチタイムの後、12時ちょうどに再度アタックキャンプC1へ向けて出発した。12時30分、6回目の休憩(標高4200m)。もう少しでキャンプC1に着きそうだ。だんだんときつい登りとなってきたが、まわりの高山植物が心を和ませてくれた。13時ちょうど、ようやくアタックキャンプ(標高4300m)に到着した。
 ここはほとんど岩場であるが、広々とした丘のような地形であった。アタックキャンプには我々だけのテントが10数張りとダイニング用などの大型テント3張りが設営されていた。トイレ用テントは、眼下を見下ろすような丘の端に設営されていた(ニュージーランドのマッキノン峠にあった”世界一展望の良いトイレ”(窓があって、用を足しながら周りの雪山が眺められた)を思い出してしまった。テント村の中央には赤い5星紅旗が風になびいていた。
 ここでテントが割り当てられ、荷物等を各自のテントに入れた。ティーのサービスがあり、ゆっくりと休憩した。休憩後は、高所順応のために、明日登るコースを少し歩いてみるとのことであった。
C1と明日登るコル(鞍部) C1と大姑娘山方面 大姑娘山方面(拡大) ブルーポピー
 14時、再度出発。ここからは草原はなくなり、瓦礫の岩場であったが、日本のように急なところはほとんどなく、ゆったりとした斜面であった。この岩場の斜面にもたくさんの高山植物が咲いているのには驚いた。ザックはないので、写真を撮るのに忙しいくらいであった。写真の花以外にも、イワカガミLike、ホソバエイランタイLike?、トリカブトLike、それに見知らぬ花などたくさん咲いていた。30分ほど登って(標高4,350m)、そこで休憩。明日登るはずのコル(鞍部)がよく見えた。それからアタックキャンプに向けて下った。
ハハコグサLike ヤマエンゴサクLike 黄色のポピー   右:花 
ベンケイソウLike キンポウゲLike シオガマLike
上から見たアタックキャンプC1
 15時10分、アタックキャンプC1に戻った。食事まで時間があり、また外はそれほど寒くもないので、なんとここでもブルーポピーのスケッチに挑戦してしまった。なかなか作品は思うようには描けないのだが、4,300mの高所でスケッチをすることができたということで、それだけでとても満足であった。キャンプ地の周りにはマーモットが生息しているようで、双眼鏡で走っている姿をちらりと見ることが出来た。
 18時に夕食をとった。食後は利尿剤をもらって飲み、酸素吸収と脈拍のチェックを行ったが、ほぼ問題がなくほっとした。また、下痢も完全に止まったようで、とても信じられないというよりは、あきれてしまうというのか、私の体調は完璧になったようである。うふふふ・・・

 食後、小雨がぱらつき始めた。明日の天気が心配である。いつものように小雨で終わってくれればよいが。暗くなったのでテントに入った。ところが外が少しざわめいている。どうやら、メンバーの一人(女性)が体調を崩したようで、食事が出来ず、頭痛や吐き気をもようしているようである。酸素吸収もたいへん低く、かなり危険な状況のようである。このため、シェルパのリーダーから下山の指示があり、残念にも馬に乗って下ることになってしまった(実は、一昨日の夜中、前のグループでやはり1名(女性)が高山病の症状がでたため、馬に乗ってベースキャンプに降りてきていた)。登頂を目の前にして残念だが、生命の危険があるというのでは安全第一である。やむをえない措置であったと思う。また、ツアーリーダーの一名がこの女性に着いて降りていくことになった。

 20時頃、眠りに着いた。風がほとんど吹かないので、寒さはそれほどでもなかった。ビニール水筒?にお湯を入れ、足元に置いて寝たので、足が冷えて眠れないということもなかった。
 夜の9時から10時頃には、雨が少し強く降っていたようだが、真夜中にトイレに起きたときには、空は星空であった。これはラッキーと思った。

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